※この作品はR-18です。

半人半妖の恋愛奇譚   作:紳爾零士

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第拾話『炎と糸と暴食と』

〜機動隊『シリウス』にて〜

 

方舟の中で美しいピアノの音が鳴り響く。空を飛ぶ方舟は絶えず速度を一定に保ち、空中を水面を滑るように飛行する。その黒く大型な箱は男により、本来の目的で使用される。ふと、その旋律が緩んだ。

 

レジネス「…どうしやした?プレジデント…。」

 

次に聞こえたのは低い気怠げな声であった。眠たげな…しかし、鋭い目がグラートに刺さった。グラートはほくそ笑み、その男の方を向いた。

 

グラート「…やれやれ。ここはどうなっているのかね。博麗大結界に干渉した影響かとも思ったが、違う。我輩も出かけなければならなくなってしまったではないか。」

 

レジネス「…ええ。この言いようのない違和感は俺も感じてます。しかし、アークを空ける理由はないのでは?シリウスの戦力を削ってでも…。」

 

グラート「…陳腐だな。我輩の軍に無意味に死ぬ者は出さない。死ぬのなら、其れ相応の栄光ある称号を。…金なら腐る程あるからね。」

 

レジネス「…いりやせん。アンタの思惑はわかりやした。しかし、今回の相手、一筋縄ではいかないようです。」

 

グラートはニヤリと笑った。端正な顔が室内のほのかな暗闇も相まって、とても影を引く美形に見えた。

 

グラート「…流石に他の世界に干渉するわけにはいかないからね…。完膚なきまでに叩き潰す。何人たりとも我輩らの邪魔はさせない。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

グラート「…ペストマスクの男…。ふむ、見たことも聞いたことも無いな。」

 

逢魔「…プレジデントグラート。」

 

戦況は一転せず、お互いの攻撃をお互いの能力が無効化しているという状況。此方にも衝撃が伝わる…。地面を削る刃、それが、先ほど戦っていた青年達に襲い掛かった。

ペストマスクの男はそれを悪気ないように謝り、今は目の前の男と対峙している…。うちに巣食う狂気は同じということか…。故に士道凰牙とペストマスクの男は惹かれあった…。

 

長い考察はやめようと、グラートは目の前の玄霧逢魔を見た。

 

グラート「…ミスター逢魔。君に彼の抹殺を頼んだが…かなりの手練れなのか?」

 

逢魔「…手練れではありませんが、隙がありません…。妙にズレている…。」

 

グラート「…それは厄介だね。隙をついて能力を消してしまうか。はたまた、奪取してしまう…というのも面白そうだね…。」

 

逢魔「…背後から一刺し…できるでしょうか。」

 

グラート「…お勧めしないよ。世界の摂理に則っていないとなれば、正攻法は通用しない。ならば、摂理に則っていない彼や我輩が戦うべきだと思うが?」

 

逢魔は罰の悪そうな顔で氷川漣を見た。グラートは思う。まるでこの2人は光と影、裏と表のようだと。

 

逢魔「貴方に構っている暇はありません。」

 

睨みをきかせた逢魔の目は氷川漣より嘴を捕らえていた。…さて、どうなることやらとグラートはほくそ笑んだ。確かに嘴の挙動は読めない。だからこそ、ありきたりな手に出ても良いのだと…。安っぽい考えだ。グラートは思った。

 

グラート「…矢張りな。」

 

案の定、背中から突き刺さった外套の繊維は嘴をすり抜け、逆にカウンターをくらっていた。そして、また火球と対峙するペストマスク…。奴もまた、自身と同様に能力に頼り過ぎている…。グラートは感じた。草の背が低い大地が焼け焦げたり、抉れているにも関わらず、対峙している2人の顔は涼しげだった。…まるで何も無かったかのように…。

 

グラート「…。」

 

漣「…アンタは一体…。」

 

漣は異様な男に気がつき、話しかけた。男の姿は郷ではかなり異形で、端正な顔も影があるように感じた。

 

グラート「…玄霧逢魔はこの程度では食い下がらない。」

 

漣「…はぁ?」

 

グラート「…それでは、我輩の大事な同志を貸し出した意味がないからな。」

 

グラートは白い歯を見せ、漣へと微笑んだ。…漣はその言葉の意味をすぐに知ることになる。逢魔の外套は逢魔を完全に包み込み、そして、先ほどのような筋肉繊維の露出した異形へと姿を変えたのだった。




グラート登場です。
このコラボ編でグラートの能力を少しだけ。
では次回。ではでは。
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