嘴「ちょっと邪魔。」
凰牙「ア?」
…操り人形みたいに引き寄せられた。弾かれた?どっちでも良いか。少し手を合わせた程度だが、強さ的にはそこまでだ。勝てないわけじゃない。だが、面倒だ。奴に一切の攻撃も当たらない。肉弾戦ならそれが大きく出ている。
そう、あの筋肉ダルマでは勝つことは愚か、拳を打つことも不可能なのだ。
嘴「じゃあ、来なさい。」
その言葉が吐き終わる前にクソ野郎は目の前の良い趣味とは到底言えないマスク野郎に殴りかかった。だが、その筋繊維で補強された豪腕は豆腐を握り潰すかののように脆く崩れ去った。…気に食わねえな。力はあるが信念がない。まるで子供だ。好奇心だけで相手を痛ぶっている。そして、手応えが一切ない。…ハリボテ…か…?
或いは理から外れているか…。奴の避け方を見るに奴は避けるのではなく、周りの空間からずれているような感覚を覚える。実体が見えるのにそこにはない。のらりくらりと避けやがる。まさに姿形はハリボテのよう…。揺らぐ水面に映る月の如く、そこに確かにあるのに無い。…鏡花水月…か。めんどくせえ…。
嘴「技に名前っているのかな?」
嘴の独り言は続く。遊戯の如く、玄霧逢魔は殴られ蹴られ…。天空にてその体は静止した。俺に奴を倒せるか…。答えはどっちとも言えない。今は本気のほの字も出していない。肩に羽織りが通っているからな。着崩さないと本気は出せない。つまりは奴はまだ本気を出すに値しない…と言うことだ。一口に俺たちの火炎という名前は炎を操る以外にも使い方がある。火と呼ばれるもの、光と呼ばれるもの、電気と呼ばれるもの…全ては火に通ずる。俺は前述した全てを扱い、相手を倒す。
嘴「そりゃ、ごっこなら必要だけどさ。」
…今、目の前の嘴とか言う奴。そいつより、氷川漣の父、氷川戀真の方が数段強い。奴は生命のサイクルを崩して、生まれなかったことに出来る。ほんっと、優しい男だった。
嘴「一々名前を言ってたら対策だってされるしね。」
…そして、逢魔の体に奴さんは蹴りを入れた。衝撃は逢魔の体を一直線に駆け巡る。…やっぱり奴は弱いな。『名は体を表す』、この幻想郷では想像力が全てなんだよ。名前を言って対策されるならその対策まで張り巡らせるのが基本。名を持たない攻撃は強いがそれ以上までいかない。少なくとも俺はそうあるべきであると思っている。…奴のことを否定するわけでは無いがな。
凰牙「…ガキに大人の力ってのを見せてやるか。」
空間を指で焼き切り、俺の相棒を持ってくる。剣は使うが、本気ではいかない。雑魚に本気で行くほどこっちに余裕はないからな。
嘴「お帰り。」
臆さない。剣は奴を切り裂くものだったが、奴はナイフでその刃を受け止めた。所詮はこの程度か。この程度が俺か。…ほんっと、弱くなっちまいやがって…。
凰牙「テメェ、クソガキに時間かけすぎだ。」
嘴「その分、君に集中できる。」
…やっぱり、奴にとってこれは遊戯か。
奴のナイフは俺の右手を裂こうとする。
勿論、簡単に攻略なんてさせない。俺は腕から爆炎を放ち、距離を取った。…至近距離だったが、手応えがない。だが、それだけだ。くだらねえ。2人して黙って睨めっこをしている。
そして、幕は俺の細い炎にて開けられた。奴は弾く。なす術なし…ってわけでもなさそうだ。
俺は火炎弾を奴へと放ち、奴に目眩しをした。
凰牙「…炎操術『炎炎葬槍』!!」
虚空より呼び出した黒い何本もの槍の先が燃え、その槍を嘴のいる辺りにぶっ放した。だが、それは虚空で無に帰した。
凰牙「…くだらねえことしやがって。」
嘴「くだらないのは君でしょ?」
…まだ肩はあったまってねえか。奴に傷一つ…ついていないように見える。だが、あの変な男…確か、プレジデントだとかなんとか言ってたか。逢魔に嘴を消しかけていたが…その逢魔よりもコイツの方が一歩上手だった…というわけだ。俺は背後に火炎の竜を呼び出した。五つの技のうちで最もド派手な技…一番強えわけじゃねえが俺ァ好きだね。
凰牙「大団炎『画竜点睛』ッ!!」
嘴「『BANG世界』ッ!!」
二つのレーザーが突き進んでいく。…ふんっ。やっと殺す気になりやがったか。
グラート「…少し早めのディナータイムといこうか。」
先程の男がレーザーの交わる所へと涼しげな顔で立ち、レーザーを受け止めた。レーザーは何も無かったかのように消え去ったのだった。
凰牙「…チッ。そういう魂胆かよ。」
グラート「良いエネルギーだ。身体能力×5くらいまでには強化されたかな。」
嘴「邪魔。」
嘴はナイフで男へと切り掛かった。が、身体はまるで液体のように姿を変え、ナイフの斬撃を後もたやすく、避けた。嘴は男の背後より斬り伏せたが、男の体はそれも掴みどころのない性質の体で避けた。
グラート「危ない、危ない。ここに来るまでに水を飲んでいなければ、今の一撃で致命傷だったよ。」
男は回し蹴りをかますが、嘴は持ち前の能力でそれを避けた。
グラート「…見抜いているのだろう?」
凰牙「…一応な。そして、テメェの存在も。」
俺は目の前の男…聞こえた名ではグラートと言っていた…その男を睨む。グラートは爽やかな笑みで俺を見た。
グラート「それはそれは。さ・て・と…。ここからは我輩も戦わせてもらおう。あっ。それと、君たちの避ける技、能力は制限させてもらうよ。」
嘴「…そんなこと出来るわけ…。」
グラート「…この空間の主導権は我輩が頂いた。この空間のみ、君たちは技を避けることは叶わない。つまり、御待望の本気の殴り合いが楽しめるというわけだ。」
…なるほど。結界が一部揺らいだのはそういうことか。まぁ、結界が無くても負ける気はないが…。
グラート「…さて、ミスター嘴。君には部下を傷つけられた…。それ相応の処分をさせてもらおうか。」
凰牙「…結界『上弦』」
結界は張れるみたいだな。とりあえず、致命傷でも耐えれるくらいにはなった。能力に頼りすぎた奴がどう戦うか…。見ものだな。
そして、俺たちは奴へと向かった。
今思ったけど嘴ってなんなんだろう…。
生き物なのか、それとも概念なのか…。因みに先生は生きてるようで生きてないように見えて、不死身に見えて、弱点あるような人です。この人もむっちゃくちゃです。
あと、笑さぁん!!見てんなら僕だけでも教えてくださぁい!!
では次回!!ではでは〜!!