※この作品はR-18です。

ハイスクールD×G~駒王町の規格外品   作:Tokaz

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感想並びに誤字報告ありがとうございます。
今回はシトリーとのゲームの後半戦をお送りします。
それでは第24話をご覧下さい。


第24話 決着!シトリーVSグレモリー

 

 

 ギイィィィンッ!!

 

 白刃が交わる鋭い金属音が駐車場に響く。

 祐美()とゼノヴィアもシトリー眷属との戦闘に突入していた。

 私の相手はシトリーの『女王(クイーン)森羅椿姫(しんらつばき)副会長。手にした長刀を縦横無尽に操り、付け入る隙をみせない。

 ゼノヴィアは『騎士(ナイト)』の巡巴(めぐりともえ)さんと戦っている。巡さんはテクニックタイプの騎士で、パワータイプのゼノヴィアは相性が悪い。日本刀を繰り出し、巧くデュランダルをいなしている。

 そしてもう一人、『戦車(ルーク)』の由良翼紗(ゆらつばさ)さんがジッと戦況を見つめている。恐らく私かゼノヴィアのどちらかが有利、あるいは不利になったら加勢するつもりなのだろう。先程シトリーの兵士が一人リタイヤしたとアナウンスがあった。それから振るう刃が苛烈になった気がする。

 ゼノヴィアのデュランダルは勿論、私の聖魔剣も悪魔に対する特効がある。一太刀浴びせれば一気に優位に立てる筈。そう考えていると巡さんがゼノヴィアの一撃を受けて吹き飛ばされた。デュランダルの強烈な聖のオーラに消耗したらしい。ゼノヴィアがチャンスとばかりにデュランダルを振りかざす。だが、二人の間に由良さんが割り込んだ。

 

反転(リバース)!!」

 

 由良さんの放った波動を浴びた途端、デュランダルから聖なるオーラが消えた。由良さんはデュランダルを白刃取りするとゼノヴィアを蹴り飛ばした。

 あれは何? 術式? 神器? 反転というからにはデュランダルの聖なるオーラを魔のオーラに変えて無効化したという事?

 いずれにしてもゼノヴィアとは相性が悪い。ここは───

 

「ゼノヴィア、スイッチ!」

 

 私は森羅副会長を弾き飛ばすと、由良さんへと駆け出す。ゼノヴィアも起き上がると副会長に襲いかかった。

 これでいい。森羅副会長と剣を合わせたけど彼女は防御が固い。私ではパワー不足だけど、ゼノヴィアのパワーなら突破出来る。

 その考えが当たったのか、ゼノヴィアの猛攻に副会長は長刀を取り落とし、壁際まで追い詰められた。

  

「貰ったぞ!シトリーの女王!!」

 

 ゼノヴィアがトドメの一撃を振り降ろしたその時、森羅副会長の前に巨大な鏡が出現した。

 ゼノヴィアは勢いを止められず、そのまま鏡を破壊した。

 

 ガシャァァァンッ!!

 

 鏡の割れた音が響く。そして割れた鏡から凄まじい衝撃が発生し、そのままゼノヴィアに襲いかかった。

 

「────っ!!?」

 

 ゼノヴィアは衝撃をまともに浴びて、鮮血を撒き散らしながら倒れた。あれは一体!?

 

神器(セイクリッド・ギア)追憶の鏡(ミラー・アリス)】。この鏡は破壊された衝撃を倍にして相手に返します。私はカウンター使いよ。パワータイプのゼノヴィアさんを私に当てたのは失策だったわね」

 

 やられた! 先に由良さんの『反転』を私に見せて、相手を替えるよう誘われたんだ!

 私は倒れたゼノヴィアに駆け寄り、悔しさのあまりきつく唇を噛む。

 

「ごめんなさいゼノヴィア。私のせいで・・・・」

 

 手玉に取られたのも悔しいけど、何より自分の判断ミスでゼノヴィアを負傷させたのが悔しかった。ゼノヴィアの黒い戦闘服はあちこちが破れ、露出した肌が鮮血に塗れている。この傷ではもう戦えまい。転送され、リタイヤするのを待つだけだ。

 

「謝るな・・・・カウンターを喰らったのは私のミスだ。立ち塞がる物を破壊しようとする・・・・フフ、これだから一輝センパイから“脳筋”なんて言われるんだろうな・・・・」

 

「バカね・・・・分かっているなら直しなさいよ」

 

「善処しよう・・・・祐美、下を向くな。前を向いて戦え。お前が勝利する姿を私に見せてくれ」

 

 私はゼノヴィアの手を握り締める。

 

「ええ。見ていてゼノヴィア」

 

 私は立ち上がって振り返る。

 

「攻撃して来ないなんて随分と優しいんですね」

 

 シトリー眷属の三人が10m程離れた所でこちらを見つめている。

 

「野暮な事はしたくないの。それで? 覚悟は出来たかしら?」

 

 代表して森羅副会長が答える。

 

「出来ましたよ───貴女達三人を倒してゼノヴィアの仇を討つ覚悟が!」

 

「愚かな・・・・三対一で勝てると思ってるの!? 」

 

 副会長の声と共に三人が襲い来る。私は聖魔剣を消して新たな力を紡ぐ。

 

「【魔剣創造(ソード・バース)】! 私の想いに応え、カタチを変えて顕現なさい!!」

 

 私の想いに応えて【魔剣創造】が今までとは違うカタチで発動する。

 

「あ、あれは───!?」

 

 私の背後にいくつもの魔剣が出現し、由良さん達目掛けて射出される。

 

「くっ! 何だこれ!? こんな能力聞いてないぞ!?」

 

「駄目! 反転を使う隙がないよぅ!?」

 

 副会長は長刀で、由良さんは拳で、巡さんは日本刀で飛来する魔剣を迎え撃つけど、数が多くて対処仕切れず、徐々に傷付いて行く。そして遂に魔剣が由良さんと巡さんの身体を貫いた──!

 

「「きゃああぁぁぁっっ!!」」

 

『ソーナ・シトリー様の戦車(ルーク)一名、騎士(ナイト)一名リタイヤ』

 

 ダメージを負った由良さんと巡さんが光を発して消えて行った。私の魔力も限界だ。私が一旦【魔剣創造】を解除すると、森羅副会長が力尽きたように膝を付いた。

 

「はあ、はあ、い、今のは一体・・・・?」

 

「今回の修業で身に付けた【魔剣創造】の新形態、【魔剣流星群(ソード・バース・ミーティア)】です」

 

 【魔剣流星群(ソード・バース・ミーティア)】。このアイデアをくれたのは一輝先輩だった。

 

 

『思えば、聖魔剣を手に入れてから他の魔剣を使わなくなったよな。状況に応じて多種多様な魔剣を創り出す器用さがお前の持ち味の筈だ──』

 

 

 かつて朝練の最中に一輝先輩からそう指摘された事がある。

 それ以来私は【魔剣創造(ソード・バース)】の『禁手(バランス・ブレイカー)』以外の使い方を模索していた。そんなある日、先輩と一緒にとあるアニメを観た。

 そのキャラクターの技をヒントに編み出したのが【魔剣流星群(ソード・バース・ミーティア)】だ。

 私の【魔剣創造(ソード・バース)】の能力は魔剣を創り出す事。手元に創り出すのが一番簡単だけど、これまでだって地面からいくつもの魔剣を創り出して敵を攻撃する事は出来た。ならば自分の指定した場所に魔剣を創り出し、射出する事も出来るのではと考え、修業の末にようやく会得したのだ。

 今の私が一度に創り出せる魔剣は八本。まだ本数も少なくコントロールも甘いけど、私の魔力が続く限り攻撃し続けられる。何より近接攻撃しか出来なかった私が遠距離攻撃出来るようになったのは大きい。

 

 

「──やられたわ。悔しいけど退かせて貰うわ。機会があったら再戦しましょう・・・・」

 

 捨て台詞を吐いて森羅副会長が逃走した。残念だけど仕方がない。今は───

 

「ゼノヴィア!?」

 

 私が振り返った時、ゼノヴィアは光の中に消える所だった。

 

「────」

 

 彼女は私に向かって強く頷くと、笑顔で光の中に消えていった。

 

『リアス・グレモリー様の騎士(ナイト)、一名リタイヤ』

 

 私しかいなくなった駐車場にアナウンスが流れる。

 

「・・・・また負けられない理由が増えちゃったな」

 

 私は拳を握り締め、侵攻を再開した。

 

 

 

 

 

 匙を倒したイッセー()と白音ちゃんは侵攻を再開した。

 それは良いんだが不安材料がひとつ。俺の右腕に繋がったラインが消えないのだ。ラインを作った匙は倒したというのに黒いラインは消えず、ショッピングモールの奥へと繋がっている。何だかスゲエ不気味だ。

 白音ちゃんのパワーでも千切れないので、祐美かゼノヴィアと合流して聖剣で切って貰うしかないか、と結論付けた時、うちの騎士一名とシトリーの騎士と戦車がリタイヤしたというアナウンスが流れた。敵二名の撃破は喜ばしいが、うちからも被害が出てしまった。どっちだろう?

 

「恐らくゼノヴィア先輩でしょうね・・・・」

 

 うん、俺もそう思う。祐美はライザーとのゲームでも最後まで生き残ってたし、最近のあいつはメキメキ強くなっている。正直祐美がやられるのが想像出来ない。

 だとすれば、ゼノヴィアの奴悔しかったろうな。初めてのゲームだってあんなに張り切ってたのに・・・・

 

『オフェンスの皆、聞こえる? これからの作戦を指示するわ』

 

 そんな事を考えていると部長からの通信が届いた。ゲームはいよいよ終盤に入ろうとしていた。

 

 

 

 

 

 ショッピングモールの中心部に広場のように開けた場所がある。そこに結界に覆われたソーナ会長が静かに佇んでいた。

 結界を張ってるのは二人の『僧侶(ビショップ)』、二年の花戒桃(はなかいもも)先輩と草下憐耶(くさかれや)先輩。そしてイッセー先輩に繋がったラインは花戒先輩が持つバッグから伸びていた。

 

「ごきげんよう、兵藤一誠君、塔城白音さん。・・・・成る程、匙と留流子を倒したのは貴方達ですか」

 

 ソーナ会長の冷徹な眼差しが白音()達を射抜く。その会長の隣にどこから来たのか、森羅椿姫副会長が舞い降りて長刀を構えた。

 部長からの通信では祐美先輩と戦い、深手を負った筈なのにそんな様子は見当たらない。という事は会長は彼女に『フェニックスの涙』を使ったのか。

 

「珍しいわねソーナ。慎重な貴女が前線に出て来るなんて」

 

 私達の後ろから部長と朱乃さん、アーシア先輩と姉様が姿を見せる。更に反対側から祐美先輩も現れ、会長達を完全に包囲した。

 

「貴女は相変わらず自分から前に出て来るのね、リアス」

 

「どのみちこのゲームも終盤。それに『(キング)』自ら動かなければ下僕は付いて来ないわ」

 

「フフ、その持論も変わらないのね・・・・いいでしょう、決着を付けましょう」

 

 いざ決戦となったその時、イッセー先輩が立ちくらみを起こし、その場に膝を着いた。

 慌ててアーシア先輩が治療するけど効果がない。私はその時、イッセー先輩の生命力が減っている事に気付いた。

 

「無駄よリアス。確かに赤龍帝の力は驚異だわ。でも、何より厄介なのは兵藤君自身。ライザー戦で見せた決して諦めない“根性”や白龍皇戦で見せた“爆発力”は、例え敗れたとしても貴女達を奮い立たせる。だから彼には何も出来ないまま退場して貰います。その為の布石を匙は打ってくれたわ」

 

 花戒先輩がバッグの中からラインの繋がった──あれは血液パック?を取り出した。

 やられた! あのラインはイッセー先輩の血液を吸い取っていたんだ! 血液の半分も失えば致死量だ。そうなれば戦闘不能とみなされ強制的に転送されてしまう。あの時間稼ぎはこの為だったんだ!

 祐美先輩が短剣を創り出し、ラインを切断するも遅かった。ラインから噴き出した血液が辺りを赤く染める。

 

「ち、ちくしょう・・・・」

 

 イッセー先輩はそのまま血の海に倒れ、光を発して消えて行った。

 

『リアス・グレモリー様の兵士(ポーン)、一名リタイヤ』

 

 無情なアナウンスが流れる。

 完全にしてやられた。私がイッセー先輩の生命力が減ってる事にもっと早く気付いていれば! 姉様ならきっと気付いただろう。自分の未熟さに怒りを覚える。

 

「・・・・やってくれたわねソーナ!」

 

 部長は怒り込めて会長を睨むも、会長は変わらぬ冷徹な眼差しを部長に向け、冷笑を浮かべた。

 

「ふふ、相変わらずねリアス。眷属に対する情愛が深いのは貴女の長所でもあるけど、レーティングゲームでは短所になるわよ。『(キング)』は常に冷静でいないと」

 

「・・・・そうね。でも追い詰められた時、貴女は冷静でいられるのかしら?」

 

「? 何ですって・・・・!!?」

 

 その時、常に冷静だった会長の顔に驚愕が浮かんだ。

 

「馬鹿な・・・・何故貴女がここにいるの、朱乃(・・)!?」

 

 会長の台詞にこの場にいるシトリー眷属の顔色が変わる。それと同時にこの場にいる部長と朱乃さん、姉様の姿がスゥっと消えた。

 

「幻術・・・・!?」

 

『そうよ。そこにいた私と朱乃、黒歌は幻術で作った幻よ。黒歌の術は大したものでしょう?』

 

 アーシア先輩の通信機から流れる部長の声に、シトリー眷属は悔しそうに顔を歪めた。 

 

 

 

 

 

 朱乃の通信機からリアスの声が流れる。

 ソーナ()はこの時、自分の作戦が破綻した事を悟った。

 

「どうして分かったの? 広場にいる私は虚像で、本体はここ屋上にいるって」

 

「全てはグレモリー眷属(私達)の『僧侶(ビショップ)』、黒歌さんのお陰ですわ」 

 

 朱乃はチラリと後ろに視線を向ける。そこにはいつの間に現れたのか、猫耳を生やした和服美女が退屈そうに欠伸していた。そう、彼女が・・・・

 

「黒歌さんは仙術の達人。ゲーム開始当初から、彼女は斥候として貴女達の動向を探っていたのです。貴女が単身屋上に向かったと聞いたリアスは、私達を向かわせてこう命じました──ソーナ、貴女を倒せ、と・・・・」

 

「ではリアスは今・・・・」

 

「ええ。彼女は本陣を一歩も動いてませんわ」

 

 ───そうか。今回のゲームでの最大の失敗はリアスを見くびった事か。

 彼女は情愛深いと云われるグレモリーの直系。私がここにいる事を知れば、眷属が傷付くのを嫌ってあの娘自身が出向いて来る、私がリアスに勝つには『(キング)』同士の直接対決しか手はないと思っていた。少しでも戦力を消耗させようと広場に誘き寄せたのに全てひっくり返されてしまった。

 

「──という訳です。ではよろしくて?」

 

 朱乃の身体から黄金のオーラが迸る。以前とは桁違いのオーラ量、彼女もまた強くなってる。

 私は朱乃に、そして後に控える黒歌に勝てるだろうか───

 

 

 

 

「馬鹿な・・・・何故貴女がここにいるの、朱乃!?」  

  

 突然会長が叫んだと思ったら、その姿が映りの悪くなったテレビのようにブレて消えてしまった。

 

「会長は今、朱乃さん相手に戦い始めた頃でしょう。貴女達の策は破綻しました。ここまでです」

 

 祐美()は降伏勧告のつもりで告げた。だけど、

 

「まだよ! 急いで貴女達を倒して救援に行けば、まだ間に合うかも知れない! 私達は決して諦めないわ!!」

 

 森羅副会長の声に二人の僧侶──花戒さんと草下さんも意を決したように身構える。そうよね。同じ立場なら私もそうするわ。

 貴女達を会長の救援に行かせる訳にはいかない。必ずここで倒す!

 

「アーシアさん、下がって」

 

「はい。気を付けて下さいね」

 

 アーシアさんを後ろに下げて、聖魔剣を創り出そうとしたら、白音ちゃんがもう副会長に戦いを挑んでいた。彼女とは決着を着けたかったけど仕方がないか。

 

「私の相手は貴女達か・・・・」

 

 花戒桃さんと草下憐耶さん。事前情報では二人はディフェンスやサポート向きで攻撃力は高くないらしい。やはり気を付けるのはあの『反転』の術式か。ならば反転する隙を与えず、一気に仕止める!

 

「【魔剣創造(ソード・バース)】!!」

 

 私は虚空に魔剣を創り出して射出する。その数十二。魔剣は二人を囲むように床に突き刺さり、魔剣の円陣を形作る。そしてひとつの魔剣から雷が迸ると、連鎖するように一本、また一本と雷が疾り、やがて十二本全てに雷が疾り、円陣内は雷の檻と化した。

 

「「きゃああああーーーーーっっ!!」」

 

 これが新たに編み出した【魔剣流星群(ソード・バース・ミーティア)】の派生技、【雷の魔剣の檻(ソード・バース・サンダージェイル)】。

 【魔剣流星群(ソード・バース・ミーティア)】はただの魔剣を射出したものだけど、【雷の魔剣の檻(ソード・バース・サンダージェイル)】は属性付加した雷の魔剣で檻を作り、対象を焼き尽くすものだ。一本一本の威力は弱いけど、十二本束ねれば朱乃さんの雷撃にも匹敵する威力を発揮する。

 

『ソーナ・シトリー様の僧侶(ビショップ)、二名リタイヤ』

 

 激しい雷の中、二人の姿は消えて行った。

 

 

 

 

 地を這うような低い姿勢からボディへ一撃。だけど副会長の長刀に邪魔されてしまう。この人巧い! ただでさえリーチに差があるのに防御が固くて拳を打ち込めない。ならば!

 私は掬い上げるように迫る長刀の柄に足を掛けて、振り上げる勢いに乗って自分から飛んで距離を取った。

 

「───ふっ!」

 

 私は気を込めた拳を床に打ち込む。そこから衝撃波が疾り、副会長を襲った。

 

「くあぁっ!!」

 

 これは仙術の一種で、闘気を遠くへ飛ばす“遠当て”と呼ばれる技のひとつ。一撃で倒せる程の威力はないけど、隙を作るにはこれで充分!

 

 その時、激しい雷が迸り、二人の僧侶が撃破されたとアナウンスが流れる。祐美先輩がやった。ならば!

 私は闘気による身体強化を施し、白いオーラを纏う。一輝先輩! 教えて貰った技、今こそ使わせて貰います!!

 

 一瞬で距離を詰めた私は、副会長のボディに軽く拳を添えた。

 

「───破っ!!」

 

 拳だけのスピードで副会長の身体を撃ち抜く。その衝撃に吹き飛ぶ副会長。彼女の腹部には拳大に陥没した跡があった。

 

 不破圓明流【虎砲】。

 

 闘気を使った戦闘を身に付けた私に、ぴったりの技だと一輝先輩が教えてくれた技だ。未だモドキではあるが、先輩からは及第点を貰っていた。

 

「くっ、ごめんソーナ・・・・・・」

 

『ソーナ・シトリー様の女王(クイーン)、リタイヤ』

 

 森羅副会長が光の中に消えて行く。

 

 広場での戦いは終わった。後は───

 

「後は頼みます、姉様、朱乃先輩」

 

 

 

 

 

 

 大量の水が渦巻き、雷鳴が轟く。

 二人共大した威力だにゃん。同じウイザードタイプでも朱乃ちんはパワー寄り、ソーナちんはテクニック寄り。サポート寄りの黒歌()には無い威力の魔法を繰り出していて、少し羨ましいにゃん。

 フェニックス家が炎を操るようにシトリー家は水を操る。彼女が屋上(ここ)に陣取った理由は屋上には巨大な貯水タンクがあるからなんだろう。今も貯水タンクから取り出した水を操り、朱乃ちんの雷撃を水の防壁で防いでるにゃ。

 これには朱乃ちんも驚いてる。確かに水は電気を通す筈だし、なんで感電しないのかにゃ?

 

「無駄ですよ朱乃。私の操る水は不純物を除去した“純水”です。電気を通さない“純水”に貴女の雷撃は通用しません」

 

 大したものにゃ。知識といい純水を精製する速さや正確さといい、ソーナちんの技術(テクニック)は私以上かもしれないにゃん。

 でも得意の雷撃が通じないとなると、朱乃ちんに勝ち目は無いかにゃ?

 

「朱乃ち~ん、交替する?」

 

 攻めあぐねる朱乃ちんに声をかける。まぁ答えは分かってるけど。

 

「無用です。貴女はのんびり見物していて下さい」

 

 だろうにゃ。自分の得意技が効かない位で退くようじゃ、眷属の女王(クイーン)は務まらないにゃん。なら見せて貰うにゃん、『雷の巫女』の真価を。

 

 

 

 

 

 黒歌さんに煽られ、思わず答えたけど、私の心は暗かった。

 ソーナの純水の防壁を打ち破る力が今の私にはある。けど私は今回の修業で身に付けたこの力を出来れば使いたくなかった。そんな時、

 

『ソーナ・シトリー様の僧侶(ビショップ)、二名リタイヤ』

 

『ソーナ・シトリー様の女王(クイーン)、リタイヤ』

 

 立て続けにアナウンスが流れた。皆がやってくれたんだ。皆が立派に役目を果たしてくれたのなら、女王(クイーン)の私もやらなくては!

 私が決意を固めようとしたその時、

 

「朱乃ち~ん? ここでソーナちんを倒したら、今日のMVPは決まりにゃ。そうしたら一輝が一杯褒めてくれるかも知れないにゃ~ん?」

 

「・・・・・・・・」

 

 

 

 

 ドンッという音がして空間が震える。

 

「なっ・・・・・・!?」

 

 驚きのあまり声を漏らしたソーナ()の前に、全身から黄金のオーラを立ち昇らせる朱乃がいた。

 朱乃のオーラは空に届く程強大で、溢れ出る魔力が雷に変換され、バチバチと放電を繰り返していた。

 その強大さに私は唾を飲み込む。当の朱乃は何やらブツブツと呟いていた。

 

──うふふふふ。一輝が褒めてくれる。ううん、きっと褒めるだけじゃ終わらないわ。優しく頭を撫でて、抱きしめてくれて、そのままキスされたりして、二人共盛り上がっちゃったらもう最後までイクしかないわ。始めは優しくしてくれるんだけど、一輝ったら段々夢中になってガンガン腰を振ってくるわ。一輝のおっきなモノで乱暴に突かれたら私何回イッちゃうのかしら?でも一輝は一回位じゃ治まらないから、何度も何度もイかされて、最後には足腰立たない位無茶苦茶にされたら私、私は────っあ❤」

 

 いつしか朱乃は身体を抱きしめ、クネクネと悶え始める。頬を染め、瞳を潤ませた朱乃は同性の私から見ても色っぽかった。しかもあの娘、段々声が大きくなってるから最後の方は丸聞こえだわ!?

 

「朱乃!? あ、貴女何ハレンチな事を口走ってるのよ!!」

 

 私が顔を真っ赤にして注意するも、朱乃は全く聞いてなかった。

 

「うふふふふ。待ってて一輝♪ まな板会長をサクっと倒して、貴方の朱乃が参りますわ~❤」

 

 

 ブチッ!!

 

 

 朱乃の一言で私は切れた。

 

「誰がまな板よ! 少し位なら段差はあるもん!!」

 

「あら失礼。まな板じゃなくって洗濯板でしたわね。まぁ私には違いが全く分かりませんけど?」

 

「ふん! 朱乃みたいに無駄に大きかったら、将来絶対垂れるに決まってるんだからぁ!!」

 

「誰が垂れるかぁっ!!」

 

 私は青の、朱乃は黄金のオーラを漲らせて再び激突する。

 朱乃の後ろで黒歌がお腹を抱えて笑ってる。あの性悪猫め! あいつは後回しだ。取り敢えず朱乃を先に殺る! 

 私は大量の水を操り、水の(ドラゴン)を作り出す。

 

「喰らいなさい、朱乃───!!」

 

 私の命令に水の龍が襲いかかる。けど朱乃は両手に雷球を作り出すと一気に放出した。

 

 ドガガガガアアァァァッッンン!!

 

 雷鳴が轟き、朱乃の雷撃が水の龍を貫く。その衝撃が伝わり、私は苦悶の声を上げた。

 馬鹿な! 純水で作った龍に衝撃が伝わるなんて、これは今までの雷撃じゃない!?

 

「無駄よソーナ。これはただの雷撃じゃなく光を乗せた【雷光】。純水では防げないわ」

 

 朱乃が再び【雷光】を放つ。

 眼前を染める白い光の中、私は意識を失った。

 

 

『ソーナ・シトリー様のリタイヤを確認。よってこのゲームはリアス・グレモリー様の勝利です!』

 

 

 グレイフィアさんのアナウンスがゲームの終了を告げた。

 

 

 

 

 

「ホッホッホ。・・・・成る程のう、これが冥界の未来か。サーゼクス、お主が自慢気に語るのも分かるわい」

 

「恐縮です、オーディン殿」

 

「シトリーも赤龍帝を倒した戦略は見事じゃった。あの『兵士(ポーン)』の小僧は大事に育てるが良いぞ、セラフォルー」

 

「勿論よ、オジ様」

 

「何より今回グレモリーで評価すべきなのは猫耳の姉ちゃんの働きと、お主の妹が最後まで動かなかった事じゃな」

 

「リアスと黒歌ですか?・・・・新しい能力を発現した祐美君や白音君ではなく?」

 

「其奴らもいいが今回のゲーム、勝利の決め手となったのは猫耳の姉ちゃんが的確にシトリーの動向を掴んでいたお陰じゃ。それがなければ広場での戦いでシトリーは遅滞戦術を仕掛け、グレモリーは無駄に消耗していたじゃろう。あの姉ちゃんはあの中では頭ひとつ抜きん出た実力(ちから)があるぞい」

 

「確かに・・・・」

 

「リアスも情報を正確に分析し、最後まで動かず朱乃でソーナを獲った。これは今までのリアスには無い、『(キング)』としての成長の賜物だ。評価すべきだと俺も思うぜ」

 

「烏の親分の言う通りじゃな。・・・・しかしこのチームにあ奴(・・)が加わったら・・・・レーティングゲームは益々面白くなるかもしれんのう」

 

 ジジィはアザゼル()等のいる席から少し離れた席でミリキャスと話している一輝を見ていた。

 確かに成長著しいあいつらに一輝が加われば、不動のレーティングゲーム上位者にも一泡吹かせられるかもな。

 全く、鍛え甲斐のある連中だ。あいつらのお陰で毎日が楽しくて仕方がないぜ。

 

 

 

 

 

 

 




読んでいただきありがとうございます。

祐美と白音の新技のモデルは某英雄王の宝具と餓狼伝のパワーウェイブです。本作の祐美と白音は普段から一輝と訓練を積んでるので、原作より強い設定です。

原作ではここでイッセーのパイリンガルが炸裂しますが、筆者があの技が好きじゃないので、本作では無かった事にします。
これでイッセーの変態度は下がりましたが、また少し弱体化してしまいました。

次回はゲームのその後と冥界からの帰還をお送りします。

夏休みの閑話、どれが読みたい?

  • ヴェネラナの性教育
  • グレイフィアの性活指導
  • フェニックス家のお茶会
  • もったいぶらんと全部書け
  • そんなのいいからはよ本編書け
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