メシア「…来いッ!!」
メシアのその言葉を聞き、師匠はとんでもないスピードで翻弄していく。奴が錫杖を振ろうとすれば、修羅天竺の刃で受け止め、右足で後ろ蹴りをかます。流石は師匠だ。
メシア「ふむ…。中々やるな。」
顎「ここにいる若僧どもに遅れを取るわけにはいかないのでな。天上『霧咲き桜』」
メシアの周りに高密度な霧が発生する。相手の目を撹乱し、師匠は刃を横に倒し、メシアの頬に傷をつけた。だが、決定打にはなっていない。
メシア「ふん。どこを見ている?」
顎「…愚の骨頂だな。所詮、天使と言えどこの程度か。」
シャド「うぉぉぉぉぉッ!!」
なんと。師匠の刃は斬波として飛び、シャドとルーミアを縛り上げていた鎖を切り裂いたのだ。全く持って…見えなかった。シャドのラッシュ攻撃は神君同様、決定打にはなっていない。
メシア「ふん。こんな役立たず、開放してどうなる。」
シャド「テメェの弱点はもう割れてんだよ!!くそ天使ッ!!漆黒『シャドウキャリバー』!!」
顎「天上『砕き雨』」
メシア「ッ!?」
先程まで神君並びにシャドのような闇の攻撃が全く持って効かなかったメシアの体に血が滲んでいた。
メシア「…何故だ…!!弱小妖怪どもめ…!!何故、俺に傷をつけられたのだ…!!」
シャド「簡単なこと!!テメェは、神と俺の攻撃を喰らうときだけ、一瞬だけ姿を消してやがった!!姿を消すってことはな!!匂いも消えるってことなんだよ!!」
顎「確かに貴様らの攻撃は神やシャド達には効果抜群だ。だが、その逆も然り。お前にも闇の攻撃は効果抜群だったというわけだ。」
その刹那、師匠達の足元に錫杖によるなぎ払い攻撃が炸裂する。師匠達は後ろに飛んで逃げ、弾幕と斬破による攻撃を打ち込む。聞いているの斬破のみのようだが、着々とダメージを与えていた。
顎「行くぞ。番犬。」
シャド「おう!!って誰が番犬だッ!!」
間髪入れずにシャドのカラスと師匠の修羅天竺の攻撃がメシアにヒットする。対して先ほどまで攻撃をしていたメシアは錫杖で防御をしてばかり…。その様子が攻撃の激しさを表していた。
ラミア「なぁにやってんのかしら。」
月夜見「よそ見をするなッ!!神滅『天上破獄斬』!!」
血と炎の刃のぶつかり合い。月夜見の体には無数の切り傷が付いているがラミアの体には一太刀も当たっていないのか、余裕がある様子で月夜見の刃をフルンティングで受け止めている。
ラミア「…なんて醜いの?血だらけになって、どうしてなおも立ち上がるの?ふふ。それじゃ、猿と対して変わらないわ。」
顎「漣ッ!!神ッ!!お前達は月夜見の元へ行けっ!!」
シャド「ここは俺たちが食い止めといてやるッ!!早く行って来いッ!!」
神「わかった!!」
漣「死ぬなよ!!」
月夜見の刃と逆の方向から、弾幕が飛んでくる。だが、ラミアはそれを見越していたのか、フルンティングを持っている方向と逆の手から弾幕を出し、相殺する。
ラミア「あらあら。吸血鬼ちゃん達の彼氏さんじゃない。ウチの吸血鬼ちゃん達がお世話になっているわねぇ…。」
神「…お前には関係ないだろう!!」
ラミア「…それがそうでもないのよ。まだ気づかないなんて…察しの悪い子ねぇ…?」
するとラミアは俺たち3人をフルンティングでなぎ払い、ニヤリと笑った。その顔はよく言えば妖艶な…悪く言えば胡散臭い笑顔だった。
ラミア「…私だけ…。そう。私だけはね?貴方の世界の…者なのよ。永魔神。」
漣「神君ッ!!」
ラミアは神君の胸にフルンティングを突き刺そうとする。流石の神君でも、今はハザードモードの時に失った体力がデカい…。誰もがやられると思ったその瞬間…。
——————馬鹿者…。何処を…見ておる…。
神君を庇うようにして守ったのは…数分前に戦っていた…天魔その人だった。
神「朱雀ッ!!」
朱雀は口から血を流し、羽と羽の突き刺さったフルンティングは彼の血をすすり飲んでいた。
朱雀「ぐふ…ッ…!!」
神「お前…なんで…!!」
神君に抱きつくように庇っている朱雀。…何故、彼が自分を守るのか。神君の心の中は疑問やらなんやらでいっぱいだった。
朱雀「…はは…。何故じゃろうなぁ…。」
神「お前…!!血が…!!」
朱雀の体からは止めどなく血が流れ続けていた。
朱雀「…神。お前に一つ…言っておきたいことがある…ッ…!!」
神「喋るな…っ!!まだ、なんとかなるはずだっ!!」
朱雀「聞け…ッ!!」
朱雀は神君の体を強く…強く抱きしめ、そう言った。
朱雀「…お前はまだ若い…ッ…!!若いながらに…ものすごい力だ…!!…だが…その力は強大すぎた…ッ!!決して…飲まれるなッ…!!お前には護りたいものが…ありすぎる…ッ…!!それを全て護ると…言うのなら…!!自分を…しっかり…もつんじゃ…!!白雪を…頼んだぞ…。」
…その言葉を最期に朱雀の体は神君にもたれるようにぐったりと倒れてしまった。もう、息はしていない。心の声も…もう聞こえない。
白雪「…す…ざく?」
冷たくなった想い人を抱きしめ、すすり泣く白雪。なんで死んだの?なんで置いていったの?…彼女の悲痛な心の叫びが頭を刺激する。ラミアは白雪の涙を面白いように不気味に笑っている…。嗚呼、この女は…救いようのない…クズだ。
漣「…シャド。」
シャド「…覚悟、決まったんだな。安心しろ。今回は俺も顎のおっちゃんもガキもいる。」
漣「わかった。…全ての力を解放する。」
ラミア「なに?」
…地面が揺れ、空は裂け、鳥達や生き物達はまるで何かの天変地異にでもあったかのように叫び、逃げる。…実際、彼らにはその通りなのだろう。目を瞑り、深く…深く…深呼吸をする。
漣「…虚無『絶滅の灯火』」
俺の周りを黒い炎が包む。…出来れば、この技は使いたくなかった。
ラミア「な、なんなの?」
漣「…来いよ。吸血鬼。付き合ってやる。30分だけな。」
…幻想神。最早、その名は名ばかりの鬼。輪廻転生之炎が心身ともに落ち着かなければ最大火力を出せないのならば、これは、心身ともに荒々しくならなければ最大火力を出せない。だが、その圧倒的な力故に30分以上使うと自身に大ダメージが入るという諸刃の剣の技だ。
漣「…お前を断罪する。」
ラミアは少し笑い…。
ラミア「威勢だけは良いようね。」
ラミアの目とフルンティングの刃が紅く…そう…紅く光り、俺を見定めるような目で見ていた…。
なんでシャドがいるのと思った人!!
次回、わかるから…。抑えて…抑えて…。