大変遅くなりました。
第12話を投稿します。
今回はあの魔王少女が登場します。
果たしてどうなるのか、ご覧下さい。
明けて翌週末の金曜日。ここ駒王学園では授業参観が行われる。
高校生にもなって授業参観?と疑問に思うだろうが、この行事は正確には「公開授業」といい、高等部の父兄が見に来るのは勿論、中等部の生徒や近隣の中学生も授業や校内の見学が出来るようになっている。
父兄の方々には授業参観として。中等部の生徒や近隣の中学生にとっては進路を決める為の参考になるようにと数年前から行われている行事だ。
見学者が来るという事で皆何処か浮き足立っており、何だか落ち着かない空気が学園中に蔓延していた。
ダンディーな紳士と年若い美青年。二人の共通点である紅髪から誰の親御さんかは容易に想像出来る。更には銀髪の美人メイドまでいるのだから注目されるのは当然だろう。ていうか、本当に来たんだな、あの
チラリとリアスの方を見たが、彼女は頑なに教室の後ろを見ようともせず、ただ前だけを見つめていた。
授業が終わるとリアスはダッシュで教室を出て行った。よっぽどあの人達に捕まりたくなかったんだろう。騎士の祐美すら凌ぐ素晴らしいスピードだった。
とは言え、あの人達を放っておくのもマズイ気がする。俺は朱乃と視線を交わすと、魔王様達への対応を彼女に任せ、リアスの後を追った。
「リアス」
屋上でリアスを見つけた。声をかけたが、彼女はしゃがみ込んで顔を膝に埋めたまま応えてくれなかった。俺はため息をひとつ吐いてリアスの反応を待った。
「あああ~~~!もういや~~~っ!!」
やがて、リアスが立ち上がり叫んだ。
「いっつもああなのよ! 授業参観とかはみんな揃って見に来て、ビデオや写真を撮ったり、所構わず声をかけたりして、周りや私の迷惑なんかちっとも考えてくれないんだから!!」
ああ、確かに酷かった。あれじゃあリアスがこうなるのも無理はない。魔王様はリアスが当てられると「頑張れリーアたん!」などと声をかけたり、正解すると周りの父兄に「うちの妹なんですよ。凄いでしょう!」なんて自慢気に語っていた。
本来なら先生が注意すべきなんだが、魔王様方の高貴なオーラに圧倒されて、何も言えなかったみたいだ。
「大体何でお父様もお兄様も忙しい筈なのに来ちゃうのよ!? グレイフィアもグレイフィアよ! 何で止めてくれないのよ! いっつもいっつも私に恥ずかしい思いをさせて、何なのよ、もうーーーーっ!!」
ひとしきり叫ぶと、リアスはゼイゼイと肩で息をしていた。しばらく待ってある程度吐き出せたと思って声をかける。
「少しは気が晴れたか?」
「・・・・そうね。少しだけスッキリしたわ」
リアスはようやくこっちを向いてくれた。
「まあ、色々と抱えてる人達だからな。多少破目を外す位は許してやれよ」
「・・・・後で恥ずかしい思いをするのは私なんだけど?」
「今回で最後なんだ。そう思えば我慢も出来るだろ?
・・・・それに、そうやって見に来る家族がいるだけいいじゃないか」
「! あっ・・・・・・」
うちの眷属の中で家族が健在なのはリアスとイッセーだけだ。祐美とゼノヴィア、アーシアは教会の施設育ちだし、朱乃と小猫ちゃんは家族と生き別れになっているらしい。そんな俺達からしたら、家族が来てくれるだけマシだろう。
「ご、ごめんなさい、私・・・・・・」
「ああ、いや、そういうつもりで言ったんじゃないんだ。ただ、こういうのも後からいい思い出になるんじゃないかと思ってな」
後悔するように顔を青ざめたリアスに、俺は慌てて弁明する。それを訊いてリアスは俺の肩にそっと頭を乗せた。
「・・・・でもあれは酷すぎると思うんだけど?」
「それは同意する。まあ、人間諦めが肝心って事だ」
「(クスッ) 私達悪魔よ?」
そう言ってリアスはようやく笑顔を見せてくれた。
「メンタリティは悪魔も人間もあまり変わらないんじゃないか?」
「それもそうね・・・・ねえ一輝。後で傷心の私を慰めてくれる?」
「君が望むならいくらでも」
俺はリアスの紅髪をそっと撫でる。リアスは嬉しそうに微笑んだ。
「よし!・・・・さあ、戻りましょう!」
元気を取り戻したリアスはそのまま歩き出した。その足取りは軽い。その様子に苦笑しつつ、俺はリアスの後に続いた。
「あらイッセー? 皆もどうしたの?」
「あ、部長! それに一輝先輩も」
屋上から校舎に戻ると三階でイッセー、アーシア、祐美、ゼノヴィアの四人が階段を降りようとしていた。
「いや、何でも魔法少女が撮影会をしてるって聞いたんで、ちょっと見に行こうかと思って」
俺とリアスは思わず顔を見合わせて首を傾げた。魔法少女?
パシャパシャとカメラのシャッターを切る音が二階の廊下に響く。大勢の男子生徒が集まって撮影しているが、何を撮ってるのかは人垣が邪魔でさっぱり分からない。
「オラオラ、こんな所で撮影会なんて許可してねーぞ! 解散しろ解散!!」
俺達のいる方の反対側から高圧的な男の声がする。聞き覚えのあるこの声は生徒会の匙だ。その声に集まっていた生徒達は渋々といった感じで去って行った。
人混みがバラけてようやく撮影対象が見えたが成る程、確かに魔法少女だ。そこにはアニメに出て来るようなスカートの短い可愛らしい衣装を着た美少女が、ステッキを片手に笑顔を振り撒いていた。
青みがかった黒髪をツインテールにしたかなりの美少女が、明るい笑顔で色々なポーズを取っている。しぶとく撮影を続けるカメコの注文に応え、際どいポーズを取っているのでパンチラが・・・・
案の定イッセーが鼻の下を伸ばしてアーシアに尻をつねられていた。
「オラ!解散つったろうが!公開授業の日に騒ぎなんか起こすんじゃねーよ!!」
未だ未練がましく残っている生徒も匙にドつかれて、ようやく去って行った。残ったのは俺達と匙、そして謎の魔法少女だけだった。
「あんたもそんな格好で校内をうろつかないで下さいよ。もしかして父兄の人? だとしてもその格好は困りますよ」
「えー、だってこれが私の正装だもん☆」
匙が注意するも、魔法少女は可愛くポージングして聞く耳を持たない。匙はギリッと歯噛みしたが、リアスがいる事に気付くと頭を下げる。
「っと、これはリアス先輩。ちょうど今、先輩のご父兄方を会長と一緒に案内してた所なんですよ」
そう言って頭を上げた匙が訝しげな顔をしていた。それもその筈、リアスは魔法少女を見て驚きのあまり固まっていたのだ。
ああ、そういえばこの
「どうしました匙。問題は簡潔に解決しなさいといつも言って───!!」
その時、廊下の向こうから紅髪の男性二人と銀髪のメイドを案内しつつ、朱乃と黒髪ロングの眼鏡美少女を引き連れ現れたソーナ会長が、魔法少女を見て言葉を失った。
「ソーナちゃん、見つけた☆」
魔法少女は会長を見ると、嬉しそうに抱きついた。その状況に目を白黒している面々を尻目にサーゼクス様が魔法少女に声をかけた。
「やあセラフォルー。君も来ていたのか」
「あ、サーゼクスちゃん。ヤッホー☆」
親しげに挨拶を交わす二人を見てイッセーがポツリと呟く。
「・・・・セラフォルー? 何処かで聞いたような・・・・?」
「レヴィアタン様よ」
「・・・・・・?」
「あの方はセラフォルー・レヴィアタン様。現四大魔王の一人にして、ソーナの実の姉よ」
「「「ええええええーーーーーっっ!?」」」
イッセー、アーシア、匙の三人が驚愕の声を上げた。祐美やゼノヴィアも目を丸くして驚く中、俺は前世の記憶を思い出してため息を吐いた。
セラフォルー・レヴィアタン様は四大魔王の紅一点。かつてはグレイフィアさんとその座を競ったという最強の女性悪魔だ。確かこのナリとノリで冥界の外交を一手に取り仕切っている筈。大丈夫か冥界?
レヴィアタン様は極めて軽いノリでリアスやサーゼクス様と挨拶を交わしているが、それを見る皆は唖然としている。
レヴィアタン様は会長が授業参観がある事を知らせなかった事にショックを受けたと言ってたが、こんな身内がいると俺達に知られた会長の方が余程ショックだろう。現に会長の顔は羞恥で真っ赤に染まっていた。
妹が顔を真っ赤にしている理由に気付かぬままレヴィアタン様は楽しそうに会長に話しかけている。だが、二人の気持ちは平行線のまま全く噛み合っていない。会長はもう泣き出す寸前だ。
「もう私、耐えられません!」
とうとう羞恥心が限界に達したのか、会長がこの場から逃げ出した。
「待って、ソーナちゃん! お姉ちゃんを置いて何処へ行くの!?」
咄嗟にレヴィアタン様が会長を追って走り出す。
「付いて来ないで下さい!」
「いやあぁぁん! 待ってえ、ソーナちゃあああん!!」
走り去るシトリー姉妹を俺達は半ば呆然として見送った。
「うむ。シトリー姉妹は仲が良くて結構だな」
「来ないでって言ってるじゃないですか!!」
「いやぁぁん! お姉ちゃんを見捨てないで、ソーナたあぁぁん!!」
「『たん』付けで呼ぶなああああっ!!」
校舎を一周して来たのか、シトリー姉妹が追いかけっこをしながら戻って来た。
ソーナ会長は日頃のクールさの欠片もなく、涙を浮かべながら顔を真っ赤にして逃げている。レヴィアタン様は遊んでるつもりなのか、何処か楽しそうに会長を追いかけていた。
二人の、特に会長の顔を見て、その顔がさっきまでのリアスと重なると、俺の中に沸々と怒りが沸き上がって来た。
ソーナ会長が駆け抜け、レヴィアタン様が俺の前を通過しようとした時、
「───いい加減に、しろ!!」
パアアァァンッ!!
俺はレヴィアタン様のお尻を引っ叩いた。
「ひゃんっ!?」
可愛いらしい悲鳴を上げて、レヴィアタン様は飛び上がった。
「ふえっ!? 何、何!?」
驚いて周りをキョロキョロ見渡すレヴィアタン様が俺に視線を向けた。
「───君がやったの?」
俺は彼女の真正面に一瞬で移動すると、
「いい加減にして下さい、レヴィアタン様!!」
鼻がくっつく位の至近距離で怒鳴った。レヴィアタン様は驚きのあまり目を真ん丸にしている。
「貴女はここに会長の姉として授業参観に来たんじゃないんですか!? ならそれに相応しい格好というものがあるでしょう!?」
「で、でもこれが私の正装だし・・・・」
「ほう・・・・それが妹が生徒会長を務める学園に、父兄として来訪するのに相応しい格好だと本気で言ってるんですか?」
「うっ!? そ、それは・・・・」
レヴィアタン様は俺の冷たい視線に耐えきれず目を反らした。
「外交を担当する貴女ならTPOを弁えた服装位出来る筈です。・・・・大方久し振りに会う妹に構って欲しくて、わざとそんな格好で来たんでしょう?」
俺がそう言うと、肩がビクッと反応した。やっぱりな。俺は大きくため息を吐く。
「いい加減にしないと、本っっ当に会長から見捨てられますよ?」
「ふええっ!? そんなのヤダ!!」
涙目で訴えるレヴィアタン様。
「だったら! どうすればいいか分かりますよね?」
「・・・・・・着替えて来ます」
そう言ってトボトボと歩き出したレヴィアタン様。俺は周りを見回して相応しそうな人物に声をかける。
「朱乃、レヴィアタン様の服装を見繕ってくれないか?」
「え? あ、はい!」
朱乃がレヴィアタン様に付き添おうとしたが、
「朱乃、私が行くわ」
黒髪ロングの眼鏡美少女が自ら志願してくれた。彼女は
「なら頼むよ新羅さん」
「ええ。・・・・ありがとう、不破君」
新羅さんはレヴィアタン様を連れてここから去って行った。後は彼女に任せよう。
ふと気付くと皆の視線が俺に集中していた。
「な、何だ?」
「一輝・・・・貴方仮にも魔王様のお尻叩くなんて・・・・」
「あ~~、やっぱり不味かった?」
「当たり前──「不味いどころか大助かりです!!」!!?」
流石に不味かったのか、リアスからお小言を食らおうとした所でソーナ会長が横から割り込んで来た。
「不破君! ありがとう、本当にありがとう!!」
ソーナ会長は本当に感謝しているのか、涙を浮かべながら俺の両手をギュッと握り締める。彼女の細い手は少し冷んやりとして、滑らかな感触がした。
「ああ、いや、俺もお姉さんのお尻を叩いちゃって・・・・」
「その位全然OKです! いえ、寧ろじゃんじゃんやっちゃって下さい!!」
大丈夫か会長? キャラが壊れかけてないか?
「あの人は私が何を言ってもちっとも聞いてくれないし、魔王の地位があるから誰も注意してくれなくて、だから私本当に困ってて・・・・本当に、本当にありがとう不破君!!」
そう言って感極まったのか、会長は俺に抱き着いて来た。
「───ちょっ!?」
いきなりの事にどうすればいいか分からず、助けを求めようと周りを見ると、驚く者、怒る者、面白がる者と様々だった。
会長は抱きしめたら折れてしまいそうな位華奢で、リアス達とは違う爽やかなミントのような香りがした。
「ちょっとソーナ!いつまで一輝に抱き着いてるのよ!!」
そしてリアスの雷が落ちた。それで俺に抱き着いてる事をようやく意識したらしい会長が慌てて離れた行った。
「ひゃああっ!? ご、ごめんなさい不破君!」
会長の顔はこれ以上ない程に真っ赤に染まり、恥ずかしそうな様子が普段のクールさとのギャップでとても可愛かった。
「ご、ごめんね。私なんかが抱きついても気持ち良くなかったでしょう?・・・・私はリアスと違って色々小さいから、あはは」
自分を卑下するような事を言って、諦観の笑いを洩らす会長。彼女が自分の魅力に気付いてないのが勿体なく思えて、俺は会長の耳元でそっと囁いた。
「確かにボリュームは少なかったけど、会長の肌はスベスベしてて、いい匂いがして気持ち良かったですよ?」
「!!!?」
そう囁いた途端、会長は耳まで真っ赤になると、俺から飛び退いて、ワナワナと震えた。
「にゃ、にゃにを!?・・・スベスベ、いい匂いって・・・・・・きゅう」
意味不明の言葉を羅列すると、会長は目を回して倒れてしまった。床に倒れる寸前で受け止めたが、完全に意識を失っていた。
「か、会長!?」
気を失ったソーナ会長を匙が俺から引ったくると、俺を一睨みして一目散に駆け出した。
「会長しっかりして下さい!今
会長を抱えて走り去る匙を見送りつつ、俺は祐美に声をかけた。
「祐美、保健室まで行ってくれないか? 万一先生がいなかった場合、あいつに介抱させる訳にはいかないしな」
「分かりました。ちょっと行って来ます」
祐美は二つ返事で引き受けて、匙の後を追った。
「一輝・・・・ソーナは男に免疫がないんだから」
「不味かったか?」
リアスは黙って頷いた。それは悪い事をした。悪魔に転生してから女の子、それも美少女と親しく接する機会が多くなって、つい距離感を誤ってしまった。そんな時、
「あれ? ソーナちゃんは?」
その声に振り返ると、着替えを終えたレヴィアタン様がいた。
「おお・・・・・・!」
思わず感嘆の声が洩れた。
何処で調達したのか膝丈スカートの紺色の女性用スーツを身に纏い、ツインテールだった髪を解いてストレートのロングヘアになったレヴィアタン様はメリハリの利いたスタイルといい、うっすら化粧をしている事といい、先程と違い随分と大人っぽく見える。
これなら先程の魔法少女と同一人物とは誰も思わないだろう。それ程までに今のレヴィアタン様は美しかった。
「どう・・・・かな?」
「素晴らしい、とてもお綺麗ですよレヴィアタン様。これなら会長のお姉さんと言われて、誰もが納得しますよ」
「そう?・・・・えへへ、良かった」
俺の素直な賞賛にはにかむレヴィアタン様はあまりにも可愛らしくて、思わずドキリとしてしまった。それを誤魔化すように新羅さんに親指を立てる。
「新羅さん、グッジョブだ」
新羅さんも親指を立てて返礼する。
「ねえ君・・・・名前を教えてくれる?」
レヴィアタン様に上目使いで訊ねられ、俺はその場に跪いて自己紹介と先程の無礼の謝罪をする。
「申し遅れました。リアス・グレモリーが眷属、『
「不破一輝?・・・・そうか、君が噂の【ガイバー】君なんだ」
「・・・・自分の事をご存知とは光栄です。レヴィアタン様、先程の無礼は自分が勝手にした事、私自身は如何様にも罰を受けます。ですから我が主と眷属はご容赦願えませんか?」
俺のした事は妹であるソーナ会長が許したとしても、本来無礼討ちされても文句の言えない行為だ。だからこそ罰を受けるなら俺だけにして、リアス達に類が及ばないように願い出た。
「いいのよ、顔を上げて一輝君。今はプライベートだし私も調子に乗ってたから。だから君は勿論、君の主や眷属を咎める事はしません。・・・・それにね、あんな風に諫めてくれたのは君が初めてでね、だからちょっとだけ嬉しかったの♪」
うっすらと頬を赤らめ、はにかむレヴィアタン様は殺人的に可愛かった。ともあれお咎めなしと言われてホッとした。
「ありがとうございます、レヴィアタン様」
俺が改めて礼を言うと、レヴィアタン様は何だか不満そうに頬を膨らませた。
「むう、その呼ばれ方は好きじゃないなあ・・・・ねえ、かずくんはサーゼクスちゃんの事を何て呼んでるの?」
いきなり愛称で呼ばれてしまった。そんな呼ばれ方をしたのは小さい頃、両親や友達に呼ばれて以来だ。だが屈託のない笑顔で訊いてくるレヴィアタン様を見ると文句も言えなくなる。
「えっと、普通に魔王様か、サーゼクス様と呼んでますが?」
俺が正直に答えると、
「いかんよ一輝君! 私の事は義兄さん、または兄貴と呼んでくれたまえ!」
「嫌です」
思わず即答してしまった。危うく殺されかけたし、今日のバカ兄振りを見てしまうと、正直親しく付き合いたいとは思わない。
「じゃ、じゃあ、私の事は『セラお姉ちゃん』って呼んで?」
「いや、それは流石に・・・・」
何がじゃあなのか分からんが、ハードルが高すぎて承諾出来ん。流石に断ろうとしたのだが、
「・・・・駄目?」
「・・・・・・『セラ姉さん』なら」
「うん!決定ね!!」
は、しまった。セラフォルー様の上目使いからの「駄目?」攻撃に思わず承諾してしまった。恐るべし魔王レヴィアタン!
「一輝・・・・・・貴方ねえ・・・・」
リアスや皆の視線が冷たい気がするが、だって仕方がないじゃないか! こういう時、昔の偉人の言葉を思い出す。曰く、「可愛いは正義」と。俺が半ば開き直っていると、
キンコンカンコーン!
次の授業の開始を告げるチャイムが鳴った。
「いけね! 次の授業が始まっちまう!?」
イッセーが魔王様方に一礼して、慌てて駆け出すと、他の二年生達もイッセーに倣い一礼し、自分達のフロアである三階へ駆け上がって行った。
俺もこれ幸いと教室に向けて駆け出した。
「あ、一輝待ちなさい!?」
リアスの静止する声も無視して俺は走る。
「かずく~~ん、頑張ってね~~☆」
魔王レヴィアタン様───いや、セラ姉さんの声援を受け、俺は教室へと急いだ。
「やれやれ、皆行ってしまったな・・・・」
次の授業の開始を告げるチャイムが鳴って、生徒達は皆教室へ戻ってしまった。今ここにいるのは
「さてセラフォルー。さっきのはどういうつもりだい?」
「うん? 何が?」
私が訊ねると、彼女は可愛らしく小首を傾げる。生憎一輝君じゃないんだから、付き合いの長い私には通用しないよ。
「勿論先程の『お姉ちゃん』発言だよ」
一輝君は我が妹リアスの眷属で非公式ながらも婚約者だ。そんな彼に自分を姉呼ばわりさせようなんて、まるで一輝君がリアスよりソーナ君を選んだかのように端からは見えるじゃないか。
「ん~~、別に深い意味はないよ? ただ、ソーナちゃんみたいな可愛い妹もいいけど、かずくんみたいなちょっと生意気だけど優しい弟もいいなって、ね☆」
セラフォルーはウィンクしながらこちらを向いた。
「それにおじ様が認めてないんだからリアスちゃんとの婚約はあくまで仮なんでしょ? だったらその隙にソーナちゃんがかずくんと仲良くなっても問題ないんじゃないかな?・・・・幸い本人にも脈がありそうだし──ね、ソーナちゃん!」
そこには保健室から戻ったのか、ソーナ君と匙君、そして祐美君の姿があった。
「わ、私が不破君と・・・・?」
自分で言って想像したのか、ソーナ君はたちまち顔を真っ赤に染める。
匙君は主の姉であるセラフォルーの言葉に愕然とし、祐美君は不満そうに頬を膨らませていた。
「まあ、男女の仲なんていつ、どう転ぶか分からないもんだしね。・・・・まあ、場合によっては私が相手でもいいんだけど、ね❤」
その何処まで本気か分からないセラフォルーの仕種に私は思わず額に手を当てた。ああ、何だかややこしい事になりそうだ。
父上は朗らかに笑いながらうっすらと汗をかいている。大体父上がさっさとリアスと一輝君の婚約を認めないからセラフォルーに付け込まれるんです。母上に怒られても私は知りませんよ!?
こうなればリアスが一輝君をきちんと繋ぎ止めてくれる事を祈るばかりだ。頼むぞリーアたん!
読んで頂きありがとうございます。
ご覧の通りシトリー姉妹にフラグが立ちました。これからどうなるのかご期待下さい。
次回はいよいよあのヒロインとの初エッチの予定、でしたが、誠に申し訳ありませんが、本作は暫く休載させて頂きます。
理由は自分が現在入院中であり、右腕が動かせず思うように執筆出来ない為です。
これからリハビリして、身体を治して帰って来ますので、気長にお待ち下さい。