※この作品はR-18です。

ハイスクールD×G~駒王町の規格外品   作:Tokaz

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前回のグレイフィア編、沢山の感想ありがとうございます。
彼女の人気の高さを改めて感じると共に概ね好評をいただき、ホっとしています。
次の原作第6巻のエピソードが終わったら、また閑話で続きを書きたいと思うので、気長にお待ち下さい。

今回の閑話は予告した通り短編集をお送りします。
後の伏線となる話もあるのでお楽しみ下さい。



閑話3 冥界の騒がしい日常☆(レイヴェル)

 

 

3ー1 ヒーロー誕生

 

 

「ヒーローショー、ですか?」

 

「うん、そうなんだよ!」

 

 ある日、サーゼクス様に呼び出された一輝()はいきなりグレモリー家の新ビジネスとしてヒーローショーを企画していると教えられた。

 冥界の娯楽は少ない。何せ最大の娯楽がレーティングゲームの試合だという位だ。

 確かにレーティングゲームは観るのもやるのも面白い。でもゲームの内容は多種多様、競技によってはルールも複雑で時間の掛かるものもある。つまり子供は飽きてしまうのだ。

 そこでサーゼクス様は冥界の未来を担う子供達の為の娯楽として、人間界で観たヒーローショーを開催し、それを定着させようというのだ。

 

「結構な事だと思いますが、俺を呼んだのは何故です?」

 

 何となく嫌な予感がして訊ねると、我が意を得たりとばかりにサーゼクス様が笑った。嫌な予感確定だ。

 

「うん、実は君にヒーローショーの主役をやって欲しいんだ!」

 

 やけに嬉しそうにサーゼクス様が言い、咄嗟に逃げようとした俺を引き止める。

 

「まあまあ、話位聞いてくれてもいいだろう? 座りたまえ。グレイフィアお茶を」

 

「はい。──どうぞ一輝さん」

 

 あっという間にテーブルに紅茶とクッキーが並べられる。この早業、流石だ。

 

「さぁ座って。このクッキーはグレイフィアのお手製だ。美味いよ」

 

 俺は黙って腰を下ろした。あ、本当に美味い。

 

「・・・・俺を主役に、という事はショーの要であるヒーローに“ガイバー”を据えるつもりですか?」

 

 紅茶とクッキーを口にしながらサーゼクス様と話をする。

 

「うん、そうなんだよ」

 

「成る程。俺自身が演じれば低予算、なおかつ短期間で開催も出来る。加えてリアス達の出演も期待出来ると」

 

「うんうん、その通りだよ」

 

「更に言えばこのショーで顔と名前を売って、来たるべき『禍の団(カオス・ブリゲート)』との戦いまでにガイバー=ヒーローという図式を作り上げ、子供達に希望を持たせよう、といった所ですかね?」

 

「凄いな、完璧だよ!」

 

 サーゼクス様は満面の笑顔だ。確かにそう考えればいい事ずくめだ。

 俺自身としても顔と名前を売れば眷属志望者が現れるかもしれないし、成功すれば単純に金が儲かる。創設したばかりの我が『不破家』にはとにかく予算が足りない。リアスの眷属として働いてそれなりに稼いではいるが、貴族家の創設費用としてはまるで足りないのだ。

 いつまでも嫁の実家に頼っていては貴族の沽券に係わるし、金はいくらあってもいい。そう考えるとこの話は渡りに船なんだが・・・・

 

「成る程。いい話だと思います」

 

「だろう! では協力してくれるね!?」

 

「ですがその前に、ガイバーのデザインって子供ウケしますかね?」

 

「えっ、と・・・・・・?」 

 

「自分でいうのも何ですが、ガイバーってちょっとグロい所がありますから果たして子供達に受け入れて貰えるか・・・・」

 

 頭部センサーがグリグリ動く所とか、必殺技である胸部粒子砲(メガ・スマッシャー)を発射する所とか中高生位の年代にはウケると思うが、幼児に泣かれでもしたら目も当てられん。

 

「う~ん、盲点だった・・・・」

 

「どうします? やめときますか?」

 

 俺の言葉にサーゼクス様は考え込む。子供達の為のヒーローショーでガイバーが出て来たら、下手すれば怪人と勘違いされかねんぞ?

 言葉を失い考え込む俺達。そんな俺達にグレイフィアさんの呆れたような声が舞い降りた。

 

「・・・・取り敢えず少人数子供達を集めてプレ公演してみてはいかがです? その反応を見て中止か続行か決めたら良いのでは?」

 

 鶴の一声に俺とサーゼクス様は顔を見合わせた。

 

「「じゃあそれで」」

 

 

 

 

 余談ではあるが俺達の不安に反してプレ公演は大成功。心配していたガイバーのデザインだが、子供達は問題なく受け入れてくれた。冥界の子供達は逞しいな。

 

 こうして冥界初のヒーローショーとして、『強殖装甲ガイバー』は正式にスタートした。

 

 

 

 


 

 

 

3ー2 ああ、お師匠さまっ

 

 

 魔方陣に乗って移動した先は、空気の美味い風光明媚な所だった。

 

「先輩こっちです」

 

 祐美に連れられて暫く歩くと、平屋建ての順日本風の屋敷が見えて来た。

 

「ここか?」

 

「はい。───お師匠さま、祐美です! いらっしゃいますか!?」

 

 開けっ放しの門前から祐美が叫ぶと、

 

「祐美かい? 庭にいるから入っておいで」

 

 そう答える声があった。 

 

「行きましょう、先輩♪」

 

 門を潜って左へ進む。角を曲がって抜けた先には大きな一本の桜の木があった。春には綺麗な花を咲かせるだろう木の下には一人の少女の姿があった。

 大正時代のような桜色の着物と緋色の袴、更にはブーツらしき物を履いた、まるで桜の化身のような少女だった。

 

「お師匠さま!」

 

 桜の少女に向かって手を振る祐美。その声に反応して彼女が振り向いた。

 

「やぁ、良く来たね祐美。それに───」

 

 桜の少女が琥珀色の瞳を一輝()に向ける。

 美しい少女だった。チェリーブロンドとでも言うのか、光の加減によっては桜色にも白っぽい金髪にも見える不思議な髪と黒い大きめのリボンが風に揺れている。肌は病的な程に白く、儚げな印象を彼女に与えていた。

 聞いてはいたんだが、目の当たりにするとやはり信じられない。何せ彼女は日本では知らぬ者がいない程の有名人なのだから───

 

「お初にお目にかかります。グレモリー眷属の兵士(ポーン)、不破一輝と申します」

 

 桜の少女に挨拶をすると、彼女は柔らかく微笑んで挨拶を返した。

 

「ご丁寧にどうも。私は沖田総司(おきたそうじ)、祐美の師匠をやってます」

 

 こうして俺は祐美の師匠である沖田総司───沖田さんと出会った。

 

 

 

 

 

 話は少し前に遡る───

 

「先輩、一緒に行って欲しい所があるんですけど、午後は予定ありますか?」

 

 昼食を終えて寛いでいると、突然祐美が尋ねて来た。

 

「いや、特にないから大丈夫だ。どこに行くんだ?」

 

「その・・・・私のお師匠さまが先輩に会いたいから、一度連れて来なさいって」

 

 祐美の師匠って確か・・・・

 

「あら、沖田さんに会いに行くの? 気を付けてね一輝」

 

 俺達の会話を聞いていたのか、リアスが何やら気になる事を呟く。

 

「何だよ? 祐美の師匠ってそんなに物騒な人なのか?」

 

 前世の記憶で知ってはいるが、初めて知ったかのように俺は嘯く。

 

「そんな事ないです!? お師匠さまは素敵な人ですよ?」

 

 リアスに向かって祐美が頬を膨らまして抗議する。

 

「まぁ普段はね・・・・沖田さんてお兄様の眷属、騎士(ナイト)なんだけど、何と正体はかの有名な沖田総司なのよ!」

 

「あっ!? 部長ズルい! 私が言いたかったのに!」

 

「沖田総司ってあの新撰組のか!?」

 

「そうよ。グレイフィアが『最強の女王(クイーン)』と呼ばれているように、彼女(・・)も『最強の騎士(ナイト)』と呼ばれてるわ」

 

 へぇ・・・・・・・・ん? 今何かおかしなフレーズがあったような・・・・・・って、彼女!?

 

「リアス? 今彼女って・・・・」

 

 恐る恐る訊ねる俺に、リアスはさも当然とばかりに言い切った。

 

「そうよ。沖田さん──沖田総司は女よ」

 

 

 

 

 

 

 そう言われはしたが、まさか縁側に座るこの少女があの(・・)沖田総司だとは・・・・

 

「祐美、お茶を煎れて来てくれるかい?」

 

「あ、はい」

 

 祐美は靴を脱いで屋敷に上がると、勝手知ったる感じで奥へと進んで行った。

 

「いやぁ~、わざわざすまないね。祐美の話を聞いて、君には一度会ってみたいと思ってね」

 

 彼女──沖田さんは自分の隣を叩いて座るように促す。

 

「いえ、俺も祐美の師匠である貴女にお会いしたかったので」

 

 一礼しつつ、彼女の隣に腰を下ろそうとしたその時、

 

「!!!」

 

 凄まじい殺気を感じ、俺は咄嗟にその場から飛び退いた。

 振り返ると、そこには沖田さんが何事もなかったかのように微笑んでいた。

 

「うんうん、私の殺気に反応するとは見事見事。噂通りの使い手のようだね。気に入ったよ」

 

 今のは彼女なりのテストって所か。とんでもないな・・・・

 

「それはどうも。いつも初対面の相手にこんな事を?」

 

「まさか! 人を人格破綻者みたいに言わないでおくれよ~。君は特別さ、ト・ク・ベ・ツ♪」

 

 嫌な特別扱いだな・・・・俺は改めて沖田さんの隣に腰を下ろす。もう殺気は飛んで来なかった。

 

「テストの理由は可愛い弟子の側にいる男の品定めですか?」

 

「まぁそんな所だね。それに現代の圓明流の使い手がどれ程の者か見てみたくてね」

 

 沖田さんの言葉に驚愕する。

 

「!?・・・・圓明流と戦った事があるんですか!?」

 

 沖田さんは微笑んだまま空を見上げる。

 

「懐かしいな・・・・私の死因は知ってるかい?」 

 

「病死だと聞いていますが・・・・?」

 

「違うよ。病死じゃない、私は戦って死んだんだ。陸奥圓明流の使い手とね」

 

「!!?」

 

 えっ、それって・・・・・・

 

「一人取り残され、病で日に日に衰えていく私の前に“あの人”は来てくれた」

 

 沖田さんは懐かしそうに目を細める。

 

「初めて会った日からいつか戦いたい、そう思っていた私の願いを“あの人”は叶えてくれたよ。色々と悔いはあったけど、私は最後の時を剣士として過ごせた。だから感謝してるんだ、“あの人”には・・・・」

 

「沖田さん・・・・」

 

「だから“あの人”と同じ圓明流の使い手である君に興味があったんだ。いやぁ~、まさかリアスちゃんの眷属になって、しかも祐美の“好い人”だとは。世間は狭いねえ」

 

「ハハハ・・・・」

 

 沖田総司が女になってるだけじゃなく『修羅の刻』の記憶を持ってるなんて・・・・どうなってるんだ? これもやっぱり俺のせい? 俺はもう笑うしかなかった。

 

「・・・・私にとって祐美は弟子であると同時に娘のようなものだから、あの娘がどんな男を選んだのか心配だったんだけど・・・・うん、君なら必ずあの娘を守ってくれるだろう。・・・・不破一輝君。祐美の事、よろしく頼みます」

 

 そう言って沖田さんは俺に頭を下げた。何の事はない、俺をここに呼んだのは祐美()の恋人を見極めようとする師匠()としての親心だったのだろう。だって───

 

「はい。必ず祐美を幸せにします」

 

 そう答えた俺に、沖田さんは紛れもない母親の顔をして笑っていたのだから───  

 

 

 

 

 

 

 その後、祐美の煎れたお茶(当然緑茶)と手土産に持って来た水ようかんを口にしながら三人で談笑した。楽しい時はあっという間に過ぎて、気づけば夜の鐘が鳴っていた(冥界には太陽がなく、一日中薄暗くて時間の経過が分かりずらい。その為一日四回、朝夕の六時と十二時に鐘を鳴らして昼夜を区別している)。 

 すっかり長居してしまい、お暇しようとしたその時、庭に黒い影が飛び込んで来た。

 

「グギィ? 何だ貴様らは!? まさかもう追っ手が来たというのか!?」

 

「追っ手?」

 

 飛び込んで来たのは青白い肌をした一人の男。血走った大きな目で俺達を睨んでいる。こいつは・・・・

 

「先輩、あれは“はぐれ悪魔”です」

 

 祐美が耳元で囁く。でも何故こんな所に? そう考えていると、沖田さんが奴に歩みを進めた。

 

「まぁここにいる理由なんてどうでもよろしい。大方主を殺して逃げて来た所、偶々遭遇したんでしょう」

 

「ぐぬうぅ・・・・」

「悪・即・斬が私達(・・)の掟───速やかに主の後を追わせてあげましょう」

 

 沖田さんの台詞にはぐれ悪魔が激昂した。

 

「ふざけるな!! この俺様を貴様のような小娘が斬るだと!? やれるもんならやってみろ!!」

 

「そう。・・・・それじゃ」

 

 その時、沖田さんの気の質が変わり、

 

 ───バサッ!!

 

 浅葱色の風が吹いた。

  

 一瞬で沖田さんの衣装が変わった。

 黒いマフラーが風に舞い、その身に纏うは袖口を白いダンダラ模様に染めた浅葱色の羽織。その姿は紛れもなく、

 

「───新撰組」

 

 そう、時代劇などでお馴染みのこの衣装。これを見れば誰もが理解するだろう。この少女が、

 

「貴様、その衣装・・・・まさか、まさか貴様があの(・・)魔王の騎士(ナイト)の・・・・・・!?」

 

「新撰組一番隊隊長、沖田総司、参る───!」

 

 幕末の京の町を震撼させた人斬り集団『新撰組』、その中でも最強と謳われた天才剣士──沖田総司その人だという事を。

 

 

 

 

 

「ここの処理はやっておくから君達はもう帰りなさい」 

 

 はぐれ悪魔を一刀の元に斬り伏せた沖田さんは、懐からスマホを取り出して言った(この時にはもう、元の桜色の着物に変わっていた)。

 

「はい・・・・それじゃあ失礼します・・・・」

 

「うん。祐美、一輝君───またね」

 

 朗らかに笑う沖田さんに見送られ、俺と祐美は屋敷を出た。

 

 

 

 二人並んで歩きながらも、さっきの光景が頭から離れない。沖田さんの剣は鮮烈に、そして強烈に俺の脳裏に刻まれていた。  

 

「凄かったなぁ・・・・」

 

「はい・・・・太刀筋がまるで見えませんでした。やっぱりお師匠さまは凄いです!」

 

 それは祐美も同じなのだろう。興奮冷めやらぬ様子で拳を握り締めている。  

 

「今の私じゃあ足元にも及ばない──先輩、明日も訓練に付き合って下さい!」

 

「ああ、もっと強くならなくちゃな!」 

 

 そう決意する俺の腕に、祐美は腕を絡めて寄り添う。

 

「はい。──ねえ先輩、私を幸せにするって、そう言って貰えて嬉しかったです」

 

「・・・・聞いてたのか」

 

 沖田さんとの会話を聞かれてたらしい。気恥ずかしくもあったが、どこか身の引き締まる思いがした。

 自分ではかなり強くなったつもりだったが上には上がいる、沖田さんはそれを教えてくれた。沖田さんとも約束したんだ、俺は祐美を、皆を幸せにする為にもっと強くならなくては!

 

「私も頑張ります。だから先輩も──」

 

「ああ、一緒に頑張ろうな」

 

 俺達は誓いを交わすように唇を重ねた。

 

 

 その日の夜は祐美と共に激しく燃え上がった。

 

 

 


 

 

3ー3 才能の塊

 

 

 只今グレモリー邸の庭で、シトリー眷属との合同訓練中、今は同じクラスの者同士で各々訓練をしている所だ。

 

 

 

 (キング)同士、リアスとソーナは過去のゲーム映像を見て、互いに検討し合っている。

 

 

 

「フフ、魔力では貴女に軍配が上がるけど、接近戦では私が上のようね!」

 

「くっ、やってくれますわね、椿姫!」

 

 女王(クイーン)同士、朱乃と真羅さんは接近戦に持ち込まれた朱乃が苦戦している。

 

 

 

「くぅ、ううぅ・・・・」

 

「憐耶、しっかりなさい! 二対一で負けるなんて恥よ、恥!」

 

「わ、分かってるよぅ!」

 

 二人の魔力が上がり、相対するアーシアが押され始める。 

 

 僧侶(ビショップ)同士行ってるのは、魔力による押し合い。魔力の底上げと魔力操作の向上に効果的で、ウイザードタイプの訓練の基本なのだそうだ。

 最初二対二でやったのだが、黒歌の魔力量が圧倒的で勝負にならず、今は黒歌を抜かした二対一で行っていた。

 最初は負け続けていたアーシアだったが、何度も繰り返す内に拮抗するようになっていた。

 

「んんん、ま、負けません!」

 

 アーシアの魔力が上がり、押し返そうとする。

 

「ほーれほれ、アーシアちん、頑張るにゃ~」

 

 黒歌は庭に寝転がり、気の抜けた声援を送る。こいつの訓練は何か考えないとなぁ・・・・

 

 

 

「でりゃあああーーーーっ!!」

 

「───ふっ!!」

 

 戦車(ルーク)同士、白音と由良の戦いは互角の攻防が続いている。

 一輝()の見る限り、力、技共に互角、体格の差で由良が一歩有利に思える。女にしては背が高く手足の長い由良は、理想的な戦車としてシトリーの攻守の要となっている。

 対する白音は小さな体躯が災いして、戦車としてのパワーと防御力を十全に発揮しきれずにいた。

 

 

 

「勝負だ、兵藤おおおっっ!!」

 

「かかって来いや、匙いいいっっ!!」

 

 当初の予定を無視して、イッセーと匙がいきなり激突する。熱血思考の宿敵(ライバル)同士、訓練で顔を合わせる度にすぐバトルに突入してしまう。それでいて訓練後には二人共強くなっているもんだから文句も言えん。全く、困った奴らだよ。

 

「やれやれ。仕方がない、仁村ちゃんはこっちで」

 

「あ、はい」

 

 もう一人の兵士(ポーン)、仁村留流子ちゃんは騎士(ナイト)組に混ざって鬼ごっこだ。スピード特化型の彼女は騎士に混ざっても引けを取らない。寧ろイッセー達とやるより有意義かもしれない。

 

 

 

 そんな風に皆の訓練の様子を窺っていると、

 

「兄様っ!!」

 

 元気な声が飛び込んで来た。

 

「ミリキャス、勉強は終わったのか?」

 

「はい! そうしたら兄様達が訓練してるって聞いて。あの、見学してもいいですか?」

 

「勿論構わないよ」

 

 俺が頭を撫でるとミリキャスはくすぐったそうに破顔する。

 ミリキャスは俺が上級悪魔に昇格し、正式にリアスの婚約者になると、「じゃあ、姉様と結婚するなら兄様ですね!」と言って、それ以来俺を“兄様”と呼んで慕ってくれている。

 母親(グレイフィア)の教育が行き届いているのか、転生悪魔である俺達にも分け隔てなく接する良い子で、俺も弟が出来たような気がして、時間をみつけては一緒に遊んだりしている。

 

 ミリキャスが目を輝かせて皆の訓練風景を眺める。やはり男の子だからか、強くなる事に興味があるようだ。

 ミリキャスは今年で十二歳。来年には駒王学園の中等部に入学予定だと聞いたが、ミリキャスにはまだ眷属がいないらしい。俺も眷属を募集中なので気持ちは分かる気がする。

 ミリキャスは将来、魔王の息子として嫌でも注目される事になる。その為にも強くなる必要があるんだが、この子は今どれ位強いのだろう? 不意にそんな興味が浮かんだ。

 

「ミリキャスもやってみるか?」

 

 だからだろうか、そんな事を聞いたのは。

 

「いいんですか、兄様!?」

 

 俺の提案にミリキャスは喜色を浮かべた。俺は振り返って、背後で佇むグレイフィアさんに訊ねる。

 

「いいですか、グレイフィアさん」

 

「はい。──但し、相手は一輝さんにお願いします」

 

 

 

 

 

 という訳で、急遽一輝とミリキャスの模擬戦が行われる事になった。

 皆も訓練の手を休めて二人の模擬戦に注目している。

 

「しかし、如何にミリキャスが魔王の息子だとしても、一輝センパイの相手にはならんだろう」

 

「だよなぁ。手加減した一撃が入って終わりじゃないか?」

 

 ゼノヴィアとイッセーがそんな風に話している。周りの皆も同意見みたいだけど、そんな中でリアス()と朱乃の表情だけが固い。

 

「リアス?・・・・朱乃も、どうかしたの?」

 

 私達の表情が固いのに気づき、ソーナが訊ねる。

 

「ミリキャス君は魔王ルシファーと最強の女王の息子。その血筋は伊達ではないんです・・・・」

 

 朱乃は畏れを堪えるように、自分の身体を抱きしめる。無理もない、見ていただけの私にだってあの光景(・・・・)はトラウマものなのだ。ましてや直接受けた朱乃は───

 

 

 

「武器はどうする?」

 

「出来れば剣、ううん、刀がいいんですけど・・・・」

 

「刀か。・・・・祐美、頼む!」

 

「はい」

 

 模擬戦用の武器として刀を望んだミリキャスに祐美が【魔剣創造(ソード・バース)】で創った刀を渡す。

 

「はい。訓練用なので強度はあまりないですから、気をつけて」

 

「ありがとう祐美姉様」

 

 受け取った刀を馴染ませるように、型に沿って刀を振るうミリキャス。何だか妙に様になってるわね。

 

「お待たせ、兄様」

 

 一頻り刀を振って納得したのか、ミリキャスの準備が出来たみたい。

 

「ああ、それじゃあ始めようか」

 

 模擬戦を始めようと、私達から離れる二人。そんな二人の背中にグレイフィアが声をかける。

 

「一輝さん、くれぐれも本気でお願いします。ミリキャス、貴方も全力で一輝さんに立ち向かいなさい」

 

 二人は緊張した面持ちで頷いた。一気に緊張感が増し、私達も固唾を飲んで二人に注目する。

 

「では───始め!」

 

 試合開始の合図がグレイフィアから飛んだ。

 

 

 

 

 

 試合開始の合図と共にミリキャスが一直線に突っ込んで来た。迅い! 眷属中最速の祐美と然程変わらないスピードだぞ!?

 

「シッ!」

 

 だがその位なら対処出来る。一輝()は上段から斬りかかるミリキャスの右手を冷静に掴む。そのまま投げ飛ばそうとしたその時、ゾクッとした戦慄が俺の背中を駆け上がる。咄嗟に手を離して身を翻した。

 

 ボヒュンッ!!

 

 さっきまで俺の頭があった所に、ミリキャスの魔力弾が通り過ぎる。魔力弾は地面に当たり、そこにクレーターが出来る。あの(クレーター)は見覚えがある。地面は爆散したのでも熔解したのでもない。消滅(・・)したのだ。

 

「マジか・・・・!?」

 

 ミリキャスの父であるサーゼクス様得意の消滅魔力砲撃──消魔砲。血統的に“滅びの魔力”を受け継いでると思ってはいたが、まさか消魔砲まで・・・・弱冠十二歳でそれを使うとは、末恐ろしい才能だ。

 

「!!?」

 

 息吐く間もなく追撃が迫る。鋭い斬撃が繰り出され、回避するので精一杯だ。魔力に関しては両親の才能を受け継いだのだろうが、この剣の才能は誰から受け継いだのか? 俺が知らないだけでサーゼクス様かグレイフィアさんが剣の使い手なのだろうか?

 ミリキャスは才能の塊だ。このまま成長すれば将来魔王に届く器だろう。だがあくまで将来は、だ。俺にも意地がある。兄と慕ってくれる弟分に簡単に負ける訳にはいかない。俺はギアを訓練用から試合用に一段階上げた。 

 

 ミリキャスに向かってダッシュする。ミリキャスはその場に立ち止まり刀を振り下ろすが、直前でサイドステップ、ミリキャスの左側面に回り込む。だがミリキャスも振り下ろした刀を逆袈裟に斬り上げた。うん、それ位はするよな。予測していた俺は刀を回避すると、刀を持った左腕に飛び付き、関節技を極めようとする。

 

 ───不破圓明流【飛燕十字蔓(ひえんじゅうじかずら)

 

 だが技を極めようとしたその時、強烈な悪寒を感じた俺は咄嗟に腕を離した。

 

 ボヒュンッ!!

 

 一瞬後に“滅びの魔力”が(はし)り抜ける。

 ミリキャスは関節を極められる寸前、刀から手を離して左手で“滅びの魔力”を放って危機を脱したのだ。

 

「見事だ・・・・!」

 

 素直に称賛しか浮かばない。今のミリキャスの行動は俺の攻撃を防ぎつつ、反撃にも繋がる最適解だ。それを誰に教わるでもなく、自らの戦闘センスで繰り出したのが素晴らしい。

 俺は久々の強敵(・・)との戦いに、自然と笑みが浮かぶのを抑えきれなかった。

 

 

 

 

 

 イッセー()は開いた口が塞がらなかった。見れば模擬戦(いやもうそんなレベルじゃない)を見学していたグレモリー、シトリー両眷属も同じように愕然と、呆然としている。いつも冷静な会長すらもだ。

 

「マジかよ・・・・あの坊っちゃん、あんなに強えのかよ・・・・」

 

「びっくりです」

 

「ハハハ・・・・あれ、私より速くないか・・・・?」

 

「・・・・太刀筋が全然見えないんですけど」

 

 匙の呟きに白音ちゃんが反応し、ゼノヴィアと巡さんがショックを受けていた。マジでとんでもねえ。ミリキャス君ってもしかして俺より強いかも・・・・?

 

「・・・・一年程前だけど、朱乃とミリキャスが模擬戦した事があるの」

 

 すると部長が訥々と話し始めた。朱乃さんが? おいおいまさか!?

 

「・・・・皆も予想は付いていると思いますが、結果は私の負け、いいえ、惨敗でしたわ」

 

 予想していたとはいえ、あの朱乃さんが惨敗だって!?・・・・・・ハハハ、前言撤回、確実に俺より強いわ。

 

「一年前には朱乃を敗北させ、今は不破君を追い詰めてるなんて・・・・流石、冥界最高のサラブレッドと云われるだけあるわね・・・・」

 

 会長の言葉にグレイフィアさんが辛そうに顔を歪める。何故だろう? 息子が評価されたら嬉しい筈なのに・・・・?

 

「あ・・・・・・!」

 

 その時、祐美が突然声を上げた。

 

「どうしたの木場さん?」

 

 花戒さんが祐美に訊ねる。

 

「先輩、笑ってる・・・・・・」

 

 それを聞いて先輩の方を見ると、一輝先輩は愉しそうに、嬉しそうに嗤っていた。

 

 

 

 

 

 

 今度はミリキャスから仕掛ける。素速く距離を詰め刀を水平に薙ぐ。一輝()はバク転で回避するも二撃目、三撃目が追撃して来る。俺は同じく二転三転し、そのまま刀を持つ手を蹴り上げた。その衝撃にミリキャスは両手を挙げたバンザイ状態になる。ここだ!

 俺は一気に距離を詰め、【虎砲】を放つ。

 だがかわされた!? インパクトの瞬間、ミリキャスは【浮身】の要領で後ろに跳んで、最小限のダメージで【虎砲】を回避したのだ。

 やるな、と思いつつも驚きはしない。この子はこの位やる。だから俺はそれを想定して次の動きに繋げる。

 【虎砲】をかわしたとは言え、ミリキャスは態勢を崩している。だがそんな態勢からミリキャスは起死回生の突きを放った。   

 

「はあっ!!」

 

 烈迫の気合いで放たれた突きは、惜しいかな態勢が崩れて威力が半減されている。そんな突きは俺には通じない。俺は突き出された両手を取って、

 

「頭をガードしろ、ミリキャス!」

 

「えっ!?」

 

 そのまま一本背負いでミリキャスを投げて、ローキックでミリキャスの頭部を刈り取った。

 

「不破圓明流【(いかづち)】」

 

 【雷】を受けて吹き飛ぶミリキャス。よし、言われた通り頭をガードしているからダメージも最小限だろう。

 

「───それまで!!」

 

 グレイフィアさんが模擬戦の終了を告げた。

 

 

 

 

 

「負けちゃいました・・・・やっぱり兄様は強いです! 僕も強くなりますから、また相手して下さいね!!」

 

 アーシアの【聖母の微笑み(トワイライト・ヒーリング)】で治療して貰ったミリキャスは、元気一杯に帰って行った。

 

「一輝、流石にやり過ぎじゃない?」

 

 ミリキャスとグレイフィアさんを見送りながら、リアスが咎めるように言うので、俺は呆れたような溜め息を返す。

 

「あのなぁ、この中にミリキャス並みに俺と渡り合える奴が何人いる?」

 

「「「「「うぐっ!!?」」」」」 

 

 痛い所を突かれた連中が胸を押さえている。

 

「ミリキャスは本当に強かったよ。さて、年下に負けたままでいいっていう奴はいるか?」

 

 俺がそう言って煽ると、

 

「さぁ皆、訓練再開よ!」

 

「よし、やるぞ!!」

 

「ねえ、もっと実戦に近い訓練をしたいんだけど」

 

「が、頑張りましゅ! はうぅ・・・・」

 

 皆は気持ちも新たに訓練を再開した。気合いが空回りして噛んだアーシアが可愛い。

 

 俺は一息吐こうと用意されていたスポーツドリンクを飲む。そうしてクールダウンしなから、模擬戦中ずっと気になっていた事を思い返していた。  

 

「そうか・・・・沖田さんの剣に似てるんだ」

 

 ミリキャスの剣に見覚えがある気がしていたんだか、つい先日見た沖田さんの剣とどことなく似てる気がした。

 

(もしかしてミリキャスは沖田さんに剣を教わってるのかもな・・・・)

 

 父親の眷属なんだから不思議じゃないと考えながら、俺はスポーツドリンクを飲み干した。

 

 

 


 

 

3ー4 フェニックス家のお茶会

 

 

 ある日、俺の元に一通の招待状が届いた。

 それは先日のパーティで言っていた、レイヴェルからのお茶会の招待状だった。

 こういうのが初めての俺はどうすればいいのか分からず、リアスに相談したら、

 

「いいんじゃない? 行って来たら?」

 

 リアスはあっさりと言った。

 

「いや、行く事は決まってるんだが、どうすればいいんだ? 着て行く物は? 手土産はいるのか? 誰か同伴するべきなのか? どうすればいいのかさっぱり分からん!」

 

 俺は軽く混乱しつつ訊ねる。リアスはやや呆れながらも教えてくれた。

 

「そんな事で威張んないの! 少しは落ち着きなさい! 全く・・・・いい? 招待状を送って来たのはレイヴェル──フェニックス家よ。あちらは一輝の事情も分かっているし、ごく私的なお茶会だと招待状にも書いてあるから、着て行く物は制服でいいわ。手土産は・・・・そうね、食べ物はやめておきなさい」

 

「何故?」

 

「レイヴェルはお菓子作りが得意なの。多分お手製のケーキでもてなしてくれるだろうから、食べ物以外にした方がいいわ」

 

「成る程」

 

「それと・・・・誰かを同伴するかだけど、今回は一輝だけで行った方がいいわ」

 

「そりゃまた何故?」

 

「今回の目的が一輝、貴方だからよ。レイヴェル、というかフェニックス家は貴方と親交を深めたいの。不破家は新興の貴族、貴方の力に目を付けて自分達の派閥に加えたいと狙ってる家はいくつもあるわ。でもグレモリー家が後ろ楯に付いているから簡単には手が出せないの。でもフェニックス家はその・・・・私が強引に婚約解消した件で借りがあるからこちらも強く出れないのよ」

 

「・・・・フェニックス家は俺に何を望んでるんだと思う?」

 

「正直分からないわ。フェニックス家は『フェニックスの涙』で荒稼ぎしてるし、ゲームの戦績も順調だわ。だから何が目的かと言われても・・・・」

 

「・・・・成る程。取り敢えず手土産を用意して、向こうの出方を窺ってみるよ」

 

「そうね・・・・決して敵に回るとは思えないけど注意して」

 

 俺は頷いてリアスの元を去った。

 

 

 

 

 

 

 翌日の午前中、俺は街に出ていた。

 グレモリー邸を中心に広がるこの街は、色んな店が軒を連ね、大いに賑わっている。俺はこの街には詳しくないので、ミュセルに付き合って貰っていた。 

 

「それで一輝様、何を贈るか決まったんですか?」

 

「うん・・・・花なんてどうかな、って」

 

「花ですか・・・・無難でいいんじゃないでしょうか?」

 

「無難て・・・・まあいいや。ミュセル、花屋に案内してくれ」

 

「はい。こちらです」

 

 俺はミュセルに案内され、花屋へと向かった。

 

 

 

 

 

 案内された花屋で、俺はレイヴェルに贈る花束を購入した。

 

「ありがとうミュセル。付き合ってくれて」

 

「いえ、お役に立てて良かったです!」

 

 ミュセルが嬉しそうに笑う。ピョコピョコ揺れるツインテールが可愛い。

 

「それで・・・・これはそのお礼だ」

 

「えっ!?」

 

 俺はミュセルに小さな紙袋を差し出す。彼女は驚きつつ、反射的に受け取った。

 

「あの、これって・・・・?」

 

「だからお礼だよ。今日だけじゃなくいつも世話になってるからな」

 

「そんな!? いけません、私なんかに・・・・」

 

「・・・・もしかして贈り物を受け取ったら怒られたりするのか?」

 

「いえ! そういう訳ではありませんが・・・・」

 

「ならいいじゃないか。それに俺はもうすぐ人間界に帰るから、記念と思って受け取ってくれないか?」

 

「あ・・・・・・」

 

 俺がそう言うと、ミュセルは暫し紙袋を見つめて佇むと、大切そうに紙袋を胸に抱えた。

 

「ありがとうございます、一輝さま・・・・」

 

 そう言ってミュセルは、花が咲いたような可憐な笑顔を向けてくれた。

 

 

 

 

 

 

 フェニックス邸はグレモリー邸に勝るとも劣らない大きな城だった。

 目の前に聳える巨大なヨーロッパ風の城に、グレモリー邸で慣れたつもりだった俺は、圧倒されて言葉が出なかった。

 

「一輝さま!!」

 

 暫し呆然としていると、正面の扉が開きレイヴェルが飛び出して来た。貴族の令嬢らしいチェリーピンクのドレスが良く似合って、とても可愛らしい。

 

「ようこそいらっしゃいました!」

 

「こんにちはレイヴェル。今日はお招きありがとう。──これを君に」

 

「まあ! これを私に・・・・?」

 

「正直こういう場に招かれたのは初めてで、何を贈ればいいか分からなくて、気に入って貰えたらいいんだが・・・・」

 

 俺がそう言うもレイヴェルは聞こえてないようで、渡した花束を見つめてうっとりしていた。

 

「綺麗・・・・・・ありがとうございます、一輝さま。とても嬉しいですわ。──では、ご案内します。ようこそ、フェニックス家へ!」

 

 

 

 

 

 

 フェニックス邸の内部はその豊富な財力を誇示するように豪華な作りだった。

 そんな作りだからか、案内された部屋もまた豪華だった。その部屋には一人の女性がいた。長い金髪を編み上げた、二十代半ば位の美しい女性だった。どことなくレイヴェルに似た雰囲気から恐らくは───

 

「お母様! お連れしました!!」

 

「まあレイヴェル、大声を上げるなんてはしたないわよ。──娘が失礼致しました。私はフェニックス家当主の妻、マリアヴェル・フェニックスと申します」

 

「ご丁寧な挨拶、痛み入ります。不破家当主、不破一輝です。本日はお招きいただきありがとうございます」

 

 案の定レイヴェルのお母さんだったフェニックス夫人──マリアヴェルさんに挨拶されて、俺もまた貴族として返礼する。俺が挨拶を返すのを見て、フェニックス夫人は上品に笑った。

 

「フフ、結構。貴族として最低限の礼儀は仕込まれているようですわね。お座り下さい一輝さん」

 

 勧められた椅子に腰掛けると、レイヴェルが嬉しそうに贈った花束を夫人に見せた。

 

「見て下さいお母様! 一輝さまがこんなに綺麗な花束を贈って下さったんです♪」

 

「あら、綺麗な花・・・・これはアイリスね。・・・・・・レイヴェル、素敵な贈り物をいただいたわね。一輝さん、ありがとうございます」

 

「いえ、気に入って貰えたなら幸いです」

 

 俺の贈った花束をジっと見つめていたマリアヴェルさんは意味深な笑みを浮かべた。・・・・何だろう? 何かやっちまったか?

 

「さ、それではお茶会を始めましょう。今日はレイヴェルが全部自分でやって、一輝さんをおもてなしするんだって張り切ってますのよ」

 

「お母様!!」

 

 恥ずかしそうに頬を染める娘の姿に、マリアヴェルさんの唇が楽しそうに弧を描く。

 レイヴェルは頬を染めつつも、手慣れた様子で紅茶を淹れる。

 

「どうぞ、一輝さま」

 

 三人分の紅茶を淹れて、レイヴェルが席に着く。彼女の熱視線に急かされ、紅茶を一口。

 

「うん、美味いよレイヴェル」

 

 俺がそう言うと、レイヴェルはぱぁっと明るい笑顔を浮かべる。その様子をマリアヴェルさんが微笑んで見つめていた。 

 

 

 

 お茶会は美味しい紅茶とお菓子、マリアヴェルさんの巧みな話術によって穏やかな雰囲気で進んでいた。最初は緊張していた俺も今ではすっかりリラックスして、お茶会を楽しんでいた。 

 

「そうなんですか? いいなぁ~」

 

「ウフフ、そう、楽しい学園のようね」

 

 駒王学園の話を聞きたがるレイヴェルに学園での出来事話すと、レイヴェルだけじゃなく、マリアヴェルさんも興味深げに聞いていた。

 

「さてと、そろそろケーキが焼き上がる頃ですから、持って来ますね」

 

 レイヴェルがお手製のケーキを振る舞う為に、一旦部屋を出る。彼女がいなくなると、マリアヴェルさんが真剣な眼差しで訊ねて来た。

 

「一輝さん、貴方にお願いしたい事があります。実はレイヴェルを駒王学園に編入学させたいと考えているの」

 

「駒王学園にですか?」

 

 成る程。だから学園の話を聞きたがっていたのか。

 

「ええ。ですがあの娘はご存じの通り世間知らずですから、何か問題を起こさないか心配で・・・・」

 

 マリアヴェルさんは頬に手を当て、ほうっと溜め息を吐く。

 

「成る程、でもご心配には及びませんよ。レイヴェルは俺のような転生悪魔にも気軽に話しかけられるし、頭の回転も速いから話題にも付いていけます。それにあのお嬢様然とした性格もウケるでしょうし、何よりとびきりの美少女です。必ず受け入れて貰えますよ。俺も彼女が学園生活に慣れるまで、出来る限りサポートしますから」

 

「・・・・そうですか、貴方がそう言ってくれるなら安心ね。一輝さん、レイヴェルの事くれぐれ(・・・・)もよろしくお願いしますね」

 

 そう言ってマリアヴェルさんは笑みを深める。その笑みに何やら寒気を感じたが、俺何かやっちまったか・・・・?

 

 

 

 

 

 その後、レイヴェルが戻ってお茶会が再開した。

 

「お口に合うといいんですが・・・・」

 

 レイヴェルが切り分けたケーキを一口、口に運ぶ。芳醇なバターの香りと生クリームの程良い甘さ、スポンジの柔らかな食感に得も言われぬ幸福感が広がる。結論、とても美味い。

 

「俺好みで甘さがちょうどいい。美味いよレイヴェル」

 

 俺がそう言うと、レイヴェルはぱぁっと花が咲いたような笑顔で喜びを露にした。

 

「ありがとうございます! おかわりもありますから、沢山召し上がって下さい♪」

 

 そんなレイヴェルを眺めつつ、マリアヴェルさんが口を開く。

 

「そう言えば一輝さん、眷属の当てはあるのかしら?」

 

「いえ、流石にまだ・・・・」

 

 昇格したばかりで眷属がどうこうと言える段階じゃない。そう説明すると、

 

「そう・・・・所でレイヴェルなんですけど、以前はライザーの眷属でしたが、今は交換(トレード)で私の眷属になってるのはご存知かしら?」

 

「はい。先日のパーティで聞きました」

 

「そう! レイヴェルは今やライザーじゃなく私の(・・)眷属です! そこの所間違えないようお願いしますね」

 

「は、はぁ・・・・」

 

 これは暗にレイヴェルを眷属に、と勧められてるのか? レイヴェルをチラッと見ると、赤く染めた頬に両手を当てて、イヤンイヤンと首を振っている。

 

「でもレイヴェルも『悪魔の駒(イーヴィル・ピース)』を貰ってるのでしょう? でしたら俺と同じ眷属を探す立場なのでは?」

 

「いいえ、『悪魔の駒』を貰ったからといって、必ずしも眷属を集めなければならない訳じゃありません。現に私も眷属を持っていませんし」

 

 眷属を募り、レーティング・ゲームに勝利して位階を上げるのが上級悪魔のステータスではあるが、中には『悪魔の駒』を貰っても使わず、眷属を作らない者もいるという。

 そういう人は大抵マリアヴェルさんのように地位的にも経済的にも恵まれていて、無理に位階を上げる必要もない者が多いらしい。

 

「私は『(キング)』になるよりも『王』を補佐する者になりたいと思ってるんです。ですから眷属を集めるつもりはありません」

 

 レイヴェルが俺の目を見つめながら、キッパリと言い切った。これは・・・・・・俺も真剣に答えなきゃならないな。俺が口を開こうとしたその時、

 

 バタンッ!!

 

「おい! 誰もいないのか!?」

 

 強く扉が開く音がして、一人の男が怒鳴り声を上げて入って来た。

 

「何事ですライザー!! お客様の前ですよ!?」

 

 髪はボサボサで無精髭を生やし、すっかり頬が痩けたその男は信じられないがあのライザー・フェニックスだった。

 

「客ぅ!? 一体誰、が・・・・・・・・・・ひぎゃあああああーーーーっっ!!?

 

 変わり果てた姿に目を丸くする俺と目が合うと、ライザーは悲鳴を上げて逃げ出した。

 

「ちょっ、お兄様!? 一輝さま、すいません!」

 

 レイヴェルがライザーの後を追った。何だかんだ言っても心配なんだろう。

 

「あの子は全く・・・・一輝さん、申し訳ありません。少し失礼しますわね」

 

「あ、はい」

 

 続いてマリアヴェルさんも部屋を出て行った。

 

 

 

 

 

 一人残された俺は暫らく待っても誰も戻って来ないので、今の内にとトイレに立った。

 

「ええと、どこだろう・・・・?」

 

 トイレを探して暫らく歩いていると、それらしい小部屋を見付けた。ドアノブを回すと鍵は掛かってない。俺はゆっくりと扉を開いた。

 どうやらここは手洗い場らしい。という事はこの先がトイレか。そう思って扉を開くと、

 

「「───えっ?」」

 

 何故か下着姿で用を足しているレイヴェルと目が合った。

 

 チョロチョロ・・・・シャアアァァァ───

 

 彼女は白いショーツを足元に引っ掛け、洋式便器に座っている。大きく股を拡げているから金色の茂みが丸見えで、そこから出るオシッコが便器を叩く音だけが二人の間に響いていた。

 

「えっ、一輝さま・・・・・・? えっ!?ウソ!?なんでぇっ!?」

 

「えーと、その・・・・」 

 

 マズイ! 衝撃の展開に頭が働かない! 俺は異様な状況でただオシッコをするレイヴェルを凝視していた。 

 

「いやぁ・・・・! お願い一輝さま、観ないで・・・・レイヴェルのはしたない所、観ないでぇ・・・・・・!!」

 

 レイヴェルは顔を真っ赤にして涙混じりに懇願する。だが俺は彼女から目を離す事が出来なかった。

 

 ショオオォォ───チョロ、チョロ・・・・ピチョン。

 

 レイヴェルのオシッコが終わった。仄かに漂う尿の臭いが鼻をくすぐる。

 レイヴェルはこれ以上ない位顔を赤く染め、涙目でプルプルと震えている。俺は何て声を掛けたらいいか分からなかった。

 

「出て行って下さい・・・・・・」

 

 そう呟くレイヴェルに従い、俺は出て行った。

 

 

 

 

 

 

(観られた! あんなはしたない姿を、よりによって一輝さまに! あんな所観られたら軽蔑されちゃう!!)

 

 レイヴェル()は激しく動揺していた。

 ライザー兄様を追ったが自室に閉じ籠ってしまった。数日振りに出て来たというのに逃したのを残念に思いつつ、一輝さまの元へ戻ろうとした時、不意に尿意を催して近くのトイレに駆け込んだ。

 この時鍵を掛け忘れたのが失敗だった。まさかトイレに一輝さまが入って来るなんて! ドレスを着たままじゃ用を足せないから脱いで来たのに、置いてあったのに気付かなかったみたいで、ちょうど出始めた時だったから途中で止める事も出来ないまま、最後まで観られてしまった。

 

(全部観られた上に臭いまで嗅がれて・・・・ああもう! どんな顔で一輝さまに会えばいいのよ!?)

 

 憧れの人に女として最も恥ずかしい所を観られ、あまつさえ臭いを嗅がれてしまうとは!?

  一輝さまに小便臭い女だなんて言われたら、私は死ねる自信があるわ!

 

 などといつまでも現実逃避をしてる場合じゃない。

 私がトイレットペーパーで股間を拭くと、オシッコじゃないヌルヌルした液体で股間が濡れていた。

 

(こんな時にどうして───!?)

 

 一輝さまに観られて感じてしまったとでも言うのか、エッチな気分になった時のように濡れた股間を何回か拭いた私は、ショーツを履き直して水を流した。

 憂鬱な気分で手を洗い、ドレスを着てトイレを出ると、そこには思いもかけず一輝さまが待っていた。

 

 

 

 

 

 顔を真っ赤にして、レイヴェルが出て来た。

 一輝()がいる事に驚いていたが、すぐに視線を反らして俯いてしまう。

 思えばこの反応は当然だ。年頃の女の子がトイレで用を足すのを観られたんだから、俺の顔なんてみたくもないだろう。でも俺はとにかくすぐに謝らねば、という気持ちだけが先行していた。

 俺は深く頭を下げて、ひたすらレイヴェルに謝った。俺も動転してたから、途中良く分からない事を口走りながら。その言葉に反応して、レイヴェルがポツリと呟いた。

 

「私、臭くないですか・・・・?」

 

 臭い? レイヴェルが? そんな訳ないだろう!? そう思った俺はレイヴェルの肩に手を置いて、彼女の首筋に鼻先を埋めて思い切り息を吸った。  

 

「ちっとも臭くない。レイヴェルからは女の子のいい匂いしかしないよ」

 

 俺がそう言うと、レイヴェルは更に顔を赤くして、俺のシャツを摘まむと、ポツリと一言呟いた。

 

「責任・・・・取って下さいね・・・・・・」

 

 

 

 

 

 

 こうして波乱のお茶会は終わった。

 あれから俺とレイヴェルは変に意識し合い、まともに会話出来なくなった。妙にくすぐったい気もするが、悪い気分じゃなかった。

 もしレイヴェルが本気で俺の眷属になる事を望むなら、俺に断る理由はない。今ではそう思う位彼女に好感を持っていた。

 いつしかその思いが是が非でも欲しいという風に変われば、俺の方から申し込むかもしれない。でもそれは当分先の話だと思っていたが、

 

「そう言えば一輝さん。貴方に贈っていただいたアイリスの花ですけど・・・・一輝さんはアイリスの花言葉を知ってるかしら?」

 

 お茶会が終わり、帰ろうとする俺に見送りに来たマリアヴェルさんが訊ねる。花言葉なんて薔薇の“情熱”位しか知らないぞ。俺が素直にそう言うと、

 

「そう・・・・アイリスの花言葉は“吉報”そして“愛の約束”。特に白いアイリスは“あなたを大切にします”という意味があるのよ。──良かったわねえ、レイヴェル」

 

 途端にレイヴェルの顔が真っ赤に染まる。否定しようにも出来ない雰囲気が辺りに漂っていた。

 

「それじゃあ、娘をよろしく(・・・・)お願いしますね、一輝さん♪」

 

「ハハハ・・・・はい」

 

 俺は力なく笑った。

 終わってみれば、終始マリアヴェルさんの掌で弄ばれたような気分だ。今日の出来事を素直に報告したら、リアスやヴェネラナ様が何て言うか。

 帰りの馬車の中、俺は深い溜め息を吐いた。

 

 

 


 

 

3ー5 メイド達の噂話

 

 

 どうしよう。自分でも浮かれているなと思う。でも、手にした白いリボンの存在に喜びが溢れて止まらなかった。

 

「どうしたのミュセル。ご機嫌じゃない」

 

「本当・・・・こんなに浮かれてるミュセルさん、初めて見ますね」

 

 自分でも分かる位だから、当然他人にも分かるのでしょう。ミュセル()の同僚である二人から興味ありげな視線が浴びせられる。

 

「それで? 何があったんです?」

 

 私と同じグレイフィア様の兵士(ポーン)──黒髪ショートのシエスタさんが訊ね、

 

「ほれほれ。さっさと吐きなさいって」

 

 赤髪ツインテールの騎士(ナイト)、アイリさんが揶揄うように追求する。

 別に隠すような事でもないので、私は昼間の出来事を二人に話した。すると、  

 

「マジ!? ミュセル脈ありじゃん!」

 

「おめでとうございます! 一輝様は今や貴族、玉の輿ですね!」

 

「そ、そんなんじゃありません!!」

 

 そう、そんなのじゃないのは分かってる。だって一輝さまはとはもうすぐお別れなんだから。その時、

 

「あぁ、一輝様と云えば聞いてる? 人間界の一輝様のご自宅にメイドを派遣するって話」

 

 ───えっ?

 

「ええ、私もグレイフィア様から聞きました。何でも近日中に数名選ぶ予定だとか」

 

 ───えええっ!? 私初耳ですよ!?

 

 驚きのあまり固まった私に二人が話し掛ける。

 

「良かったじゃん、ミュセル。ワンチャンあるかもよ?」

 

「頑張って下さい!」

 

「え、あ、はい・・・・」

 

 私が選ばれると決まった訳じゃないけど、もし選ばれたら・・・・・・

 私は一輝さまに贈られたリボンを両手で包み、そっと胸に抱きしめた。 

 

 

 


 

 

3ー6 天使と堕天使と

 

 

 ローマの某プロテスタント教会に、その日天使長ミカエルが降臨した。

 

「という訳で、貴女には天界側のスタッフとして駒王町に行って欲しいのです」

 

 ミカエルは目の前で跪く少女に告げる。

 

「ミカエル様・・・・よろしいのですか? 私は・・・・」

 

「無論全て分かっています。いえ、だからこそ貴女が選ばれたとも言えますね。かの地にいる者は皆“神の不在”を知っています。そういう者でなければこの任務は務まらないでしょう。それにかの地には貴女の知己が何人もいますから、何も知らない者より早く関係を構築出来るでしょう」 

 

 そう言われて少女の脳裏に懐かしい顔が浮かぶ。青髪に一部緑のメッシュが入ったかつての相棒、少しエッチな所のあるヤンチャな幼馴染み、そして子供の頃から大好きだったひとつ年上の男の子───

 それらを思い浮かべ、少女は決心した。

 

「分かりました。その任務、お受けします」

 

 少女の言葉にミカエルは満足そうに頷いた。そして懐に手を入れると、一枚のカードを取り出した。

 

「では貴女に私の加護を──貴女を我が眷属、

御使い(ブレイブ・セイント)に任命します」

 

 ミカエルがそう言うと、カードが少女の元へ飛び、光を発してその豊満な胸に吸い込まれた。

 

 パアァァ───ッ!!

 

 神々しい光が少女に宿り、少女の頭と背中に光の輪と一対の翼が出現した。

 その姿は少女の美しさと相俟って、紛う事なき天使そのものだった。

 

「これで貴女は天使に転生しました。お行きなさい紫藤イリナ。我が御使い(ブレイブ・セイント)(エース)として」

 

 少女──紫藤イリナは立ち上がる。

 

「はい、ミカエル様」

 

 天使となった少女は再び駒王町に舞い降りる。

 

 

 

 

 

 

 冥界・魔王領、サーゼクスの執務室にて、簡易的な首脳会談が行われていた。

 

「あん? じゃあ天界側のスタッフとして転生天使を駒王町に派遣するのかよ」

 

『ええ。駒王町は今後多くの勢力の注目を集めるでしょう。場合によっては闘争の渦、その中心になるかもしれません。その地に天界の者が一人もいないのは問題ですから』

 

 アザゼルの問い掛けに、モニターの向こうでミカエルが答える。

 

「成る程なぁ・・・・て事は俺らも考えねえとな」

 

「何だ? 駒王町には君自身が駐留するのだろう? だったら──」

 

「いやあ、俺は仮にも総督だからな。色々と忙しくて常駐する訳にもいかねえんだよ」

 

「成る程、仮にも(・・・)総督だしな」

 

仮にも(・・・)総督ですしねぇ・・・・』

 

「お前らなぁ・・・・」

 

 サーゼクスとミカエルの辛辣な評価にアザゼルが憤慨する。

 

「まぁいい。実は堕天使側(うち)にもあいつらと面識のある奴がいるんだよ。そいつを堕天使側のスタッフとして派遣するわ。・・・・まぁ、受け入れられるかは分からねえがな」

 

 アザゼルの意味深な発言にサーゼクスが訝しげな顔をする。

 

「何だ? この期に及んで面倒はごめんだぞ?」

 

「分かってる。受け入れられない時は──俺が始末するさ」

 

 アザゼルの覚悟を決めた声に、サーゼクスもミカエルもそれ以上言葉を発せなかった。

 

「それで? 誰を派遣する気ですか?」

 

 そんな中でその場にいた最後の一人──グレイフィアの冷静な声が響く。

 

「ああ、今は罪人として収監しているが──堕天使レイナーレだ」

 

 

 

 

 

 

 

 




読んでいただきありがとうございます。

短編集いかがだったでしょう?
ご意見ご感想を貰えたら幸いです。

ではそれぞれの解説を。

一話目は原作の「赤龍帝おっぱいドラゴン」に代わる特撮作品誕生のエピソードです。どんな展開になるかは考えてません。

二話目は祐美の師匠、沖田総司の話。
お分かりと思いますが、モデルはFGOの沖田さんです。
先に言っておきますが、彼女と一輝のエロは現在考えてません。

三話目はミリキャスの話。
実は本作のミリキャスには出生の秘密があります。
勘のいい読者は分かるかもしれませんが、次のグレイフィアの閑話で明かしたいと思います。

四話目は本命のレイヴェルの話。
だったのですが、何だかマリアヴェルの方が目立っていたような?
因みにマリアヴェルという名は適当に付けました。
要はレイヴェルの眷属化フラグが立つという話です。

五話目はメイド達の話。モデルは以下の通りです。
ミュセル──アウトブレイク・カンパニーより。
シエスタ──ゼロの使い魔より。
アイリ───クイーンズ・ブレイドより。
この話は次回からの伏線になります。

六話目は再登場するキャラの話。
イリナはともかく、もう一人は以外だったのでは?

本当は四話だけのつもりだったのですが、急遽浮かんだ五話六話を書いてたら遅れてしまいました。

次回から原作第6巻のエピソードに入りますが、少し間が開くかもしれません。



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