ニンジャ・ストライクス・タイマニン(旧題:灰と翠のデザイア) 作:触手の悪魔
冒頭ちょっとインモラル目のおねショタがあります。
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ザリザリザリザリ……暗い室内に諸処のデータが浮かび上がる。
<Yen3:ミッションを説明します。今回のミッションは逃亡魔族の暗殺・及びデータの奪取です>
ブン。データ群の中央に位置するのはいかにもな悪人面の男の顔は明らかに人ならざる赤色に染まっており頭部からは二本の角が生えている。
そうした特徴から魔界より流れてきた魔族の中でもポピュラーな鬼族の一員であることが明らかであった。
<Yen3:禍抜と呼称されるこの魔族は複数の犯罪組織が関わった魔界物資取引の仲介をしており、1か月前当局による逮捕が試みられましたが警察職員を殺害し逃亡。現在は××市のマンションに潜伏しています>
顔写真だけではなく得られた各種データは豊富かつ質の高い物だ。
流石は厚生省の裏部隊の仕事と言う事か。
<Yen3:禍抜の持つ取引データは我が国の治安衛生改善の一助となります。速やかに対象の排除と取引データの奪取をお願いします>
的を射たミッション内容のまとめから一泊を置いた後、返答が来た。
<lady K:承知いたしました。吉報をお待ちください>
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【ザットレディ・ハズ・ミスティックパワー】
前世紀より東京のベッドタウンとして名高いセンザキ市の夜は深い。
この街では戦争難民やゲートより流入してきた魔族に、貿易港の利権を求める各組織が複雑怪奇な勢力図を築き上げており、いかがわしい活気にあふれた土地であるからかカジノや娼館等の大っぴらにできない施設も多い。
闇の街は今日もぎらついたネオンの輝きに満ち溢れていた。
「んはっはああ……いいですよそのまま来てください……」
センザキ市にある娼館の一室。この娼館は男女の境も、魔族と人間の境もなく綺麗どころを集めており、また行き届いたサービスの質から高級店として名を上げている。
そんな大店にふさわしい雰囲気の一室は間接照明に照らされ、合法とはいえ情欲を煽る香がたかれている。
「ん……ふふ、お上手ですね」
は、はいっ! ありがとうございますっ和沙、さん……!」
「おっおおっ……」
ベッドの上で絡み合うのは幾人かの少年娼夫達と一人の女性だ。
娼夫である少年達の中には尖った耳や獣耳が生えた者も混じっており外見と同じ年頃とは限らないのだろうが、その顔立ちは中性的でありまだあどけなさすらある。
他方で少年たちの中心にいる和沙と呼ばれた客の女性もまた若々しい容姿だ。
まだ20台に届くか否かという和沙の顔立ちはまるで一流の画家が描いた深窓の令嬢そのものといった風に、見る者に優し気な印象を与える極めて美しいつくりをしており、大きな丸い紫色の瞳がはまる目は柳めいて優美に下がっている。
そんな優美な顔立ちにこれまた似合う乳白色の髪は、癖がある物の手入れのなされた髪特有の艶があり見る者をときめかせるであろう。
更に傷一つない滑らかな肌もまた彼女の気品のある美貌を一層美しく見せていた。
「ぬあ……ううおおお……」
「ひっえうっ! 何人もから責められて……ああ!」
そんな深窓の令嬢と言う形容の似合う容姿をした和沙が年若い少年娼夫達と絡み合う。騎乗位の状態で少年娼夫の一人の物を受け入れ水音を立て、背後から御椀型の胸を揉みしだかれながら別の少年娼夫の突き出した物をエロティックに舐る。
優し気な目を陶然とさせて複数の少年娼夫から与えられる快楽を貪る和沙の姿は限りなくインモラルであり、背徳的な魅力にあふれていた。
それこそ非現実的な程に。
「はっああ……出ます、和沙さんの中に、出ます!」
「んん……いいですよ、私は孕みませんから……たっぷり出してくださいね❤」
「ううっあああああああ!!」
絹めいた艶ややかな声に刺激されたのか和沙に挿入していた少年娼夫が精を吐き出す。
溢れかえる白い白濁液を中で味わい可憐ですらある少年のそれを受け入れる快楽に和沙は絶頂した。
弓なりにのけぞると彼女のバストも扇情的に揺れる。
「あっあああああ❤気持ちいいいぃぃぃ❤」
中に迸る射精が終わると続いて他の少年達も和沙に射精した。
和沙の白い肌に別の白が足されていくが彼女はまだうっとりとしている。
否、まだ足りないのかベッドに寝転がりながら少年娼夫年達を呼び込むように両腕を広げた。
生唾を飲み込んだ少年娼夫達は甘味にたかる蟲のように和沙の身体を覆っていく。
一見荒々しい行為を、胸をときめかせた和沙は好き好んで、それこそ聖女のように少年娼夫達を受け入れていく。
期待に満ちた甘いと息を彼女はふぅ、と吐く。
それからも和沙は少年娼夫達とまぐわい続けた。
ある時は自らが娼婦であるかのように奉仕し媚びた目で彼らの性感を刺激し自らを貪らせた。
またある時は主導権を握り彼らを翻弄し、たっぷりと彼らの青さの残る精液の味を体で味わった。
「はああああああ❤すごいのぉっ三人から責め立てられていくの凄いいいっ!」
和沙は長く濃く、背徳の快楽を貪り続けた。
たっぷりと身に刷り込むように。
……3時間後! シャワーで身を清めた和沙は上品なカーディガンを羽織り娼館の前に立っていた。
上客である彼女に深く頭を下げるのは少年娼夫の中でも彼女のお気に入りであるノクトと言う名前の少年だ。
彼にはコウモリめいた耳が生えているが和沙も道行く人もまったく気にしない。
ここはそういう土地なのだ。
「ノクト=サンも、他の皆さんもとても可愛らしかったですよ。また来る時には……お願いしますね」
「は、はい! ありがとうございます和沙さんっ!」
ノクトもこの稼業についてニュービーとは言えない程の経験を積んでいるが、それでもひときわ美しい和沙を前にすると緊張してしまう。
無論和沙のように金払いも良く容姿も美しい客はこの娼館にも多く来る(ノクトたちのような少年娼夫を抱けるからだ)しかしそれでも和沙の独特の雰囲気にどうしても緊張してしまうのだ。
(ああ畜生……俺は何で和沙さんにはこんななんだ? 根性なしのニボシ野郎め)
現に今前かがみになった和沙の服から見える胸の谷間にどぎまぎしている。そのことに気づいたのか和沙はクスリと笑った。ノクトの顔がますます赤くなる。
「それでは私はこれにて。ノクト=サンもお元気で」
「ハ、ハイ! ……あっそっちの方向は危ないですよ」
「あら? そうなんですか?」
和沙が向かおうとした方角は駅への近道があるが最近武装難民が湧き出ており実際治安が悪い。
金崎銃兵衛という最近有名なギャングスタが警戒チームを組織して対応しているとはいえ、女性の和沙を一人で行かせたくは決してならない場所であった。
「まぁ武装難民のたまり場になっているのですねそれは穏やかならず……でも平気ですよ。私は、強いですから」
朗らかに笑った和沙は戯れる様にシュッシュッとシャドーボクシングを行う。
が、ノクトはその様を笑わない。カズサが本当に心配であるのもそうだが……拳の軌跡が危険な程に正確で力強く、或いは何かこう……不吉ですらあったからだ。
心配ありませんよ。そう言って手を振り帰っていく和沙を見送りながらノクトは急に不安感に襲われた。
当然ながらノクトは和沙の事について何も知らない。
ただ物腰や話方から育ちが良く、金に不自由していないくらいだ。
それと男女問わず中性的な顔立ちの年少者を好んでいる事も、か。
無知であるがゆえにノクトには和沙が先程得体のしれない存在に思えた。
まるで……この世の存在ではないかのように。
「心配性すぎんぞ。モヤシめ」
他方で上機嫌に歩いていた和沙は足を止めた。
人通りの少ない通りを歩む彼女の前には4人の銃器を携えた顔を覆面で覆った男達。
先程ノクトの言っていたこの地区に集った武装難民たちだ。
和沙に銃を突きつける男達はすでに股間をいきりたたせている。
が、和沙の顔にあるのは恐怖ではなく不快感だ。
折角の楽しみの帰りに邪魔されてむっとした表情を浮かべた彼女は、一呼吸はくと好き勝手な欲望の言葉を並べている先頭の難民が訝しんだ次の瞬間にはワン・インチ距離に近づいている。
彼女はそのまま顔色一つ変えずに優美な仕草で武装難民の顔を撫でた。
「明日は仕事だというのに、余計な事を……折角ノクト=サン達と楽しんできたのに」
「アバッ」
先頭の武装難民の脛骨が断裂回転葬され崩れ落ちる。
そのまま兄弟なのだろうか背格好のよく似た武装難民二人に歩み寄ると軽く拳を繰り出した。
鈍い音が響くと同時に二人纏めて吹き飛び壁にぶつかってピクリとも動かない。
「アイエエエエエッ!? 対魔忍ナンデ!?」
最後の武装難民が失禁しながら逃げ出すがそうは問屋が卸さない。
ストッストッという音がした時にはすでに最後の武装難民は鋼鉄の星が頸椎に突き刺さり崩れ落ちている。
「やれやれ……私は対魔忍ではないというのに、著しい事実誤認ですね」
和沙は面倒くさそうに首を振ると死体の間を通り抜ける。その優美な顔は4人を無慈悲に殺した陰等欠片もなかった。
「あのような露出の激しい格好で動き回るような事は、私は出来ませんよ……」
とあるマンションの一室。逃亡中の人間のセーフハウスとは思えない程の贅が尽くされたその部屋では奴隷娼婦が震えていた。
まだ年若いエルフの少女は裏ルートで買われてきたばかりなのだろう。
体に傷はなかったがその分これから起こる事への恐怖エルフにしては珍しい黒く長い髪が揺れる程にガタガタと震えている。
「何やってんだ。お前もシャワーを浴びろよ」
「あうっ」
入ってきたのはバスローブ姿の鬼族、
2メートルを優に超える戦闘生命体である鬼の顔は凶悪そのものであり、魔界医療の結果動物的な逆棘が埋め込まれた逸物もまた凶悪にいきり立っている。
「ゴ、ゴメンナサイ! 無理ですっそれだけはいやぁ……」
エルフの少女は覚えたばかりの土下座で許しを請う。だがそれが逆に禍抜の逆鱗に触れた!
「ザッケンナコラーッ! 今更何ぬかすぅっ!」
「ンアーッ!」
ヒドイ! 禍抜は逆手に握ったチャカ・ガンでエルフの少女を殴り始めた!
無論手加減はしているのだろうが2度、3度と繰り返される内に彼女は出血を増やしていく。
繰り返される陰惨な暴力に少女の心は折れ、震えながら再度土下座し今度は全面的に従う事を伝えた。
「私が、私が悪かったんです! ゴメンナサイ! ゴメンナサイっ」
「おっごめんな確かラナちゃんだっけ? 委託して悪かったな。じゃあ分かったら……ケツを向けろよ」
「ハイ、ワカリマシタ……」
嗚咽しながら全裸のラナは服を脱ぎ捨て尻を差し出した。
ああありがちではあるが何という惨い光景であろうか。
ブッダよ、寝ているのですか!
自らのなした悪事の腹いせに、罪のない少女をいたぶり犯す。
それは非道極まりない行いであるがこの場に止める者は誰もいない。
このまま奴隷のラナは尊厳を蹂躙されてしまうのか。
だがその時!
「イヤーッ!」
「グワーッ!? 何奴っ!?」
CRAAAAASH! 突如窓が砕かれ決断的にエントリーしてきた影が禍抜にトビゲリを叩き込んだ!
アンブッシュによりブザマに床を転がる禍抜に対して黒紫色の装束に身を包んだ影は華麗に着地、その動作と連動してジュー・ジツを構えて立ちふさがる!
「ドーモ禍抜=サン、クレッセントです。あなたにはここで果てていただきますが……理由はお分かりですね?」
「何だァテメエ……どこの鉄砲玉だオラーッ!?」
ニンジャ頭巾と面頬に隠されクレッセントの表情は読めない。
が、イクサの場には相応しくない雅な物腰がむしろ禍抜を苛つかせた。
「それはまぁ……企業秘密という事で♪」
「舐めるなクソアマッ中古のラブドール以下の扱いをしてやるよっ!!」
「アイエエエエ!」
突発的な事態にラナが悲鳴を上げる中禍抜は何処からともなく取り出した鞘から大矛を引き抜いた。
大矛は鬼族の使うポピュラーな武器で在り奴のように暴力を生業としている鬼族は皆熟達の腕前を誇っていると言われている。
「ぬううううううんっ!」
事実禍抜の振り回す大矛は一見力任せに見えるがその実精妙に制御された斬撃であり、幾ら広い部屋での事とは言えども回避するのは困難だ。
にもかかわらずクレッセントは巧みに軌道を読み取り足さばきを活かして狙いをそらしていく。
狙うのは振り下ろし後の隙。
クレッセントは集中し禍抜の顔から筋肉の躍動、飛び散る汗までもを観察する。元から赤い禍抜の顔には激怒の赤が足されており、頭に血が上っているのは確か。
二度の中段突きからの逆袈裟への薙ぎ払いそこから踏み込んで────―好機だ。
「死に晒せえええええええええっ!!」
「……フッ!」
振り下ろしという単純かつ高速で強力、そして隙が大きな攻撃を待っていた。
CRAAAAASH! 大質量の大矛が床材を砕くと共に禍抜は両断されたクレッセントを幻視し喜悦に目を見開くが、その時には彼女はすでに禍抜の横に並び立って左手を前に、右腕を軽く引いて構えている。彼女が狙うはただ一点、体重のかかった左脚だ!
「なっ……!」
「イヤーッ!」
鋭いカラテシャウトと共にクレッセントの拳が放たれた!
バキン。筋肉の塊のような禍抜の左脚は内側から鈍い音を響かせて折れ曲がる!
「あっがああああ!!? アバーッ!?」
禍抜は苦悶の声を上げ崩れ落ちる。
なまじ体格が重い分二本の足には膨大な負担がかかる一点を的確に突かれた形だ。
しかしそれでも、身長160センチ大の細身のクレッセントが、2メートルを超す筋骨隆々の禍抜を殴り倒したのは驚嘆に値する!
(バカな! こんなひょろい女が俺を、気に入らねえ奴はマッポにから魔族までブッ殺してきた俺を! ナンデ!? ナン……)
「イヤーッ!」
「アバーッ!」
ゴキン。禍抜が己の内の想いを口に出すよりも早くクレッセントの掌底が的確に頸を撃ち抜き、太い首をへし折る。
急所を破壊された禍抜はそのまま白目を剥いて倒れしばし痙攣していたがすぐに動かなくなった。
「────―しいて言うならば、カラテですね」
然り、カラテ、それもニンジャのカラテである!
読者の皆様の察しの通りクレッセントは古来より蘇った半神の魂が憑依融合した恐るべき戦士、ニンジャの一人である!
彼女がニンジャ以前より練達していた体術と、自らの肉体及びその内側に流れるカラテの操作と変性を追求したニンジャクラン、ゴダ・ニンジャクラン系列のソウルを組み合わせた結果このような相手を内側から惨たらしく損壊する恐るべき奥義が生まれたのだ! コワイ!
「アイエエエ……」
「もし、そこのアナタ」
「アイエッ!?」
ザンシンを決めたクレッセントはそう独り言ちた。
禍抜を殺したクレッセントへの恐怖から再び震え上がるが対するクレッセントの口調はたった今恐ろしい鬼族を殺したとは思えない程に穏やかだ。
「この方が大事にしていたカバンとかファイルとか……そう言った物がありましたら、在処を教えていただきたいのですが」
ラナはすぐに禍抜が何度も確認していた書類かばんを指さすとクレッセントは中身を改めて確認した。
満足げにうなづく彼女の顔を見るとどうやらそれがクレッセントの探し求めていた書類のようだ。
「ああ、この書類ですね。助かりましたありがとうございます」
「えっアッハイど、どういたしまして……あ、あの」
そのまま出ていこうとするクレッセントを思わずラナは呼び止めてしまった。
メンポ越しにクレッセントが息をのむ気配が伝わるがラナも自分の行いに困惑した。
しかしそれでも思い付きでもなんとかしてクレッセントに対して伝えたいことがあった。
「私を──────―」
「ッ!? イヤーッ!」
クレッセントがニンジャ第六感の伝えた胸騒ぎのままに3連バック転で窓から距離をとった直後!
CABOOOOM! 突如に投げ込まれた対人用手榴弾が爆発した!
微細な破片がクレッセントを傷つけるがかすり傷と言っていい微細な物だ。
だが破片をもろに浴びたラナは。
「イヤーッ! ……ドーモ、マフべトです」
先程のクレッセントのセカンド・ボイルドティー(訳注:二番煎じ)めいて砕かれた窓からエントリーするのは都市迷彩装束に強化プラスチックのメンポを付けた彼女と同じニンジャだ。
華奢な死体をまたぎ進むニンジャのメンポ越しに酷薄な目が見えた。
「……ドーモクレッセントです」
「やれやれ同業者がすでに来ているとはな。横入は俺としても趣味ではないが、……与えられた仕事を粛々とこなす身だ。納得するしかあるまい」
「もはや言葉は不要、と言うわけですか」
対峙するクレッセントの目にはもはやわずかばかりの憐憫と逡巡はない。
カラテを構えた両者は、ジリジリと細かな足の動きだけで近づいていく。
タツジンめいた二者の緊迫したアトモスフィアは見る者を失禁させる恐るべきキリングオーラとなり…………文字通りオーラが触れ合う程の距離に達した時、両者は同時に動いた!
「「イヤーッ!」」
バッ! バッ! バッ! 両者は至近距離でコンパクトなカラテを撃ちあう!
無数に宙を飛び交う一撃が飛び散る汗をも切り刻む速度で交わされ、攻撃と防御が激しく入れ替わる!
掌が掌を受け流し、拳を腕が弾く! その様はまさにカラテを構成物質とした小宇宙だ!
「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」
至近距離で繰り出される両者のカラテは性質を異としている。マフべトのカラテは軍隊格闘術をベースにしたコンパクトに相手の急所を狙う無慈悲かつ機械的な物である。
対するクレッセントのカラテは緩慢なようでいて素早く、豪快なようで繊細な何処か……矛盾を秘めたカラテだ。
マフべトもクレッセントも自身のカラテを培ってきたその生について語る事はない。
ただ、ただ繰り広げられるのは高度なカラテの応酬。
余分な要素をそぎ落とした殺し合いのみがこの場にあった!
「イヤーッ!」「ンアーッ!」「イヤーッ!」「グワーッ!」
マフべトのショート・ツキがクレッセントの脇腹に突き刺さり、返礼と言わんばかりにクレッセントの掌底がマフベトの顎をかちあげる!
だがそこでマフべトは踏みとどまり、イアイめいた蛇尾の打ちおろしめいた肘打ちをクレッセントに左肩に叩き込んだ!
「ンアーッ!」
「隙あり! イヤーッ!」
強烈な衝撃に左肩の骨にひびを入れられたクレッセントは体勢を崩し、其処へマフべトの渾身のカラテを込めた弾頭チョップがクレッセントに襲い掛かる!
何たるギロチンめいた無慈悲な処刑のカラテか!
しかし、マフべトのチョップがクレッセントの首をボトルネック・カットする事はなかった。
それよりも速く彼女は……崩れ落ちるままに地に伏せていたのだ。
必殺の一撃を外したマフべトの目が見開かれるのとほぼ同時。
禍抜によって砕かれた床材を更に踏み砕きながらクレッセントは低く踏み込んだ。
ズゴム。クレッセントとほとんど体を重ねるようにしたマフべトの身体から到底人の身体から響いたとは思えない重低音が響き、ワイヤーアクションめいて吹き飛ぶ!
「アババーッ!!?」
吹き飛んだマフべトは壁に叩きつけられ、崩れ落ちた。
ピクピクと瀕死の虫めいて痙攣する体からは大量の血が噴き出し、やや異なる色どりを口からの吐血が加えていく。
如何にニンジャとは言えど最早死を前にしたことは明らかだ。
「ゴボ……アバッ……ニンジャの死因の四割はとどめのタイミングの間違いと言うが、自分の身で実感する羽目になるとはな」
「ええ。私も実例を見たのは初めてです」
「……ハイクは、しないぞ」
負傷の影を見せずに歩み寄るクレッセントにマフべトは静かに答えた。うなづいたクレッセントは如何なる思いを秘めてか、慎重に、そして恭しくなでるようにしてマフべトの首を撫でる様に折った。
「サヨナラ!」
マフべトは爆発四散した。爆発四散の灰燼を背にしたクレッセントはラナの目を閉じるとカバンを手にしめやかにマンションを退出していく。
後にはもう、短い間に連続して起きた死のもたらす、名状しがたいワビサビのみが残った。
・エピローグ
「あっんんん……うう……んー」
何処か空しい虚無的な夢、エルフの少女が出てきたような気がする夢から…………青臭い 匂いを感じながら和沙は覚醒した。
青臭い匂いの原因は明白である。眠っていた和沙の胸にさしこまれたノクトの逸物が精を吐き出したのだ。
寝てる間にそうして欲しいと言ったのは和沙なのにもかかわらずノクトは狼狽えている。
顔だけでなくそういう所が可愛いから和沙はノクトが好きなのだ。
「ん……うふふ……ノクト=サンったらいけない人」
「えっアッこれは、その……」
「冗談ですよ。えいっ」
「アイエッ!?」
鈴を転がした様な笑い声をあげる和沙はつい、とノクトの手を引き自分と同じ目線になるようにベッドへ転がした。
何事かと身構えるノクトに対して和沙はちょっとした悪戯心から質問してみる。
ノクトが自身に対して単なる上客のみでなく、その存在に疑問を抱いているのを感じていたのだ。
「ねえノクト=サンはあなた私がどういう人生を歩んできたかとかって、気になります?」
「えっ、えーと……」
「少し答えにくかったかな? なら……私のどんな所に魅力を感じますか?」
「それはその……なんというかその……神秘的な所に魅力を……」
ノクトは顔を赤らめながらもそう答えた。彼が和沙に抱いているのは正体が分からない事への不安もあるが
、何より彼女の自分には計り知れない所がある点に、確かに魅力を感じ強く男として惹きつけられている事は確かだ。
ノクトの答えに和沙は満足気にうなづいた。やはりノクトはいい。
こちらの思い通りになりすぎる事無く彼個人の感覚に根差したいい答えを返してくれる。
「うん。えらいえらい」
「アッ和沙さん!?」
ノクトの頭を撫でながら和沙は笑った。無垢なようでいて蠱惑的な笑みを。
「あなたにとって私は何者か分からない、何をしているのかも誰と付き合いがあるかもわからない女。でも、そんな
「アッハイ。そうだと思います」
バネ仕掛けめいて上下に拘束で頷くノクトを見てやはり和沙は、クレッセントは微笑んだ。
彼女の艶やかな夜は始まったばかりだ。
◎登場人物
・クレッセント/和沙
経歴不明の女性ニンジャ。
年少者を性愛の対象としている点や、高等な教育を受けている点等を除き過去の多くが不明。
どうやら一部の省庁と深いつながりを持ち、依頼を受けているらしい。
憑依したニンジャソウルはゴダ・ニンジャクランのグレーターソウル。
彼女の修めていた格闘術と相まって相手を内部より惨たらしく破壊する恐るべき魔技となっている。
・マフべト
傭兵ニンジャ。
なんらかのクランのゲニンソウルの憑依者でジツは持たないがワン・インチ距離のカラテに長けている。
一応3分で考えた裏設定だと魔族の人間界進出によりマッポー化したイスラエルの出身で、カラテは軍人時代に修めたグラウ・マガ(イスラエル流軍隊格闘術)がベースになっている。
・ノクト
サキュバスの血が混じった少年娼夫。
和沙の事は恐ろしく思う事もあるけど、かなり好き。