昨年は仕事や体調に悩まされた事もあり、あんまり書けておらず申し訳ありませんでした。
12月も本来ならもう1本短編を書きたかったのですが…相変わらず仕事環境が酷い事に加えて、最近体調もちょっと芳しくなく…
そんな状況ではありますが、今年も少しずつ頑張っていこうと思いますので、気が向いた時にでも読んで頂けたら凄く嬉しいです。
と言う訳で、12月のツイッター更新分になります。
喫茶ステラと死神の蝶:栞那
RIDDLE JOKER:あやせ、七海、羽月、千咲
のーぶる☆わーくす:真琴
喫茶ステラと死神の蝶
明月栞那:『想いが叶う夜』
月明りが静かに照らす夜道を、二人並んでゆっくりと歩いて行く。
二人で一つの買い物袋を一緒に持ちながら、他愛のない話をして歩く帰り道。まるで戦場と見紛う程に忙しかった昼間が嘘だったみたいに、穏やかな時間が流れていく。
「リクエストは嬉しいですが……でもいいんですか? 折角のクリスマスなのに」
「そうじゃない。折角のクリスマスだからこそ、だからな」
やや申し訳なさそうな栞那の声に対し、俺はきっぱりと、力強い言葉で応える。
確かに、クリスマスらしさとは少し離れているかもしれない、別に豪華な料理と言う訳でもないし、寧ろ質素な位だ。だけど、それでも。
「俺にとっては、こういう時だからこそ食べたいんだ、何というか――」
きっとそれは、
そしてきっと……これから先も、ずっとそうあり続けるのだろうと、そう信じている。
「……幸せの象徴、だから」
横に並ぶ栞那の体が一瞬だけ固まる、手に力が込められたのか、ビニール袋の持ち手がクシャッと音を立てて潰れる。
その中で揺れる、卵と、玉ねぎに、鶏肉。
「……はいっ!」
ケチャップみたいに顔を真っ赤に染めながら、満面の笑みで栞那が答えてくれる。
目尻に浮かんだ小さな涙の意味は、あえて聞かずに、そのまま優しく拭った。
RIDDLE JOKER
三司あやせ:『王子様にはなれないけれど』
「んっ……んん〜〜っ……」
窓から差し込む冬の日差しの中、まどろみを纏って目覚める不機嫌なお姫様。
気怠そうな雰囲気を隠そうともせず、その意識はどうやらまだ半分以上は夢の中らしい。……とは言え昨夜はお互い夜中まで起きていた訳だし、普段のあやせの寝起きを考えれば、これ位はまだ穏便な目覚めと言えるだろうか。
「コーヒーを入れてあるが……飲むか?」
右手に持ったカップを傾け、眠気覚ましのコーヒーを飲み干す。
そして差し出した左手のカップに、あやせはふるふると首を横に振って答えた。
「……んっ」
代わりに目を閉じ、唇を預けるような姿勢で静かに何かを待っているあやせ。
コーヒーの代わりに求められたおねだりに、俺は素直に応じる事にした。
「んっ……」
触れ合った唇に一瞬で熱が広がる。苦かった口内がふわりと、甘い香りで満たされる。
もう何度も、それこそ昨夜だって寝るのを忘れて何度も交わしたキスなのに、一向に飽きる事は無い。冬の寒さも苦にならない程に、体の奥がどんどん熱くなる。
「ふぅ……お目覚めですか? お姫様」
からかう様に問いかけた俺を見つめる恨めしそうで、だけどほんの少し潤んだ瞳。
答えを聞く前に再び重なった唇を合図に、昨夜静めた筈の熱が再び燃え上がっていく。
RIDDLE JOKER
二条院羽月:『ロクブテ』
降り続ける雪に包まれた世界は、まるで全ての音が消えてしまったかの様に静かで。
そんな静寂の中に、ワタシは一人佇んでいる。いつの間にか過ぎ去ってしまった秋はもはや見る影も無く、気付けばコートもマフラーも手放せない季節になっていた。
「スー……ハァー……」
真っ白な息を、赤く染まった指先へと静かに纏わせる。ほんの一瞬だけ感じる暖かみ。
それは目の前の雪の様に儚く溶けて消えて、手のひらに残るのは寂しさだけ。
……手袋をしてこなかった事を後悔しそうになって、しかしすぐに思い直す。
なぜならそう決めたのは他でもない、ワタシ自身の我儘によってなのだから。
「すまない羽月、待たせた」
「気にしないでくれ、ワタシも今来た所だ」
そうして息を切らしてやってきた暁とワタシで交わす、待ち合わせには定番の言葉。
きっと急いで来てくれだのだろう。乱れたコートとマフラーを整えながら吐く息はワタシよりも白く、露わになっている指先はワタシよりも真っ赤に染まっていた。
……もしかしたら、ワタシの我儘はワタシだけの我儘ではなかったのかもしれない。頼りがいのある大きな手のひらを見てそう思う。そしてそれが、無性に嬉しかった。
「行こう、暁」
傘を持たないお互いの手が絡み合う。氷の様に冷たい筈なのに、確かに感じる暖かみ。
きっとお互いが待ちわびていた、素肌で感じたかった温もりをぎゅっと握り締めた。
RIDDLE JOKER
壬生千咲:『運命共同体』
真夜中の境内は、初日の出を待ちわびながら寒さに手をこすり合わせ、それでも活気に溢れた人々の波が押したり引いたりを繰り返していた。
そんな人混みを間を千咲を守りながら縫う様に進んで行く。目的地へ到着すると、そこにもやはり様々な人々が居て、皆が神様の気まぐれに一喜一憂している。
「初詣と言えば、やっぱりこれは外せませんよねっ」
今年1年の運勢を、新年最初の日にいきなり神様から突き付けられる、非情なご機嫌伺い。……こう書くと何だか物々しいが、要するにただのおみくじだ。
「せーのっ!」
二人で一緒におみくじを引き、それぞれの結果を同時に見せあう。神様はあまり信じるタチではないが、こういう時は起こるべくして起こると言う事なのか、はたまた日ごろの行いと言うものは、キッチリと見られているでも言う事なのだろうか。
大きく書かれて嫌でも目に飛び込んで来る、千咲の大吉と、俺の大凶の文字。
「……あー、その、何だ」
所詮時の運……と言っても実際にこうなると、微妙に言葉に詰まってしまう。でも。
「それじゃあ……二人分を合わせて、私達は丁度中吉って事ですね」
「……神様がいるとして、その勘定を認めてくれるだろうか」
「いいじゃないですか、先輩と私はこれからもずっと一緒なんですから♪」
自然体の笑顔が余りに眩し過ぎて、薄暗がりの中、思わず目を細めてしまった。
のーぶる☆わーくす
三条真琴:『三条真琴ルートその1』
「それなら……三条さん、如何ですか?」
そう言って差し出した手を、三条さんの瞳が捉える。ぱちくりと見開かれた綺麗な目はそのまま右を見て、左を見て、焦点の合わないまま再び俺の手を見つめて……
「……へっ? あ、あたし!?」
そうやら自分が指名される事は心底想定外だったらしい。高みの見物を決め込もうとしていた三条さんは顔を真っ赤にして、あたふたばたばたと視線を泳がせる。
普段の彼女からは想像もできない慌てっぷり、ちょっと楽しくなってくるな……
「この場に、他の三条さんはいないと思いますけど?」
「いやいやいや、ありえないっしょ!? これだけ可愛い子が選り取りみどりの中で、よりにもよってどうしてあたし!?」
「よりにもって……三条さんも、その中の一人ですよね?」
「っ! それ、は……えと、えっと……」
そうして、耳まで赤く染めて口ごもる彼女の前にもう一度、できる限り優しく手を差し出す。女性に恥をかかせてはいけないのは、パーティーに限らず男のマナー。そして。
「誘われたら断らないのが、女性のマナー、ですよね?」
その一言に観念したらしい、宙を泳いでいた三条さんの手が、おずおずと重ねられる。
「お……お願い、しま、す……」
その手の柔らかさと女の子らしさに、今度はこっちがドキリとさせられる番だった。
RIDDLE JOKER
在原七海、壬生千咲:『光も声も届かない場所』
※ちょっとえっち
「……はい♪ おあずけだよ?」
七海が指を離すと、あれだけねっとりと絡み付いていた快感が嘘だったみたいに一瞬で消え去ってしまう。俺の体に残ったのは絶頂の寸前で止められ、行き場を失った欲望だけ。押さえつけようもない流動は、これ以上ない程に固くなった愚息の中で暴れ回る。
「いひひ……切羽詰まった先輩の顔、かーわいー♪」
同時に壬生さんも、散々に弄んでいた胸の先端から、その周辺へと標的を切り替える。固くなったそこには決して触れない様に周りをなぞるしなやかな指先は、昂るには物足りず、しかし決して体は休まらない、もどかしさだけが募る刺激を送り続けて来る。
身動きも声も封じられた俺にできる事は、そんな責めにただただ嬲られる事だけ。
「まだ出させてあげないよ? これでようやく、たった7回目なんだから」
「そうですよ先輩? まだまだこれからなんですから」
真夜中の海の底みたいに、黒よりも真っ黒に染まった瞳。
それは例えるなら、玩具を弄ぶ純粋で、残酷な子供の目。せめてもの抵抗として抗議の視線をその瞳に送るが、それは二人の嗜虐心を盛り上げるスパイスにしかならない。
触れるか触れないかの距離で挑発してくる指先の動き、その気配にすら痛みと快感を感じてしまう。それ程に限界なのが分かっているからこそ、二人は楽しそうに微笑む。
「まだまだ夜は長いんですから……もっともーっと、虐めてあげますからね♪」
「二人でたっぷり時間をかけて、ゆーっくりと壊したげるからね……お兄ちゃん……♪」
ここまで読んで頂き、ありがとうございました。
ツイッター更新分は今後一月に5~6本書いて、来月頭にまとめて更新する形で定期的に載せて行こうと思います。
平行して短編やら色々も書いていくつもりですが…体が言う事を聞いてくれるといいんですけども。
今年が皆様にとって、素晴らしい一年でありますように。