※この作品はR-18です。

半人半妖の恋愛奇譚   作:紳爾零士

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本編の方にも手をつけたいんだけどねぇ…。


第肆話『違いと神とそれぞれの世界と』

漣「…もう、朝か。」

 

…昨日は激闘を繰り広げた俺たちだったが、あれからかなり疲れが溜まっていたそうで、今日は珍しく時計の針が文字盤の9を指すような、そんな時間に起きてしまった。ドアを開け、リビングに行くと何やら美味しそうな匂いが鼻を刺激した。

 

陽奈「わぁい!!神お兄ちゃん、高い高いして〜!!」

 

神「よっしゃ。ほら、たかいたか〜い。」

 

ルナサ「ふふ。」

 

…あれ?ルナサが作っているわけではないのか。神君が陽奈を持ち上げてあやしてくれている。陽奈も大きくなったなぁ…。ちょっと前までもうちょっと小さかったぞ…?子供の成長とは恐ろしい…。

 

漣「悪いね。眠っている間、陽奈を任せっきりにしていたようだ…。」

 

神「良いよ。陽奈ちゃん、可愛いな。」

 

背はレミリアより小さく、神君の大きな手が陽奈の小さな体を包み…こっちの方が父親っぽくないか?俺ももうちょっと陽奈に構ってやらんとな…。最近は修行ばかりであまり相手に出来てないから…。

 

シャド「ふわぁぁ…。ンダァ?飯かぁ?」

 

人の気も知らずに寝癖のついたシャドが欠伸をしながら、リビングへ来る。大きく開けた口からは八重歯が見え、翼は収納しているようだ。なんというか…。黙っていればカッコいいのだが…残念だ。そう思っているとキッチンのほうから声が聞こえた。キッチンの方から誰かが歩いてくる音が聞こえ、見えてきたのは、金髪のつり目の女性だった。赤い着物を着ていて、誰が見ても顔が整っているといえよう。

 

シャド「なんだぁ?この女。月夜見じゃねえか。」

 

神「月夜見?」

 

月夜見「よくわかったな。無能妖怪。」

 

シャド「んだとゴルァ!!乳もぎ取るぞッ!!」

 

?「女性に手をあげるとは…最低ですね。」

 

またもキッチンから人影が近づいてくる。…文?いや、違う。確かに顔は絶妙に射命丸文に似ているが、髪は腰まで伸び、すらっとした立ち姿は何処か、咲夜を彷彿とさせる。…この感じ、なかなかの手練れだぞ…。

 

シャド「女性、だと?コイツは技で女に化けてるだけじゃねえか!!」

 

?「ええ。確かに元は男性ですが、今は女性です。月夜見様は、性別があまり決まっていない方ですから。」

 

シャド「チッ!!つうか、テメェ、誰だよッ!!」

 

…おいおい。神君がポカーンとしているぞ?

 

?「私は和泉。天狗一族の長…天魔であり、月の長、月夜見様をお慕いする者です。」

 

シャド「お慕い?つうことは、テメェらはそういう仲だということか。」

 

月夜見「…恐らく、お前たちの考えているような単純な仲ではない…だろうな。…もっと歪な…それでいて、もっと純粋な…。」

 

それだけ言うと、月夜見は神君の近くまでいった。お互いの心音が聞こえる距離。月夜見の姿だけは男女問わず、憧れるような美しい見た目な為、男子諸君は意識せざるを得ないだろう。勿論、神君も挙動不審になってしまっている。男と知っていても意識するなとは普段、一緒にいない彼には無理な話だろう。

 

月夜見「…お前か。魔神族、最後の末裔は。」

 

神「え、えっと…は、はい?」

 

月夜見「…見立て違いか…。」

 

月夜見は長く鋭い爪で神君の胸をトントンっと叩きながら、少し悲しそうな声でそう言った。勿論、先ほどから月夜見の顔に表情の変化は見られない。というか、レミリア(神)とフラン(神)がすごい顔で見ているのだが…。

 

月夜見「…貴様、何処を見ている。」

 

神「へっ?え、えーと…。」

 

月夜見「…別に見ても減るものではないが、己が立場を理解せよ。神にそのような破廉恥なことをすればどうなるか…自覚せよ。」

 

…お前が言うなと俺は声を大にして言いたいが…。男の時から月夜見の服は胸がはだけている為、どうしても色っぽく見えてしまうのだが、女性型となれば話は別だ。はだけた胸元から見えるのは谷間。しかも、月夜見は所謂、大きい方なので、神君の目がそこに行くのは必然…。あ、レミリア(神)に叩かれた。

 

神「イッテェ…。」

 

レミリア(神)「馬鹿…。」

 

神「あ?何怒って…。」

 

レミリア(神)「知らないッ!!」

 

レミリア(神)はそっぽを向いた。

 

シャド「おい、堕神…。テメェのせいだぞ…。」

 

月夜見「…わからぬ。」

 

月夜見はボソリとそう言い、和泉の頭を撫でた。

 

和泉「つ、月夜見様ッ!?」

 

月夜見「…わからぬのだ。何故、愛する者に手をあげ、何故、あげられた方は許してしまうのか。仕返しも出来れば、捨てることも可能のはず。少なくとも月の都ではそうであった…。所謂、男尊女卑の世。ありとあらゆる政権が男性にあり、女性はただ、釜の飯を炊くだけの生き物として、月の都に存在していた。」

 

神「…お前もそうだったのか?」

 

尚も無表情を貫き、和泉の頭を撫で続ける月夜見に神君が少し悲しそうな声でそう聞いた。…そういえば、月の都は古くからある都。男尊女卑の考え方が残っていてもおかしくはない。だが、依姫や豊姫、サグメはどうなる?彼女らも虐げられていたのかと言うと少し違う。それなりの地位につき、それなりの部隊を持っていたはずだ。

 

月夜見「…さぁな。俺には愛がわからない。しかし、傷つける意味もわからない。和泉は確かに強いが、俺からすればただの弱小妖怪。だが、コイツは…気づけば隣にいる。堕ちた者のすぐそばにいる。…もう、地位も名誉もないのに…。」

 

和泉「…関係ありません。」

 

和泉は月夜見を抱きしめ、優しげな声で言った。

 

和泉「…私にとって、月夜見様は月夜見様です。たった一人。私が恋焦がれ、そして、添い続けると決めたお人です。堕ちたとしても関係ありませんし、地位も名誉も要りません。…貴方が私のそばにいてくだされば、それで良いのです…。」

 

月夜見「…和泉。今、俺はどうなっている?笑えているか。それとも…。」

 

和泉「…とても幸せそうな顔をしておりますよ。月夜見様。」

 

月夜見は目から涙を一雫流し、その様子を見て、和泉は柔らかに微笑んだ。

 

月夜見「…そうか。」

 

それだけ言うと月夜見は和泉を強く、抱きしめ返した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

月夜見「…さて。俺がお前達を訪ねた理由だが…。」

 

男の姿に戻った月夜見が神妙な面持ちで話し始める。聞いているのは神君、俺、シャド、和泉、レミリア(神)、フラン(神)、ルナサ、ルーミアである。紫苑や蛮奇は陽奈を遊びに行かせた。何やら、真剣な話だそうだ。

 

月夜見「…お前達は魔界という場所を知っているか?」

 

シャド「あぁ。そこ、出身だしな。」

 

月夜見「ならば、話は早い。…昨日の朝、あそこにあった魔神の秘境の反応が消えた。それも一気に数十体の魔神族が消滅した。」

 

…魔神族は、神君の他にもいたのか。

 

月夜見「…ことの発端は、その数時間前。天界にて、大罪人が脱走したのだ。その名をメシア。戦闘型の天使としては最強に位置し、多彩な魔術を使うことで知られる。かつて、魔神族がまだ栄えていた頃、魔神族を万は超えるほど虐殺した天使でその残忍さ故に、奴は天界の牢獄に閉じ込められていた。」

 

漣「…俺たちが束になって勝てる確率は?」

 

月夜見は奴が俺たちのもとに戦いに来ると言いたいのだろう。狙いは勿論、神君だ。彼は半分、魔神族の血を受け継いでいる。半分とはいえ、奴にとっては魔神族なら見境なく殺すだろう。

 

月夜見「…はっきり言って、0に等しいな。特に永魔神。今回の戦いでは先の戦いのように自我を失う方法での戦いはやめたほうがいいだろう。確実に考える能力がいる。自我を失ったお前では、確実にお荷物になる。」

 

神「はぁ!?何を根拠に…!!」

 

しかし、神君の存在能力や、パワーは相当なものだ。現に彼には魔神王と言う、由緒あるであろう圧倒的な力がある。俺も少し油断したら負けるところだった。しかし、月夜見は今よりも力をつけろと言うように刀を神君に差し出した。その刀はとても真っ白で美しいものだった。

 

月夜見「…コイツを抜いてみろ。」

 

神「…なんだこれ。」

 

月夜見はいいから抜けと言いたげな様子で刀を差し出す。神君は刀に手を伸ばすが…。

 

神「ッ!?」

 

その手は刀の不思議な力で弾き返された。

 

月夜見「…やはりか。永魔神。お前はその刀を抜けるようになるまで、我々と修行をしなければならない。」

 

神「なんでだ?」

 

月夜見「お前をこの世界に呼んだのは他でもない。天使、メシアだからだ。奴を倒さなければお前はここから出ることは不可能だ。しかし永魔神は、神の端くれとはいえど、奴は聖なる力を使う。闇を操るお前やシャドでは、奴に勝つことは難しいだろう。その刀はお前の力を最大限まで生かし、自我を残らせるようにするもの。その刀を抜ければ、お前はさらに強くなれる。氷川漣程にもな。」

 

神君は俺とレミリア(神)達を見た後に決心したかのように言った。

 

神「…やるよ。俺。この刀を使いこなして見せる。」

 

月夜見「…そうか。その刀、明ノ明星は氷川漣の刀との兄弟のようなもの。聖を裂き、闇を生む明ノ明星。闇を裂き、聖を生む宵ノ明星。その二つは世界、またと無い最強の2振り。お前がそれを使いこなせれば、奴らにも勝てるだろう。明日より修行を始める。心しておれ。」

 

神「あぁ!!」

 

神君は刀を掴み、そう言った。刀が弾き返さないようになったのは神君を少なくとも見込みありと判断したからだろう。…そして、神君の修行は始まったのだった…。




では!!次回!!
ではでは〜。
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