個人的に結構楽しかったです。
宴会は続く。人が人を呼び、と言っても八割方妖怪が占めているが…。規模はとてつもなく大きくなっていた。祭囃子に大騒ぎ。もはや、何のための宴会かなどわからなくなってしまった。
…まぁ、それが良いんだけどね。やっぱ、こうでないと…。
漣「全く、酒さえ飲めりゃ何でも良いんだな。」
熱「まぁ、妖怪なんてそんなもんだ。」
杯が波紋を描く。この賑やかさは先生のような鏡花水月ではない。…そういや、先生は…どこに…。さっきまで、博麗神社の裏で団子を肴に紅色の杯で酒を飲んでいたはず…。まぁ、またフラッと現れるだろう。表面張力が働き、満タンに入っているはずなのに杯から溢れない酒を喉に流す。…そういえば、熱君はどうやってきたのだろうか。もとい、どうやって帰るんだ?
漣「まぁそれはいいとして、どうやって帰るんだよ。」
熱「…ん?そうだな…。」
…紫にでも頼むか?出来なくはないが、交わった世界の境界線ごと渡れるのか?それに交わりすらも断つことが…。
熱「…良し。探偵、嘴を探してくれ。」
…はっ?
漣「…本気で言ってんのか?」
冗談にしろ、本気にしろ、やりたくないね。仕事を放棄したい…。でも、彼のことだ。のらりくらりと避けられる。
漣「そういや、嘴の野郎はどうなったんだ?」
熱「寝っ転がってるか、暇つぶししてるかだな。」
漣「…ほんっとわけわかんねえ…。」
…嘴。
その名は顔につけていた面を象徴した自称であった。本名は決して明かさない。どこか、外れた存在。人なのか、それ以外なのか…。男なのか、女なのか…。掴みどころのない…。果たして、嘴とは何なのか。神や悪魔、妖怪や人間にも酷似しないオーラ。…或いは偽造しているのか。
熱「まぁ、今は急いで帰る必要はない。今はだらだら飲むだけだ。」
…そうだね。
この時間を早めるのは無粋だ。最後の一滴まで味わう…。それが礼儀である。
フラン「漣兄様ァ〜!!」
漣「フラ…グォフッ!!」
フランが勢いよく俺に突っ込んできた。
…傷はもちろん、治ってない。
…痛い。
フラン「漣兄様!!お疲れ様っ!!」
ニコッと…あら可愛い。いや、やってることは可愛くないのよ…。痛い痛いって!!あんま、まさぐらないでください!!
…と、一悶着は熱君とこのふらんによって終息した。…骨も治ってないのに、純粋無垢とは恐ろしい…。
ルナサ「漣さーん。一緒にのもっ?」
漣「喜んで。」
…山は青々とし、気温もだんだんと上がり、夏の到来を少しずつ感じさせる。まだ都が栄え、貴族が郷を動かしていた頃、ある1人の書き物にこう書かれていた。『夏は夜が一番いい』と。
彼女の考えなだけではあるが、俺はこれに賛同する。…今は夜ではないが、時間帯など愛するものと飲む酒の前ではどうでも良い。四六時中、酒の味すら忘れても、楽しむことが出来る相手。
ルナサのつぐ酒はこの世の何よりも甘美であり、美味である。
歪「…これ、渡してこいって。」
ルナサ「…短剣?」
…短剣…だと?
熱「お前も戦いたかったんだろ?」
ルナサ「でも…。」
…その渡された短剣は実に美しく装飾が着飾られていた。ルナサが持つには少し異質なようにも思えるが、黒と金を基調とした鞘がルナサと色合いが似ている。まるで彼女が持つ為に作られたかのよう…。
熱「さて…嘴。」
嘴「bonjour。」
…また訳がわからんやつがやってきやがった。敵意がないのはわかるんだが、奴の存在はかなり大きく、騒いでいた会場は静寂へと包まれた。緊張感と威圧感が走った。…ただでさえ、ウチには威勢の良い奴が多い。宴会場が戦場にならなければ良いが…。
嘴「言い残したことはあるのかい?」
熱「ちょっと待て。探偵っ!!」
漣「…なんだ?」
探偵って呼ばれるの、慣れてないから反応が遅れた。…べ、別に緊張してるわけじゃない。
熱「依頼はお終いだ。迷惑かけたな。」
漣「…俺はなにもしてないけどな。」
熱「ふん…。お別れだ。」
相変わらず、無愛想だねぇ…。宴会である程度打ち解けたと思ったんだがなぁ…。だが、多少なりとも仲良くはなれたようで、彼は俺に手を出してくれた。差し出された彼の手は俺の戦いに明け暮れている俺の手よりも華奢で細かったが、とても暖かかった。…なんだ、もう…友達じゃないか。
熱「いつかまた依頼しに来るぜ。嘴を探せってな。」
漣「くくっ。今度こそその依頼を完遂してやるぜ。」
友情…か。初めて彼の笑顔を見たな。ぎこちないけど、良い顔だ。各々のお別れをしていた。良くも悪くも…良い奴らだ。
嘴「お別れは済んだかな?もう行くよ。」
熱「…ああ。」
そして、彼は彼の世界へと帰っていった。…笑えるじゃねえか。下手…だけどな。
漣「さぁ。まだ飲むぞ。」
…今回のことで俺はまだまだ非力であることがわかった。と、同時に成長できることを知った。また会う時は嘴を軽く倒せるくらいにはなっておこう。先生も超えてやらなければ…。何故なら…。
………嫌な予感がまだよぎるからだ。
こういうの苦手でね。伏線…。
では、今回で最終話となります。コラボしてくださった転著笑さん、そして、見てくださった皆様、誠にありがとうございました。私ごとでは本日、6月30日は私のバースデーでございます。この記念すべき日にコラボ編、最終話を投稿できたこと、とても嬉しく思います。
ではみなさま、本編の方もよろしくお願い致します。ここからは時間があり次第、異変編を進めて行こうかと思っていますのでよろしくお願い致します。では次回。ではでは。