ルナサ「…あの人でも敵わないの…?」
戦況は変化せず、2人とも避けては殴り、守っては斬りを繰り返している。防戦一方の状況に見えるが、その状況をあのグラートとかいう男は一気に変えやがった。
爆音とともに大炎が上る。獄炎は嘴へと向かい、確実に飲み込んだ。だが、嘴は愚か、着ているコートも無傷である。
グラート「気づいただろう?」
凰牙「…はっ!!やっぱ、鏡花水月…ってか。そこにあるのに届かない。全く、めんどくせえ…。」
グラート「…いつまでも本気を出さないでいると足元掬われる…。貴様もわかっているはずだろう?」
凰牙「へっ!!お互い様だぜ…。」
グラート、ならびに先生は得体の知れない相手の一挙一動を見つつ、その戦いのたびに最適解を導き出している…。それなのに妙だ。追いつかないわけでも次元が違うというわけでもない。
漣「…でも、貴方なら勝てるだろ?先生…。」
…堪えていないわけじゃない。手応えはある、そして、確実に奴には攻撃のダメージが入っている。これは推測だが、奴はダメージを何処かへずらしている…又は極端に体力が高い。…或いは能力で向上させているのどれか。恐らく、どれも違う。一つ目ならば、グラートとやらがこの空間を奪った意味がない、三つ目もそうだ。二つ目ならば、数段打てば根をあげるはずだ。…いずれにせよ、こいつは気味が悪い。
凰牙「…火球『炎舞』!!」
俺は火球を数百発、用意し、全てを打ち込んだ。一発一発の威力などたかが知れている。
…ふんっ。これでも堪えねえか。
グラートとやらも攻撃の手を緩めない。俺の火を食ってる火力だってのに嘴に外傷は見当たらない。
お互い…ジリ貧か…。
と、嘴のブーツの先がグラートへと当たった。それは攻撃ではなく、ただ当たっただけ。だが、グラートの体は炎上した。グラートもグラートで堪えてないように見えるが、拳圧も相まって、グラートは近づくことが出来ない状態になっていた。
…そういうことか。
前提として俺たちは間違っていたんだ。
空間を奪って禁止にしたのは避けるという動作のみ。能力や技の応用で避けることは禁止されていない。…中途半端にしやがって…。
凰牙「…だが、それで良い。」
…先に言っておこう。俺にはまだ成長の余地がある。『白炎』という技だ。白炎は身体能力向上の技。更に自身の体、攻撃にある特異性を付与する。それは相手の特異性に阻害されないということ。つまり、ズレるや、外れるという一見、無敵に見える能力にも仇なすことが出来る。俺が最強と言われるようになった所以。例え、守りが強固でも攻撃がなってないと無意味だ。グラートが盾であるならば、俺は誰にも折れぬ矛となる。
凰牙「俺もやってやろうじゃねえかッ!!」
————それは揺蕩う水の如く、自身の体に特異の虚像を貼り付ける。
————それは獄炎の如く、自身の心に激情の念を植え付ける。
———————故に己は強固である。故に己は軟弱である。故に己は…最強となる。
———————————白く瞬く竜の鱗、我が身を日輪と同等にせよ。
凰牙「——————『白炎』」
その瞬間、体の奥底から暖かいような感覚を覚える。視界は白く染まり、その白き炎は花びらが散るが如く、どこからか吹く風によって規則的に消えて行った。
ルナサ「……綺麗。」
漣「…あぁ。」
これは漣の輪廻転生之炎とは似て非なるもの…。
ズレようも躱しようのない攻撃ってのを見せてやる。俺は羽織の袖を片方、外し、嘴へと殴りかかった。
嘴「…っ!!」
焦ったのか、はたまた嬉々としてなのか、奴は黒い何かで俺の拳を遮った。だが、確実に入った。あの悪趣味なマスクの息遣いが一瞬、変わった。…が、奴は飛んでいく。最強だと自負している奴ほど弱い者はいない。あるのは勝利か敗北かという事実だけ。
…勝負において、冷静さを欠いた者は……敗者だ。それが例え、愉快で愉快でたまらないとしても。子どものようにそれを遊戯だと言うように楽しくて楽しくてたまらないとしても。だが、そこだけは同感だ。………祭りは楽しまなければ勿体ないッ!!
凰牙「炎操術『烈火之群衆』」
俺は自身のオーラを一部、透明な火炎球として展開し、速度を上げて嘴へと飛ばす。嘴はまたもや、黒い何かで弾くが、火花は着実に奴の体力を削っている。花火か何かと勘違いしてしまいそうになるほど豪華である。
グラート「ただの炎でこれか…。聞きしに勝る実力、化け物とはこのことだなッ!!」
…褒められても嬉しかねえよ。
大食漢たるハイエナは俺の力を得て向上した力で嘴に蹴りを当てる。嘴は流石にただでは済まなかったのか、飛ばされて地面に平伏した。
凰牙「…決める。」
…最高出力…というわけではないが、アイツにはこれで十分だ。
気高く舞う龍を背後に創造する。白き炎龍はただひたすらに瞳を閉じ、主人からの命を待ち、ただ静かに佇むのみ。気高き神獣の鱗は火に輝き、白とも銀とも…また虹とも言える煌びやかな虹彩を放っていた。
凰牙「大団炎……」
その瞬間、龍はゆっくりと開眼し、白色に生える漆黒の眼で対峙する烏を見定めた。
凰牙「……『画竜点睛』!!」
龍の眼に光が灯る。
周りの温度は最大限まで高まり、龍の口からは獄炎の髭が揺らめいている。
凰牙「…荼毘に付せ。」
そして、龍の災害と言うには激しすぎる咆哮は嘴を包み、嘴もろとも空間に巨大な穴を開けるのだった。
まぁ、先生の真骨頂はこんなとこじゃ終わらないけどね。
数々、アニメネタ放り込んでるけど、わかる人いるかな…?
では次回。ではでは。