※この作品はR-18です。

ハイスクールD×G~駒王町の規格外品   作:Tokaz

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連続投稿3話目です。
まだ読んでない方は先に第29、30話をご覧下さい。

本話には残酷な表現があります。
ご注意下さい。



第31話 グレモリー眷属の逆襲

 

 

 その時、どこからか放たれた魔力弾がイッセー()に向かって飛んで来た。

 

「チイッ!」

 

 咄嗟にガードしたが、ディオドラより遥かに強力な魔力弾を受け、俺の身体が吹き飛ばされる。ダメージは少ないがディオドラから離されちまった。

 

「来たか!?・・・・ったく、遅いんだよ!!」

 

「フン! 契約故に仕方なく来てやったというのに、全く見苦しい・・・・所詮は偽りの魔王の血族、真の魔王たる我々とはやはり格が違うな」

 

 喜色を上げたディオドラだが、突如現れた男の嘲りを帯びた声に顔を歪める。声の方を見ると、そこには貴族風の衣装を着た、長い黒髪の悪魔がいた。

 

「・・・・何者なの?」

 

「フン、偽りの魔王サーゼクスの妹か・・・・我が名はクルゼレイ・アスモデウス。正統なる魔王の後継者だ」

 

「旧魔王派・・・・!」

 

 ディオドラの援軍って訳か。厄介だがやるしかない。そう思ってると、クルゼレイの背後から二人の男が姿を現す。驚いた事に二人共知ってる顔だった。

 

「ヤッホー、おひさ~♪」

 

「フリード・セルゼン・・・・!」

 

 ゼノヴィアが怒りの籠った視線を向ける。

 フリード・セルゼン。元教会のエクソシストで俺達とは腐れ縁の敵だ。『聖剣事件』の折、祐美に深手を負わされ消息不明となっていたのだが、生きてやがったのか。そしてもう一人───

 

「───バルパー・ガリレイ!!」

 

 祐美が珍しく激情を顕にしている。

 無理もない。バルパー・ガリレイは元教会の大司教で、『聖剣計画』を主導した人物だ。祐美にとっては仇敵であり『聖剣事件』の後、教会に捕らわれ処分されるのを待つ身だった筈なのに、どうしてここにいるんだ!?

 

「お? 生きてたのかって顔してる? 実はあの後アザゼルからリストラされちまってさぁ~。やっぱ堕天使はしょっぱくてダメだね~。でも捨てる神ありゃ拾う神あり・・・・あ、神いないんだっけ。どうでもいいや。結局『禍の団』に拾われてねえ~、恥ずかしながら、こうして戻って来た訳でアリマス☆」

 

「フム、ディオドラには脱獄に手を貸して貰った恩があるでな。助けてやるわい」

 

 バルパーは懐から宝玉を取り出し、頭上に翳す。宝玉が光を発すると、周りにいた悪魔達が急に苦しみ出した。

 

「うぐ、ううぅ・・・・」

 

「な、何だこれは・・・・!?」

 

「あ、熱い・・・・うがあああっ!!」

 

 何だこれは!? 連中の身体が変化していく。人狼(ワーウルフ)人虎(ワータイガー)蜥蜴人(リザードマン)などといった魔獣に姿を変えていった。  

  

「・・・・何をしたの、バルパー!?」

 

 祐美の声にバルパーはニヤリと嗤った。

 

「ククク、『禍の団』には【魔獣創造(アナイアレイション・メイカー)】という上位神器の持ち主がいての。その神器を研究して“魔獣の種”という物を作り出したのじゃよ。それを今回襲撃に参加した者全員に植え付けておいた。じゃからワシの合図ひとつでほれ、この通りじゃ」

 

 く、相変わらず鬼畜な野郎だ。まあ、元々獣みたいな連中だったし、可哀想とは思うまい。 

 

「そして・・・・ワシらもこの通りじゃ!!」

 

 バルパーとフリードもまた姿を変えていく。

 バルパーは身体が二倍以上に巨大化し、異様に長い腕と蛇のような鱗を全身に生やした蛙頭の化け物に姿を変える。

 フリードはバルパーよりも更に巨大化し、蝙蝠のような翼を背に生やし、左右会わせて四本の巨腕に剣を持った竜頭の化け物に姿を変えた。

 

「ヒヒヒッ! どうだいイッセーどん? 俺っちこーんなに醜い化け物に変わっちまったYo☆ でもスゲ~パワーアップしたから、今ならイッセーどんも軽~くブッチしちゃうZe☆」

 

 最早フリードの面影など一欠片もない異形の化け物に成り果てている。戦いを挑むというならいいだろう。お前との因縁にも決着(ケリ)を着けてやるぜ! だがそんな俺の前に三人の人影が立つ。

 

「イッセー、コイツは私達にやらせてくれ」

 

「味方殺しの背信者、ミカエル様の『御使い(ブレイブ・セイント)』として許す訳にはいかないわ」

 

「私も・・・・フリードとは決着を付けたいの」

 

 ゼノヴィアとイリナ、そしてレイナーレ。元教会の戦士であるゼノヴィアとイリナ、そして元上司であるレイナーレにとってフリードは決して許せない存在なのだろう。

 

「分かった。コイツは任せるぞ」

 

 俺はフリードを三人に任せ、後ろに来ていたもう一人に声をかける。

 

「バルパーは任せていいな、祐美」

 

「ええ。イッセー君はアーシアさんの元へ行ってあげて」

 

 アーシアの元には今、一輝先輩の女王であるアルトリアさんが付いている。俺は祐美とハイタッチを交わして、アーシアの元へと走り出した。

 

 

 

 

 

 

 魔獣と化した悪魔達の群れが一輝()達に襲いかかる。リアス達を襲おうとした奴らだ。自業自得だし一切容赦する気はない。

 迫る魔獣の群れを重力制御で()し潰して動きを止め、リアス、朱乃、黒歌の三人が其々滅びの魔力、雷光、呪殺弾を放ち仕止める。白音は討ち漏らした魔獣がいたら止めを刺していく。

 魔獣は力やスピードこそ増すが、知能は低下するのか単純に襲って来るだけだった。連係を密にしていた俺達からすれば脅威にはならず、魔獣退治は最早作業と化していた。

 そんな作業を十回も繰り返せば段々数も少なくなる。ようやく余裕の出来た俺は仲間達の様子を窺った。

 

 

 

 

 

 

 祐美()はゆっくりとバルパーへ歩みを進める。

 

「まさか脱獄して来るとは・・・・教会にも困った物ね」

 

 バルパーを逃がしたのも問題だが、その事を隠していたのはもっと問題だ。後でミカエル様に報告しておこう。そうすれば腐った教会上層部も少しは風通しが良くなるだろう。

 

「フム、貴様の能力は全て解析済みじゃ。更に魔獣の力を得たワシに死角はないぞ。貴様はたっぷりと痛め付けた後、再び実験材料として使(つこ)うてやるわ!」

 

「・・・・こうなると脱獄して来て良かったと言うべきかしら? 私自身の手でお前を始末出来るものね」

 

私は剣を作り出し、射出する。バルパーは余程防御力に自信があるのか避けようとしない。 

 

「バカめ! 貴様の能力は解析済みじゃと言っ、ギャアアアアーーーーッッ!!?」

 

 ミーティアが命中し、バルパーが苦しみ出す。私は次々と剣を射出して行く。

 

「グギャアアアッッ! バ、バカな!? 貴様の魔剣などワシに効く筈が───」

 

「魔剣ならそうでしょうね。でもお生憎様、私が今射出したのは“聖剣”よ」

 

「!!?」

 

 『聖剣事件』で私の魂は仲間達の魂と融合した。その結果、私は仲間達の聖剣因子を受け継ぎ、聖剣を使えるようになった。

 これには思わぬ副作用があった。【魔剣創造(ソード・バース)】と対を成す【聖剣創造(ブレード・ブラックスミス)】という神器を後天的に会得し、聖剣を作り出せるようになったのだ。

 聖剣は悪魔だけでなく魔獣・魔物にも特効がある。

“魔獣の種”とやらで変化したバルパーにもこの力は効果があるようだ。

 

「ガハッ! バカなぁ・・・・後天的に二つ目の神器を得るなどあり得ん!?」

 

「普通ならそうでしょうね。でも私の魂にはお前に殺された皆の想いが宿ってる。その想いが不可能を可能にして私に力を与えてくれるのよ!」

 

「グギャアアアアーーーーッッ!!」

 

 私は聖剣の射出を繰り返す。バルパーの身体には無数の聖剣が突き刺さっていた。

 

「バカな・・・・不良品の実験体風情がワシの予想を越える強さを得るなんて・・・・」

 

「なまじっか防御力に自信があるからって、不用意にミーティアを受けたのがお前の敗因よ。私の能力は解析したって言ったわね? だったらお前に撃ち込んだ聖剣が、全て属性付与済みだと言ったら?」

 

「!? 貴様まさか───!!」

 

 そう、撃ち込んだ聖剣には全て雷属性が付与してある。シトリー戦の時のように周りを取り囲むのではなく、直接身体に撃ち込んだのだ。その威力は【雷の魔剣の檻(ソード・バース・サンダージェイル)】の比じゃない。 

 

「ま、待て───」

 

「地獄で死神と戯れなさい、バルパー・ガリレイ」

 

 私は頭上に掲げた指をパチンと鳴らす。その途端、バルパーに突き刺さった聖剣が青白く発光して───

 

 

 バリバリバリーーーーーッッ!!

 

 

 凄まじい轟音と稲光の中、バルパーの身体が炭化していく。悲鳴さえ掻き消す轟音の中、バルパー・ガリレイは骨すら残さず消滅した。

 

「今度こそ終わったよ、皆・・・・・・」

 

 私は左拳を胸に置いて、祈りを捧げるように瞳を閉じた。

 

 

 

 

 

 

「ヒャハハハーーーーッ!! 俺っちの相手はお前らかよ!? コカビエルの野郎にあっさり(ひね)られる程度の奴らが俺っちの相手になるのかにゃ~?

そ・れ・に・超無能な元上司もいるじゃん! 何で生きてんの?」

 

「フリード・・・・!!」

 

「・・・・相変わらず下品な男だな」

 

「私達が以前のままじゃないって教えてやるわ!」

 

 ゼノヴィアがデュランダルを、イリナ()とレイナーレは光の剣を構える。

 

「ねえねえ一人? カラワーナは? ドーナシークは? ミッテルトは? もしかして全員身代わりにして、一人だけ生き残ったの? うわぁ~、ないわ~」

 

「くっ、おのれ!!」

 

「落ち着けレイナーレ! 奴の挑発に乗るな!」

 

 フリードの挑発にゼノヴィアの制止を振り切ってレイナーレが走り出す。いけない! 冷静さを失った今の彼女では!

 

「フリード、貴様ァ!!」

 

「ヒャハ! 図星を指されて怒っちゃった? ゴメンねぇ~、俺ちゃん正直者だからウソ吐けないんだぁ~☆」

 

 レイナーレが光の剣をフリードの腕に振り下ろす。でも、

 

「くう、か、硬い!?」

 

 鱗に覆われた腕はかなり硬いようで、レイナーレの光の剣を簡単に弾き返しす。

 

「ヒャハハ、仲間を全員失ったお前なんぞそんなモンだろうよ!!」

 

 反対側の手に持った二本の剣がレイナーレに迫る。でも、

 

「させるか!!」

 

「レイナーレ、一旦退いて!」

 

 私とゼノヴィアが間一髪剣を止めた。

 

「は、はい!!」

 

 今度はレイナーレも言う事を聞いて後退する。私達もそれに合わせて後退した。

 

「ごめんなさいイリナさん、ゼノヴィアさん。私・・・・」

 

 レイナーレが悔しそうに唇を噛む。死んだ仲間を揶揄われて腹が立つのは良く分かる。でも、

 

「腹が立つのは分かるが冷静になれ。死んだ仲間達の分まで生きるんだろう?」

 

「そうよ。それに仲間なら私達がいるわ!」

 

 私とゼノヴィアの言葉にレイナーレは驚いたように顔を上げる。

 

「!・・・・・・ゼノヴィアさん、イリナさん・・・・私を仲間と呼んでくれるの?」

 

「勿論よ! だって危険を顧みず、皆を助ける為に一緒に来てくれたじゃない!」

 

「さっきは危ない所を助けて貰ったからな。他の皆は分からないが、私はもうお前を仲間だと認めてるぞ」

 

「!!・・・・・・ありがとう、二人共・・・・」

 

 レイナーレの瞳に涙が滲む。彼女がイッセー君達にした事を思えば、皆が彼女を良く思えないのも分かる。でも赦されない罪などない。神の愛は全ての人に等しく与えられるのだから・・・・

 

「プヒャヒャヒャッ!! おいおい、天使と悪魔と堕天使が仲良く友情ゴッコかよ!? ヤメテくれよ~、俺ちゃん感動して笑っちゃうZe! ヒャハハハッッ!!」

 

 黙ってこめかみに青筋を立て、拳を震わせるレイナーレに思わず声をかける。

 

「お、落ち着いて、レイナーレ」

 

「分かってます! 全く、味方の時からムカつく奴だったけど、敵にしたら余計にムカつくわね!」

 

「ああ、うん・・・・分かる気がするわ」

 

 癇癪を起こすレイナーレに思わず苦笑が漏れる。同じように苦笑しながらゼノヴィアがレイナーレに訊ねる。

 

「レイナーレ、どうやらお前の光の剣は通じないようだ。他に何が出来る?」

 

 “光の剣”とは光を物質化する天使や堕天使の標準武器であるが、その出力に大きな差がある。アザゼル先生ら幹部クラスになるとそれほどでもないが、階級が下になるにつれその差は顕著になる。

 私の階級が下級中位の大天使(アークエンジェル)、レイナーレの元の階級が下級上位の権天使(アルケー)でありながら私の方が光力が強いのは、種族の差だけじゃなく、ミカエル様の加護を受けた御使いであるのも理由だろう。

 

「ええと、剣が駄目なら地属性の魔術が得意です」

 

「地属性か・・・・よし、攻撃は私達がやる。レイナーレは魔術でのサポートを頼む」

 

「分かりました」

 

「よし、行くぞイリナ!」

 

「ええ!」

 

 私達はフリードへと走り出した。あの巨体だ。スピードで翻弄してやる、と思った矢先、フリードはその巨体に身合わぬスピードで突進して来た。迅い! けど対応出来ない程じゃない!

 

「ヒャッハーーーーー!!」

 

 フリードは四本の手に持った剣を振り下ろす。

 

「チイッ!?」

 

「きゃっ!?」

 

 石造りの床を砕き、衝撃波が私達を襲う。私は翼を拡げると宙に飛んで回避した。

 

「ヒャハハ! デカいから動きが遅いとでも思った? 残ね~ん! 俺っちディオドラの騎士を二人共喰ってるから、あ、性的にじゃねーよ。そのまんまの意味だから。っちゅー訳でスピードが超上がってるんだわ!」

 

「・・・・・・は?」

 

 そのまんまの意味って、悪魔を捕食してその力を自分のものにしてるっていうの!? なんて酷い・・・・!

 

「ディオドラ! 貴様自分の眷属を売り渡したというのか!?」

 

 ゼノヴィアの詰問に、イッセー君に膝を砕かれ立ち上がれないディオドラが顔を引きつらせて答える。

 

「しょーがないだろ!? フリードが余りに無礼だからって騎士達(あいつら)が詰め寄ったら、あっさり斬られちゃったんだ!だったらせめてフリードの力になってくれなきゃ勿体ないじゃないか!」

 

「・・・・勿体ないだと!?」

 

「フリード・・・・畜生に堕ちたわね」

 

「なんて惨い・・・・せめて安らかに」

 

 私は名も知らない騎士達に祈りを捧げる。

 フリードは勿論、ディオドラの行いは外道の所業。ミカエル様の御使いとして許す訳にはいかない!

 今、私の胸に邪悪に対する正義の怒りが熱く燃え上がる───!

 

 

 

 

 

 

「ミカエル様、御使い(ブレイブ・セイント)(エース)、紫藤イリナが乞い願います。汝の加護を我にお与え下さい───!」

 

 イリナが祈りの言葉──聖句を唱えると、彼女の身体に変化が起きた。

 全身が炎のオーラに包まれ、髪と瞳の色が紅蓮に変わる。翼にも炎が宿り、ツインテールが解け、長い炎髪が宙に靡く。凄まじい聖の波動に私の肌までチリチリする。

 

「綺麗・・・・・・」

 

「・・・イリナ、その姿は・・・・?」

 

 驚くゼノヴィア()達にイリナは誇らしげに答える。

 

「これがミカエル様の(エース)である私の戦闘形態(コンバットフォーム)よ!」 

 

 ミカエル様達四大熾天使(セラフ)は其々が四大元素を司っている。ガブリエル様が水、ラファエル様が風、ウリエル様が地というようにミカエル様は火を司る。

 イリナ達御使い(ブレイブ・セイント)は戦闘時、お仕えする熾天使から力を分け与えて貰えるらしく、この姿こそミカエル様の加護を得た御使いの証なのだそうだ。

 

「背信者フリード・セルゼン! ミカエル様の名において、お前を断罪します!!」

 

「しゃらくせぇーーーーッッ!!」

 

 そう宣言するイリナにフリードが剣を振り下ろす。イリナは避けようともせず、下段から光の剣を振り上げた。

 

 ジュウッッ!! 

 

 肉が焼けるような音を発して、イリナの剣がフリードの二本の左腕を肘の辺りから灼き斬った。

 

「グギャアアアアッッ!! バカな!? 俺の腕がそんな細い剣で───!?」

 

「戦闘形態の私の剣は“炎光(えんこう)の剣”。只の光の剣とは浄化能力が段違いなのよ」

 

 ミカエル様の炎は邪悪なものを焼き尽くす浄化の炎。悪魔や魔獣、魔物に対しては聖剣以上の浄化能力がある。今のフリードに効果は抜群だ。

 フリードは今、イリナに気を取られている。チャンスだ!

 

「チイイッ! 転生天使如きが調子に乗りやがってーーーー!!」

 

 フリードは残る二本の右腕の剣を振るおうとするが、

 

「させるか!!」 

 

「何イ!? チッ、目がぁっ!?」

 

 レイナーレが地属性魔術『目隠し砂(ブラインドサンド)』でフリードの目を潰す。今だ!

 

「グギャアアアアーーーーッッ!!」

 

 その隙に接近した私がデュランダルを一閃、右腕を二本共斬り落とした。両腕を失い倒れるフリードにディオドラが喚き立てる。

 

「何やってんだフリード!!僕の騎士を喰って強くなった筈だろう!? ならさっさと立ち上がって僕を守れよ!!」

 

 その声にフリードがディオドラの方を向く。その時私は竜頭に変化して表情の分からない筈のフリードが嗤ったのをはっきりと感じた。 

 

「いい養分(モン)見~~っけ☆」

 

「───へ?」

 

 突然フリードの舌が伸びてディオドラに巻き付いたと思うと、あっという間にフリードの口に収まった。そして───

 

「ちょっと待、お前まさか───!?」

 

「いただきま~す☆」

 

 

 バリッ、ボリッ、ボリッ、ボリッ、ムグムグムグ・・・・・・・・ゴクン!

 

 

 この世のものとは思えない絶叫が響く中、フリードがかつてディオドラだったモノ(・・・・・)を噛み砕く音が聞こえる。

 目の前で繰り広げられる悪夢のような光景に私達は言葉を失っていた。

 フリードの口元は血に塗れ、あまりの惨状に吐き気が込み上げて来る。

 ディオドラは自らの眷属をフリードに喰わせた。因果応報とは言え、あまりにも惨い最後だ。

 

「お? キタキタキタ~~~~!!」

 

 ディオドラを捕食したフリードの身体が再生していく。失った両腕が生え、聖なる波動に焼かれた傷が消えていった。それだけじゃない。フリードの身体から凄まじいオーラが吹き上がる。ディオドラの魔力まで物にしたというのか!?

 

(捕食する事でその能力を得、尚且つあんな猛スピードで再生するとは・・・・バルパー・ガリレイめ、なんて化け物を造ったんだ!)

 

「ゼノヴィア、レイナーレ、あれにこれ以上力を付けさせる訳にはいかないわ」  

 

「ええ、分かってます」

 

「ああ、奴はここで葬るぞ!!」

 

 私はデュランダルを手に走り出す。

 

「ケヒャヒャヒャヒャッ!! イっちまいな!」  

 

 フリードは魔力弾を放ち、私達を近付けまいとする。レイナーレが『石の壁(ストーンウォール)』で防いでくれる間に弾幕を掻い潜り近付こうとするが数が多い。徐々『石の壁』が破壊され、被弾が増える。

 イリナの方を見ると浄化の炎で相殺してはいるが、弾幕の激しさにやはり進めないようだ。

 その時、私達の視線が一瞬だけ交差する。その瞬間、私は切り札を切る決意をした。

 

「聖剣デュランダルよ! その力を解放せよ! ───デュランダル・バーストッ!!」

 

 極大まで高まった聖なる波動が無数の魔力弾を吹き飛ばした。その一瞬の隙を突いてイリナが接近し、炎光の剣を叩き付ける。だが、

 

「甘えーーーッッ!!」

 

 それを読んでいたのか、フリードは魔力障壁を多重に展開し、イリナの攻撃を防いだ。

 確かにフリードは性格こそ最悪だが天才的な戦闘センスの持ち主だ。これ位はするだろう。読めなかったのはイリナの、御使いの力だった。

  

「ミカエル様、───我に力を!!

 

 イリナが聖句を唱えると、炎光の剣の炎が障壁全体に燃え広がる。

 

「何いっ!?」

 

 炎に焼かれた障壁はイリナの斬撃に易々と砕け散った。

 

「やっべ!?」

 

 障壁を砕かれ、退こうとしたフリードの足元に無数の石の槍が出現し、フリードを貫いた。レイナーレの地属性魔術『石の槍(ストーンランス)』だ。

 

「逃がさないわよ、フリード!!」

 

「ッテメエ、この死に損ないがぁーーーー!!」

 

 フリードが悪態が吐くがもう遅い。

 

「フリード・セルゼン! ミカエル様の名の元に汚れた魂を浄化します!!」

 

 竜頭と化したフリードの眉間にイリナが炎光の剣を突き立てた。

 

 「───浄火!!」

 

 フリードの体内に浄化の炎が吹き荒れる。その間に私も近付き、フリードの心臓にデュランダルを突き立てた。

 

「喰らえーーーーッ!!」

 

「ギャアアアアーーーーー!!!」

 

 浄化の炎と聖なる波動。二つの強力な力に焼かれながら、断末魔の絶叫を上げて、フリードは消滅した。

 

 イリナがコンビを組んでいた時のように片手を上げる。私もそれに応えようと片手を上げつつ、キョトンとしているレイナーレに声をかけた。

 

「ほら、レイナーレ、お前も」

 

「早く早く!」

 

「え? わ、私も・・・・?」

 

 戸惑っているレイナーレの片手をイリナが強引に上げさせて、私達三人はハイタッチを交わした。

 

 

 

 

 

 

「アーシア!!」

 

「イッセーさん、私・・・・・・」

 

 アーシアが大粒の涙を溢れさせる。引き裂かれたウエディングドレスが痛々しい。イッセー()はマスク部分を収納して素顔を晒してアーシアを抱きしめた。

 

「もう大丈夫。俺が側にいるから・・・・」

 

「イッセーさん・・・・」

 

 アーシアがおずおずと俺の腰に手を回した。鎖に繋がれたままの手首を見やる。こんなモン引きちぎってやる! そう思って力を入れたが、

 

「! 外れねえ!?」

 

 何だこの鎖は!? 赤龍帝の力でも外せないなんて!? こうなったら───!

 

「お待ちなさい」

 

 力を倍加して鎖を壊そうとした俺をアルトリアさんが止める。

 

「この鎖におかしな魔力が流れています。下手に手を出せば彼女を傷付けてしまうかもしれません」

 

 そんな!?・・・・くそ、どうすりゃいいんだ。

 

「その女が正解だぞ。赤龍帝」

 

 俺達の前にクルゼレイ・アスモデウスが舞い降りた。

 

「どういう意味だよ?」

 

 俺が訊ねるとクルゼレイはニヤリとイヤらしく嗤う。

 

「その鎖が繋がっている玉座、それは地下の結界発生装置と繋がっている」

 

 あれの地下に結界の発生装置が!? でも何でそんな事を教えるんだ?

 

「そう、それを壊せばこの結界は消える。だがその娘は死ぬ事になるぞ」

 

「! どういう事だよ!?」

 

「装置を壊せば結界を発生させていた膨大なエネルギーが逆流する。その娘なぞ一瞬で黒焦げだろうよ」

 

「な!?───だったら鎖を切れば・・・・」

 

「鎖を切る、枷を壊すといった行為をすれば装置ごとこの神殿が爆破される。その娘を助けたいなら枷の鍵を開ければいい」

 

「鍵はどこだ!?」

 

「さて、ディオドラが持っていたが・・・・」

 

 そう言われて俺は咄嗟にディオドラを見やる。だが、

 

 

 

 バリッ、ボリッ、ボリッ、ボリッ、ムグムグムグ・・・・・・・・ゴクン!

 

 

 

 ・・・・嘘だろ!? ディオドラの奴、フリードに喰われちまった! あれじゃあ鍵なんてもう・・・・

 

「クク、クハハハハーーーッ!! まさか援軍に呼んだ奴に喰われるとは・・・・偽りの魔王の血族に相応しい最後だな!」

 

 フリードに喰われたディオドラをクルゼレイが嗤う。この野郎、結局何しに来やがったんだ!?

 

「貴方はその喰われた男を助けに来たのでしょう? 対象が死んだ今、争う必要もないのでは?」

 

 アルトリアさんが訊ねるとクルゼレイは小馬鹿にしたように鼻を鳴らす。

 

「フン、真の魔王たる俺に意見するとは差しでがましいぞ、女!・・・・だがディオドラのような下劣な成り上がりを連れて行く必要が失くなって、俺は今機嫌がいい。いいだろう、特別に答えてやる。確かに貴様の言う通りだが、それではあまりにもつまらん。であるから偽りの魔王の妹、リアス・グレモリーを連れ去る事にした」

 

 ! 部長を連れ去るだと!?

 

「あれをズタボロになるまで犯し、死体を送ってやればサーゼクスめ、魔王になった事をさぞかし後悔するであろう」 

 

 心底名案だというように、自慢気にクルゼレイは話す。・・・・コイツら旧魔王派って連中はやっぱりイカレてやがる。こんな酷い事を嬉々として話す奴らを誰が支持するってんだ。

 コイツをぶっ飛ばす為、立ち上がろうとしたその時、俺の肩に手を置いて、アルトリアさんが前に出た。

 

「リアス・グレモリーは我が王の主。彼女を害そうというなら捨て置く訳にはいきません」

 

「フン、どこの馬の骨とも分からぬ奴が吠えよるわ。よかろう、真の魔王の力、見せてやるわ!」

 

 クルゼレイの身体から強大なオーラが吹き上がる。ディオドラ何かより遥かに強大な魔力がクルゼレイの右手に集中する。

 

「クハハハッ! 喰ら───」

 

 ザンッッ!!

 

 台詞の途中でクルゼレイの右手が宙に舞った。

 

「は? え?・・・・・・ッッギャアアアアーーーーッッ!! お、俺の腕があああッッ!!」

 

 大量の血を噴き出し、クルゼレイが絶叫する。クルゼレイの側には見えない剣を構えるアルトリアさんがいた。

 状況を見れば攻撃される前にアルトリアさんがクルゼレイの腕を斬り飛ばしたのだろうが、

 

(速え・・・・全然見えなかった・・・・)

 

 眷属一のスピードを誇る祐美すら凌駕する神速の斬撃。禁手に至り、強くなった気でいたけどまだまだだ。上には上がいる。

 

「うぐ・・・・貴様ぁ───!」

 

「地獄でディオドラが待っています。下劣な者同士仲良くやりなさい」

 

「ま、待───!!」

 

 ザンッッ!!

 

 今度はクルゼレイの首が宙に舞った。

 旧魔王派のクルゼレイ・アスモデウスはこうして呆気ない最後を迎えた。

 

 

 

 

 

 

 魔獣退治がようやく片付いた。

 見るとバルパーは祐美が、フリードはゼノヴィアとイリナとレイナーレが、クルゼレイはアルトリアが片付けたようだ。

 後はアーシアを救出して脱出するだけなんだが、イッセー達の様子がおかしい。一輝()達はアーシアの元へと集結した。

 

「どうしたのイッセー?」

 

「部長、それが・・・・」

 

 イッセーの話によると、アーシアを鎖で繋いでいる玉座の地下に結界発生装置があり、これを破壊するとエネルギーの逆流でアーシアが死ぬ。かと言って鎖を切れば装置ごと神殿が爆発し、全員が死ぬ事になる。助かる唯一の方法はディオドラの持つ鍵で枷を開ける事だったのだが、ディオドラは既にフリードに喰われ、鍵も失われた。

 

「そんな・・・・どうすればいいの!?」

 

 リアスの叫びに誰も答えられなかった。

 この状況に於いて、王として正しい行動はひとつ。だがその判断をリアスは下せないだろう。その時、

 

「・・・・皆さん。私を置いて、この神殿から離れて下さい」

 

 アーシアが決意を込めた眼差しで俺達を見つめていた。

 

「何を言ってるの、アーシア!?」

 

 リアスが堪らず口を開く。

 

「いいんです。部長さんだってそうするのが最善だって分かってるんでしょう? 私一人の命で皆が助かるのなら、私は喜んで犠牲になります」

 

 アーシアの覚悟に俺達は言葉を失う。

 

「そんな!・・・・俺は嫌だ! 折角アーシアと想いが通じたって言うのに、こんなの認められるか! アーシアが残るってんなら俺も残る!!」

 

 血を吐くように言葉を搾り出すイッセーに、アーシアは儚げに微笑んで、そっと手を伸ばす。

 

「駄目ですよイッセーさん。貴方の、赤龍帝の力は部長さんにとって必ず必要になります。グレモリー眷属は貴方を失う訳には行かないんです。だから残っては駄目」

 

「そんなのアーシアだって同じじゃないか!!───んむ!?」

 

 反論するイッセーの口をアーシアはキスで塞ぐ。暫くしてアーシアがゆっくりと唇を離した。

 

「ずっと側にいるって約束したばかりなのに、破ってしまってごめんなさい。でも許して。皆を助けるにはこれしか方法がないの」

 

「───アーシア!!」

 

 イッセーがアーシアを抱きしめた。皆も悲痛な表情で二人を見つめている。いつしか俺も拳を握り締めていた。

 

「一輝先輩! 何か手はないんですか!? 俺に出来る事なら何でもします!だから、だから───!」

 

 イッセーの血を吐くような言葉に俺の心が揺れる。一応策はある。だがひとつでもタイミングがズレたら全員が死ぬ事になる危険な策だ。そんな危険な賭けに皆を付き合わせる訳にはいかない。

 そう思って俺が黙っていると、左手に温もりを感じた。

 

「一輝、何か策があるのね? 教えてちょうだい」

 

 温もりの主、リアスが訊ねる。

 

「リアス・・・・だがこの策は危険だ。失敗すれば全員が死ぬ事になるんだぞ?」

 

 そう言った俺の右手に違う温もりが重なる。

 

「いいじゃありませんか。貴方と死ねるなら私は本望ですわ」

 

「朱乃・・・・・・」

 

 温もりの主、朱乃が微笑みを浮かべる。

 

「私は先輩を信じてます。どんな低い確率だって必ず成功させるって」

 

「そうだな。一輝センパイならきっと全員助けられるさ!」

 

「祐美、ゼノヴィア・・・・・・」

 

「全くこのチームは・・・・でも嫌だと思えなくなってるって事は私も染まって来たのかにゃん?」

 

「(クスッ) いい事だと思いますよ、姉様」

 

「黒歌、白音・・・・・・」

 

「そうね! こうなったら一蓮托生よ! 頑張って、一兄(かずにい)!」

 

「私の命は既に預けたつもりです。どうか一輝様の心のままに・・・・」

 

「イリナ、レイナーレ・・・・」

 

 皆の想いが伝わって来る。俺は・・・・

 

一輝(マスター)、私は貴方の剣。貴方の望みを叶える為私の力はあります。ですからどうか躊躇わないで」 

 

「アルトリア・・・・・・」

 

 ここまで言われては後には退けない。俺は覚悟を決めた。

 

「分かった。皆の力を貸してくれ」

 

「「「「「はいっ!!!」」」」」

 

 皆の返事を頼もしく思いながら、俺は抱き合う二人に声をかけた。

 

「待ってろアーシア、必ず助ける。イッセー、言ったからにはお前にも働いて貰うぞ。覚悟しろよ?」

 

「「・・・・・・はいっ!!!」」

 

 

 

 

 

 

 一輝発案によるアーシア救出&脱出作戦が始まろうとしている。

 一輝の作戦は三段階に分かれていた。

 第一段階はアルトリアによる結界発生装置の破壊並びにイッセーによるアーシア救出。これはちょっとでもタイミングがズレたらアウトだ。作戦を担当する二人と指示を出す一輝に全てが委ねられる。

 第二段階は防御障壁の展開。担当するのは私と朱乃、黒歌のウイザードタイプの三人。爆発の衝撃から皆を守り、脱出するまで維持しなくちゃいけないので、結構大変だ。

 第三段階は神殿からの脱出。これは一輝が担当する。爆発の勢いを利用し、重力制御を用いて脱出を試みるのだ。  

 不安がないと言えば嘘になるが、既に賽は投げられた。後は仲間達を信じて全力を尽くすしかない。

 

「どうだイッセー。行けそうか?」

 

「イメージは出来ました。絶対に成功させます!」

 

 イッセーはアーシアの身体に触れて待機する。アーシアの救出はイッセーの手にかかっている。緊張しながらもしっかり集中しているようだ。

 

「アルトリア、宝具の使用を許可する。結界発生装置を破壊しろ」

 

「良いのですか?」

 

「どの道皆には教えるつもりだったからな。少し予定が早まるだけさ」

 

「分かりました」

 

 一輝との会話を終えたアルトリアが見えない剣を構える。すると剣の周りの大気が渦を巻き、凄まじい風が吹き荒れる。

 あまりの風の強さに私は思わず目を閉じる。やがて風が止み、目を開けると、そこには黄金の輝きがあった。

 

「黄金の、聖剣・・・・・・」 

 

 アルトリアが手にする目映い光輝を発する黄金の剣。その輝き、そのオーラ、紛う事なき聖剣だ。でも今まで見て来た聖剣とは格が違う。ゼノヴィアのデュランダルすら霞む圧倒的な“格”がその聖剣にはあった。

 

(何なのあの聖剣・・・・・ゼノヴィアのデュランダルだって高位の聖剣なのに、それ以上って・・・・そんなのひとつしか知らないわよ!?)

 

 そう、それは史上最も有名な聖剣。数ある聖剣の頂点に立ち、聖剣の代名詞と云われるもの。そしてその聖剣の持ち主の名も“伝説の王”として伝わっている。

 

 アルトリアが黄金の聖剣を頭上に掲げ目を閉じる。すると周囲から金色の粒子が聖剣に集まって来た。

 

「光が・・・・・・」

 

 集まった光が聖剣を更に強く、眩しく輝かせる。

 

 

「・・・・輝けるかの剣こそは、過去、現在、未来に通じる、戦場に散っていく全ての(つわもの)達の、今際の際に抱く、悲しくも尊き夢───」

 

 

 祐美の声が流れる。彼女が口ずさむのはとある聖剣の持ち主である王を讃える詩。私も読んだ事がある有名なものだ。

 『聖剣計画』の被験者である祐美も聞いた事があるのだろう。では何故今その詩を吟うのか。私と同じく、彼女もまたアルトリアの正体を察したのだろう。その声には畏敬の念が混ざっていた。

 

 

「その意志を誇りと掲げ、その信義を貫けと正し、今、常勝の王は高らかに、手に取る奇跡の真名を謳う。其は───」

 

 

 アルトリアの聖剣は集った光を吸収し、極限にまで光輝く。

 準備が出来たのかアルトリアは目を開き、左足を一歩踏み出し、そして───

 

 

約束された、(エクス、)勝利の剣(カリバー)ーーーーッ!!」

 

 

 上段から振り下ろされた剣から圧倒的な光が放たれ、玉座ごとその地下にある結界発生装置を破壊する。

 

「やれ、イッセー!」

 

「アーシアごめん! 洋服崩壊(ドレスブレイク)!!』

 

 それと同時にイッセーがアーシアに『洋服崩壊』をかける。

 技の効果で元々引き裂かれていたアーシアのウエディングドレスがバラバラに弾け飛んだ──手足を拘束していた枷と共に。

 

 イッセーが裸のアーシアを抱えて私達の元に駆け込む。良かった、アーシアは無事だ! ここから先は私達の番。私は朱乃、黒歌と共に三人で直径三m位の球形の防御障壁を三重に展開する。障壁を展開すると同時に爆発が起きた。

 

(くっ、思ったより爆発の威力が強い───!?)

 

 爆発に飲まれ吹き飛ばされる中、予想以上の威力にこのままじゃ障壁が維持出来なくなる、と焦りを感じたその時、

 

『Boost!Boost!Boost!Boost!Boost!Boost!Boost!Boost!Boost!Boost!!』

 

ブーステッド・ギア・ギフト!!

 

『Transfer!!』

 

 イッセーが私達に力を譲渡する。凄まじい(ドラゴン)の力が流れ込み、障壁の強度が増した。これなら───!

 

「行くぞ皆! 重力制御(グラビティコントロール)、出力最大!!

 

 作戦の最終段階、爆発の勢いを利用して、一輝(ガイバー)の重力制御で一気に地上まで脱出する!

 

 

 

 

 

 

 ドガアアァァァンッッ!!!

 

 後方で凄まじい爆発が起こり、キノコ雲が立ち昇る。

 イッセー()達は球形の障壁に包まれ、宙に浮かびながらその光景を見ていた。

 

「降ろすぞ」

 

 一輝先輩の重力制御でゆっくりと地上に近付いて行く。地上に降りると同時に部長達が障壁を解除した。

 

「助かった・・・・・・?」

 

 イリナのその声で皆の表情にようやく安堵が戻った。

 神殿の外は霧の結界が消え、遠くまで一望出来る。これなら先生達がすぐ救援に来てくれるだろう。

 ホッとした俺は抱きしめていたアーシアに声をかける。

 

「助かったぞ、アーシア。あっ・・・・・・」

 

「あ、あんまり見ちゃイヤです・・・・」

 

 そうだった! 俺の『洋服崩壊』を受けてアーシアは今、全裸(すっぽんぽん)だった!

 

 好きな娘の裸が目の前にあるのだ。イヤだと言われても目が吸い寄せられる! 小振りだが形のいい胸、細い腰、プリップリのお尻をお宝映像として脳内に保管していく。

 うわぁ~、この娘俺の事が好きなんだよな!? だ、だったら少し位触ってもいいよな、な!!

 

「いい加減にしなさい!」

 

 突然部長に頭を叩かれた。何故に!?

 

「イッセー、貴方今性犯罪者のような顔をしてるわよ? 少しは落ち着きなさい!」

 

 な!? まさかそんな!? でも朱乃さんがそっと差し出した手鏡に映ったのは鼻血と涎を垂らし、目をギラギラと充血させた性犯罪者の顔だった。こ、これは言い訳出来ん! この隙にアーシアはアルトリアさんに黄色いフード付きのコートを着せて貰っていた。

 

「お前は・・・・何で折角上がった評価を自分で下げるんだよ!」

 

 殖装を解いた一輝先輩にも怒られた。うぅ、俺って・・・・

 

「・・・・だがまあ、『禁手』にも至った事だし、アーシアも取り戻せた。良くやったな、イッセー」

 

 先輩が鎧の胸を軽く叩いた。あれ? もしかして今、先輩に褒められた!? 滅多にない出来事に喜びが溢れて来る!

 

「はいっ!!」

 

 俺は喜びのままに声を上げた。

 

 

 

 

 

 

 イッセーさんが一輝さんに褒められて喜んでいます。

 一輝さんはイッセーさんにとって憧れであり目標、その人から褒められて嬉しくない訳ありません。そんな時、イッセーさんの鎧が解除され、そのままフラッとよろけました。まさか怪我を!?

 

「イッセーさん!?」

 

 慌てて近寄った私に、イッセーさんは大丈夫だと頷いて見せます。

 

「大丈夫。『禁手』って凄く疲れるんだ。それでフラついただけだよ」

 

 どうやら疲労でよろけただけみたいです。良かった。

 安堵する私をイッセーさんはそっと抱きしめて来ました。

 

「い、イッセーさん!?」

 

 突然の事に動揺する私にイッセーさんがそっと語りかけます。

 

「帰ろうアーシア。父さんと母さんが待ってる、俺達の(うち)に・・・・一緒に帰ろう」

 

 不意に涙が滲んで来ます。お父様とお母様。両親を知らない私を本当の娘のように可愛がって下さる大切な人達。もう会えないかと覚悟もしました。早く会いたいです・・・・

 

「ええ、ええ! 帰りましょうイッセーさん。お父様とお母様が待ってるあの、私達のおうちに───」

 

 

 

 そう言った私の視界が、突然赤く染まった。

 

 

 

 

 

 

 




フリードとバルパーが再登場。
でもやられ役なのであっさり退場しました。

イリナの戦闘形態は「灼眼のシャナ」をモデルにしています。御使いってもっと強くてもいいのではと思ってこうしました。

レイナーレは地魔術使いとなりました。
レイヴェルが火と風、ソーナが水、朱乃が雷なので、残った地でという単純な理由です。

ディオドラの最後は原作よりも悲惨になりました。合掌。

アルトリアのエクスカリバー。
「フェイトゼロ」のアニメでも屈指の名シーンを再現したくて書きました。

本日は連続投稿しています。
続けて第32話をご覧下さい。

レイナーレ、今後どうなる?

  • イッセーのヒロイン化
  • 一輝のハーレム入り
  • アザゼルの嫁
  • バラキエルの後妻
  • 誰とも結ばれず、メイドになる
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