大変遅くなりましたが、第34話をお送りします。
今回は原作にはなかったVSバラキエル戦をお送りします。
朱乃の父として、恋人として譲れない想いを持つ二人の対決がどうなるのか、ご覧下さい。
うちのマンションの最上階にあるVIPルームにはグレモリー眷属+αとアザゼル、オーディン様とロスヴァイセ、そして
「どうぞ」
「ほっほっほ、いただくぞい」
メイドのシエスタが淹れた緑茶を、オーディン様がズズズと音を発てて啜る。隣のロスヴァイセが「はしたない」と嗜めるが、オーディン様は知らんぷりだ。
オーディン様達と遭遇した
「しかしよぉ爺さん。来日するとは聞いてたが、早過ぎねぇか? 今回の来日の主目的は【日本神話】との会談だろ? ミカエルとサーゼクスの仲介で、俺が会談に同席する事になってた筈だが・・・・ひょっとして何かあったのか?」
アザゼルが俺達に説明するようにオーディン様に訊ねると、オーディン様は渋い顔で説明する。
「まあのう・・・・実は我が国の恥を晒すようじゃが、儂のやり方に異を唱える奴がおっての。其奴が問題を起こさん内に【日本神話】と早めに話を付けときたかったんじゃよ」
二人以上人が集まれば派閥が出来るというが、どうやら神も同じらしい。
「何だよ? ヴァン神族にでも狙われてんのか?」
「ヴァン神族はどうでもいいんじゃが・・・・と、それよりアザゼル坊───」
揶揄うようなアザゼルには答えず、オーディン様は『
───苛々する。
「───まぁ折角来たんだ。爺さん、行きたい所があったら案内してやるぜ?」
「わしゃおっぱいパブに行きたいのぅ!」
───能天気に騒ぐオーディン様とアザゼルが苛立ちを助長する。
「ククク、好きだなこのジジイ! よお~し、最近
「ヒョホホホ! さっすが総督殿じゃ! わしゃおっぱいが大きい娘がええのう!!」
───でも一番苛立たせるのが、咎めるように
「おっしゃ、行くぜクソジジイ! フルコースでもてなしてやるぜ!!」
オーディン様を連れて出掛けようとしているアザゼルは、
「───待ちなさい!!」
私の怒りの籠った声に足を止めた。
室内がシーンと静まる中、私はソファーから立ち上がり、アザゼルを睨み付けた。
「何故“あの男”がここにいるのか、聞いてないのだけど?」
私は堕天使バラキエルを指差し、アザゼルに詰問する。さて、何と答えるのか・・・・
「ああ・・・・言い忘れたが、爺さんが日本にいる間はここにいる全員で護衛する事になっている。バラキエルは最近忙しくて、ここに常駐していられない俺の代わりに呼んだ。何かあったらこいつの指示に従えばいい」
「護衛の件を言い忘れるだなんて、相変わらず無責任ですね。ですが必要ありません。堕天使側のエージェントには夕麻さんがいます。これ以上は不要です」
私がきっぱりと言い切ると、視界の隅で夕麻さんが困った顔をしていた。悪いけど今は無視しよう。
「朱乃・・・・これは堕天使の長として俺が決めた事だ。サーゼクスの許可も得ている。言っちゃ悪いが、リアスの女王とは言え、一下級悪魔の意見なんざ求めてねーんだよ」
「!!」
アザゼルの思惑は分かってる。この男は私達の溝を埋めようと余計な気を回してるのだ。そのあからさまな態度が私を余計に苛立たせる。
「・・・・そうですか。それは失礼しました、総督様!」
「朱乃!!」
私はアザゼルを睨み付けると、背中に掛かるあの男の声を無視して、足早にVIPルームを出て行った。
朱乃さんが物凄い剣幕でVIPルームを飛び出すと、バラキエルさんも朱乃さんの名を呼びながら部屋を出る。そしてまた、部長と顔を合わせた一輝先輩が頷くと、後を追うようにVIPルームを出て行った。
「なんだぁ? 朱乃さんもバラキエルさんも、一輝先輩まで、一体どうしたんだ?」
あんな朱乃さん、初めて見た。
「そうか。イッセー、お前はまだ知らなかったんだな・・・・あの二人、バラキエルと朱乃は父娘なんだよ」
アザゼル先生の声に俺は驚愕の視線を向けた。皆が驚く中、部長と祐美、そして白音ちゃんは驚いてなかった。
部長は大きな溜め息をひとつ吐いて、
「───哀しい話よ。それでも聞く?」
部長の問い掛けに俺達は一斉に頷いた。
朱乃とバラキエルさんの後を追ってVIPルームを出た
「離してよ!」
「落ち着け朱乃、私はただお前と話し合いをしたいのだ」
朱乃の後ろ手を引いて、バラキエルさんが話し掛ける。だが、
「・・・・気安く名前を呼ばないで」
朱乃は怒りの籠った視線をバラキエルさんに向ける。その表情はどこまでも固く、冷たい。それでも足を止めた事で話が出来ると思ったのか、バラキエルさんは朱乃から手を離し、スーツの襟を正した。
「・・・・あの男、“ガイバー”と逢い引きしていたのは、どういう事だ?」
・・・・俺の事かよ。まあ、娘が男とホテルから出て来たら、父親としては気になって当然か。
「そんなの私の勝手じゃない!? 貴方にとやかく言われる筋合いはないわ!」
「朱乃・・・・だがあ奴はお前の主であるリアス殿の婚約者ではないか!? お前まさか妾にでもなるつもりか!?」
「それがどうかした? 正妻はリアスで決まりだけど、一輝はもう貴族家の当主よ。妻を何人も持つのは認められてるし、例え何番目であっても彼に愛されるなら私は幸せよ」
「いかん! 大切な一人娘をそんな女誑しにやる訳にはいかん!!」
「・・・・何で貴方にそんな事言われなくちゃいけないのよ!? 私は彼を、一輝を愛してるの! さっきだってホテルでたっぷり愛し合って来たんだから!!」
「───なっ!?」
朱乃のカミングアウトにバラキエルさんが絶句する。参ったな、これじゃあ出るに出られん。
「おのれ・・・・・・嫁入り前の娘に手を出すとは・・・・絶対に許さん!!」
うわあ~、バラキエルさん、怒りのあまり放電してるよ。近付きたくね~。
「朱乃! お前もお前だ! 嫁入り前に貞操を失くすなんて、母さんも草葉の陰で泣いてるぞ!!」
「勝手に母さまの意志を捏造しないで! 母さまも一輝が相手なら許してくれるわ!!」
激昂するバラキエルさんに朱乃も一歩も退かない。その時朱乃の視線が、出るに出られず困っている俺の視線とバッチリ合った。
「一輝!!」
「ぬう!? 盗み聞きとは破廉恥な・・・・恥を知れ!!」
歓喜と嫌悪、両極端の感情が俺に向けられる。
「あ~バラキエルさん? 盗み聞きは誤解ですよ。こんな人通りのある所で言い争ってたら、嫌でも聞こえますって。内密な話をするなら遮音結界を張るか、どこかの部屋でして下さい」
「むう・・・・おのれ、生意気な・・・・」
俺の正論にバラキエルさんは悔しそうに歯噛みする。その隙に朱乃は俺の背後に身を隠した。
「まだきちんと挨拶してませんでしたね。──始めまして、『
俺は貴族として正式に一礼する。そして、
「お嬢さん──朱乃とは将来を誓い合った仲です。よろしくお願いします、お
今度は
「ッッ誰がお義父さんだ!? 貴様のようなナンパ野郎に大事な娘を渡せるかぁっ!!」
雷のような大喝が俺を揺さぶり、轟音で耳がジンジンする。でも、こっちも退けない!
「渡す渡さないじゃなく、朱乃はもう俺の女です。例え貴方が朱乃の父親だろうと、大事な時一緒にいなかった貴方にとやかく言われる筋合いはない!!」
俺はわざとバラキエルさんの古傷を抉る言葉を放って挑発する。
「──ッッ貴様ァ!!!」
挑発に乗ったバラキエルさんの拳が眼前に迫る。雷光を纏った拳はまともに喰らえば消滅必至だ。ちょっと煽り過ぎたかと焦ったが、その拳は俺に届く寸前で、何者かの手に止められた。
「おいおい、いくらガキに痛い所突かれたからって、お前らしくねぇぞ。ちったあ落ち着けよ、バラキエル」
「アザゼル・・・・・・」
そう、激昂するバラキエルさんの拳を止めたのはアザゼルだった。あの雷光を纏った拳をいとも容易く止めるとは、流石だな。
「・・・・と言ってもこのままじゃお互い治まらんだろ。着いて来い、思う存分戦わせてやるよ」
アザゼルは俺達の間を通り、エレベーターのボタンを押す。
「・・・・よかろう。あれだけでかい口を叩いたのだ。よもや逃げまいな?」
「上等だ。アンタの根性叩き直してやるよ」
怒りの形相で睨み付けるバラキエルさんを、俺も怒りを込めた視線で睨み返す。
「「叩き潰す!!」」
こうして俺はバラキエルさんと戦う事となった。
「どうしてこんな事に・・・・」
新設されたばかりの特別訓練場は、禁手に至った一輝やイッセー君、祐美ちゃんが全力で戦っても壊れないよう、レーティングゲームの技術を用いて造られた特別な訓練場だ。
異空間に造られてるから果てがない程広大で、サーゼクス様やアザゼルが自ら何重もの結界を張ったので、有り得ない位頑丈だ。『ディオドラの乱』での戦功により特別に下賜された物で、若手でこれを持ってるのは私達グレモリー眷属とバアル眷属のみだ。
お陰で全力で力が振るえると一輝やイッセー君は大喜びで、暇さえあればここで訓練をしている。
今、この場にいるのは四人。私と一輝、アザゼルとあの男──バラキエルのみだ。
一輝とバラキエルは私とアザゼルがいる所から、かなり離れた場所で向かい合っている。
一輝の強さは分かってる。でもバラキエルだって堕天使随一の武闘派だ。数々の強敵を退けて来た一輝が負けるとは思わないけど、無傷で勝てる相手じゃない。
「もう、一輝はどうして挑発なんてしたのかしら・・・・?」
「分からねえか朱乃。一輝の奴はお前ら父娘の為に戦おうとしてるんだぜ」
私が洩らした言葉にアザゼルが言葉を重ねる。私の為、というのは分かるけど私達父娘の為とは・・・・
「・・・・どういう事です?」
「さぁ~てな。・・・・始まるぞ」
私が訊ねてもアザゼルにはぐらかされる。そうしている内に二人が激突した。
「行くぞ、小僧!!」
全身に雷光を纏ったバラキエルが一輝に迫る。迅い! アイツはただでさえ速いが、雷光を纏った時は雷に匹敵するスピードで移動しやがる。
「──チィッ!?」
だが一輝の奴も流石だ。バラキエルの攻撃を辛うじて回避してやがる。だが、
「どうした? それが貴様の全力か!?」
バラキエルのスピードが更に上がった。
瞬間移動と見紛うばかりのスピードに流石の一輝も反応仕切れず、遂に攻撃をまともに喰らってしまった。
「──ガァッ!?」
『浮身』で飛んでるから打撃のダメージは少ないようだが、バラキエルの纏っているのは雷
「・・・・所詮この程度か。やはり貴様に朱乃は渡せんな!!」
瞬時に一輝の背後に回ったバラキエルが雷光の拳を振り下ろす!
「一輝!!」
朱乃が絶叫する中、俺は一輝の口角が上がったのをはっきり見た。そして───
「ガイバーーーーー!!」
「──ぐぅ、おああっ!!?」
ガイバーに殖装する時発生するバリアーがバラキエルを吹き飛ばした。野郎! これを狙ってやがったのか!?
「ぐう・・・・おのれ、小癪な・・・・」
バラキエルの着ていたスーツが一瞬でズタボロになり、身体のあちこちから血が流れる。バラキエルの奴油断したな。互いのダメージは五分って所か。さぁて、こっからが本番だ。どうなる、この勝負?
雷光の拳を受けた両腕がズキズキと痛む。畜生、随分好き勝手にやってくれたな。だが殖装時に発生するバリアーに吹き飛ばされ、バラキエルさんもそれなりにダメージを受けたようだ。
「・・・・さて、大人しくしてるのもここまでだ。これからは全力でやらせて貰うぞ、バラキエル! アンタには言ってやりたい事が山程あるんだ!!」
「・・・・フン、偶々功績を上げただけで調子に乗ってる青二才が! 話がしたければ俺を倒してみろ!!」
バラキエルの身体から雷を纏った黄金のオーラが立ち昇る。スゲエな、流石堕天使随一の武闘派だけある。だが!
「! ほう、青二才の癖に中々やるではないか。ならば手加減無用! 行くぞ、ガイバー!!」
「来い、バラキエル!!」
バラキエルと同等の紅のオーラを漲らせ、俺はバラキエルと激突した。
激しい雷光を纏った拳と灼熱の闘気を纏った拳が空中で激突する。激しい轟音を上げ、並みの悪魔や堕天使なら一発で消滅するような拳打が二人の間で交錯する。
「凄い・・・・・・」
朱乃が二人の闘いを見て呆然としている。無理もねえ。朱乃は確かに強いが、精々上級悪魔の中位レベルだ。バラキエルや一輝はそれより上、最上級レベルにいる。文字通り次元が違うって奴だ。
この映像はVIPルームに生中継している。解説はオーディンのジジイがやってくれるだろう。あいつらはこの闘いを見てどう思うのか。自分には無理だと諦めるか、それともいつかは自分もと奮い立つだろうか。あいつらを指導する立場にある
いずれにしても、自分達とは違う一段上の闘いをあいつらだって経験してもいい頃だ。この先の戦いを生き残る為に。と、そんな事を考えていると、状況が変わった。
「グフッ!? クッ、おのれ!!」
巧い! 雷の速さで動くバラキエルの動きを読んで、かわした所に
案の定ガイバーが伸ばした両掌から発生した黒い渦が、雷光を吸収し、跡形もなく消滅させてしまった。
ガイバーには重力制御能力より発生した【ブラックホール】がある。俺の光すら吸収するんだ、バラキエルの雷光も意味を成さないだろう。バラキエルの奴、珍しく呆然としてやがるぜ。
接近戦では後手に回り、遠距離戦では得意の雷光を封じられ、バラキエルは劣勢に追い込まれた。さて、ここからどうする気だ、一輝?
「グヌゥ・・・・よもやこれ程とは・・・・」
朱乃の主であるリアス・グレモリー嬢の眷属でありながら、その強さ故に特例で上級悪魔に昇格し、婚約者にまで成り上がった男。あまつさえ眷属の少女達をも手籠めにして、その魔の手は朱乃にまで及んでいる──そうアザゼルから聞いた時、自分の娘がそんな奴の誘いに乗る訳がないと信じていた。
だから今日見た光景は衝撃的だった。
腕を組んでオーディン様と話をしているカップル。二人の背後には洋式の城を模したラブホテルがあり、二人の間には事後特有の甘い雰囲気が漂っていた。
よくある光景と言えるのだろうが、女が自分の娘とあれば話は別だ。娘を弄んだコイツを
「貴様の強さは分かった・・・・だが俺は朱乃の父親として、貴様との交際なぞ認める訳にはいかん!!」
俺は再び黄金のオーラを漲らせ、戦闘態勢を取る。だが奴は俺をジッと見つめたまま動かない。何だ? 静かな、動かない奴から異様な気配がする。
「・・・・朱乃の父親? アンタ、今自分を朱乃の父親と言ったのか?」
何だ? この俺が気圧されるだと!? その時、俺の視界から奴の姿が消え──
「グハァッ!?」
「アンタが父親だと!? アンタが朱乃の父親として、何をして来たって言うんだ!?」
奴の拳が俺のボディに突き刺さった。
「朱乃の父親として」──その言葉を聞いた途端、
がら空きのボディに【虎砲】を放ち、バラキエルを地上に撃ち落とす。まともに入ったというのに、大して効いてなさそうなのはサーゼクス様やコカビエルと同じく膨大な魔力が自然と防御フィールドを形成しているからだろう。だがそんなもの関係ない!
「アンタが父親だって言うなら、あの時何故朱乃から離れた!?」
「ヌウッ!?」
ローキックに態勢を崩しつつ言葉を被せると、バラキエルの顔が苦痛に歪む。
「あの時、確かに朱乃はアンタを拒絶したんだろう・・・・だが朱乃は当時八歳、母親を殺されたばかりで混乱していただろうに、アンタはそんな八歳の娘の言う事を真に受けて、朱乃から離れた・・・・いいや、逃げたんだ!!」
「ち、違う! 俺はただ・・・・!」
「何が違う!? 現にアンタは今日まで朱乃の前に姿を現さなかったじゃないか!?」
言い訳染みた事を言おうとするバラキエルを、腕のガードの上からを蹴り上げる。
「アンタと離れた朱乃がどんな生活をしていたか知ってるのか? 姫島家に追われながら、朱璃さんから教わった術を使い、悪霊祓いの真似事をして食い繋いでたんだぞ? リアスと出会うまでそんな暮らしをしてたって言うのに、その間アンタは何をしていた!?」
「それは──! 影から見守っていたのだ・・・・だから決して見捨てた訳では──」
「そんなのストーカーと変わらねーじゃねーか! 何故朱乃の前に姿を見せて、抱き締めてやらなかった!?」
俺の回し蹴りが頭部に入ってバラキエルの身体が吹っ飛ぶ。俺の言葉で精神的に揺さぶられたのか、防御フィールドが弱まってるように感じる。
「朱乃はずっとアンタを求めていたのに! たった一度拒絶されただけでビビりやがって! そんな奴に父親ヅラする資格があるか!!」
「ガハァッ!!」
防御フィールドを突破した【グラビティ・キック】が炸裂し、バラキエルの身体を吹き飛ばす。流石に効いたのか、バラキエルは立ち上がる事も出来ない。これで終わりか?
「あれは俺のせいなんだよ・・・・」
アザゼルがポツリと呟いた。
「え?」
「あの日
「アザゼル、貴方・・・・」
「たった一日、たった一日あいつに仕事を頼んだばっかりに俺は
アザゼルのこんな必死な姿、初めて見た。私はどうすればいいんだろう?
母様は死んだ。誰を、どんなに責めたってもう還らない。そう、父様──バラキエルのせいじゃない。あの人を責めたって何も変わらないのは分かってる。なのにどうして? どうして素直になれないの!?
私が思い悩む中、身体中傷を負いながら、
あの小僧に散々言われてしまった。
だが奴の言う通りだ。
あの時俺が本当にしなければならなかったのは、いくら拒絶されようとも朱乃の手を離さず、あの娘を抱き締め、共に悲しむ事だったのに。
朱乃は頭が良く、優しい娘だ。共に居ればいつかは分かってくれただろう。そんな父親として当たり前の事が俺には出来なかった。ダメ親父、父親失格と言われても返す言葉もない。だが、
「──それでも、それでも俺は娘を、朱乃を守る! 例えどんなに恨まれようと、どんなに拒絶されようと絶対にだ!!」
俺は改めて誓いを立てた。だが、奴はまたも俺を否定する。
「──悪いがアンタはもうお役御免だ。朱乃はもう俺の女、あいつを守るのはもう俺の役目だ。あいつの告白を受けた時、あいつを傷付ける全てのものから俺が守ると誓った。だからアンタは──もう荷物を下ろしていいんだ」
フ、コイツめ・・・・俺の誓いを荷物などとは・・・・どこまでも生意気な奴め。だがまだだ!
「フン、そこまで言うなら貴様が朱乃を守れるかどうか、見せて貰うぞ!!」
「上等だ!!」
俺は最後の力を振り絞り、雷速で奴の回りを飛び回る。奴は動かず俺の出方を窺っていた。このスピードで撹乱すれば、初めて見せるこの技に反応出来まい、行くぞ!!
「チイッ!?」
雷速で動きながら雷光を放つ。四方八方から放たれる雷光は奴の【ブラックホール】でも吸収仕切れまい。そこで俺はとどめの一撃を、上空高く飛び上がり、雷光を纏ったかかと落とし【
「これにも反応するのか!?」
ガイバーは【雷神の鉄槌】に気付いていたかのように、ハイキックで迎撃した。
凄まじい衝撃波が疾り、身体が宙を舞う。態勢を整えようとした時、ガイバーが宙にあった腕を掴んだ。
「オオオオオーーーーッ!!」
全ては一瞬だった。
ガイバーは俺の腕を掴むと、逆関節を極めて、そのまま一本背負いで投げる。そして頭が地面に落とされる寸前、ローキックで頭を刈り上げた!
「不破圓明流【雷】」
遠ざかる意識の中、不破一輝の声が聞こえた。フフ、この俺を【雷】を冠する技で倒すとは・・・・どこまでも生意気な奴だ・・・・
バラキエルさんを倒した
「一輝・・・・」
「今度はお前の番だ、朱乃。お前だって本当はもう分かってるんだろ?」
「・・・・・・」
「いつまでも意地を張ってると、本当にもう会えなくなるかもしれないぞ。いいのかそれで?」
「!!?」
「今まで会いに来なかった文句や十年分の恨み事をぶつけるだけでもいいんだ。話をして来い、朱乃。俺はずっと待ってるから」
俺は朱乃の手を握り、送り出すように肩をポンと叩く。
下を向いていた朱乃は顔を上げて、バラキエルさんの元へと走り出した。その後ろ姿を見送っていると、アザゼルが声をかけて来た。
「ご苦労だったな、一輝。バラキエルはどうだった?」
「強かったですよ。勝てたのは初対戦でこっちの思惑に巧く嵌まってくれたからです。次闘えばどうなるか分かりませんよ」
特に最後のかかと落とし、ガイバーのヘッドセンサーで位置を捕捉出来ていなければ、勝敗は逆になっていただろう。
「そうか・・・・一輝、ありがとう」
珍しく真摯に頭を下げるアザゼル。この人も結果的に親友の家庭を壊してしまった事をずっと思い悩んでいたんだろう。
「礼を言うのはまだ早いですよ。結局は朱乃次第なんですから・・・・」
俺はそう言いつつも、多分大丈夫だろうと思いながらその場に座り込み、会話を交わしているだろう父娘の方を眺めた。
「生きてる?」
そこには俺の顔を覗き込む
「どう? 私の恋人は強かったでしょう?」
「ああ・・・・完敗だ。全く、好き放題言いおって、とことん生意気な奴だ・・・・だが全部奴の言う通りだ。
朱乃、俺はこの十年、ずっと逃げていた。朱璃を亡くし、お前に拒絶され、俺は愛する者を失う痛みを思い出してしまった。お前とこの十年会わなかったのは、再び拒絶されたら耐えられないと思ったからだ。そんな奴が父親ヅラするなと殴られたよ・・・・全く情けない・・・・」
「本当・・・・貴方の言う通りね。娘に拒絶されるのが怖くて、十年も放っておいた癖に父親ヅラして、娘の恋人と喧嘩して、挙げ句完敗するなんてホント父親失格よね」
「完敗!? ぐぅぅ・・・・! そこまではっきり言う事はないではないか・・・・?」
「(クスクス) 事実ですもの、諦めて下さいな」
朱乃が楽しそうに笑っている。そうか、お前は今笑っていられるのか・・・・
ふと騒がしいのに気付いて顔をそちらに向けると、不破一輝の周りにグレモリー眷属を始めとした仲間達が集まっていた。
悪魔に天使に堕天使、三大勢力の者が共に笑い、共に寄り添う。かつて夢に見た光景がここでは実現されていた。不破一輝はその中心でリアス嬢に小言を言われながら、治癒の聖女の治療を受け苦笑している。
「私は大丈夫よ
だから心配しないで──そう言って私の元から朱乃は離れて行く。
そうか・・・・少し、いや大分悔しいが、朱乃を守る役目はお前に譲るとしよう。少なくとも、あの娘が笑っていられる間は・・・・
俺はゆっくりと瞼を閉じる。瞼の裏に浮かんだ朱璃が笑っているような気がした───
読んでいただきありがとうございます。
原作のイッセーは未遂でしたが、一輝は完全に事後でしたから、先に姫島父娘の問題を片付ける事にしました。
思わぬバトル回になった今回ですが、次回も展開的にバトル回になりそうで・・・・エロは箸休め的な短いものになりそうです。ご了承下さい。
一輝と眷属との出会いはどう描くべきか?
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キャラクター紹介を書く。
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外伝小説を書く。
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後書きで簡単にまとめる。
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特に必要ない。