※この作品はR-18です。

ゆずソフト短編   作:つまさき立ち

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RIDDLE JOKERより、二条院羽月の短編です。
風邪を引いた暁くんの看病をしてくれる羽月のお話になります。
本編のネタバレは特にありません。
(6/12ワンドロお題)


健気で、律儀で、献身的(RIDDLE JOKER 二条院羽月)

「はい、暁、あーんっ」

「あーん……むぐむぐ……うん、美味いよ羽月」

「ふふっ、暁に褒めてもらえるのは、何回目でも嬉しいものだな」

 

 休日の昼下がり。

 いつもなら二人でデートにでも繰り出して、イチャつきながらお昼ご飯を楽しむような時間帯だ。

 だが、ここは俺の部屋で。

 加えて俺は、ベッドの上で起き上がるのが精一杯の状態だった。

 

「ゴホッ……すまない羽月……折角の休日なのに」

「気にしないでくれ、どんな形であれ、ワタシは暁と一緒に居られて嬉しいんだ」

「そう言ってくれるのは嬉しいが……」

「それに、夫がこんな状態なんだ、妻として、看病するのは当然の事じゃないか」

「……羽月、まだ妻じゃない、まだ」

「ま、まぁ細かい事は置いておいてだなっ」

 

 そう言って、羽月は手作りのおかゆを再び俺の前に差し出してくる。

 

「とにかく、風邪を治すにはしっかり栄養を取らねば、と言う訳ではい、暁っ」

「……」

「ん? どうしたんだ暁? もしかして食欲が出ないのか?」

「いや……嬉しくはあるんだが、ちょっと、と言うかかなり恥ずかしくて」

 

 彼女が看病しに来てくれて、お手製のおかゆを食べさせてくれる。

 男子としては非常に嬉しいシチュエーションではあるのだが……やはりこう、気恥ずかしさと言うか、照れくささが凄い。

 

「おかゆを食べる位なら一人でもなんとかなるし、そこまでしてくれなくても大丈夫だぞ?」

「何を言ってるんだ暁、こぼして火傷でもしたら大変だろう」

 

 そう言って、むすっとしながら俺の方を見つめる羽月。

 

「それに……だな、こう、彼氏の看病と言うのには、少し憧れがあってな……」

「憧れ?」

「あぁ……何せ彼氏の看病は、全乙女が夢見る☆ラブシーンシチュエーションにもランクインしてる位、女の子の憧れなんだぞっ」

 

 ……あのランキング、ちょっと趣向が偏ってないか?

 それにこれ、ラブシーンに数えていいものなのか?

 ……いや、考えるのはよそう、より一層謎が深まるだけだ。

 

「つまりは遠慮は不要だ、と言う訳で暁、はい、あーん」

「……あーん」

 

 まぁ、何はともあれ

 羽月のこんなに嬉しそうな笑顔を前にしたら、俺には断れるはずもなかった。

 

 

 

「と言うか羽月、気持ちはとても嬉しいが、あまり長居はしない方がいいんじゃないか?」

「えっ?」

 

 おかゆを食べ終え、片付けをしてくれている羽月に向かってそう言うと、羽月の顔がみるみるうちに不安に染め上げられていった。

 

「暁……もしかして、ワタシは迷惑だっただろうか……?」

「いやそんな事は全くない、嬉しい、羽月が居てくれるのはすごく嬉しいんだ」

「じゃあ、どうして……?」

「大切な羽月に、風邪を移すような事があっちゃならないからな」

 

 おかゆだけではない。

 朝の早い時間から俺の部屋に来てくれた羽月は、薬や水枕の準備、濡れタオルの交換、果ては洗濯まで、献身的に世話を焼いてくれている。

 ただ、ずっと俺につきっきりで看病してくれてる分、羽月に風邪を移してしまわないかが不安だった。

 

「なんだそんな事か……それなら、ワタシは全然気にしないぞ」

「そう言われても……俺が気にすると言うか」

「それに……だ」

「ん?」

「もし……もし暁の風邪が私に移って、ワタシが寝込んだとしても……」

 

 少し気恥ずかしそうに、羽月の顔に赤みが増していく。

 

「……暁が私の事を看病してくれるなら、それはそれで……いいかなって」

「……」

 

 ……それは卑怯だろう。

 そんな事を言われたら、俺は何も言えなくなってしまう。

 

「まぁ、確かにそうなったら、一日中でも側にいるつもりだが……」

「暁だってそう思うだろう? ワタシも同じ気持ちなんだ、だから暁の傍に居させてくれ」

 

 そう言って、羽月は笑みを浮かべて。

 

「さぁ、食事も取ったし薬も飲んだんだ、少し眠って体を休めるといい」

「あぁ……そうしたいのは山々ではあるんだが」

「?」

「ちょっと頭痛が酷くて、眠るのは難しそうだな……」

「む、そうなのか? それじゃあ……」

 

 そう言うと、羽月の手が俺の頭に触れる。

 そのまま、俺の頭を羽月の手が優しく撫でてくれた。

 

「これで……どうだ?」

「あ、あぁ……」

 

 母親にあやされる子供のようで、気恥ずかしさはあった。

 だけどそれ以上に、羽月の温もりと優しさが感じられて、温かい何かに包まれているような、そんな気分になっていた。

 

「ありがとう羽月、これで少し眠れそうだ……」

「それならよかった……夜には晩御飯を準備しておくから、ゆっくり休んでいるんだぞ」

「……あぁ、楽しみに……してる」

 

 羽月の優しさに包まれながら、まどろみの中に俺の意識は落ちていく。

 

 (……もしもの時の為にも、おかゆの作り方、勉強しておかないとな)

 

 薄れゆく意識の中でそんな事を考えながら、俺は眠りへと落ちていった。




ここまで読んで頂き、ありがとうございました。
羽月はリドジョヒロインの中でも乙女っぷりが可愛くて、ついついシナリオ何週も振り返っちゃいます。
あとOPムービーの、傘でこう一閃!ってした後にニコッてなる所がすごく好きです。
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