シャド「…ん。」
一寸先は闇、闇、闇…。
久しぶり…ではないか。
また、あの男に負けたんだ。
…弱者はやはり、俺の方だったってことか。
紫「…目が覚めたのね。」
シャド「…八雲…紫。」
ここは…スキマの中か?
監獄…ってことか。俺にお似合いじゃねえか。
シャド「俺をこんなとこに閉じ込めて…。ご婦人も粋だねえ…。俺とそーんなことしたいの?」
紫「…あまりふざけたことは言わないでください。殺しますよ。」
シャド「へぇ?アンタ、俺を殺せるようなタマだっけ?」
紫「なめないでください。漣さんのようにいかなくても…。」
シャド「…君に八雲紫と名を与えたのは俺、だろう?」
紫「…。」
シャド「懐かしいなぁ…。もう、数えるのも気だるいくらい昔の話だけど。お前と漣と一緒に幻想郷を作ろうと旅をしてたんだよなぁ…。」
紫「…黙って。」
シャド「あの頃のお前、超小ちゃかったの覚えてるぜ?俺の腰くらいまでしかなくてよ…。」
紫「黙って!!」
シャド「…!?」
…あぁ。また、やっちまったのか。
俺がこいつのこと、どう思ってるかだなんて、こいつに考える余地はねえんだよな。だって、こいつは…。
〜数百年前〜
シャド「…え?」
紫「だーかーらー!!漣お兄さんといるとなんか、お胸がチクチクしてね?これって病気?なんて、病気なの?」
恋を知らない生娘。
まだ、幼く、それでいて、美しい顔立ちを俺に向ける。
この少女は、少し前、多くの人妖に囲まれているのを相棒と助けた。
彼女は、人妖がそれぞれを尊重し、愛し合う理想郷を作るのが夢だと言った。俺はそんな世迷言、あるわけないと思った。
だが、アイツは違った。
『応援するよ。』
…紫と名をつけたのは、その子が名前がないと言ったから。
俺が持っていた鴉の鞘に贈り物として、彼女が紫色の紐をくれたから。
単純だろ?
シャド「…お前は、漣が…。」
————好きなのか?
聞けなかった。
事実を知るのが、怖かった。
俺は、お前が…好きだった。
シャド「…。」
紫「何度…何度なの!!何度、貴方は、命を奪えば気が済むの!!」
泣いていた。
もう、とうに散ったはずの恋心、良心、罪悪感。
俺は悪役を演じたかった。
それによって、彼女を忘れたかった。
だが、今、目の前にいるのは何だ?
何故、俺は初恋の相手を泣かしているんだ?
シャド「…。」
紫「私は!!漣さんが!!漣さんだけが!!好きだったんじゃない!!漣さんとだけ、一緒に幻想郷を作りたかったんじゃない!!あの計画には貴方も入っていたの!!」
…やめろ。やめてくれ。
最後まで、俺の心を黒く染めてくれ。
一筋の希望も持たせるんじゃない。
なんで…。
紫「貴方も!!大好きだった!!私にとって…貴方と漣さんという…二人のお兄さんと作る…この幻想郷が!!夢だったの!!」
シャド「…もういい。」
紫「…。」
シャド「すまなかった。」
紫「…。」
シャド「俺は、お前がただ、好きだった。初めてで…何していいか…わかんなくて…!!だから、お前が月を襲撃するって聞いて…悲しかった…!!止めたかった!!だが、それが俺の能力のせいだって知って!!お前が幸せになるのなら…と!!」
紫「勝手なことを言わないで!!」
シャド「…!?」
…これは、叩かれた?
はは…所詮、俺の恋なんてこんなものか…。
漣の周りには光が集まって、俺の周りには何も集まらない。
闇ばかり…だ。
シャド「…なにを!!」
紫「私がそうして欲しいと!!一度でも言った!?私と漣が!!貴方を少しでも!!怪訝に思った!?」
シャド「…ッ!!」
紫「…私は、たしかに、今でも漣さんが好きです。でも、貴方にも消えて欲しくない!!」
…こんなに大きくなって…。
でも、変わらねえな。
こうやって、漣と俺に抱きついてくるのは…。
ったく、甘えん坊も大概にしろ。
俺の心が虚しくなってくるじゃねえか。
シャド「…ごめん。紫ちゃん。」
紫「もう、居なくならないで…!!側に…私たちのそばにいて…!!シャド!!」
ゆっくり、この時間を堪能したいと思う。
ただ、こいつを寂しくさせた、罰…だな。
シャド
性別:男
能力:『邪悪を操る』程度の能力
世の中の邪な心や、闇を増幅させ、自身に吸収したり、攻撃として操ったりする。周りの負の感情が力を強大なものとする。
容姿:黒い着物に身を包み、腰には邪刀『鴉』が鞘に刺さっている。
真っ黒の短髪に、真っ白な肌をしている。目は黒。
背丈は漣と同じ。
その他:古くからの漣の相棒であり、月の戦争、闇月異変の首謀者。根っからの悪者ではなく、闇月異変も月を闇で隠し、漣が来るのを待っていた。八雲紫に恋をし、彼女が月を攻めるのを見ていられず、武力で止めたのだが、それを皮肉にも氷川漣に止められる。
闇波紋を吸収した彼は鬼神の業火使用時の漣を倒すほどの実力を持つ。