※この作品はR-18です。

ハイスクールD×G~駒王町の規格外品   作:Tokaz

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第27話がかなり不評だったので、一部修正しました。
最新話を読む前にもう一度読み返す事をお勧めします。

それでは第28話をご覧下さい。


第28話 グレモリーVSアスタロト

 

 

「大変です部長!!」

 

 明日の計画(プラン)を練っているリアス()の元に、慌てた様子でイッセーとレイナーレが飛び込んで来た。

 何事かと思ったら、アーシアがディオドラに連れ去られたという。ゲーム前日に対戦相手の眷属を拐うなんてとんでもないルール違反だ。何があったのかイッセーとレイナーレから詳しい話を聞いた私は、朱乃と祐美を連れ、冥界のアスタロト邸へ跳ぼうとした。だけど、

 

「部長、俺も連れて行って下さい!」

 

 そうイッセーが頼み込んで来た。アーシアを目の前で拐われた責任を感じているんだろうけど、今のイッセーがディオドラを前にしたら即座に殴りかかりそうね。

 結局イッセーの熱意に負け、祐美と交代で同行を許してしまった。一抹の不安を抱えつつ、私達は冥界へと跳んだ。

 

 

 

 

 

「ようこそリアス・グレモリー様。我が主がお待ちです。どうぞこちらへ」

 

 魔方陣でアスタロト邸の玄関ホールに出ると、そこには一人の女が待っていた。彼女は確かディオドラの女王(クイーン)だったわね。彼女の案内で私達はディオドラの待つ部屋へと通された。

 

「やあリアス。突然の訪問はお互い様だし、非礼を責めはしまい。それで? 何の用かな?」

 

 理由なんて分かってる癖に白々しい。私が苛立ちを抑えつつディオドラの対面に座ると、朱乃とイッセーが私の後ろに控える。ディオドラの女王も同じようにディオドラの背後に控えた。

 

「言わなくても分かるでしょう!? ゲーム前日に一体どういうつもりなのディオドラ! アーシアを返しなさい!!」

 

 私は単刀直入に用件を切り出す。だが、

 

「心外だねリアス。それじゃあ僕が無理矢理アーシアを奪ったみたいじゃないか。勘違いしないでくれ、彼女は自分の意志で僕の所へ来たんだ」

 

「「「───なっ!?」」」

 

「僕がちょうど転移した所にアーシアがやって来て、『もうここにはいたくない。一緒に連れて行って』って頼まれたんだ。だから僕は彼女の頼みを聞いてこの邸に連れて来たんだよ」

 

 アーシアが自分からディオドラの元へ行くなんて・・・・そんな話信じられない! そんなの捏造に決まってるわ!

 

「馬鹿な事を言わないで! アーシアがそんな事言う筈ないわ!」

 

 私はディオドラの言い分を真っ向から否定する。でもディオドラは人を小馬鹿にしたような笑みを浮かべる。

 

「何故そう言い切れるんだい? 眷属と言えど彼女の全てを知ってる訳じゃあるまい」

 

「確かに知ってる訳じゃないわ。私はあの娘を信じているだけよ」

 

「信じてるねえ・・・・都合のいい言葉だけど生憎証拠にはならないよ」

 

 確かにその通りだ。アーシアが同行を望んだというディオドラとそれを否定する私達。互いの意見はどこまで行っても平行線だ。この場を収めるにはアーシア本人の証言がいる。

 

「アーシアは? 無事なんでしょうね?」

 

「勿論だよ。ただ今の彼女は精神的に深く傷付いてる。僕に『一緒に連れて行って』と頼むとそのまま気を失って、未だに目覚める様子はない。今は別室で休ませているが・・・・君らは一体アーシアに何をしたんだい?」

 

「それは・・・・・・!?」

 

 ディオドラは意味ありげな視線を私達に向けて口角を上げる。こいつ、本当に嫌味ったらしいわね!

 

「とにかく彼女は傷付いてる。その原因であろう君達に会わせる訳にはいかないよ」

 

「ぐうう・・・・」

 

 悔しいけど言い返せない。

 

「君も少し冷静になるべきだね。とにかくアーシアは僕が預かる。明日のゲームには連れて行くから話ならそこでするといい」

 

「それじゃあアーシアがゲームに出られないじゃない!」

 

 ゲームの出場登録は試合開始の二十四時間前に行われる。すなわち今夜零時にアーシアが私達と一緒にいないと彼女の出場が認められないのだ。

 

「リアス・・・・今の状態のアーシアを試合に出す気なのかい? 流石に無理だと思うよ?」

 

「うっ!?」

 

 いけない・・・・アーシアの状態を考えられないなんて確かに冷静さを欠いてるわね。今の状態では欠場も止むを得ないか・・・・ 

 

「分かったわディオドラ。明日のゲームまでアーシアは預けるわ。但し! 指一本でも触れたら許さないわよ!!」

 

「おお怖い。分かったよ、ゲームが終わったら彼女は僕の花嫁になるんだ。それまで我慢しよう」

 

「お前! さっきからふざけた事ばかり言いやがって、いい加減にしろよ!!」 

 

 アーシアを花嫁にするという台詞にとうとうイッセーの怒りが爆発した。まぁ、今まで良く持ったというべきね。

 

「リアス・・・・つくづく君は眷属の教育がなってないね。『(キング)』同士の会話に割り込むなんて、礼儀知らずも甚だしい。・・・・全く、そんなんだから肝心な時に勃たないんだよ、オ・ニ・イ・サ・ン」

 

「!───お前、知って・・・・!?」

 

 何だろう? 私には良く聞こえなかったんだけど、ディオドラの呟きにイッセーが顔面蒼白になっている。 

  

「大体何故君が被害者ヅラしてるんだい? 今回アーシアが君らの元を出て行ったのは全て君のせいだろう!? アーシアを傷付け、彼女が出て行く原因となった君に偉そうに文句を言う権利なんてないよ。全く、どれだけ厚顔無恥なんだい!?」

 

「お、俺は・・・・・・」

 

 逆にディオドラから糾弾されたイッセーは何も言い返せない。そんなイッセーを一瞥すると、ディオドラは心底くだらないとばかりに鼻を鳴らした。

 

「フン、言い返す事も出来ないか。・・・・リアス、こうなったら全ては明日のゲームで決めよう。君が勝ったらアーシアを返そう。だが僕が勝ったらアーシアは僕が貰う」

 

 アーシアが目覚めないなら私達の意見は平行線のままだ。元々賭けは成立しているし、ゲームで全てを決めるのもいいかも知れないわね・・・・

 

「・・・・・・色々と言いたい事はあるけどまぁいいわ。要は明日のゲームに勝てばいいって事ね。行くわよ、朱乃、イッセー」

 

 私はディオドラと暫し睨み合うと、消沈するイッセーを連れて部屋を出て行った。

 

 

 

 

 

 

 女王にリアス達を見送らせ、ディオドラ()は邸内の一室を訪れていた。

 部屋の中央には大きな天蓋付きのベッドが置かれ、そこには一人の美しい少女──アーシアが眠っていた。

 

「アーシア、リアス達は帰ったよ。彼女は君が僕に連れて行って欲しいと頼んだのを信じなかったよ・・・・

まあ、確かに嘘なんだけどね」

 

 とは言えアーシアがそう思ってもおかしくない状況だ。それはリアスだって認めざるを得ない。

 

「だから明日のゲームで全ての決着を付けるという僕の案にあっさり乗ったよ。・・・・ククク、バカな奴らだ。誰がまともなゲームなんてやるかよ」

 

 今更真面目にゲームをするなんてバカらしい。現政府が倒れれば何の意味もないんだから。

 

 駒王学園の制服のままアーシアは眠っている。睡眠姦は趣味じゃないから今は手を出さないよ。

 やっぱり女を犯すのは好きな男の前でなくちゃ。犯される女の悲痛な叫びも自分の女を犯される男の怨嗟の声も、僕にとっては最高のスパイスだ。

 

「その時になったら、君はどんな声を聞かせてくれるんだろうね。きっと堪らなく甘美だろう。今から楽しみだよ、アーシア。ククク・・・・」

 

 彼女の頬を撫でながら、ついつい笑いが込み上げて来る。

 初めて観た時からずっと狙っていたんだ。途中おかしな横槍が入り、手に入れるまで思わぬ時間がかかってしまったが、もう誰にも渡さない。

 アーシア、君は僕のものだ。もう逃がさないよ、フフフ・・・・・・

 

 

 

 

 

 

 間もなくディオドラとのレーティングゲームが始まろうとしています。

 ゲームの内容はディオドラが守る拠点をリアスが攻略するという拠点攻略戦。ディオドラが拠点各所に配置した眷属を突破し、最深部にいるディオドラを倒せばリアスの勝利、途中でリアスが倒されればディオドラの勝利となる。

 朱乃()は皆と共に戦場(バトルフィールド)へ転送されるのを待っていますが、正直チームの雰囲気は最悪です。今この場にいるのは七人、本来の人数より二人足りない。新能力の実験にいった一輝はゲームまでには戻ると言っていたのに未だ帰らず、そしてアーシアちゃんもまた───

 一輝もアーシアちゃんもチームを支える精神的柱、その二人を欠いて皆どこか落ち着きを失くしているようです。特にイッセー君。ディオドラからアーシアちゃんを傷付けたと糾弾されてから、彼は深い自責の念に囚われ、落ち込んだままです。こんな時一輝がいてくれたら、と思ってしまいます。

 

(全く、どこに行ってしまったのかしら・・・・)

 

 この大変な時にいないなんて、と八つ当たり気味に思ってしまう。

 アーシアちゃんが飛び出した理由はレイナーレから聞きました。正直何て事をと思わなくもないが、彼女だけが悪いとは言えません。強いて言えばタイミングが悪かったとしか・・・・全く、神の悪戯としか思えませんわね。あぁ、神はもういないんでしたっけ。

 そんな取り留めない事を考えていると、開始三分前になりました。

 

「部長、そろそろ時間です。皆にお言葉を」

 

 私が促すとリアスは頷いて席を立つ。そして皆を眺めつつ口を開きました。

 

「皆、聞いてちょうだい。一輝は未だ帰らず、アーシアも欠いて私達の状況は最悪と言っていいわ。でも一輝は必ず帰って来るし、アーシアも必ず取り戻す」

 

 リアスの言葉にイッセー君がピクリと反応します。

 

「アーシアは今、ディオドラの元にいるわ。あの娘を取り戻すにはこの試合に勝つしかない! いい皆、必ずディオドラを倒してアーシアを取り戻すわよ!!」

 

「「「「はいっ!!」」」」

 

 少しは気合が入ったのか、皆の返事が頼もしい。

 

「イッセー、アーシアは必ず取り戻すわ。でもあの娘を繋ぎ止めるのは貴方の役目よ」

 

「部長・・・・・・」

 

 リアスは塞ぎ込むイッセー君に声をかける。

 アーシアちゃんがいなくなって初めて気付いた事がある。まさか人並み外れたスケベで、夢はハーレム王だと公言しているイッセー君が、女に対して恐怖心を持ってるだなんて・・・・

 

「普段の貴方を見ていて全く気付かなかったのは私の落ち度よ」

 

 それに気付いたのが、イッセー君にその恐怖心(トラウマ)を植え付けたレイナーレ本人だったというのは皮肉な話です。

 より詳しく言うと、今のイッセー君は女に裏切られる恐怖心から女と深く関わる事が出来ないという、かなり厄介な状態でした。

 イッセー君の恐怖を私は理解出来るような気がします。もしもあの時、一輝に拒絶されていたら、私もきっと同じようになっていたでしょう。

 

「でもねイッセー。貴方には責任があるわ。アーシアを行かせてしまった責任じゃなく、あの娘の想いに答える責任が」

 

「責任・・・・・・」

  

 だから分かります。イッセー君が本当に立ち直るには、彼を愛する女からの愛をきちんと受け入れるしかないと。そしてそれが出来るのはアーシアちゃんしかいません。もしここでアーシアちゃんを失えば、イッセー君の恐怖心を払拭する事は更に難しくなるでしょう。

 

「もし、アーシアともう二度と会えないとしたら・・・・貴方はどうする?」

 

「そんな・・・・俺嫌です!!」

 

「そうね、私も嫌よ。だからねイッセー、貴方の想いをちゃんと口に出してアーシアに伝えてあげなさい。心の中で想っているだけじゃ想いは伝わらないわ。貴方の言葉で、アーシアを本当の意味で取り戻すのよ!」

 

「部長・・・・分かりました! 俺・・・・俺、やってみせます!!」

 

 リアスの激励でイッセー君の瞳に炎が宿る。良かった。これで何とかなりそう。

 

「よし! 行くわよ、私の可愛い眷属(アナタ)達! 必ずアーシアを取り戻して、私に勝利を!!」

 

「「「「はいっ!!!」」」」

 

 気合の入った声と共に私達は戦場(バトルフィールド)に転送された。   

 

 

 

 

 

 

「いよいよだな・・・・」

 

 今回のゲームの戦場(バトルフィールド)はギリシャのパルテノン神殿を模したものだ。

 アザゼル()はサーゼクスと共にグレモリー側の貴賓室で中継を観ていた。ここにいるのは俺達以外にグレモリー夫妻とミリキャス、グレイフィア、その他にイリナとレイナーレもいた。

 

 リアス側は七人。元々出場出来ない一輝以外にアーシアの姿がない。

 アーシアの件は昨夜聞いた。アーシアの不在はチームの継戦能力を著しく低下させる。果たしてあのディオドラ相手にその状態で戦い抜けるだろうか。

 

「所でディオドラの方はどうだった?」

 

 俺はサーゼクスに頼んだ調査の結果を訊ねる。

 

「ああ、まだ調査中だからはっきりとした証拠はないが、怪しい奴らと接触していたのは本当らしい。やはりディオドラのパワーアップは“オーフィスの蛇”による可能性が大だな」

 

「【無限の龍神(ウロボロスドラゴン)】オーフィスか・・・・何であいつが『禍の団(テロリスト)』なんぞに手を貸してるのかね・・・・」

 

「アレの考えなんて分からんよ。“無限”にして

“夢幻”。全てを超越した奴を理解出来る者などいないさ」

 

「そう言えばあいつは姿も性別も自由に変えられるんだったな。昔見た時は白髪の老人(ジジイ)だったが、今はどんな姿をしてるんだか・・・・」

 

 サーゼクスと意見を交わしていたその時、

 

「案外幼女の姿をしてるかもしれませんよ」

 

 いきなり割り込んで来る声がした。

 

「一輝!!?」

 

「すいません、ただ今戻りました」

 

 そこには申し訳なさそうに苦笑を浮かべる一輝がいた。良かった、無事戻ったか。

 

「ったく、遅えよ一輝。リアスの奴怒ってたぞ」

 

 俺は内心の安堵を表さず、皮肉げに言った。

 

「いやぁ、何せ初めて使う能力だから加減が分からなくて、それで遅れちゃって・・・・」

 

「まあ無事に戻って良かった。幸いまだ始まっていないしね。・・・・所で彼女は誰だい?」

 

 そう、一輝は一人じゃなかった。黄色いフード付きのコートを被った小柄な少女。だが発する雰囲気は少女のそれじゃなく、まるで歴戦の王者のような風格を纏っていた。何だこいつは? 神話や歴史上の英雄って言われても納得出来るぞ!?

 

「紹介します。俺の『女王(クイーン)』、アルトリアです」

 

 一輝がどこか誇らしく自らの眷属を紹介する。すると彼女がフードを下ろし、顔を顕にした。

 

「お初にお目にかかります。縁あって一輝の女王となったアルトリアです」

 

 その途端、そこにいる全員の目が彼女に釘付けになった。

 金糸を編み込んだような金色の髪と澄んだ湖水のような翠の瞳をした美しい少女だった。ただ美しいだけじゃなく、可憐な容貌は凛々しく引き締まり、澄んだ翠の瞳は強い意志を秘め、人を惹き付けて止まないカリスマ的な魅力を湛えていた。

 

「おいおい一輝、お前どこでこんなの引っ張って来た?」

 

 彼女──アルトリアの所作は武人のそれだ。全く隙がねえ。下手すりゃ俺だって危ないかもしれん。これ程の強者なら俺が知らない筈がねえんだが・・・・

 

「次元を渡った先で出会ったんですよ。いや、苦労しました」

 

「ム、何です一輝。それでは私が面倒な女のようではありませんか」

 

「ハハハ、すまんアルトリア」

 

 おいおい、次元を渡った先ってつまりは別次元、分かりやすく言えば異世界から連れて来たってのか!? 成る程、それなら俺が知らないのも納得だが、一輝の奴自分のした事が所謂異世界召喚のようなモンだって分かってるのかね?

 俺がそう指摘しようとした時、

 

「待った。試合が始まるぞ」

 

 サーゼクスの声に俺達の目はスクリーンに引き付けられた。 

 

 

 

 

 

 

『ハハハハ! やぁ、よく来たねリアスとその眷属達!』

 

 神殿前まで来たイッセー()達にディオドラの声が響く。周りを見渡しても奴の姿は見えない。

 

『無駄だよ赤龍帝。僕は神殿の中心部から君達の様子を窺ってる。アーシアと一緒にね』

 

 ズキンと俺の胸に痛みが走る。

 

「アーシアは無事なんでしょうね?」

 

 部長が静かな声で訊ねる。あ、ヤバい。あれはメチャクチャ怒りを堪えてる! もう爆発寸前だ!

 

『勿論。アーシアは丁重に預かっているよ。何たって数時間後には彼女は僕の花嫁になるんだからね、フフフ』

 

 こいつ、もう俺達に勝ったつもりか? ふざけやがって!?

 

「言いたい事はそれだけ? だったらもう始めましょう? 貴方の御託はいい加減聞き飽きたわ」

 

 普段の優しい声とはかけ離れた冷たい声で部長が言う。その迫力にディオドラは気圧され、一瞬声を失った。

 

『っ!?・・・・フン、いいだろう。では一回戦は彼女らが相手だ』

 

 ディオドラの声と共に十人の少女が姿を現した。

 

『僕の戦車(ルーク)二名と兵士(ポーン)八名だ。ああ、因みに兵士達は女王(クイーン)に【昇格(プロモーション)】済みだ。いきなり女王八名が相手だけど君の眷属は強力な事で有名なんだから構わないよね、リアス?』

 

 ディオドラの挑発じみた言動を意に反さず、部長が答えた。

 

「構わないわ。ではこちらからは兵士(ポーン)一名と騎士(ナイト)二名、それと女王(クイーン)を出しましょう」

 

 敵は十名、てっきり七人全員で掛かると思ってたのに四人だけ!? 俺もメンバーに入ってるし、大丈夫かよ!?

 

『・・・・いいだろう、一分後に試合開始だ』

 

「出場する四人は集まって。作戦を説明するわ」

 

 部長が俺達を集めて手早く作戦を説明する。よし、やってやるぜ!

 

 

 

 

 

 

 一回戦が始まった。ディオドラの戦車二名と兵士八名がゼノヴィア()達に迫る。

 リアス部長から託された私の役目は戦車二名の足止め。だが別に倒してしまっても構わんのだろう?

 私はデュランダルを召喚し、戦車二名の迎撃に走り出した。

 

 私達にとってアーシアはかけがいのない存在だ。

 一度は魔女と、異端者と蔑んだ私を許し、温かな日だまりのような優しさで包んでくれた彼女。転生したばかりの頃、教会暮らしで普通の生活に馴染めなかった私に、「私もそうでしたから」と笑って手を貸してくれた。そして私は彼女が『聖女』と呼ばれていたのは『神器』の力があるからではなく、彼女自身の慈愛の心から生じる優しさ故なのだとようやく気付いた。

 そんなアーシアを私達から奪おうとするディオドラ・アスタロト! 私は絶対に許さない!!

 

「聖剣デュランダルよ! 私の想いに応え、その力を解放しろ!!」

 

 私の想いに応え、デュランダルがかつてない程激しい光を放つ。絶大な聖なるオーラが大気を震わせ、戦車二名を弾き飛ばした。

 

「くっ、なんて強大なオーラなの!?」

 

「彼女はデュランダルを使いこなせなかったんじゃなかったの!?」

 

 戦車達は聖なるオーラに吹き飛ばされながらも立ち上がった。だが足元がふらついてる。チャンスだ!

 

「確かに今の私にはデュランダルを完全に制御する事は出来ない。だから今はデュランダルの特性である切れ味と破壊力をひたすら増大する事だけを追求し、ただ突き進むのみ!!」

 

 正直これは技とは言えない。単なる力技だが、私の全身全霊を込めた一撃だ!!

 

「デュランダル・バースト!!」

 

 上段から振り下ろしたデュランダルが絶大なオーラを放ち、戦車達に襲いかかる。

 

「「きゃああああーーーーー!!?」」

 

 聖なるオーラに飲み込まれ、戦車達の姿が消える。後には私を中心に直径30m位のクレーターが出来ていた。

 

『ディオドラ・アスタロト様の「戦車」、二名リタイヤ』

 

 私の勝利を告げるアナウンスが響く。

 

「ゲーム内の出来事だから、多分死んではいないと思うが・・・・さて、向こうはどうなったかな?」

 

 そう思った私の背後で雷鳴が轟いた。

 

 

 

 

 ゼノヴィアが戦車二名を抑えに走る。あっちは任せよう、こっちの八人を抑えるのは祐美()の役目だ。

 

「それじゃあ朱乃さん、イッセー君、手筈通りに」

 

「了解ですわ」

 

「本当に大丈夫か祐美? 相手は八人もいるんだぞ?」

 

「大丈夫よ。任せて」

 

 心配するイッセー君をよそに私は迫り来る兵士達へ歩みを進める。

 

「悪いけどアーシアさんを奪われて怒っているのは私も一緒なのよ・・・・ソード・バース───

 

 私は一振りの魔剣を作り出し、天に掲げ、指揮棒のように振り降ろした。

 

「ミーティア!!」

 

 その途端に私の背後の空間から八本の魔剣が射出され、兵士達に飛んで行く。

 

「くっ、これは!?」

 

「怯むな! 冷静に対処しなさい!」

 

 確かに一本位なら対処出来るでしょう。でももっと増えても対処出来るかしら?

 私の背後からは第二陣、第三陣と次々に魔剣が射出され、兵士達に襲いかかる。

 

「きゃっ!」

 

「ちょ、バカ、どいてよ!? きゃああ!!」

 

 中には連携が上手くないのか、避けた先でぶつかって魔剣に貫かれる者もいる。バカな人達。こちらの戦法を見もしないで全員女王に【昇格】なんてするから・・・・

 確かに女王は(パワー)速さ(スピード)、魔力の全てを兼ね備えた最強の駒だ。だけど力では戦車に、速さでは騎士に、魔力では僧侶に敵わないという欠点も抱えている。

 この場合、例えば何人かは戦車や騎士に【昇格】していれば、襲い来る魔剣を戦車が防ぎ、その間に騎士が私を襲撃して【魔剣流星群(ソード・バース・ミーティア)】を止める事も出来ただろうに。

 

 

『ディオドラ・アスタロト様の「戦車」、二名リタイヤ』

 

 

 魔剣を第五陣まで射出した時、アナウンスが流れた。ゼノヴィアが戦車を撃破したか・・・・ならそろそろかな?

 そんな風に思うと同時に、私の背後で強大な魔力が膨れ上がった。

 

 

 

 

 戦況は作戦通りに進んでいた。

 ゼノヴィアが戦車を、祐美が兵士を抑える間にイッセー()は【赤龍帝の籠手(ブーステッド・ギア)】に力を溜める事に専念する。

 

 

『ディオドラ・アスタロト様の「戦車」、二名リタイヤ』

 

 

 やがてゼノヴィアが敵戦車を撃破したとアナウンスが流れた時、【赤龍帝の籠手】の宝玉が光を放った。来た!

 

「朱乃さん!!」

 

「ええ!」

 

 俺は朱乃さんの肩に手を置いて叫ぶ。

 

「行くぜ! ブーステッド・ギア・ギフト!!

 

『transfer!!』

 

 【赤龍帝の籠手】第二の能力『譲渡』。圧倒的なエネルギーが俺から朱乃さんに流れ込む。

 

「っ!?───これなら!!」

 

 朱乃さんから赤と黄金の二色のオーラが螺旋を描いて燃え上がる!

 

「喰らいなさい!!」

 

 朱乃さんが超特大の雷を放つ。

 

「「「「きゃああああーーーーー!!!」」」」

 

 祐美の【魔剣流星群】で釘付けされた兵士達に雷が降り注ぎ、兵士達の姿が消えた。 

 

 

『ディオドラ・アスタロト様の「兵士」、八名リタイヤ』

 

 

「フン、『雷光』を撃たなかっただけありがたいと思いなさい!」

 

「ハハハ・・・・」

 

 やっぱりウチのお姉様達はスゲエぜ! 朱乃さんは勿論、全部部長の作戦通りだ! 俺は開始前の作戦会議を思い出していた。

 

 

 

<><><><><><>

 

 

 

『いい? ゼノヴィアが戦車二名を、祐美が兵士八名を抑えている間にイッセーは力を溜めなさい。力が溜まったら朱乃に『譲渡』して、一気に撃破するのよ』

 

『でも部長、八人相手なんていくら祐美でも難しいんじゃ』

 

『以前の祐美なら無理かもしれないけど、今の祐美には【魔剣流星群】があるわ。あれを上手く使えば一分位時間は稼げる筈よ。どう、祐美?』

 

『はい、やってみせます』

 

『でも部長、一分じゃあ力が溜まらないんじゃ・・・・』

 

『大丈夫よイッセー。貴方は強くなったわ。今の貴方なら一分位で十名全員を撃破出来る位の力が溜まる筈よ』

 

『部長・・・・』

 

『イッセー、そして皆も。私を、そして今まで強くなる為に頑張って来た自分自身を信じなさい。大丈夫、きっと上手く行くわ』

 

  

 

<><><><><><>

 

 

 

 部長の作戦がバッチリ嵌まった! 一回戦は俺達の完全勝利だぜ!!

 

『・・・・・・まさか十人もいて一人も倒せないとはね・・・・一回戦は君の勝ちだ、素直に認めよう。神殿へ入りたまえ。二回戦はそこで行う』  

 

 ディオドラの悔しげな声が響く。だが部長は全く意に反さず淡々と答えた。

 

「それはどうも。行くわよ皆!」

 

「「「「はいっ!!!!!」」」」

 

 俺達は意気揚々と神殿の中へ入って行った。

 

 

 

 

 

 ガシャアーーーンッ!!

 

 ディオドラは怒りのあまりグラスを床に叩き付けた。

 

「くそっ! 十人もいて一人も倒せないなんて役立たず共め!・・・・・・まあいい。神殿内にはいくつもトラップが仕掛けてある。二回戦の開始までに何人かは減らせるだろう。くそ、それにしても腹の立つ・・・・次だ。次こそはリアス達を潰してやる!!」

 

 ディオドラの顔は怒りで醜く歪んでいた。

 

 

 

 

 




読んでいただきありがとうございます。

ご覧の通り一輝の女王はアルトリア(青セイバー)となりました。
一輝の眷属は連載当初から色々考えていましたが、その頃から女王は彼女にしようと決めていました。
本エピソードでは彼女だけですが、徐々に眷属を増やして行こうと思います。  

レイナーレ、今後どうなる?

  • イッセーのヒロイン化
  • 一輝のハーレム入り
  • アザゼルの嫁
  • バラキエルの後妻
  • 誰とも結ばれず、メイドになる
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