※この作品はR-18です。

ハイスクールD×G~駒王町の規格外品   作:Tokaz

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連続投稿の2話目です。
まだ読んでない方は先に第29話をご覧下さい。


第30話 イッセー、怒りの一撃! 

 

 

 物語は少し前に遡る───

 

 

 

 二回戦が終わり、残る敵はディオドラ本人と騎士二名のみ。グレモリー側の被害は0だ。戦力比は圧倒的にグレモリーが有利だが、まだまだ油断は出来ない。アスタロト眷属は(キング)であるディオドラがエースのチームだ。奴を倒さない限り安心出来ない。

 

「一輝? 何だか機嫌が悪そうですね。何かありましたか?」

 

 アルトリアが一輝()の顔色を窺い、形の良い眉を潜める。

 

「ん? ああ・・・・アーシアが心配でな。辛い目に合ってないといいんだが・・・・」

 

 アーシアがディオドラに連れ去られたというのは先程聞いた。何故その時側にいなかったのかと自分を責めたが、サーゼクス様に「自分がいればどうにか出来たと思うのは傲慢だ」と諭された。

 確かにその通りだ。上級悪魔に昇格し、アルトリアという眷属を得て俺は少し調子に乗っていたのかもしれない。サーゼクス様の言葉は俺を戒めてくれた。こんな時は流石は魔王だと素直に尊敬出来るんだがなぁ・・・・

 

「気を落とさないで、一輝。その彼女はゲームに勝てば戻って来るのでしょう? 仮に戻って来なかった時は私も救出に協力しますから」

 

 アルトリアの言葉が素直に嬉しい。

 

「ありがとうアルトリア。万が一の時は力を貸してくれ」

 

「はい。私は貴方の剣──いいえ、女王(クイーン)です。我が力はいつでも貴方の為に───」

 

 彼女の高潔さはサーヴァントであった時から変わらないな、と嬉しく思う。その時、

 

「何だ? 戦場(バトルフィールド)に霧が出て来たぞ?」

 

 アザゼルの声に俺はスクリーンを注視する。

 アザゼルの言う通り、戦場に霧が発生していた。その霧は見る見る内に広がって行き、やがて戦場全体を覆い隠す程に成長した。

 

「サーゼクス様、たった今通信が。中との連絡が一切通じないそうです」

 

「「「!!?」」」

 

 グレイフィアさんの報告に皆に緊張が走る。その時俺はこの部屋に迫る不穏な気配を察知した。チラリとアルトリアに視線を向けると、彼女は小さく頷いた。そして、次の瞬間───

 

「サーゼクス、覚悟!!」

 

「滅びよ、偽りの魔王!!」

 

 床に魔方陣が光ると、何人もの悪魔が飛び出して来た。

 

 俺はサーゼクス様に襲いかかる三人を【(つむじ)】で迎撃すると、機先を制されてまごついている二人を【虎砲(こほう)】で次々と沈める。

 アザゼルに向かった三人はアルトリアがあっさりと斬り倒し、残る二人は後れ馳せながら襲撃に気付いたレイナーレが光の剣で斬り臥せた。

 グレモリー夫妻に向かった三人はイリナの光を浴びて消滅した。その間にグレイフィアさんが転移を封じる結界を張った。その間約十秒。

 

「ご無事ですか、サーゼクス様?」

 

「ご苦労、一輝君。襲撃者十三名を十秒か・・・・大したものだね」

 

「こいつらお前の事を偽りの魔王って言ってたな。という事は・・・・」

 

「『禍の団(カオス・ブリゲート)』・・・・それも旧魔王派だな・・・・」 

 

「やはりディオドラは黒か。だったらサーゼクス様、始末しても構いませんね?」

 

 どうせディオドラは利用されてるだけで、『禍の団』に関する大した情報は持っていまい。いい加減我慢の限界だ。俺は拳を握り締め、自分が介入する事を宣言した。

 

「止むを得まい。だがあの霧は・・・・」

 

「恐らく【絶霧(ディメンション・ロスト)】。結界系最強の神器(セイクリッド・ギア)だ。結界内に入るのも難しいが、出るのは更に難しい。外から破壊する事はまず不可能だろう」

 

「そんな!? それじゃああの結界を破る方法はないんですか!?」

 

 イリナの叫びにアザゼルは自分の見解を述べる。 

 

「いや、恐らくあの霧の中に結界の発生装置がある筈だ。それを壊せば・・・・」

 

「ならどのみち中に入らないと。──行くぞ、アルトリア」

 

「はい一輝」

 

 打てば響くようなアルトリアの声が頼もしい。そこへ、

 

一兄(かずにい)私も!」

 

「一輝様、私も連れて行って下さい!」

 

 イリナとレイナーレが同行を求めて来た。

 

「危険だぞ? それでもいいのか?」

 

「「はいっ!!」」

 

 覚悟は出来てるようだな。まぁ四人ならかなり狭いがギリギリ入れるか。

 

「いいだろう。行くぞ」

 

 俺の了承を得て喜色を浮かべる二人。

 

「だが一輝、お前どうやって中に入る気だ?」

 

 そう訊ねるアザゼルに俺は自分の考えを述べる。

 

「ガイバーの次元移動ならあの結界を抜けられると思うんですが・・・・どうでしょう?」

 

「そうか! 一旦次元の狭間へ移動する次元移動なら結界へのアクセス方法が違うから、結界を抜けられるかも知れねえ!」

 

 空間転移も次元移動も目的地に瞬時に移動する方法だが、アクセスの仕方が異なる。

 空間転移は魔力で空間を歪めて移動する方法だが、あくまで次元内(この世界)の移動であり、(結界)があれば通れなくなってしまう。

 だが次元移動は一旦この次元の外(次元の狭間)に移動し、再びこの世界(次元内)に転移する次元間移動だ。

 この手の結界は術式がより複雑になり、制御が難しくなる為、次元内にしか効果が及ばないものが多く、次元間移動に対しては効果がない、もしくは薄い事がある。

 この霧の結界を張った奴がどこまで想定してるか分からないが、ガイバーなら結界を突破出来る可能性が高い。

 アザゼルの見解を聞いた俺はガイバーに殖装すると、思念を集中させて『サナギ』を喚んだ。

 

「こいつは・・・・!?」

 

 『サナギ』を初めて見たアザゼルが驚く中、俺はアルトリア達に声をかけた。

 

「皆乗れ!」

 

 『サナギ』に乗り込んだ俺の声にアルトリアが真っ先に反応し、俺の右側に乗り込む。続いてレイナーレが左側、イリナが正面に抱き付くように乗り込んだ。やっぱり四人も乗るとかなり狭い。だが何とか行けそうだ。

 

「待ってろよ、皆───!!」

 

 俺が思念を送ると『サナギ』は宙に浮かび上がり、次元の狭間へと転移した。

 

 

 

 

 

 

 (リアス)達は最悪の状況に追い込まれていた。欲望剥き出しで襲って来る悪魔達の攻撃を朱乃と黒歌の防御障壁で防ぎながら、状況を打開しようと私は思考を巡らせていた。

 正直全力を出せれば、今の私達なら相手が千人いようと戦える自信はある。でもアーシアを人質に取られていてはその全力が出せない。

 このままではアーシアはディオドラに犯され、私達も大勢の悪魔の慰み者にされる未来が待っている。それを防ぐにはアーシアを見捨てて、全力で戦えばいい。

 アーシア一人の犠牲で他の皆が助かるのだから王としては当然の選択だ。そんなの分かってる! それでも私はその選択を、アーシアを見捨てる事が出来なかった。

 

「ハハハ、アーシアを見捨てれば簡単なのに

“情愛深い”グレモリーにそれは出来ないか。愚かとしか言い様がないね!」

 

 非情な選択が出来ない私をディオドラが嘲笑(わら)う。悔しいけどその通りだ。最善と分かっていても、私にはその選択をする事がどうしても出来なかった。

 

「ごめんなさい皆・・・・本当に私って(キング)失格だわ」

 

 崩れ落ちそうになる私の心に、

 

「諦めちゃ駄目です!!」

 

「!!?」

 

 閃光のように祐美の叫びが響いた。

 

「部長! 皆も諦めちゃ駄目!! 確かに状況は最悪だけど、必ず先輩が助けに来るわ! だから絶対に諦めないで!!」

 

「祐美・・・・でも一輝は帰って来てるかも分からないのよ?」

 

「それでも! 先輩なら必ず来てくれます! 部長! 貴女がそれを信じなくてどうするんですか!?」

 

「!!」

 

「そうだよな・・・・部長、一輝先輩は必ず来てくれますよ。ライザーと戦った時もヴァーリと戦った時も出待ちしてるんじゃないかってタイミングであの人は来てくれましたから」

 

「私の時も先輩は来てくれました。ね、姉様」

 

「そうね。一輝なら自分の女のピンチに駆け付けない訳ないにゃん」

 

「そうだ! センパイは必ず来る! 諦めてたまるか!!」

 

「皆・・・・・」

 

 祐美に続いてイッセーの、白音の、黒歌の、ゼノヴィアの声が私を奮い立たせる。そうだ! 私が一輝を、愛する人を信じなくてどうするんだ!

 

「あらあら、祐美ちゃんにすっかりお株を取られちゃいましたね。・・・・リアス、信じましょう。私達の愛するあの人を」

 

「朱乃・・・・そうね。ごめんなさい皆。私達は決して諦めない。いいわね!!」

 

「「「「「はいっ(にゃ)!!!」」」」」

 

 皆の目に光が戻る。とは言え状況は悪くなる一方だ。何とかしなくちゃ!

 

「プ、ハハハハ! ガイバーを当てにしてるなら無駄だよ。【絶霧】は結界系最強の『神器』だ。その結界を抜けてここへ来る何て不可能だよ。いい加減諦めるんだね」

 

 ディオドラが喚くが、もう私達には届かない。私はディオドラを睨み付けて言い放った。

 

「貴方には分からないでしょうね、私達の絆が。共に歩んだ日々が一輝が必ず来るって信じさせてくれるのよ。断言するわ。ディオドラ、貴方はもう終わりよ」

 

 私がそう断言するとディオドラは一瞬鼻白んで、次の瞬間、激昂した。

 

「ふざけやがって!! あんな転生悪魔風情に何が出来る! 僕はアスタロトの血を引く由緒正しい貴族だぞ!? その僕が負けるもんか!! ええい! お前らいつまでかかってる!? どけ!!」

 

 ディオドラは巨大な魔力弾を作ると私達目掛けて撃ち放った。

 

「ぐっ!? く、ううぅ・・・・」

 

「!? ダメ!破られるにゃん!!」

 

 ピシッと亀裂が入るような音がすると同時に防御障壁が破られた。

 

「「「「きゃああああーーーーっ!!?」」」」

 

 魔力弾が着弾した衝撃に私達は吹き飛ばされる。

 

「く、うう・・・・皆は・・・・?」

 

 身体のあちこちが痛むけど、そうは言ってられない。早く態勢を整えないと! とその時、誰かに腕を掴まれた。

 

「ククク、待たせたなリアス姫! さあ、我らの、純血の悪魔の子を孕ませてやるぞ!!」

 

 しまった!? 一人に捕まると、たちまち群がる悪魔達にあっという間に四肢を拘束されてしまった! 周りを見ると皆も似たような状態だった。

 

「やめなさい貴方達! それでも貴族なの!?」

 

「何を言ってる? 弱者を力で蹂躙する。これこそ貴族だろうが!!」

 

 腐ってる! こんな奴らがいるから貴族が誤解されてるのに! こんな奴らからの解放をお兄様は目指しているというのに!

 

 私にのし掛かる男が無理矢理ブラウスを引き千切る。ボタンが弾け飛び、黒いブラに包まれた胸が露出してしまった。

 

「ヒヒヒ、随分色っぽい下着を着けてるんだなぁ、リアス姫。それじゃあ───」 

 

 欲望に塗れた男の手が私の胸に伸びる。くっ、こんな奴に触られるなんて───!

 

(そんなのイヤ! 一輝、助けて───!!)

 

 

 ピシィッ!

 

 

 その時、何かがひび割れるような音がした。

 

 

 ピシッ! ピシピシピシッ!

 

 

 そのひび割れ音は更に続き、

 

 

 ガッシャアアァァンンッ!!

 

 

 空間が割れて何かが飛び込んで来た。

 

 

「な、何事だぁ!?」

 

 誰もが状況を忘れて突然飛び込んで来た物体を見上げていた。その中で私は涙が滲むのを抑えられなかった。

 

「一輝・・・・!!」

 

 その物体──『サナギ』から三人の人影が飛び出した。一人は白い翼を拡げた天使イリナさん。もう一人は黒い翼を拡げた堕天使レイナーレ。そして最後の一人は青い戦闘用ドレスに鎧を纏った金髪の騎士だった。

 イリナさんとレイナーレは私達に群がる悪魔を光の剣で次々と斬り裂いて行く。もう一人の騎士は真っ直ぐディオドラに向かっていた。

 

「ち、来るな!!」

 

 ディオドラが放った魔力弾が騎士に直撃する。「何故避けないの!?」と思っていたら、次の瞬間、騎士は平然とした様子で爆風の中から飛び出した。

 

「なっ───!?」

 

 騎士は驚くディオドラに接近すると、無手であるにも関わらず、剣を振るようにその手を振り下ろした。

 

「ギャアアアーーーーーッ!!」

 

 ディオドラの、スイッチを持った左手首が宙に舞った。良く見ると彼女の手の周辺の空気が歪んでいるのが分かる。

 

(あれは・・・・見えないけど剣を持っているの!?)

 

「動くな。動けば斬る」

 

 騎士はディオドラに見えない剣を突きつける。

 ディオドラは左手首を押さえながら、怨みがましい目で騎士を睨んでいる。でも次の瞬間、まるで蛇に睨まれた蛙のように、その身体が硬直した。

 周りを見ると、私達を襲っていた悪魔達も、同じような状況に陥っている。

 私は一輝が何かしたのかと思い上空を見やると、サナギが紅く染まり、見る見る内に姿を変え、全長3m位の巨人と化した。

 

「ガイバー・・・・?」

 

 誰が洩らしたか分からないが、その姿は確かにガイバーに良く似ている。かつて一度だけ見たガイバーの『禁手(バランス・ブレイカー)』、その名は───

 

「───ガイバー・ギガンティック!!」

 

 待ち望んだ一輝の登場に、私は歓声を上げた。

 

 

 

 

 

 

 間一髪間に合ったか。ガイバー・ギガンティックと化した一輝()はイリナとレイナーレに救出される皆を見て、安堵の溜め息を吐いた。

 だが衣服を破かれ、素肌や下着を露出している彼女らを見て、周りで這いつくばる悪魔共に殺意が込み上げて来る。コイツらが何をしようとしたのか一目瞭然だ。怒りのあまりコイツらに向けている殺気が更に濃くなり、口から泡を吹いたり、小便を漏らして気絶する者が続出していた。

 

「皆、遅くなってすまない」

 

 俺が声をかけると皆の表情に安堵が浮かぶ。

 

「先輩、その姿は・・・・?」

 

 悪魔共に痛め付けられたのか、傷だらけのイッセーが訊ねる。

 

「ああ、リアス以外には初めてだったな。この姿は俺の『禁手(バランス・ブレイカー)』、【巨人殖装(ギガンティック)】だ」 

 

「先輩の『禁手』・・・・スゲえ!」

 

 イッセーが羨望の眼差しを向ける中、リアスが口を開く。

 

「助かったわ一輝。所であの騎士は何者なの?」

 

「ああ。後で紹介するが、俺の『女王(クイーン)』、アルトリアだ」 

 

 そう言うと皆驚いていた。

 

「貴方の女王・・・・そう、眷属が出来たのね」

 

「ああ。それと・・・・」

 

 俺は先のゲームからディオドラが『禍の団』と繋がってる可能性を疑い、アザゼルに調査を依頼していた事、黒だと分かったので、ディオドラを始末する許可を貰ってる事、このフィールドが神器【絶霧】の結界に覆われ、内部にある結界発生装置を壊さないと脱出出来ない事等を説明した。

 

「そう・・・・分かったわ。形勢逆転ね、ディオドラ!

貴方にもう勝ち目はないわ。大人しく降参しなさい!

・・・・貴方達もよ」

 

 リアスは周りで這いつくばる悪魔共を睥睨しながら言う。

 

「リアス・・・・これで勝ったと思うな!」

 

 そう叫ぶと同時にディオドラの姿が消えた。

 

「ムッ!?」

 

 次の瞬間、30m程離れた所にディオドラが現れた。ディオドラは隠し持っていた『フェニックスの涙』で左手首の治療をする。

 アルトリアが「斬りますか?」と視線で問いかけるが、俺は首を横に振ってその場に(とど)めた。

 アイツは直接ブチのめさないと気が済まない。だが、俺が足を踏み出そうとしたその時、俺を制するようにイッセーが腕を伸ばした。

 

「一輝先輩、アイツは俺にやらせて下さい」

 

 俺達の視線が交錯する。見た所イッセーの身体はボロボロだ。だがその瞳の闘志は全く衰えておらず、寧ろ激しい怒りで燃え上がっていた。

 今までのイッセーは【赤龍帝の籠手】という『神器』を宿していたが為、戦いに巻き込まれていたに過ぎなかった。でも今のイッセーは違った。瞳の奥底にあった微かな怯えが払拭され、愛する者を守るという固い意志を持つ戦士の目をしていた。

 暫く会わない内に何があったのだろう。俺は弟のように思っていた後輩の成長に内心笑みが浮かんだ。

 

「ディオドラは“オーフィスの蛇”によりパワーアップしている。今のお前にやれるのか?」

 

 俺が訊ねると、イッセーはディオドラに視線を向けながら一歩前に出る。

 

「はい。必ず奴をブチのめします!」

 

「良く言った。行け、イッセー!」

 

 俺はイッセーの背中を軽く叩く。

 

「ウス!!」

 

 イッセーは気合の籠った返事をして、ディオドラへと歩き出した。

 

 

 

 

 

 

 

「ハッ、バカめ! 手加減した状態の僕を殴り飛ばした位で勝てるとでも思ってるのかい? 見るがいい、これが僕の本当の力だ!!」

 

 ディオドラから強大なオーラが立ち昇る。凄まじい魔力だ。さっきとはまるで比べ物にならない。でも何故だろう、イッセー()はちっとも怖いとは思えなかった。

 何だか不思議な気分だ。怒りが突き抜けすぎたのか、妙に頭がスッキリして、感覚が研ぎ澄まされてる。

 

「それがどうしたってんだ。現政府を裏切り、眷属(仲間)を傷付け、何よりアーシアを泣かせたお前を俺が許すとでも思ってんのか? フザケんな! お前は絶対に許さねえ! お前がどれだけパワーアップしようと必ず俺の拳でブチのめしてやる!!」

 

 俺の怒りに呼応して赤いオーラが燃え上がる。そのオーラはディオドラのオーラを遥かに凌駕していた。

 

《おお・・・・おお!! やったぞ相棒、お前は遂に殻を破った!!》

 

 突然ドライグが歓喜の叫びを上げた。

 

《どうしたんだドライグ? 殻って何の事だよ?》

 

《お前が後一歩まで来ながら未だ禁手に至らなかったのは、お前のココロが殻に閉じ籠ってたからだ。でもお前は自分のココロの弱さを晒してアーシアの愛を受け入れた。それによってお前は殻を破り、遂に至ったんだ!》

 

《至った・・・・ってまさか!?》

 

《そうだ! お前は遂に完全な禁手に至った! 今こそ叫べ、相棒! その胸の想いのままに───!!》

 

「おおおおッ!───禁手化(バランス・ブレイク)!!

 

 凄まじいオーラの中、俺は叫ぶ。全身余す所なく鎧に覆われ、身体中に力が漲って来る。スゲえ、これが完全な『禁手(バランス・ブレイカー)』か!?

 

「『禁手(バランス・ブレイカー)』、【赤龍帝の鎧(ブーステッドギア・スケイルメイル)】装着完了! かかって来い、ディオドラーーーー!!」

 

 俺のオーラに気圧されながら、ディオドラが叫ぶ。

 

「くっ、禁手に至ったからと言って何だと言うんだ!? これでも喰らえ!!」

 

 ディオドラの魔力弾が俺に迫る。だが俺は避ける必要を感じなかった。

 

 ズドォンッ!!

 

 着弾したが全く効かねえ。歩みを止めない俺にディオドラは顔を引きつらせ、魔力弾を連発する。

 

 ガガガガガッッ!!

 

 全弾命中するが、雨粒が当たった程度にしか感じねえ。とんでもない防御力だ。

 

「くっ、来るなぁーーーーー!!」

 

 焦ったディオドラは超特大の魔力弾を放った。お前、この距離で着弾したら自分も巻き込まれるぞ。最早そんな事も理解出来ないのか。

 

「フンッ!!」

 

 俺はハエを散らすように魔力弾を打ち払う。

 

「「「「「ギャアアアアーーーーッ!!!」」」」」

 

 あ、払った魔力弾が一輝先輩の殺気にあてられて動けなかった奴らのド真ん中に着弾しちまった。まあいいか。

 

「さて、覚悟はいいか?」 

 

「う、うわあーーーーッッ!!」

 

 ディオドラは防御障壁を発動する。だが、

 

「そんな薄っぺらい障壁で俺を止められると思うなぁーーーーッッ!!」

 

 パリンッという音を立て、あっさりと障壁が砕け散る。拳はそのままディオドラの顔面に突き刺さった。

 

「ゲハアッッ!!」

 

 そのまま吹っ飛ぶディオドラ。一発で頬が腫れて鼻血が出ていやがる。

 

「うぐ・・・・くそっ! 僕は現魔王ベルゼブブを輩出したアスタロトの直系だぞ!? 貴様のような下踐な転生悪魔如きに───!!」

 

 怒りのままに魔力弾を連発するディオドラだが、狙いが定まってねえな。

 俺はディオドラの攻撃をスルリとかわすと、そのまま近付いてボディに一発、くの字に折れ曲がった顔面を全力でブン殴った。

 

「フギャアーーーーッッ!!」

 

 血反吐を吐きながらディオドラが吹っ飛ぶ。俺は一歩一歩、わざと足音を立てながらディオドラへと近付く。

 

「どうした? もう終わりかよ?」

 

「く、来るなぁーーーーッッ!!」

 

 今度は防御障壁を幾重にも展開するが、まだ分かってねえな!

 

「それがどうしたーーーーッッ!!」

 

『Boost!Boost!Boost!Boost!Boost!Boost!Boost!Boost!Boost!Boost!!』

 

 パリパリパリィンッと軽快な音を立てて、障壁があっさりと砕け散る。倍加した俺の拳は障壁を張る為に突き出していたディオドラの両手に命中し、そのまま粉砕した。

 グシャリと肉の潰れる音がして、ディオドラが吹っ飛んだ。

 

「ウギャアアアアアッッ!! ぼ、僕の手がぁ~~~~ッッ!!?」

 

 ディオドラの両手は指が折れ曲がり、完全に潰れている。もう使い物にならないだろう。

 俺は血塗れで「痛い痛い!」と泣き喚いているディオドラの前に立つ。

 

「ヒイッ! や、やめろ! 僕は純血の上級悪魔(貴族)、魔王ベルゼブブの血族だぞ? 僕を殺したら魔王が黙ってないぞ!?」

 

 コイツ何を言ってるんだ? 自分の行いを棚に上げてフザケた事を抜かしやがって・・・・!

 俺は怒りのあまりディオドラの膝を踏み砕いた。

 

「ヒギャアアアアーーーーッ!!」

 

「・・・・その魔王を裏切っておいて何を虫のいい事を言ってやがる? お前を始末する許可は出てるんだ。最後位貴族らしく潔くしやがれ」

 

 ディオドラはガタガタと震え、涙を流しながらイヤイヤと首を振る。臭うと思ったら小便まで漏らしてやがる。

 

《見苦しいな。相棒、とっとと終わらせてやれ》

 

「ああ」

 

 そうだ。とっとと終わらせて皆で帰ろう。俺が拳を振り上げたその時、 

 

「うわあああーーーーッッ!! 助けろ! 僕がお前らにどれだけ便宜を図ったと思ってるんだ! そういう契約だろ! 早く僕を助けろよ!!」

 

 いきなり喚き出したディオドラに(とど)めを刺そうとした手が止まる。

 

「!!?」

 

 その時、どこから放たれたのか魔力弾が俺に向かって飛んで来た。

 

 

 

 

 

 




ベタな展開ですいません(笑)。

はい、リアス達のピンチに主人公登場というベタな展開になりました。
この展開を読んでた方、白けさせてしまってすいません。

本作のイッセーはここで禁手に至りました。
原作では乳首を突いて至りましたが、ドライグさんが哀れだったので、アーシアへの愛で至るというベタな展開になりました。

本日は連続投稿しています。
続けて第31話もご覧下さい。

レイナーレ、今後どうなる?

  • イッセーのヒロイン化
  • 一輝のハーレム入り
  • アザゼルの嫁
  • バラキエルの後妻
  • 誰とも結ばれず、メイドになる
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