※この作品はR-18です。

ハイスクールD×G~駒王町の規格外品   作:Tokaz

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感想並びに誤字報告ありがとうございます。

第27話はちょっとシリアスな展開ですが、ご覧下さい。




第27話 奪われたアーシア☆(アーシア、レイナーレ)

 

 

「どーいう事なのこれは!!?」

 

 リアス()は思いっ切り机を叩いてアザゼルを睨む。アザゼルは困ったように頭を掻くけど誤魔化されないわよ! この事態、納得のいく説明をして貰わなきゃ気が済まないわ!!

 

「あ~、要するにイリナと同じだ」

 

「私!?」

 

 いきなり名前を出されたイリナさんが驚く。けどそれだけじゃ何の事かさっぱり分からないわ。

 

「だから、要はミカエルの奴がイリナを派遣したから、堕天使側(俺ら)も駐在員としてこいつを派遣したって訳だ。俺はこれでも総督だからな。色々やる事があって常駐する訳にもいかねえんだ」

 

 成る程、アザゼルはあれでも総督だから理由は分からないでもないわ。でもね、

 

「だからってこの人選はないでしょう!? この女が私達に何をしたか、貴方だって知らない筈ないでしょう!!?」

 

 私は怒りの収まらぬまま、アザゼルの後ろで俯いている天野夕麻──レイナーレを睨み付けた。

 

 

 

 

 

 

 リアスが怒りを爆発させている。

 今日、イッセーのクラスに転校して来た堕天使レイナーレ。彼女はイッセーやアーシアと因縁浅からぬ関係らしい。

 

「何を他人事みたいに言ってますの? 一輝(貴方)だって当事者ですのに」

 

 朱乃が呆れたように呟く。確かに俺はレイナーレに殺されて悪魔に転生したから当事者と云えるんだが、何せいきなり目の前に現れ、殺されたもんだから実感が湧かない。後から話を聞いて「そうだったのか」と思う位だ。

 

「俺よりイッセーやアーシアの方が心配だよ。大丈夫なのか?」

 

 レイナーレとの再会に二人、特にイッセーが動揺している。イッセーは真っ青な顔で座り込み、彼女を見ようともしないし、アーシアもまた心配そうな視線をイッセーに向けていた。

 

「そう言わんでくれ。確かにこいつは勝手な事を仕出かして、お前らに多大な迷惑をかけた。本来なら罪人として処分されなくちゃいけねえのも分かってる。でもな、俺達堕天使は三大勢力中最も数が少なく、簡単に増やす事が出来ねえ。例え罪人とは言え、数少ない部下を簡単に処分する訳にはいかねえんだ。こいつも今は深く反省して、罪を償いたいと言ってる。だからせめて償うチャンスを与えてやっちゃくれねーか?」

 

 アザゼルの弁明にリアスは渋い顔だ。他の皆も同様で、誰もが不機嫌そうにレイナーレを睨んでいる。

 確かにアザゼルの言い分は堕天使側の事情に過ぎない。だが和平が成立し、これから協力態勢に移行しようという時に総督自身の訴えを無視する訳にはいかないだろう。仕方なしに俺は二人の会話に介入した。

 

「アザゼル先生、レイナーレはリアスが消滅させたって聞いたけど、どうして生きてるんですか?」

 

 俺が質問すると、アザゼルは助かったとばかりに食い付いた。

 

「お? おお! こいつらは『身代わり人形(スケープゴート)』というマジックアイテムを用意してたんだ。こいつは自分の血を垂らした人形が、死んだ時50%の確率で身代わりになってくれるという使い捨てのかなり珍しいアイテムなんだよ。レイナーレ達は偶然このアイテムを手に入れて使用したんだが、運良く助かったのはレイナーレだけだった」

 

 成る程、こいつは仲間を全員を失って、唯一人生き残ったのか・・・・

 俺は俯いているレイナーレを見つめる。 

 

「レイナーレ、顔を上げろ」

 

「・・・・はい」

 

 レイナーレは顔を上げて真っ直ぐに俺を見つめる。彼女の瞳には緊張と怖れ、そして覚悟が見えた。

 

「お前良く俺達の前に顔を出せたな。自分のした事をもう忘れたのか?」

 

「・・・・いいえ、忘れてません。イッセー君に、アーシアに、そして貴方にした事、全て覚えてます」

 

「ならば問答無用で殺されるとは思わなかったのか?」

 

「・・・・・はい、そう言われるのは覚悟していました。ですがどうか命だけはお許し下さい! それ以外ならどれだけ傷付けられようと構いません。身体を捧げろというならば、喜んで股を開きます。ですからどうか、どうか命だけは・・・・!!」

 

「「「「!!?」」」」

 

 俺の質問に答え、レイナーレがその場で土下座した。その様子に皆も驚いている。

 

「呆れたな・・・・命乞いとはどこまでも生き汚い。そんなに死ぬのが怖いか?」

 

 俺はわざと不機嫌そうに呟く。するとレイナーレは土下座したまま答えた。

 

「・・・・いえ、死ぬのは怖くありません。ですが私は今死ぬ訳にはいかないんです! カラワーナ、ドーナシーク、ミッテルト・・・・私は自分の愚かさのせいで、大切な仲間を失くしてしまった・・・・だから私は簡単には死ねない! 死んだ仲間達の分まで私は生きなくちゃいけないんです!!」

 

 レイナーレが叫ぶ。彼女に感じた覚悟、それは亡き仲間達の為、どんな屈辱に塗れようと必ず生き抜くという決意の表れだったか。

 あるいは仲間に対する贖罪もあるのかもしれない。話に聞いた限りじゃかなり傲慢な奴だと聞いてたんだが・・・・仲間を全て失い、プライドを粉々にされた挙げ句死にかけたんだ。多少性格が変わっても不思議じゃないか。

 俺はリアスに視線を向け、アイコンタクトを交わす。俺の「この場は任せて欲しい」との視線にリアスは不承不承ながらも頷いた。

 

「顔を上げろレイナーレ。お前の覚悟は分かった。──さてイッセー、アーシア、お前達はどうしたい?」

 

 レイナーレに関しては二人の方が先約だろう。俺は判断を二人に委ねた。

 

「俺は・・・・・・」

 

 そう口にするもイッセーは後が続かず、再び黙り込んでしまう。そんなイッセーを見つめて、今度はアーシアが口を開く。

 

「私は・・・・構わないと思います。確かに私は人間としての生をレイナーレ様に奪われました。ですがそのお陰で、と言っていいのでしょうか・・・・私はここにいる皆さんと出会えました。それにどのような思惑はあれ、教会を逐われ、行き場を失くした私に手を差し伸べてくれたのはレイナーレ様だけでしたから・・・・」

 

「アーシア・・・・」

 

「・・・・・・」

 

 アーシアの思いにイッセーは言葉を継げず、レイナーレもまた、その思いを噛み締めるように瞳を閉じた。

 

「・・・・分かった。アザゼル先生、取り敢えずレイナーレの身柄はうちで預かります。それ以降は彼女の行動次第、という事でいいですね?」

 

「ああ、構わねえよ。お前に任せる。いいな、レイナーレ?」

 

「はい。ありがとうございます・・・・」

 

 そう言ってレイナーレは再び頭を下げた。

 

 

 こうして堕天使レイナーレは駒王町への駐在を暫定的に認められた。だが彼女に対するわだかまりは解消されず、溝は未だ深い。彼女が俺達に認められるかどうかは今後の彼女次第だが、果たしてどうなるか・・・・

 

 

 

 

 

 

「さて、話は変わるがお前達の次のゲームが決まった。お前達の次の相手は──ディオドラ・アスタロトだ」

 

「「「「!!!?」」」」

 

 アザゼル()の言葉にリアス達の間に緊張が走る。よりにもよってコイツとは・・・・これも因縁って言うのかね。

 

「これはこの間行われた若手悪魔の試合を録画、編集した物だ。勿論お前らとシトリーの試合も入ってる。これから戦う相手だ。全員良く観ておけよ」

 

 俺はプレーヤーにディスクをセットする。暫くすると部室の巨大モニターに映像が映った。

 最初に映ったのは大王バアル家の次期当主候補サイラオーグと魔王アスモデウスを輩出したグラシャボラス家の次期当主候補ゼファードルの試合(ゲーム)だ。

 その内容は皆を戦慄させるに十分だった。

 

「おいおいマジか・・・・」

 

「“兇児”と呼ばれ、忌み嫌われたゼファードルがまるで相手にならないなんて」

 

「圧倒的です」

 

「全く、とんでもない(パワー)だな」

 

 試合を観た一輝が、祐美が、白音が、ゼノヴィアが口々に感想を漏らす。試合は圧倒的な“力”でサイラオーグがゼファードルを粉砕した。

 

「ありゃりゃ・・・・可哀想だけどあのヤンキー潰れたにゃあ」

 

 黒歌の言う通り、ゼファードルはこれで潰れた。サイラオーグに恐怖を刻み込まれ、もう戦いの場へ立つ事は出来ないだろう。

 サイラオーグは若手悪魔(ルーキーズ)六名で最も前評判の高い男だ(因みにリアスは三番目)。だとしてもまさかこれ程とは・・・・今すぐデビューしてもランキング上位に食い込むかもしれんな。

 

「お、場面が変わった」

 

 一輝の言う通り、次の試合は大公アガレス家の次期当主候補シーグヴァイラと魔王ベルゼブブを輩出したアスタロト家の次期当主候補ディオドラの試合だが、

 

「ディオドラの対戦相手は大公家のシーグヴァイラ・アガレス。前評判では圧倒的にシーグヴァイラの方が上だった(・・・)

 

「だったって・・・・じゃあこの試合は──」

 

 俺の解説を不審に思ったのか、イッセーが口を挟む。

 

「そうだ。勝ったのはディオドラ・アスタロトだ」

 

「「「「!!!?」」」」

 

 皆が驚愕を浮かべる。だろうな。実際観ていた俺だって信じられねえんだから。

 

「百聞は一見にしかずというからな──始まるぞ」

 

 俺の声に皆が画面に集中したその時、

 

 パアァァ───!

 

 魔方陣が床に走る。この紋様は───

 

「アスタロト───」

 

 朱乃が吐き捨てるように呟く。

 

「ご機嫌よう。アーシアに会いに来ました」

 

 魔方陣から現れたのはちょうど話題に上がっていた男、ディオドラ・アスタロトだった。

 

 

 

 

 

 

「ディオドラさん・・・・」

 

「やあアーシア。君の美しさには到底敵わないが、僕の気持ちだ。どうか受け取っておくれ」

 

 ディオドラは赤い薔薇の花束(百本位ありそう)をアーシアに渡す。ちくしょう、イケメンだからってキザな真似しやがって・・・・イッセー()があんな真似したってギャグにしかならねえじゃねえか!

 

「ディオドラさん・・・・お気持ちは嬉しいんですけど、こういった贈り物はもう・・・・」

 

 困ったようにアーシアが言う。そうだアーシア! んな物は迷惑だってはっきり言ってやれ!

 

「アーシア・・・・そうか、分かったよ・・・・ならば僕は僕の想いを君に伝える為に物ではなく態度で示そう──何度でも言うよアーシア、君を愛している。どうか僕の熱い想いを受け取って欲しい」

 

 ディオドラはアーシアの両手を握ったと思いきや、そのままアーシアを抱きしめやがった!! っの野郎、ふざけやがって!!

 

「お前いい加減にしやがれ!! アーシアが嫌がってるだろうが!!」

 

 俺は激情のままにディオドラを突き飛ばそうとしたが、ディオドラはアーシアを抱きしめたままスルリとかわしやがった。

 

「何だい君は? 無粋な真似はやめてくれないか?」

 

「ふざけんな! アーシアを離せ!!」

 

 俺の怒りに呼応して、『赤龍帝の籠手』が具現化する。それを見てディオドラが鼻を鳴らす。

 

「ふん──そうか。君が今代の赤龍帝か・・・・噂は聞いてるよ。何でも『史上最弱の赤龍帝』らしいね」

 

「何だと───!?」

 

「歴代の赤龍帝は覚醒してすぐに『禁手』に至ったというのに君は未だに至れず、この前のシトリーとのゲームでも無様を晒したそうじゃないか」 

 

「うっ!?」

 

「おまけに学園での評判もすこぶる悪いとか。覗きやセクハラの常習犯で友人と一緒に“変態三人組”とか呼ばれてるんだって? そんな君にアーシアとの事をとやかく言われる筋合いはないね」

 

「ぐうぅ~~、いや、ある! アーシアは俺ん家に住んでるんだ。云わば俺達は家族だ!」

 

「ああ、そうらしいね。でも君はアーシアの“兄”だと公言してるそうじゃないか。妹の恋愛に口を挟むと嫌われるよ、オ・ニ・イ・サ・ン」

 

「それは!・・・・その・・・・・・」

 

 ちくしょう、言い返してやりたいけど事実だけに言い返せねえ・・・・!

 

「いい加減になさいディオドラ! いきなりやって来て私の下僕を侮辱するのはやめてちょうだい!」

 

 悔しくて唇を噛む俺を尻目に、部長が口を出した。

 

「非礼は詫びようリアス。だけど君はこのままでアーシアが幸せになれると思うのかい?」

 

 部長はディオドラの言葉に訝しげに眉根を寄せる。

 

「・・・・どういう意味よ?」

 

「彼女はこれまで聖女として教会で暮らして来た。そんな彼女が今のような世俗で暮らして本当に幸せになれると思ってるのかい?」

 

「それは・・・・・・」

 

「アーシアは傷付いた僕を癒したせいで教会を逐われた。分かるかい? 僕は彼女に対して責任があるんだ。僕は彼女を聖女であった頃に戻してあげたい。完全には無理でも天界との交流が始まった今なら近い状態には戻せるかもしれない。リアス、それに赤龍帝クン、君達はそう考えた事はないのかい? だとしたらそれはアーシアを手元に置きたいが為の君達の我が儘に過ぎないよ」

 

「「!!?」」

 

 痛い所を突かれた。それは以前から思っていた事──アーシアは俺達といるより聖女であった頃の方が幸せだったんじゃないかって。

 でも俺はアーシアに側にいて欲しい。だって俺は彼女を───

 

 

 

『───死んでくれないかな?』

 

 

 その時、俺の脳裏に冷たい女の声が甦る。

 

「!!?」

 

 心臓を針で刺されたような痛みに制服の胸元をギュッと握り締める。俺はこの声を知っている。何だ? どうしてアイツが浮かんで来る!? 俺が自分の異変に戸惑っていたその時、

 

「離して下さい・・・・」 

 

 静かだけれど、強い意志の籠ったアーシアの言葉にディオドラは両手を解いた。

 

「ディオドラさんのお気持ちは嬉しく思います。でも私の幸せを貴方が勝手に決めないで下さい。

・・・・確かに聖女と呼ばれていた頃は教会の求めに応じて癒しを行い、主に祈りを捧げるだけの何不自由ない日々を過ごしていました。ですが周りの人は誰もが私を聖女と呼び、私自身を見てくれる人はいませんでした。でもここにいる皆は聖女ではなく私自身を、アーシアという一人の女の子として見てくれます。私にとってそれが何より嬉しくて、幸せな事なんです」

 

「アーシア・・・・」

 

 アーシアの想いが俺達に伝わって来る。俺の悩みが杞憂だと知って、思わず涙が滲んで来た。

 

「・・・・分かったでしょう。アーシアの幸せはここにあるわ。貴方の考えは的外れだって。さ、分かったのなら帰ってちょうだい。私達は今、重要な会議中なの」

 

 部長の台詞にディオドラはチラリとモニターを見遣る。

 

「成る程、僕への対策中でしたか・・・・ではこうしませんか? 次のゲームでアーシアを賭けましょう。僕が勝ったらトレードに応じて貰います。負けたら彼女を諦めると誓いましょう。──アーシア、君への愛を証明する為に僕は必ず勝利するよ」

 

 ディオドラは勝手に話を進めてアーシアの手を取ると、そのまま手の甲に唇を寄せる──ってさせるかよ!!

 

「ふざけんな! 誰がお前なんかに負けるかよ!!」

 

 唇が触れる寸前、俺はディオドラの肩を突き飛ばした。軽くよろけたディオドラはニヤリと笑う。

 

「これで賭けは成立だ。ありがとうオ・ニ・イ・サ・ン」

 

 あ・・・・・・慌てて周りを見ると部長が額に手を当て、ため息を吐いている。しまった! 俺の言葉で賭けが成立しちまった。ちくしょう、やっちまった。激しい後悔に唇を噛む俺に、ディオドラがポツリと呟いた。

 

「少なくとも彼女に気持ちを伝えようとしない君に、意見する資格はないんだよ。お分かりかいオ・ニ・イ・サ・ン」

 

「!!?」

 

 ディオドラの言葉が心を抉る。俺だって・・・・俺だってアーシアの事を───! でも・・・・!

 

 

 

『───死んでくれないかな?』

 

 

 またしても冷たい女の声が甦り、その度に胸に鋭い痛みが走る。何故だ? どうして今更あの場面が甦って来るんだ!?

 俺はチラリと声の主──レイナーレを見遣るが、彼女は俺の視線には気付かず、心配そうにアーシアを見つめていた。

 

 

「ではこれでお暇しよう。おっと、その前にアーシア」

 

「はい?」

 

「辛い時や悲しい時には、心の中で僕を呼ぶといい。すぐ助けに行くから」

 

 そう言ってディオドラはしつこくアーシアの手を握る。

 

「はあ・・・・ですがそんな時はきっと来ませんよ?」

 

「それならそれでいいさ。ではリアス、ゲームを楽しみにしているよ」

 

 再び魔方陣が輝き、ディオドラは帰って行った。

 

 

 ゴチンッ!!

 

 

 途端に頭に鈍い痛みが走る。

 

「っっってぇ~~~! 何するんスか一輝先輩!?」

 

 拳骨を落とした一輝先輩に堪らず抗議する。

 

「このアホタレ! あいつの言い出した賭けなんぞ無視すれば良かったのに、簡単に言質を取られやがって・・・・」

 

「うっ、スイマセン・・・・」

 

 怒られるのは当然だ。俺の軽はずみな行動で賭けに乗る羽目に陥ってしまった。 

 

「こうなったらイッセー、お前がディオドラを倒せ! あいつにアーシアを渡すんじゃないぞ!?」

 

「ウス!!」

 

 気合いが入った。そうだ、先輩はゲームに参加出来ないんだ。先輩の分まで今度こそ俺がやるんだ!!

 

「さて、改めて気合いも入ったようだし続けるぞ」

 

 アザゼル先生の声に皆がモニターに集中した。

 

 

 

 

 序盤の眷属同士の戦いはアガレスが押していた。それにしてもディオドラの奴、眷属は可愛い娘ばかりじゃねえか! あのハーレム野郎・・・・絶対にアーシアは渡さん!

 だがアガレスの優勢はここまでだった。中盤、ディオドラ自身が出て来ると戦況は一変した。ディオドラは圧倒的な魔力でアガレスの眷属を次々と撃破し、最後にはメガネの姉ちゃん──シーグヴァイラをも倒してしまった。

 

「何だよあれは・・・・・・」

 

「どういう事? ディオドラがあんなに強いなんて聞いてないわよ!?」

 

「確かに・・・・あれだけ強ければ前評判はもっと高い筈ですもの」

 

「夏の間に特訓でパワーアップしたとか? でも彼、修行とかするタイプには見えなかったし・・・・」

 

 俺が、部長が、朱乃さんが、イリナがディオドラの予想外の強さに驚愕する。

 

「まあ、以前の奴がどうだったかはこの際置いといて、肝心なのはどうやって倒すかだ」

 

 一輝先輩の言う通りなんだが・・・・部長以上の魔力でアガレスを蹂躙したディオドラを、俺はどうやって倒せばいいんだ!?

 

 

 

 

 

 

 ディオドラの強さに圧倒され、誰も声を上げられないみてえだな。まぁ無理もない。実際に観ていたアザゼル()だって言葉を失ったからな。

 

「これは・・・・取り敢えず皆は解散していいわ。今夜中に対策を立てて明日改めて話すから。朱乃と一輝、アザゼルは残ってちょうだい」

 

 リアスが指示を飛ばす。指示に従い、三年生以外は部室を出て行く。そんな中、一輝が俺の隣に並んだ。

 

「アザゼル先生・・・・先生はディオドラの急激なパワーアップをどう見ますか?」

 

 部室を出て行く後輩達を眺めながら俺に訊ねる。

 

「・・・・不自然だな。あいつが隠れて特訓なんざする奴には見えねえし、何か裏があるとしか思えんな」

 

「同感です。実はその裏に心当たりが・・・・」

 

「何だと? おい、詳しく話せ」

 

 俺は一輝に話の続きを促す。

 

「ディオドラの急激なパワーアップ・・・・あれと似た現象に見覚えがあります。覚えてますか? カテレア・レヴィアタンを」

 

 そう言われて俺は旧魔王派に属していた褐色の女悪魔を思い出す。そこでピンと来た。

 

「おい一輝、お前まさか───」

 

「はい。あの時カテレアは何かを飲み込んで急激にパワーアップしました。あれと同じ方法を使ってるなら・・・・ディオドラも『禍の団(カオス・ブリゲート)』と係わってる可能性があります」

 

 一輝の予想に俺は思わず息を飲んだ。

 

 

 

 

 

 

 その日の夜、中々寝付けずイッセー()がベッドの上で考え事をしていると、扉をノックする音がした。

 

「はい?」

 

 こんな時間に誰だろうと思い返事をすると、ネグリジェを着たアーシアが入って来た。 

   

「どうしたアーシア?」

 

 入って来たはいいが、アーシアはそこから一歩も動かない。暫く待っているとアーシアは意を決したように頷いて、いきなりネグリジェを脱いでショーツ一枚になった。

 

「アーシア!!?」

 

 突然の事態に頭が沸騰する。アーシアは手ブラで胸を隠しながらゆっくりと俺に近付いて来る。

 

「イッセーさん、私を抱いて下さい」

 

 アーシアはそう言うと、手ブラを外した。

 

(アーシアのおっぱい・・・・いつ見ても綺麗だな)

 

 大きさでは部長には全く及ばないが、慎ましく膨らんだおっぱいは可憐で、堪らず俺の股間が大きくなる。・・・・って抱く? アーシアを?

 

「えっ、と・・・・抱いて寝ればいいのかな?」

 

 誤魔化すよう俺は訊ねるが、そんなお約束など今夜のアーシアには通用しなかった。

 

「違います!・・・・わ、私とセックスして欲しいんでしゅ!・・・・はうぅ、噛んじゃいました・・・・」

 

 噛みながらもアーシアはハッキリと言った。

・・・・ってセックスぅ!!?いきなりどうしたんだアーシアは!?

 目を見ると本気だ。アーシアとセックスなんて・・・・したいに決まってる! もしディオドラとのゲームに負けたらアーシアが()られてしまう! そんなのイヤだ! アーシアのおっぱいもお尻も太股も、皆俺のモンだ! 

 

「アーシア!!」

 

「イッセーさん・・・・!」

 

 俺が両手を肩に置くと、アーシアはゆっくり目を閉じた。アーシアとのキス・・・・今までは頬っぺた止まりだったけど今回は! そう意気込んで唇を近付けたその時───!

 

 

 

『───死んでくれないかな?』

 

 

『少なくとも彼女に気持ちを伝えようとしない君に、意見する資格はないんだよ。お分かりかいオ・ニ・イ・サ・ン』

 

 

「!!?」

 

 レイナーレとディオドラ、二人の声が頭に響き、俺は動きを止めた。

 

 

「イッセーさん・・・・?」

 

 いつまで待ってもキスしようとしない俺にアーシアが声をかける。俺はそっとアーシアから手を離した。

 

「・・・・ごめんアーシア」

 

 俺はアーシアを抱けない。

 アーシアとの仲を深めようとすると、いつからかある場面が頭に浮かぶようになった。

 

 ───夕陽を背にする黒髪の少女。

    公園に響き渡る少女の哄笑。

    そして、紡がれたあの台詞。

 

 今まで無意識に避けて来た。でももう認めよう、それはレイナーレに殺された場面、それが頭に浮かんでは胸に鋭い痛みが走って、俺の動きを止める。

 

「イッセーさん、どうして・・・・?」

 

「ハハ・・・・ごめんアーシア・・・・勃たないんだ・・・・」

 

 大きく盛り上がっていた筈の股間はいつしかすっかり萎れていた。これじゃ出来ねえよ・・・・

 

「あ・・・・・・だ、大丈夫ですイッセーさん。私が大きくしますから・・・・」

 

 そう言うとアーシアは俺の短パンをズリ下ろし、俺の逸物を露出する。

 

「アーシア!?何を!?」

 

「大丈夫です! 勉強しましたから・・・・」

 

 そう言ってアーシアは俺の逸物を摘まむと前後に動かし始めた。

 あのアーシアが俺のチンコに触れて大きくしようとしてる。無茶苦茶興奮する状況なのに、俺のモノはピクリとも反応しない!

 

「駄目ですか・・・・それなら───ん、ちゅ、ちゅ、んふ・・・・ペロ、ちゅぷ」

 

「ア、アーシア、そんな・・・・くぅ・・・・!」

 

 擦っても大きくならないチンコをアーシアは口に含んだ。信じられない! アーシアが俺のチンコを舐めてる! 顔を真っ赤にして股間に吸い付き、一生懸命チンコを大きくしようと頑張ってくれてる! でも駄目だ。やっぱりウンともスンとも言わない・・・・やがて、

 

「───ぷはっ! ハア、ハア、ごめんなさいイッセーさん。顎が疲れちゃって・・・・」

 

 限界が来て、アーシアが口を離した。

 

「もういいよアーシア。ごめん、今日は帰ってくれないか・・・・?」

 

 俺は俯いたまま、アーシアを見ずに言った。

 

「イッセーさん・・・・」

 

 アーシアは暫く俺を見つめていたようだが、やがて立ち上がり、床に落ちたネグリジェを拾って出て行った。

 

「情けねえ・・・・・・!!」

 

 勇気を振り絞ったアーシアに俺は応えられなかった。何がハーレム王だ! こんな情けないハーレム王がいるもんか!!

 

 自分の情けなさに、思わず涙が零れた。

 

 

 

 

 

 

 イッセーさんの部屋を出るとアーシア()は扉に背中を預け、その場に座り込んでしまいました。

 今夜私はイッセーさんに処女を捧げるつもりでした。ですが結果は失敗、イッセーさんを深く傷付けてしまいました。

 折角祐美さんやゼノヴィアさんにエッチのやり方を教えて貰ったのに(尤もゼノヴィアさんのは特殊過ぎて参考になりませんでしたが)残念です・・・・

 

「こんな筈じゃなかったのにな・・・・・」

 

 私はイッセーさんと結ばれて、確固たる絆が欲しかった。

 今、私達の側にはレイナーレ様がいる。騙されていたとは言え、イッセーさんが本気で好きだった方です。改心したレイナーレ様をまた好きになってしまったら・・・・そう思うと不安で堪りませんでした。

 ですから今夜こそはと迫ってみたのですが、駄目でした。

 

「やっぱりおっぱいの小さい私じゃ駄目なのかな・・・・?」

 

 イッセーさんの好みは部長さんのようなおっぱいもお尻も大きな女性です(お部屋にあるエッチな本に出て来るのはそういう人ばかりでした)。私では抱く気にならないのかな?

 ・・・・いけない、涙が滲んで来ました。いつまでもここにいる訳にはいきません。私はノロノロと自分の部屋に戻りました。

 

 

 

 

 

 

 ディオドラの来訪から三日過ぎた。

 リアスが立てたディオドラ対策は一対一では戦わず、複数で囲んで一気に殲滅するというものだった。およそ対策と云えるものではないが、言い変えればこれ位しか出来ないという事だ。皆もゲームまでは各自トレーニングに励むという事で頑張っている。

 原作知識からディオドラが『禍の団』の一員である事は確実だろう。あのパワーアップは間違いなく“オーフィスの蛇”によるものだ。アザゼルに釘を刺しておいたから何らかの対策は立ててくれるだろうと思う。

 

 各々ゲームに向けてトレーニングに余念がない。そんな中でゲームに出られない一輝()は、この機会に新しい能力の実験をしようとしていた。

 その能力は『次元移動』。この世界は“次元の狭間”と呼ばれる大河に浮かぶ島のようなものらしく、他にもいくつもの(世界)があるらしい。この能力はその大河を渡り別の島へと移動する能力だ。

 冥界の書物でこの事を知った俺はガイバーも普段は別次元にある事から、もしかしたらガイバーなら次元移動が可能なのではと思い、今回実験に踏み切った。

 

「本当に大丈夫なの?」

 

 リアスが心配そうに言う。

 

「大丈夫、無理はしないよ。ディオドラとのゲームまでには帰って来るさ」

 

 俺はリアスと軽くキスを交わすと彼女から離れる。

 

「ガイバーーーーーー!!」

 

 ガイバーに殖装した俺が思念を集中させると、次元の彼方から強殖装甲と似た材質の“蛹”状の物体が出現する。巨人殖装(ギガンティック)になる為に必要なこの物体を俺は便宜上『サナギ』と呼んでいる。

 

「それじゃあ、行って来る」

 

「行ってらっしゃい。気を付けてね」

 

 リアスに見送られ、俺の身体は『サナギ』に包まれると、そのまま次元の狭間に消えた。

 

 

 

 

 

 

 放課後。イッセーは一輝のマンションのトレーニングルームを借りて筋トレに励んでいた。

 

「───97、98、99、100!」

 

 決めた回数のダンベル運動を終え、床にダンベルを下ろす。荒い呼吸のままタオルで汗を拭うイッセーにドリンクが差し出された。

 

「どうぞ、イッセー君」

 

「ありがとう───! 夕麻ちゃん・・・・・・」

 

 イッセーは受け取ってからドリンクを渡したのが夕麻(レイナーレ)だと気付いた。そのまま顔を背けてドリンクを飲むイッセー。二人の間には気不味い空気が流れていた。

 

「やっぱり私を許せない?」

 

 メイド服を着た夕麻は悲しそうに呟く。

 取り敢えず駒王町に居る事を許された夕麻ことレイナーレだったが、アザゼルは住む所まで用意してなかった。

 やむを得ず一輝が自分のマンションの一室を提供し、代わりにメイドとして働くよう命じた。以来、夕麻はメイドとして働く事で少しでも認めて貰おうと懸命に働いていた。

 

「・・・・分かんねーよ」

 

 実際イッセーは夕麻をどうしたいのか自分でも分からなかった。

 イッセーにとって夕麻は初めての彼女だった。本気で好きになり、本気で結婚まで考え、彼女を幸せにするんだと張り切っていた。

 だが手酷い裏切りを受け、イッセーの心は深く傷付いた。その傷は未だ癒えず、消滅した筈の彼女が再び現れた事によってまた血を流し始めていた。

 

「お前なんかもう、好きでも何でもねーよ。それでもこう、何て言うか・・・・ああ、上手く説明出来ねえ!」

 

 苛立ち頭を掻き回すイッセーに夕麻は申し訳なさそうな視線を向け、何かを決意したように立ち上がった。

 

(イッセー君の心は深く傷付いてる。傷付けたのは私なんだから私が癒さなくっちゃ──)

 

 おもむろにメイド服を脱ぎ始める夕麻にイッセーの目が釘付けになる。

 

「ゆ、夕麻ちゃん? 何で脱いで・・・・・・」

 

「転校して来た日に私が言った事を覚えてる? 貴方が望むなら私に何をしてもいいのよ?」 

 

 メイド服の前を肌け、黒いブラに包まれた豊満な胸が眼前に晒される。そのままブラを外し、夕麻は生乳をイッセーに晒した。

 夕麻のおっぱいはゼノヴィア以上リアス以下の大きさで、お椀型の綺麗な形をしていた。双丘の頂は鮮やかなピンクに染まり、イッセーの目を惹き付けて止まなかった。  

 

(スゲエ・・・・これが夕麻ちゃんのおっぱい・・・・)

 

 付き合っている時何度も夢想した。何度も頭の中で揉みしだき、しゃぶり尽くした憧れのおっぱいにイッセーはゴクリと唾を飲んだ。

 

「私が貴方に出来る償いはこれだけ・・・・だからいいのよ。イッセー君の好きにして」

 

 イッセーは震える手でおっぱいに触れようとする。だがそんなイッセーの脳裏に、

 

 

 

『───死んでくれないかな?』

 

 

 夕日の中、嘲笑(わら)う夕麻の姿が浮かんだ。

 

「─────!!!」

 

 突然の吐き気にイッセーは口を押さえる。

 

「イッセー君!?」

 

 イッセーの異変に寄り添おうとする夕麻をイッセーは片手で制する。

 

「だ、大丈夫、大丈夫だ・・・・」

 

 憔悴するイッセーを目の当たりにして、夕麻は自分の付けた傷の深さに愕然とする。そして、

 

「!!!」

 

「ごめんなさいイッセー君・・・・私はどれ程貴方を傷付けてしまったのかしら・・・・怖がらないで。私はもう貴方を裏切らない・・・貴方を傷付けたりしないから・・・・・」

 

 夕麻はイッセーの頭を抱き寄せ、そのまま自分のおっぱいに沈めた。

 

「・・・・夕麻ちゃん」

 

 夕麻の柔らかいおっぱいに顔を沈め、イッセーの心は次第に落ち着きを取り戻して行く。それと同時にイッセーの股間が大きく盛り上がった。

 

(ああ、夕麻ちゃんのおっぱい、最高だぁ・・・・・・)

 

 そんなイッセーの様子に夕麻は艶然とした笑みを浮かべる。

 

「フフ♪ 元気になったわねイッセー君。だったら───」

 

「な!? ちょっ、夕麻ちゃん!?」

 

 夕麻の指がズボンのジッパーを下ろすと、大きくなったイッセーの逸物が顔を出した。

 

「フフ♪ 素敵よイッセー君。折角だからこのまま一回射精()しちゃう?」

 

「───え?」

 

 イッセーの逸物に夕麻の手が伸びて───

 

「え? イッセーさん・・・・・・」  

 

 その時、トレーニングルームにアーシアの声が響いた。

 

「イッセーさん・・・・レイナーレ様・・・・・・」

 

「え? アーシア?」

 

「え?───ち、違うのよアーシア!!」

 

 今の状況を一早く理解した夕麻が慌ててかけた声は、引き止める所か逆の効果をアーシアにもたらした。すなわち、二人の前からアーシアは逃走した。

 

「どうしたんだアーシア!?」

 

「バカ! こんな所を見て、誤解されたに決まってるでしょう!───追って! 速く!!」

 

「───お、おう!!」

 

 ようやく今の状況に気付いたイッセーが慌ててアーシアを追う。だがトロそうに見えて意外にもアーシアの足は速く、中々追い付けない。

 

(どうしてイッセーさん! 私の時は勃たなかったのに、レイナーレ様相手ならあんなに大きくなるの!? それは確かにレイナーレ様の方が美人だしおっぱいも大きいけど、だからって、だからってあんまりです──!!)

 

 アーシアは涙を滲ませ、マンションの外へと駆け出した。

 今のアーシアは自分の時は勃たなかったイッセーがレイナーレ相手に大きくそそり勃った事にショックを受けていた。

 それはまるでイッセーが自分よりレイナーレを選んだ証のように思えて、アーシアの心は深く傷付き、冷静な判断が出来なかった。その時、

 

「───あっ!?」

 

 足を縺れさせてアーシアが転んだ。身体を起こすと打ち付けた身体や擦りむいた膝が痛い。でもそれよりずっと心の方が痛かった。

 

(そうか・・・・・・結局私はイッセーさんにとって“妹”

でしかなかったんだ。もうやだ、私なんて消えてしまえたらいいのに───!)

 

 そんな時、すぐ側に人の気配を感じたアーシアは、涙で滲む瞳をそちらに向けた。

 

「ディオドラさん・・・・?」

 

 そこには優し気な微笑みを浮かべたディオドラがいた。

 

「迎えに来たよ、アーシア」

 

「────あ」 

 

 ディオドラの瞳が妖しく光り、アーシアの意識は深い闇の底へと落ちていった。

 

 

 

 

 

 

 フフフ、思いの外上手く行った。アーシアを奪う機会があればと使い魔に見張らせていた甲斐があったよ。

 今ならディオドラ()の催眠術でもアーシアを眠らせられる程、彼女の心は傷付き弱っている。まさかこんなチャンスが転がり込んで来るとは・・・・

 リアス、君も運が無いね。悪いがアーシアは僕が貰って行くよ、ククク・・・・

 

 

 

 

 

「アーシア、どこだ!?」

 

 ちくしょう、アーシアを見失っちまった。意外な俊足振りを見せたアーシアにイッセー()は完全にちぎられてしまった。

 あんな所を見られてアーシアを誤解させちまった。早く誤解を解かないと───!

 

《相棒、すぐ近くに魔力の反応があったぞ》

 

 焦る俺にドライグが教えてくれた。

 

「マジかよ!? どっちだ!?」

 

《その角を右だ。急げ!》

 

 ドライグに従い右に曲がる。そこには魔方陣の上に立ち、こちらに背を向ける金髪の男──ディオドラがいた。

 

「ディオドラァァァァ!!!」

 

「───フッ」

 

 ディオドラは俺を見て嘲笑を浮かべる。

 あの野郎、意識がないのをいい事に、アーシアをお姫様抱っこなんかしやがって!!

 俺の怒りに呼応し、左腕に【赤龍帝の籠手(ブーステッド・ギア)】が具現化する。

 俺はアーシアを取り戻そうと、必死に手を伸ばした。

 

「アーシアァァァッッ!!!」

 

 だが一瞬遅く、二人の姿は魔方陣に消えて行った。

 

 

 

 

 

 ドガッ!!

 

 届かなかった拳を力一杯地面に叩き付ける。

 

 

「うおおおおーーーーーっ!!!」

 

 

 俺の叫びは虚空に吸い込まれ、空しく消えていった。

 

 

 




読んでいただきありがとうございます。

レイナーレってあれで退場するのは勿体ないな、と思っていました。
彼女がもし原作一巻後も生き残ってたら、和平成立後にこうなってたかも、というのを妄想してイリナの対になるような堕天使側のエージェントとして今回の復活となりました。
性格が原作とは違うと思いますが、仲間を失い死にかけた挙げ句、憧れの上司からお叱りを受け、絶賛猛省中なので多少変わっても仕方がないと思って下さい。
彼女は現在メイド隊の末席に加わってますが、彼女の今後についてはアンケートを設けますので、皆さんのご意見を聞かせて下さい。

次回はいよいよ一輝の眷属が登場します。
タグにあるように他作品のヒロインです。
誰が出て来るかはお楽しみに。

レイナーレ、今後どうなる?

  • イッセーのヒロイン化
  • 一輝のハーレム入り
  • アザゼルの嫁
  • バラキエルの後妻
  • 誰とも結ばれず、メイドになる
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