※この作品はR-18です。

ハイスクールD×G~駒王町の規格外品   作:Tokaz

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感想及び誤字報告ありがとうございます。

第18話をご覧下さい。


第18話 若手悪魔たち(ルーキーズ)☆(リアス)

 

 

 列車から降りた途端、熱烈な歓迎を受けた一輝()達はグレイフィアさんに案内され、どう見てもヨーロッパ風の城にしか見えないグレモリー本邸に到着した。

 スケールの大きさに圧倒されてる内にリアスの甥のミリキャス君やリアスのお母さんのヴェネラナ様と出会い挨拶を交わした。

 ミリキャス君は十歳位の利発そうな紅髪の男の子。サーゼクス様とグレイフィアさんの息子だけあって、将来勝ち組間違いなしの美少年だ。

 ヴェネラナ様はリアスに良く似た、見た目は十八、九の美少女にしか見えない亜麻色の髪の女性だ。リアスと並ぶと姉妹にしか見えず、ともすればグレイフィアさんの方が年上に見えてしまう。

 何でも歳月を経た悪魔は魔力で見た目を自由に変えられるそうだが、その姿はご主人の好みなのだろうか? 因みにリアスのお母さんだけあってとても胸が大きい。イッセーがエロい目で見てアーシアからつねられていた。

  

 その日の夜、夕食を終えた俺とリアスはリアスのお父さん──ジオティクス様に呼び出された。

 部屋に案内されると既にジオティクス様とヴェネラナ様が揃っていた。お二人の後ろにはグレイフィアさんが控えている。

 対面のソファーに俺達が座るとジオティクス様が話を始める。

 

「さて、二人に来て貰ったのは他でもない。二人の婚約についてだ」

 

「お父様、一輝はもう充分実績を上げた筈です!」

 

「まあ聞きなさい、リアス。確かに一輝君は堕天使幹部コカビエルを始めカテレア・レヴィアタン、そして白龍皇ヴァーリ・ルシファーまで倒している。実績としては申し分ないだろう」

 

「───だったら!」

 

「確かに力は認めよう。だが知識はどうだね?」

 

 知識か・・・・確かに俺は悪魔の、それも貴族の知識に疎い。悪魔になってから激戦続きだったし、勉強する暇も無かったしなぁ。とは言えそんな事この人達にとって言い訳にもならないだろう。

 

「それは──! 一輝は悪魔に転生してまだ三ヶ月なのよ。知識が足りないのは仕方がないわ」

 

「仕方がない?・・・・リアス、貴女はグレモリー家次期当主なのよ。その夫になる者がそれで済むと思ってるの?」

 

「うっ・・・・・」

 

 ヴェネラナ様に言われリアスが口ごもる。流石母親、えらい迫力だ。とは言えリアスが黙っていては話が進まない。俺は仕方なく手を挙げる。

 

「すいません、質問よろしいですか?」

 

「何でしょう、一輝さん」

 

「それは結局、リアスとの婚約は認めないという事ですか? それとも然るべき知識を得れば認めて貰えるのですか?」

 

「ふむ。知識を得ると言うが、リアスの婿として知識や教養を身に付けるのは大変だぞ?」

 

「その件ですが、俺はグレモリー家に婿入りする気はありません。いや、正確にはグレモリー本邸(ここ)に来てその気が失くなりました」

 

「なに!?」

「・・・・あらまあ」

「・・・・・・!?」

「一輝!?」

 

 俺の発言に皆が驚く。そして一気に雰囲気が険悪になる。

 

「・・・・それはどういう意味だね? 君はうちの娘を傷物にしておいて、捨てるつもりかね?」 

 

 ジオティクス様が殺気を放つ。隣でリアスが不安そうにしているので安心させるつもりで彼女の手を握る。 

 

「そんな事しませんよ。俺はリアスと別れる気も誰かに渡す気もありません。俺からリアスを奪おうと言うなら戦ってでも守ります。例え相手が神や魔王であっても、ね」

 

 そうして俺は一瞬だけジオティクス様に向かって殺気を放つ。

 

「ぐむっ・・・・!」

 

 俺の殺気に気圧されジオティクス様が口ごもる。実戦から遠ざかっているとは言え流石グレモリー家当主、気を失わないだけ大したものだ。

 

「志は立派ね。母として娘が愛されてるのも嬉しく思います。ですが婿にならないとはどういうつもりです?」

 

 ジオティクス様に代わってヴェネラナ様が訊ねる。ジオティクス様のように殺気剥き出しにされるより、彼女のように静かな方が怖いな。

 

「順を追って説明します。リアスはグレモリー家次期当主、彼女と結ばれるにはその婿にならねばならない。そうですね?」

 

「その通りです」

 

「ですが本当にリアスは当主になれるでしょうか。なるとしてもその期間はかなり短くなるのではありませんか?」

 

「・・・・何故です?」

 

「ミリキャス君がいるからです。魔王の息子にしてグレモリー直系の男子。彼が成人する頃には寧ろ彼を次期当主に、と推す声の方が多くなるのでは?」

 

「・・・・・・」

 

 ヴェネラナ様は何も言わない。予想は当たっているみたいだな、話を続けよう。

 

「このままではリアスの存在がネックになる。彼女は次期当主に正式に選ばれ、民からも人気があり、次期当主に見合う功績も挙げている。そんなリアスを差し置いて、ミリキャス君を次期当主に指名すれば、将来リアス派とミリキャス派の二つにグレモリー家が割れる恐れがある。ですがリアスが他家に嫁げばどうです?」

 

「それは───!? 確かにミリキャスが次期当主になるのに問題は無くなる・・・・」

 

「・・・・一輝さん。つまり貴方は」

 

「はい。俺は上級悪魔になって、新たに不破家を立てる。そしてリアスを嫁に迎えます」

 

 俺はそう宣言した。   

 

「成る程・・・・貴方はそれをずっと考えていたのですか?」

 

「いえ、今日ミリキャス君に会って思い付きました。彼の評判をメイドさんや執事さんから聞いて、直系の男子がいるなら彼が次期当主になる方が自然では無いかと。ジオティクス様とヴェネラナ様がどうお考えなのかは分かりませんでしたが、その様子を見ると案外的外れでも無かったようですね」

 

 俺がそう返すと、ヴェネラナ様は手を口に当てて上品に笑った。

 

「フフフ、こちらの望みを見抜き、その上で自分の要求を通す手腕、実にお見事です一輝さん。貴方がそのつもりなら話は早いわ。リアスにはミリキャスが成人して次期当主に相応しく成長するまで、これまで通り次期当主の務めを果たして貰います。そしてミリキャスが次期当主に就任した暁には貴方に嫁がせると約束しましょう。──いいわね、リアス」

 

 ヴェネラナ様がそう宣言したが、リアスから返事が無い。おかしいと思って隣を見れば、彼女は顔を真っ赤にしてトリップしていた。

 

「何をしているの、リ・ア・ス」

 

「───ひっ! お、お母様!?」

 

 殺気混じりのヴェネラナ様の声を聞いて、リアスがようやく戻って来た。

 

「リアス・・・・貴女いつから話を聞いて無かったの!?」

 

「だ、だって一輝が私を奪おうとするなら神でも魔王でも戦うって・・・・そんなカッコいい事言われちゃったらもう・・・・・・」

 

 リアスは赤くなった頬に手を当ててくねくねと身体を捩る。ヴェネラナ様はそんなリアスを見て深くため息を吐くと、お説教を始めた。

 

「あ~、では一輝君。リアスとの婚約は君が上級悪魔に昇格してから正式に認める。それまではこれまで通り暫定婚約者という事で構わんね」

 

「はい。なるべく早く昇格してみせます」

 

 ジオティクス様に言われ、俺は誓いを新たにした。

 

 

 

 

 

 その日の夜、リアス()は一輝の部屋に来ていた。

 

「ん──ちゅぷ、んん・・・・一輝ぃ」

 

「んん──、ああ、リアス・・・・」

 

 ベッドの前で一輝と抱き合い深く唇を重ねる。

もう何度、一輝とキスしただろう。何度しても飽きないし、何度も繰り返す度に愛しさが溢れる。

 

「一輝・・・・むちゅ、ちゅぷ・・・・んふぅ、ちゅ・・・・ズズ、ジュル・・・・ん、コク、コク」

 

 舌で唇をなぞり、舌を絡め合い、唾液を交換する。舌で歯茎をなぞり、絡めた舌を甘噛みし、唾液を啜り合う。 

 熱く、激しく唇を吸い合い、1mmも離れたくないと、きつく抱きしめ合う。

 一輝の逞しい身体に包まれるだけで幸せを感じる。一輝の匂いは太陽の、お日様の匂い。その匂いに包まれてると、お腹の下がキュンキュンと疼いてしまう。

  

「んん、ちゅぱ・・・・・・フフ、」

 

「どうした、リアス?」

 

「ううん・・・・ただ幸せだなぁって」

 

 彼の首筋に顔を埋めてそっと呟く。

 

「俺も幸せだよ。でも今日はここまでだな。そろそろ部屋に戻らないと・・・・」

 

 一輝に部屋に戻れと言われてしまう。でも、

 

「イヤ」

 

「・・・・リアス」

 

「イヤよ。私はもう一輝が一緒じゃないと眠れないんだもの。だからイヤ」

 

「あのな・・・・ご両親がひとつ屋根の下にいるのに、それは不味いだろう?」

 

「大丈夫よ。お父様はともかくお母様は認めて下さるわ」

 

「本当かよ・・・・」

 

「ム、何よ、一輝はイヤなの?」

 

 私がムッとして睨むと一輝は苦笑して、

 

「イヤじゃないから困ってるんだよなぁ」

 

 と言って私をベッドに押し倒した。 

 

「あん、一輝・・・・ちゅぷ、ちゅ、んん・・・・あぁん」

 

 ベッドに押し倒された私は、唇を重ねながら制服のボタンを外される。ブラの上から胸を揉まれて電気が走るような刺激に身悶えする。

 一輝の手が背中に回ろうとしたのでその手を止める。

 

「ん、一輝・・・・これフロントホック」

 

「あ、こっちか」

 

 一輝の指が胸の間のホックを押すと、ブラが弾けて生のおっぱいが露出する。

 大きいおっぱいが好きな一輝はブルブルと揺れるおっぱいに見惚れている。たまに見せる一輝のこんな所が可愛くて堪らない。

 

「いいのよ。私のおっぱいは一輝のものなんだから、一輝の好きにして、ね」

 

 一輝は胸の谷間に顔を埋めると、左右のおっぱいを鷲掴みして円を描くように揉みしだく。 

 

「ふぅん! んん、ああ、一輝・・・・んん、ああ!」

 

 胸を揉まれると、くすぐったいような気持ちいいような心地好い快感がじんわりと身体中に広がる。

 

「んひぃ! くぅっ・・・・はぁん!」

 

 乳首を摘ままれ、クリクリと捩らされるとビリッと電気のような刺激が身体に走る。ましてや乳首を舐められ、甘噛みされたなら、

 

「ひゃああぁぁぁんんっっ!!」

 

 その刺激で一気に私は絶頂し(イッ)てしまった。

 

「ハア、ハア、ん・・・・一輝ぃ」

 

 甘い快楽の中、私は続けて欲しいとばかりに脚を開いておねだりする。

 一輝はスカートの中に手を入れ、下着を一気に脱がした。床に落ちた下着はペシャリと湿った音を立てる。

 

「んん、ああ、はぁん・・・・くひん、ふぁ、ふああっ!」

 

 下着に籠った臭いが解放され、私にまで漂って来る。イヤらしく淫らな臭いを直接一輝に嗅がれていると思うと、恥ずかしさに身体中が熱くなる。やがて一輝の指や舌が私の秘肉を責め立てて、私は快楽の海に投げ出される。

 

「ふああ、あん、んん・・・・一輝、一輝ぃ! そこは・・・・んああ!!」

 

 たっぷりの蜜に濡れた秘穴を指が掘削し、溢れる愛蜜を啜り、陰核を指で弾く。一輝から与えられる刺激に私は再び絶頂に達した。

 

「あああ! もうダメ、一輝、私、私ぃ・・・・い、イクーーーーー!!」

 

 陸に上がった魚のように、私の身体がビクビクッと跳ねる。

 

 プシャアアアアッッ!!

 

 イクと同時に私は大量の潮を噴いて失神した。

 

 

 

 事後、私は一輝の腕枕に頭を乗せ、彼に身を委ねていた。さっきまでの半裸じゃなく、二人共全裸だ。

 

「───フフッ」

 

「どうした?」

 

 つい思い出し笑いをした私に一輝が訪ねる。

 

「ううん、さっきのやり取りを思い出して・・・・ねぇ一輝、私をお嫁さんにしてくれるのよね」

 

「勿論。嫌かい?」

 

「もう・・・・嬉しいに決まってるわ」

 

 お父様とお母様の前で一輝が私をお嫁さんに迎えると言ってくれたのが嬉しかった。条件付きとは言え二人が認めてくれたのも。

 

「愛してるわ一輝。いつまでも一緒にいてね」

 

「ああ、俺も愛してるよ、リアス」

 

 私達はもう一度唇を重ね、抱き合って眠りに就いた。

 

 

 翌朝、二人で眠っている所をメイドに見られて一騒動起きたのは、また別の話。

 

 

 

 

 

 翌日、イッセー()達は若手悪魔の会合が行われる魔王領へ向かった。

 この会合は要は魔王様を始めとした悪魔の重鎮と今年十八歳の成人を迎える若手悪魔の顔合わせで、毎年行われる恒例行事だそうだ。

 会場だという魔王領の中でも一際大きな建物に入ると、俺達と同じような一団がいた。

 

「サイラオーグ!」

 

 その中に知り合いがいたのか、部長が声を掛けると、一人の男性が歩いて来た。

 黒い短髪に紫の瞳の野性的なイケメンで、プロレスラーのように体格(ガタイ)がいい。何処となく部長、というかサーゼクス様の面影がある。

 

「久し振りだな、リアス」

 

 見るからに強そうなこの人はサイラオーグ・バアル。冥界で魔王の次に偉い大王家の次期当主で部長の従兄弟だそうだ。

 部長がサイラオーグさんと話していると、ズズンっと重い音がして建物が震えた。何事かと思ったら部長とサイラオーグさんが走り出した。俺達も後に続くと、その先に破壊された大広間が見えた。

 眼鏡を掛けた冷たい視線の美少女──シーグヴァイラ・アガレスと下品なヤンキーのような兄ちゃん──ゼファードル・グラシャボラスが諍いを起こしていた。

 サイラオーグさんが仲裁に入るもヤンキーが噛みついて来る。だがサイラオーグさんが拳を一閃、ヤンキーは壁まで吹っ飛ばされそのまま気絶した。ヤンキーの眷属がいきり立って睨むが、サイラオーグさんの迫力に主を連れて大広間を出て行った。

 つ、強え! あの一撃、一輝先輩の【虎砲】並みの威力だぞ!? 先輩と戦ったらどっちが強いんだろう。

 サイラオーグ・バアル。越えるべき壁としてその名が俺の胸に刻まれた瞬間だった。  

 

 

 

 スタッフにより大広間が修復されてから、俺達は他の人達と挨拶した。中には匙達シトリー眷属も来ていて、知った顔を見てホッとしてしまった。

 暫くしてスタッフに呼ばれた俺達は部長を先頭に会場に足を踏み入れた。

 会場は大学の講義室みたいに俺達のいる所を見下ろすように段が設置されている。初老の悪魔や若い悪魔、何人もの偉いさんが俺達を見下ろしている。段の高い程身分が上らしく、一番高い所にはサーゼクス様とセラフォルー様、他にも二人の男性がいた。あのお二人は恐らく魔王ベルゼブブ様と魔王アスモデウス様なのだろう。 

 俺達は主を先頭に一列に並ぶ。並び順は決まってるらしく、部長の後ろには女王の朱乃さん。以後アーシア、小猫ちゃん、祐美、ゼノヴィアと並び、兵士である俺と一輝先輩は最後尾に並んだ。

 

 サイラオーグ・バアル。

 シーグヴァイラ・アガレス。

 リアス・グレモリー。

 ソーナ・シトリー。

 ディオドラ・アスタロト。

 ゼファードル・グラシャボラス。

 

 六人の若手悪魔(ルーキーズ)が一堂に会し、会合が始まる。 

 

 

 

 会合は異様な雰囲気の中、始まった。

 高い所から俺達を見下(みお)ろす悪魔達の視線、それは俺達を見下(みくだ)し、嘲りを含んだ物凄く嫌な感じがするものだった。

 息を飲む事さえ憚るような静寂の中、今後のゲーム展開やら禍の団への対応やら難しい話が続いたが、正直俺にはチンプンカンプンだ。そんな中、最後に今後の目標を訊ねられる。

 魔王を目指すというサイラオーグさん、レーティングゲームの王者になるという部長と其々が目標を掲げる中、最後にソーナ会長が冥界にレーティングゲームの学校を建てるという目標を語るが、偉いさん達は難色を示す。更にその学校が今ある特権階級や上級悪魔だけが通えるものと違い、下級悪魔や転生悪魔でも通える分け隔てのない学校だと知ると、今度は爆笑し出した。それは楽しくて浮かべる笑いではなく、多分に嘲りを含んだ──嘲笑だった。

 俺も匙も訳が分からなかった。何だよ、夢を語れって言いながら何で会長を嘲笑(わら)うんだよ! おかしいだろ!?

 堪らず匙が偉いさんに噛み付くが、逆に下僕の教育がなってないと会長が叱責される始末だ。正直もう我慢出来ない! だがそんな俺の肩が後ろから掴まれる。  

 

「堪えろイッセー。ここでお前が吠えてもリアスが叱責されるだけだぞ」

 

 一輝先輩が俺の耳元で囁く。

 

「くっ! でも先輩、先輩は悔しく無いんスか!?」

 

「悔しく無い訳無いだろ。だがリアスが、何より会長が堪えてるのに下僕(俺達)が爆発してどうする!?」

 

「!!!?」

 

 ちくしょう! 一輝先輩の言う通りだ。俺が感情のまま動けば主である部長に迷惑を掛けちまう。悔しくて唇を噛んだその時、セラフォルー様がブチギレた。

 偉いさんも魔王様に逆らう気は無いのか、反応に困っている。

 セラフォルー様はソーナ会長がゲームに勝てるなら文句は無いだろうと主張、それを受けたサーゼクス様が部長と会長のゲームを提案、双方それを受諾し、非公式ながら俺達はゲームをする事になった。

 

 

 

 

 

 会合が終わり、一輝()達はさっさと帰る者やロビーに残って話をする者に別れていた。リアスは残ってサイラオーグらと話をしている。

 暫くして俺はトイレに立った。用を足してトイレから出ると、廊下に一人の少女が佇んでいた。 

 

「どうしました会長?」

 

 俺は彼女──ソーナ・シトリーに声を掛けた。

 

「えっ・・・・ああ、不破君か・・・・」

 

 ソーナ会長は力無く微笑む。俺は彼女の隣に立ち、壁に寄り掛かった。

 

「お疲れ様、大変でしたね」

 

「・・・・ありがとう。でもどこの世界でも重鎮って呼ばれる人達ってこんなものよ?」

 

「老害ってのはどこにでもいるんですね・・・・」

 

「(クスッ) もう・・・・駄目よ、そんな事言っちゃ」

 

 会長はおかしかったのか、クスクスと笑う。

 

「・・・・どうしてあの人達は人の夢をあんな風に笑えるんだろうね・・・・」

 

 ソーナ会長が不意に呟く。

 

「会長は立派だったと思いますよ。あれだけ笑われても貴女は最後まで折れなかった。まぁ結局セラ姉さんがひっくり返しましたが」

 

「姉さんってばもう・・・・」

 

 会長は額に手を当てて苦笑する。けど、どこと無く嬉しそうに見える。

 

「・・・・会長、俺は貴女の眷属じゃありませんし、ライバルの若手悪魔でもありません。だから愚痴や弱音位いつでも聞きますよ。駒王学園の同級生として」

 

「不破君・・・・」

 

「今日の会合は頑張りましたね。カッコ良かったですよ」

 

 俺は自然に彼女の頭を撫でていた。不意に彼女の瞳に涙が滲む。

 

「・・・・成る程。こうやってリアスも堕としたのね・・・・ズルい(ひと)

 

「・・・・人聞きの悪い」

 

「でも、今だけは甘えさせて貰うわね・・・・・・

(グスッ) 悔しいよぅ・・・・」

 

 ソーナ会長は俺の胸に頭を押し当て、そう零した。俺は彼女の華奢な背中に手を回し、泣き止むまでそっと叩き続けた。

 

 

 

 

 

「ご、ごめんなさい。不破君の厚意に甘えてしまって・・・・私ったら本当にもう・・・・」

 

 暫くして泣き止んだソーナ()は顔を真っ赤にしながら不破君に謝る。恥ずかしくて彼の顔がまともに見れない。

 

「気にしないで下さい。自分から言い出した事ですから」

 

 そんな風に彼は笑ってくれた。彼の気持ちはとても嬉しい。背中を叩いてくれた優しい感触に心が温かくなる。でも私には一つだけ不満に思う事があった。

 

「ねぇ不破君。貴方リアスは呼び捨てにしてるのよね?」

 

「ええ。そうですが」

 

「姉さんは?」

 

「セラ姉さんと・・・・知ってますよね?」

 

「・・・・じゃあ私は?」

 

「・・・・会長」

 

「むう~、どうして私だけ役職で呼ぶのよ!?」

 

 私は不満を爆発させた。

 

「えっ、と・・・・それは名前で呼んでもいいって事ですか?」

 

「えっ・・・・!?」 

 

 そう言われて、はたと気付いた。不破君に名前を呼ばれる? そんなの恥ずかしい! でも嬉しい!! うう、ど、どうしよう・・・・ 

 

「えっ、と、大丈夫ですか、ソーナ?」

 

 ソーナ。そう呼ばれて益々顔が熱くなる。私は恥ずかしくて下を向きながら、

 

「・・・・敬語も禁止」

 

 と言った。不破君は苦笑しつつ言ってくれた。

 

「分かったよ、ソーナ」

 

 我ながら単純だけど、さっきまで嫌な気分はいつの間にか吹き飛んでいた。

 

 

 

 

 

 翌日からアザゼル指導の元、特訓が始まった。

 シトリーとのゲームまで約二十日、グレモリー邸の広大な庭の一角で、ジャージに着替えた一輝()達はミーティングを行っていた。

 

「先に言っておくが、今から俺が指示するのは将来を見据えての訓練だ。すぐに効果が出る者もいれば、長い目で見なきゃならん者もいる。不満もあるだろうが、お前等はまだまだ発展途上、方向さえ間違えなきゃ上手く成長するだろうさ」

 

 そう前置きしてから、アザゼルは個々の特訓目標を言い渡した。

 リアスは基礎トレーニングの他、ゲームの映像記録やデータを研究し、『(キング)』としての機転や判断力を身に付ける。

 朱乃は自分に流れる堕天使の血を受け入れ、雷に光を乗せた『雷光』を放てるようにする。

 祐美は『禁手(バランス・ブレイカー)』を最低一日は維持出来るようにし、戦闘力を底上げする。

 ゼノヴィアはデュランダルを今以上に使いこなせるよう、剣の精度を上げる。

 アーシアは基礎トレーニングによる体力と魔力の向上に加えて【神器(セイクリッド・ギア)】の強化。目標は離れた所に回復のオーラを飛ばせるようになる事。

 小猫ちゃんは『戦車(ルーク)』として申し分ない能力を持ってるが、グレモリー眷属には彼女以上の攻撃力の持ち主が大勢いる。彼女がこれからも戦力になる為に、自分の本性を晒け出せと忠告されていた。

 そしてイッセーは自力で『禁手(バランス・ブレイカー)』になる事。それには実戦形式が一番だそうで、その相手としてバカデカいドラゴン──元龍王で最上級悪魔のタンニーンがやって来た。イッセーは彼に連れられ、遠くの山の中で特訓(サバイバル)するそうだ。合掌。 

 

 それぞれが訓練を開始した。だが、

 

「あの、アザゼル先生? 俺だけ何も言われて無いんですが?」

 

「ああ、一輝か。お前はなぁ・・・・」

 

 アザゼルは頭を掻いて目を逸らす。

 

「お前はまあ、好きにしろ」

 

「はあ?」

 

「いや、正直お前に教える事ってねえんだよ。ある意味完成してるからな」

 

「そう、なんですか・・・・?」

 

「不破圓明流という武術の使い手で、身体強化の魔術を使い、【ガイバー】というリストにはない正体不明の【神器(セイクリッド・ギア)】まで持っていて、変身、いや殖装すればコカビエルやヴァーリすら倒す。そんな奴に今更俺が教える事っつってもなぁ・・・・」

 

 そう言われてしまった。喜んでいいのか良く分からん。とその時、

 

「それならちょうど良かった」

 

 いきなりグレイフィアさんが割り込んで来た。

 

「おまっ・・・・どっから涌いた?」

 

 アザゼルがそう言うと同時にグレイフィアさんの鋭い拳がアザゼルの腹にめり込んだ。

 

「げふっ・・・・!」

 

「失礼な、私は虫ですか・・・・(コホンッ) 一輝さん、一緒に来ていただけますか?」

 

 その言葉で呆然としていた俺は我に返った。

 

「あ、はい。でもどこに?」

 

「魔王領へ。サーゼクス様がお待ちです」

 

 俺は魔王様の召集に従い、グレイフィアさんと共に魔王領へ向かった。

 

 

 

 

 

 転移魔方陣で魔王領にあるサーゼクスの執務室前に一輝()とグレイフィアさんは転移した。

 

「サーゼクス様。一輝さんをお連れしました」

 

「ご苦労。良く来てくれたね、一輝君」

 

「いえ。それで俺に何の用です?」

 

「うん。君の手腕を見込んで仕事を頼みたい。──これを見てくれ」 

 

 サーゼクス様が差し出した書類を手に取ると、ある人物の手配書と彼女の調査報告書だった。

 

「SS級はぐれ悪魔、黒歌。彼女が冥界に入り込んだとの報告を受けた」

 

 俺は報告書を斜め読みしながらサーゼクス様の話を聞く。

 

「彼女の正体は猫又、その中でも強い力を持つ猫魈という種族で、その力を見込まれある貴族の眷属──僧侶(ビショップ)になりました。ですが力が増大するにつれて主の制御を外れ、最後には主を殺して『はぐれ』になりました。その後多くの追っ手が差し向けられましたが、悉く返り討ちされ、今では迂闊に手を出す事が出来ない危険指定──SS級に認定されています。因みに──彼女は小猫さんの実の姉です」

 

 グレイフィアさんの説明に驚き、俺は眉をひそめた。

 

「・・・・その黒歌が冥界に入り込んだのが先日確認された」

 

 サーゼクス様が数枚の写真を渡す。その写真には長い黒髪に猫耳の妖艶な美女と中華風の鎧を纏った若い男が写っていた。

 

「この男は───」

 

「やはり見覚えあるかね?」

 

「はい、こいつは美猴。白龍皇──ヴァーリの仲間です」

 

「成る程、ヴァーリ・ルシファーの・・・・」

 

「その者と行動を共にしているとなれば、黒歌もまた白龍皇の仲間なのでしょう」

 

 SS級のはぐれ悪魔と孫悟空の孫のコンビか。こういう連中は正面から来ないで術を使った搦め手で攻めて来そうで厄介だな。 

 

「それで俺に頼みたいというのは、この黒歌の捕縛ですか?」

 

「その通りだ。頼めるかい?」

 

 サーゼクス様に訊かれ、俺は暫し考える。

 

「黒歌だけじゃなく美猴もいるとなれば捕縛、という訳にはいかないかも知れませんが・・・・?」

 

 『禍の団』の情報を掴む為にも捕縛が望ましいが、美猴もいて二対一となればそうもいかないかも知れない。出来れば小猫ちゃんの姉を殺したくは無いが、場合によってはその可能性もあると暗に匂わせ、訊ねてみる。

 

「その時は君の判断に任せよう。それで? 依頼を受けてくれるかい?」

 

 俺は暫し考えて決断した。

 

「・・・・分かりました。その依頼、お受けします」

 

 

 

 

 

「よろしいのですか? 一輝さん一人に任せて。かなり厄介な相手ですよ」

 

「勿論だ。これは彼の最終試験でもあるからね」 

 

 グレイフィアの問いに彼女の淹れた紅茶で喉を潤わせてからサーゼクス()は答える。

 

「彼の戦闘力は充分見せて貰った。だが『(キング)』になるにはそれだけでは駄目だ。黒歌と対峙して彼がどうするのか、見せて貰おうじゃないか」

 

 一輝君。君が『王』としての器を持っているか見せて貰うよ。

 

 

 

 

 




読んでいただきありがとうございます。
私のスマホでは猫ショウのショウという字が出てきませんでした。
そこだけ片仮名や平仮名にするのも、当て字にするのも雰囲気が出ないので、本作では猫ショウという言葉は使わない方向でいきます。

 →20211113、修正しました。 
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