※この作品はR-18です。

ハイスクールD×G~駒王町の規格外品   作:Tokaz

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感想並びに誤字報告ありがとうございます。
今回はエロなしですが、ご覧下さい。


第15話 赤と白の激突

 

「はあっ!」

 

 祐美()の聖魔剣が防御障壁ごと敵魔術師を斬り裂く。かなりの数の敵を斬ったというのに数が減った気がしない。

 周りでは小猫ちゃんの拳やゼノヴィアのデュランダル、朱乃さんの雷で大勢の魔術師が倒されているのにおかしいと思っていたら、後方に設置された複数の魔方陣から未だに魔術師が次々と出現していた。

 

「・・・・・キリがないわね」

 

 私達の後方には傷つき倒れた三大勢力の護衛達がアーシアさんの治療を受けている。イッセー君が護衛に付いているとは言え、この数ではいつ突破されてもおかしくない。

 私達より先に飛び出した白龍皇は敵を倒しつつ校舎裏に回ったから姿が見えないけど、私達より強い彼女がやられるとは到底思えない。とにかくあの魔方陣を潰さなければこちらが消耗するだけだし何とかしたいんだけど、数が多すぎて手が回らない。

 そんな風に焦りを募らせていた時、

 

 ガシャアァァンッ!!

 

 窓ガラスが割れる音がして、何かが会議室から飛び出した。それは翼を広げると空中で体勢を整える。

 

「ガハッ! おのれ、下等な転生悪魔風情が!!」

 

 その褐色の肌の女悪魔は血を吐きながら忌々しげに呟く。そして、その後を追って先輩が窓から飛び出した。

 

「ガイバーーーーーー!!」

 

 先輩が光に包まれ、紅の鬼神──ガイバーと化す。

 ガイバーに殖装した先輩は宙に浮かびながら、

 

「かかって来いよ、カテレア・レヴィアタン」

 

 挑発するように手招きする。女悪魔──カテレアは地上(ここ)からでも分かる程怒り狂い、先輩に襲いかかった。

 

「はああっ!!」

 

「おおおっ!!」

 

 上空で轟音が轟き、閃光が瞬く。

 ガイバーに殖装した先輩とカテレアの激突。その余波は周囲に伝播し、戦場全体が震える。 

 旧魔王の血族だけあってカテレアが漲らせるオーラは上級、いや最上級悪魔に匹敵する。でも、そのカテレアと一輝先輩は互角以上に渡り合っていた。

 カテレアの放つ魔力弾は先輩の作り出した【ブラックホール】に吸い込まれ届かないが、先輩の【プレッシャーカノン】もまた、カテレアの魔力障壁に阻まれる。けど先輩は【プレッシャーカノン】を連射、防御に掛かりきりになったカテレアの一瞬の隙を突いて【グラビティキック】を放った。流星のようなその一撃はカテレアの魔力障壁を破壊した。

 一輝先輩は不破圓明流の達人で接近戦のスペシャリスト。カテレアも接近戦では歯が立たず、先輩の拳を受け、身体をくの字に折れ曲がった。そこに左右同時の回し蹴り【双龍脚】が放たれカテレアを吹き飛ばした。

 

「ぐはぁっ! おのれ! 下等な転生悪魔風情が真の魔王たる私によくも!!」

 

 吹き飛ばされながら、何とか空中で体勢を立て直したカテレアは屈辱に顔を醜く歪ませると、懐から小瓶を取り出した。

 

「・・・・くっ、こうなればやむを得ん。私の真の力、貴様の身で確かめるがいいわ!!」

 

 カテレアはそう言うと、小瓶から飛び出した黒くて細長いモノ──あれは蛇?を飲み込んだ。

 

 次の瞬間、突然膨れ上がった力の波動が戦場全体を揺るがした。

 

「これは!?」

 

 凄まじい力の波動に立っていられず、敵も味方関係なく吹き飛ばされる。私は聖魔剣を地面に突き立て辛うじて耐えると、空を見上げ驚愕した。

 カテレアの全身から膨れ上がった魔力が炎のように迸り、不気味なオーラを形成していく。そのオーラは以前見たサーゼクス様と同じ位強大だった。

 

(こ、これが魔王の血族の力!?)

 

 一輝先輩は【プレッシャーカノン】を撃つけど、迸るオーラに遮られ、まるで通用しない。

 

「ククク、この私を侮辱したのだ。楽に死ねると思うな!!」

 

 魔王クラスにまでパワーアップしたカテレア・レヴィアタンが再び一輝先輩に襲い掛かった。

 

 

 

 

 

(成る程、これがオーフィスの“蛇”か)

 

 オーフィスの“蛇”を飲み、パワーアップしたカテレアが先程より強く鋭い攻撃を放つ。だが一輝()はその攻撃を見切り、軽々とかわしていく。 

 この先『禍の団(カオス・ブリゲート)』と戦うに当たり“蛇”によるパワーアップがどれ程のものなのか確かめる為、わざとカテレアが“蛇”を飲み込むのを見逃したが、本来敵がパワーアップするのを黙って見過ごすなどあり得ない。

 

(見た所通常の五倍から十倍、瞬間的には更に力が増しているようだが、残念ながらその力を扱い切れてないな)

 

 確かにカテレアの力は想定以上に上がっていたが、ただそれだけだ。強化された力を制御(コントロール)出来てないから振り回すだけで当たらない。折角の魔力も収束せず垂れ流してるだけだから魔力の無駄遣いでしかない。

 所詮オーフィスの“蛇”も道具にすぎず、結局は使う者次第という事か。

 

「くっ! バカな!? オーフィスの“蛇”で強化された私の攻撃が通じないなんて!? そんな事はあってたまるか!!」

 

 必死の形相で攻撃し続けるカテレアだったが、奴の力は既に見切った。

 今のカテレアよりあの夜に戦ったサーゼクス様の方が何倍も強く、そして恐ろしかった。

 俺はあの高みを目指す。大切な人達を守る為にあの高みに到達しなくちゃならない。その為にもこんな借り物の力に振り回されている奴に負ける訳にはいかない。

 

「食らえええーーーーーっ!!」

 

 カテレアの放った百発近い魔力球が俺の周囲で爆発する。成る程、単発では防がれるから数による飽和攻撃に切り替えたのか。だが───

 

「やったか!?」

 

 喜色を浮かべるカテレアだが、その台詞はフラグだぞ。

 

「これで終わりだ、カテレア・レヴィアタン!」

 

 俺は爆煙を潜り抜けカテレアの真正面に姿を現すと、両手でカテレアの頭を挟む。

 

「!!!?」

 

 一瞬の交錯の後、俺はカテレアから静かに手を離した。

 

「不破圓明流奥義、【菩薩掌(ぼさつしょう)】」

 

 呆然としたまま宙に浮かんでいたカテレアは、やがて口や鼻だけじゃなく、目や耳からも血を垂れ流し、

 

「バ、バカな・・・・・」

 

 そのまま地上に落下すると、もう二度と動かなかった。

 

 

 

 

 

 一輝が勝った。愛する人の無事な姿にリアス()はそっと胸を撫で下ろした。

 

「良かった、一輝・・・・・」

 

 私がホっとして呟くと、

 

「オイオイ、あの状態のカテレアを一撃かよ。ヤベーな、あいつ」

 

 アザゼルが嬉々として言った。その時、会議室の床に魔方陣が走り、白い鎧を纏ったヴァーリが現れた。え? あの魔方陣の紋様って───

 

「ヴァーリか。状況は?」

 

「つまんない。弱い奴ばっかりよ」

 

 ヴァーリは鎧のマスクを開いて、端整な顔を顕にする。そして───

 

「だから私は向こうに付く事にするわ、アザゼル」

 

 ズンッッ!!

 

「ヴァーリ、お前・・・・・」

 

 アザゼルの身体をヴァーリの貫手が貫いた。

 血を吐き、床に倒れるアザゼル。彼の腹部からドクドクと血が流れていた。

 

「アザゼル! いかん、リアス、至急アーシア君を!」

 

「は、はい!」

 

 アザゼルに駆け寄ったお兄様に指示されて私は至急『(キング)』のみが使える眷属を召喚する魔方陣を開き、アーシアを喚んだ。

 

 

 

 

 

 突然足下に魔方陣が走り、アーシアとすぐ側にいたイッセー()はいきなり転移した。

 転移先はさっきまでいた会議室。何故か足下にアザゼルが血を流して倒れている。何だ? 何が起きてるんだ?

 

「アーシア、アザゼルの治療を!」

 

「は、はい!」

 

 事情を把握する前に部長の指示が飛んだ。

 突然の召喚に驚いていたアーシアだったが、部長の指示に急ぎアザゼルに駆け寄り、彼女の神器【聖母の微笑(トワイライト・ヒーリング)】を発動させる。優しい光に包まれ、アザゼルの傷が癒されていく。

 室内は緊迫感に満ちて、誰もが白い鎧を纏ったヴァーリを注視している。

 何がどうなってるのかさっぱり分からん。誰か説明してくれ!

 

「・・・・すまねえな、聖女の嬢ちゃん。身内がこれとはな。・・・全く、俺もヤキが回ったもんだぜ」

 

 アーシアの治療を受けながらアザゼルが呟く。

 

「なあ、いつからだ? いつからお前はそうなった?」

 

「コカビエルを連れ帰る途中で誘われたのよ。悪いわねアザゼル。こっちの方が面白そうだから」

 

 事情の分からない俺を置いてきぼりにして、二人の会話は続く。

 

「ヴァーリ、白龍皇であるお前がオーフィスに降るのか?」

 

「いいえ、あくまで協力するだけよ。だって『他の神話勢力と戦ってみたくないか?』──なんて魅力的なオファーをされたら私は断れないもの」

 

「白龍皇、いくら貴女でも神々と戦っては無事ではすみませんよ?」

 

「関係ないわ。私はただ強い相手と戦いたい。それだけよ」

 

 ミカエルさんに言われてヴァーリが素っ気なく返す。何だこいつ、破滅願望でもあるのか? 折角美人なのに勿体ない。

 

「私も聞きたい。君の魔方陣、あれは───」

 

 サーゼクス様の問いかけにヴァーリは微かに笑みを浮かべる。そして───

 

「そうよ。私の本名はヴァーリ、ヴァーリ・ルシファー」

 

 そう静かに、だがはっきりと名乗った。

 

 ヴァーリ・・・・・ルシファー(・・・・・)だって!?

 

「じゃあ、お前も悪魔なのかよ!?」

 

「正確には混血児(ハーフ)よ。私は大戦で死んだ先代の魔王ルシファーの孫である父と人間の母との間に生まれたの。【白龍皇の光翼(ディバイン・ディバイディング)】は半分人間だから宿ったものよ。偶然だけどね」

 

 ヴァーリはそう言って苦笑を浮かべる。

 

「そんな・・・・・嘘でしょう!?」

 

 部長がヴァーリの正体に驚愕する。

 

「・・・・事実だ。恐らくは過去現在未来に至るまで最強の白龍皇になるだろうな。ったく、冗談みたいな存在だぜ。で? 『禍の団(カオス・ブリゲート)』への手土産に俺の首を取ろうってのか?」

 

 アザゼルが皮肉げに言うと、ヴァーリは顎に手を当てて小首を傾げ考える仕草をする。ちくしょう、ちょっと可愛いじゃねーか!

 

「う~ん、最初はカテレアがセラフォルー・レヴィアタンを殺して『禍の団』の存在をアピールする筈だったんだけど、何であいつ不破一輝と戦って、しかもやられてるのかしらね? ・・・・・流石にこの面子と真正面から戦うつもりは無いから、今日の所はお暇するわ」

 

 なっ!? これだけの騒動を起こしておいて帰るだと!? ふざけやがって!!

 俺が不満気に睨み付けていると、それに気づいたヴァーリがニヤリと笑みを浮かべた。

 

「ふ~ん、正直君にはそこまで期待してないし、どうするか迷ってたんだけど、そんな目をされちゃ無視出来ないわね・・・・・ねえ兵藤一誠君、運命って残酷だと思わない?」

 

 ヴァーリが突然俺に問いかける。

 

「私みたいにな魔王プラス伝説の(ドラゴン)といった思い付く限りの最強の存在がいる反面、君のようにただの人間に伝説の(ドラゴン)が憑く事もある。いくら何でもこの偶然は残酷だと私は思うの。だっていくら『赤い龍(ウェルシュ・ドラゴン)』と『白い龍(バニシング・ドラゴン)』がライバル同士戦う運命だからって、所有者である私達に差がありすぎるわ」

 

 ぐっ、悔しいけど奴の言う通りだ。何も言い返せねえ。

 

「君の事は少し調べさせて貰ったわ。両親はいたって普通の人間で、先祖に特殊な力を持つ者がいた訳でもないし、天使や悪魔に関わってもいない。平凡で普通などこにでもいる男子高校生、それが君よ。本当に【赤龍帝の籠手(ブーステッド・ギア)】以外、何もない。まあ、人並み外れたスケベではあるみたいだけど」

 

 ヴァーリの目に哀れみが浮かぶ。悪かったな!人並み外れたスケベで!!

 

「つまんない。あまりにつまんな過ぎて君の事を知った時、思わず笑っちゃったわ。『ええ~、これが私のライバルなの!?』って。せめてこう、何かあれば

・・・・・そうだ、こういう設定はどう? 君は復讐者になるの!」

 

 いきなりいい案が閃いたと言わんばかりに浮かれるヴァーリに戸惑いを隠せない。こいつは一体何が言いたいんだ? そう思っていた俺に聞き逃せない言葉が飛び込んで来た。

 

「私が君の両親を殺すの!」

 

 ───ア゙?

 

「そうよ、そうすれば君の身の上が少しは面白くなるわ。宿命のライバルである私に両親を殺され、君は両親の亡骸を前に私への復讐を誓う──うん、これは盛り上がる! そう思わない?」

 

 ───コイツイマ、ナンテイッタ?

 

「どうせ君の両親なんてこれから先、普通に老いて死ぬだけでしょ? だったら私達の対決を盛り上げる役に立つ方がずっとマシだわ! どうかしら?」

 

 ───ヤクニタツ? ズットマシ? ソンナコトノタメニトウサントカアサンヲコロスダト!?

 

「ざけんな、殺すぞこの(アマ)

 

 自分の声だというのが信じられない位低い声が漏れる。心の中に激しく、ドス黒い感情が沸き上がって来る。怒りを通り越して芽生えたこの感情───そうか、これが殺意か!

 

 気付けば俺は【赤龍帝の籠手】で奴を殴っていた。

 

「グッ───!?」

 

 窓際まで吹っ飛ぶヴァーリ。咄嗟にガードされたから大して効いてないだろう。だったら効くまで殴り続けるだけだ。

 

「うおおおおおーーーーーっっ!!」

 

 奴に近付き、鎧の上から構わず殴り続ける。

 右に左に、ガードされるのも構わず連続して拳を叩き付ける。鎧の上からでも、拳から血が流れても構わずに。

 痛みなんか感じない。とっくにブチ切れて、もうこいつをブン殴る事しか考えられなかった。

 

「何で!お前の!下らねえ思惑で!俺の父さんと母さんが!殺されなくちゃならねーんだ!! ふざけんな! お前が!父さんと母さんを!殺すってんなら!その前に俺が!お前をブッ殺す!!!」

 

 怒りのままに、殺意のままに俺は拳を叩き付ける。十秒毎に【赤龍帝の籠手】が力を倍加し、威力が増していく。やがて、

 

 ピシッ!!

 

 乾いた音を立ててヴァーリの鎧に亀裂が入った。チャンス! 一気に畳み掛けてやる!!

 そう思って拳を降り下ろした俺の目に、ヴァーリがニヤリと笑うのが見えた。

 

「ぐふっ!?」

 

 しまった、ヴァーリの放った蹴りをカウンターで食らっちまった。壁際に吹き飛ばされ崩れ落ちる俺を見下ろし、ヴァーリがゆっくりと立ち上がる。

 

「フフ、アハハハ! 凄いじゃない一誠君! まさか私の鎧に傷を付けるとは驚いたわ。どうやら君は私の思ってた以上の“爆発力”を持っているようね。

うん。これならもう少し様子を見てもいいかな?

今の君に免じてご両親を殺すのは延期してあげる。

じゃあ、次の機会を楽しみにしてるわ」

 

 白い鎧がみるみる修復されていく。あれだけブン殴ったのに効いてないのか。悔しさに歯噛みする俺に嘲笑を浮かべつつ、ヴァーリはマスクを閉じると光の翼を広げて飛び出した。

 

「ま、待ちやがれヴァーリ!!」

 

「赤龍帝!」

 

 痛む身体に鞭打ち、ヴァーリを追おうとした俺にアザゼルが何かを放った。何だこのリングは? 何かのアクセサリーか?

 

「持ってけ。そいつは【神器(セイクリッド・ギア)】をある程度抑える効果がある。お前『赤い龍(ウェルシュ・ドラゴン)』の力を使いこなせないんだろ? なら嵌めろ。短時間なら『禁手(バランス・ブレイカー)』状態になれる筈だ」   

 

 マジかよ!? これを嵌めれば俺も『禁手』に!?

 

「但し一回こっきりの使い捨てだ。『禁手』になったら魔力も体力も急激に消耗するから気を付けろ」

 

「感謝するぜアザゼル!」

 

 俺はヴァーリを追って窓から飛び出した。

 

「やるぞドライグ!!」

 

《おお! 白いのに目に物見せてやろうぞ、相棒!!》

 

「行くぜ、禁手化(バランス・ブレイク)!!

 

『Welsh Dragon Balance Braker!!!』

 

 【赤龍帝の籠手】の宝玉がかつて無い程眩い光を発して、俺の全身を包む。赤い光が止むと、俺は龍を模した赤い全身鎧(プレートアーマー)を纏っていた。これが【赤龍帝の籠手(ブーステッド・ギア)】の禁手(バランス・ブレイカー)、【赤龍帝の鎧(ブーステッドギア・スケイルメイル)】か!! 凄え! 全身に力が漲って来る。これなら!!

 俺は上空を翔ぶヴァーリを見据えると、龍の翼を広げ、ヴァーリ目掛けて翔んだ。

 

《相棒、この状態(バランス・ブレイカー)だが、今のお前では三分しか持たんぞ》

 

 今の俺には『禁手』になる地力が足りない。アザゼルのブレスレットのお陰で無理矢理なってるだけだし仕方がないんだがたった三分かよ!? でも!

 

「三分で充分だ! 三分であいつをブッ飛ばす!!」

 

『BoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoost!!』 

 

 力を倍加し続け、赤い光の矢と化した俺は一直線にヴァーリ目掛けて突っ込む。

 

「逃がさねえぞ、ヴァーリ!!!」

 

 振り向いた奴に俺はそのまま衝突し、勢いのままに拳を振り下ろした。

 

「うおおおおーーーーーっっ!!!」

 

 バキャンッ!!

 

 力を増大させた俺の拳はヴァーリのドテっ腹に命中し、奴の鎧を粉砕した。

 

「ガハァッ!?」

 

 砕けた鎧の破片を撒き散らしながらヴァーリは地上へ落下する。

 

「食らいやがれーーーーっっ!!!」

 

 そのまま俺は威力を倍加させた【ドラゴンショット】を落下するヴァーリ目掛けて撃った。

 

ズドオォォンッ!! 

 

 爆発音と共にもうもうと土砂が舞い上がる。土煙りが晴れると、巨大なクレーターが出来ていて、その中心にはヴァーリが倒れていた。

 

「ハア、ハア、や、やったか!?」

 

 アザゼルの言った通り、『禁手』は魔力も体力も無茶苦茶消耗する。正直座り込みたい気分だ。

 ヴァーリは完全に意識を失っているようで、ピクリともしない。俺はホッとため息を吐くと、ヴァーリを連行する為、クレーターへと降下する。だが───

 

「───フフ、」

 

 不意に聞こえた笑い声に俺は上空で停止した。

 

「フフフフ、アハハハハッ!」

 

 心底楽しそうな笑い声を上げて、ヴァーリがムクリと起き上がった。

 

「いいね! 素晴らしいよイッセー君! 現時点で君がここまでやるとは思わなかったわ!!」

 

 何だコイツは? ダメージを負っている筈なのに嬉しそうに、楽しそうに笑ってやがる。奴の笑い声が妙に腹立たしい。

 

「何が、何がおかしいんだ、テメーは!!」

 

『BoostBoostBoostBoostBoost!』

 

 怒りにまかせて俺は拳を振るう。だが、

 

『Divide!』

 

 白龍皇の宝玉から音声が聞こえると、俺の力が一気に消失する。何だこれは!?

 

「ガアッ!?」 

 

 突然の事態に動揺した俺にヴァーリの回し蹴りが炸裂し、吹っ飛ばされる。ちくしょう、何て威力だ!?

 

「くそっ! 何だ今のは!?」

 

《気を付けろ相棒。あれが奴の能力『半減』だ》

 

 半減!? 俺の倍加と対を成す能力が奴にはあるのかよ!?

 

《その通りだ相棒。それから奴に半減された力は俺の倍加で戻るが、攻撃時に半減された力は奴の力になる。さっきの回し蹴りみたいにな》

 

 ちくしょう、そういう事かよ。だがこっちは時間制限があるんだ。迷ってる場合じゃねえ!

 

「っの野郎ーーーっ!!」

 

『BoostBoostBoostBoost!』

 

「失礼ね、私は女よ?」

 

『Divide!』

 

 空中で激しく打ち合う俺とヴァーリ。だが、俺が必死に力を倍加させても奴は余裕で半減させてしまう。

 

《相棒! もう時間がないぞ!!》

 

 ドライグの声がするが、俺の拳は奴には届かない。そして───

 

『Time Over』

 

 無情にも宝玉から音声がすると、俺の鎧が赤い光となって散った。アザゼルから貰ったリングが砂のように崩れ、『禁手』が解けちまった。

 途端に激しい脱力感と倦怠感に見舞われ、膝から崩れ落ちる。立ち上がろうにも力が入らない。

 

「やれやれ、お粗末な結末だけど中々楽しかったわ、イッセー君」

 

 ヴァーリが手刀を振り下ろす。だが、避けようにも俺にはもう動く力も残っていなかった。

 

(ちくしょう、ここまでか───!!)

 

 迫る手刀がスローモーションのように見える。その時、俺の視界が一面の紅に染まる。

 

 ギィィン!!

 

「諦めるなんてらしくないぞ、イッセー」

  

「か、一輝先輩!?」

 

 目の前には【高周波ブレード】でヴァーリの手刀を受け止めるガイバー(一輝先輩)の背中があった。

 

 

 

 

 間一髪間に合った。

 魔方陣で喚び出されたイッセーが白龍皇(ヴァーリ)を追い、『禁手(バランス・ブレイカー)』になって戦い始めたのには驚いた。

どうやら一輝()が早々にカテレアを倒してしまったからか、かなり展開が変わったようだ。

 目の前で繰り広げられる赤と白の激突。その趨勢は次第に白へと傾いていった。そして『禁手』の制限時間(タイムリミット)が来たのか、イッセーの鎧が解除され、ヴァーリの前に無防備な姿を晒してしまう。俺はイッセーを救うべく、二人の間に割り込んだ。そして───

 

「フフ、今日はいい日だわ・・・・・赤龍帝(イッセー君)だけじゃなくガイバー()とまで戦えるとは!」 

 

「裏切ったのか、ヴァーリ?」

 

「ええ、強者との戦いこそ我が望み! 戦いの無い平和な世界なんて私には我慢出来ないわ! だからこそ私は『禍の団(カオス・ブリゲート)』に身を投じたのよ!!」

 

 戦闘狂め・・・・・いいだろう。望み通り相手になってやる!

 

 俺が静かに構えを取ると、ヴァーリもまた口を閉ざし構えを取った。マスク越しに互いの視線が交錯し、次の瞬間、俺達は真正面から激突した。

 互いの拳がその身を掠めるがクリーンヒットは一発も出ない。ならばと右回し蹴りを放つと、奴もまた同じく回し蹴りを放った。蹴りの激突が周囲に衝撃波を撒き散らす。

 

「チッ!」

 

「フフッ」

 

 まるで俺に出来る事は自分にも出来ると言わんばかりのヴァーリの態度に腹が立つ。だったら、これならどうだ!

 さっきと逆で左回し蹴りを放つ。ヴァーリは右手でガードしたがそれと同時に俺の右回し蹴りがヴァーリの側頭部にカウンターで命中した。

 

「カハッ!!」

 

「不破圓明流【双龍脚】」

 

 ヴァーリの身体がグラつく。俺は勝機と見て【虎砲】を放った。だが、

 

『Divide!』

 

 【虎砲】の威力を半減され、ほとんどダメージを与えられない。実際対峙してみると、この半減の能力はかなり厄介だ。ならばと俺は右ストレートを放つと、

 

『Divide!』

 

 再び半減されるが、本命はこれじゃない。ストレートを放った勢いそのままに、肘を折り曲げてヴァーリの胸を撃ち貫いた。

 

「不破圓明流【蛇破山】」

 

「グハァッ!!」

 

 今度は半減が間に合わなかったのか、まともに入った。ヴァーリのマスクから鮮血が溢れ、白い鎧を赤く染める。白い鎧に亀裂が入り、砕け散るが、それでもヴァーリは倒れない。いや、それ所か嗤っていた。

 

「フフ、フフフ、アハハハーーーー!! 素晴らしい、これが不破圓明流か! 今まで見て来たどの武術共違う古流の武術。長年人を倒す為に研鑽され続けた技術の何と素晴らしい事か! 全く、今夜は最高の気分だわ!!」 

 

 ・・・・・戦闘狂だとは思っていたが、これ程とは思わなかった。ここまで来るとイッセーとは別のベクトルの変態だと云えそうだ。

 

「さあ、続けましょう! 血沸き肉躍る戦いを!!」

 

 変態(ヴァーリ)が嗤いながら襲いかかる。【双龍脚】と【蛇破山】は確実に入った。いくら鎧で軽減されたとしてもかなりのダメージの筈なんだが、効いてるようには見えない。アドレナリンが出て痛みを感じてないのか?

 

(こうなれば一撃で意識を断つ───!)

 

 そう決断した俺は大技を放つ隙を伺っていた。そして、激しい攻防の最中、ヴァーリが左回し蹴りを放つ。反射的に不破圓明流の防御技【浮身(ふしん)】で反対側に跳んだその時、

 

『Divide!』

 

 という音声が聞こえると同時に左側頭部に衝撃を受けて、俺の意識は闇に沈んだ───

 

 

 

 

 




読んでいただきありがとうございます。
次回はヴァーリ戦の決着とあのヒロインとの初エッチをお送りします。

イッセーのヒロインは誰がいい?

  • アーシア
  • 九重
  • ギャスパー(男の娘)
  • ギャスパー(TS化)
  • レイナーレ
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