暫く身体を壊していた為、遅れてしまいました。
皆さんも健康には注意して下さいね。
それでは第35話をご覧下さい。
「お、おはよう朱乃・・・・」
「おはよう、ございます・・・・」
食堂で顔を合わせた姫島父娘のぎこちない挨拶に、周りの皆は苦笑を漏らしていた。
昨夜の対決の後、少しだけ話をした二人は、お互いほんの少し歩み寄って、こんな感じに収まっていた。
元は仲の良い父娘だったというから、いずれは元に戻れたら、と願わんばかりだ。皆も同じように思っているのか、不器用な父娘のやり取りにホッコリした空気が食堂を包んでいた。だが、
「行くぞ皆の衆! おっぱいが儂を待っておるのじゃああああっっ!!」
・・・・・・台無しだった。
オーディンの爺さんが来日して数日。
オーディンの爺さんは観光と称して日本各地を回っていた。昼間は観光名所を回り、各地のご当地グルメに舌鼓を打ち、夜は先生お薦めのエッチなお店に行き、綺麗なお姉さん達の歓待を受け、ご機嫌の様子だ。
昼間はいいんだ。俺達も行った事のない観光名所を回れるし、美味いモンも食える。ああ、大間のマグロは美味かったなあ・・・・。
だが問題は夜だ。爺さんが行くキャバクラやガールズバーは当然未成年は入れない(例え成人していても学生は不可だそうだ)。爺さんや先生が楽しんでる間、俺達は入口付近の待合室でずっと待たされる事になり、精神的にも肉体的にも皆疲れ果てていた。
部長は見るからにイライラしてるし、他の皆も連日の疲労からか精細を欠いている。爺さんのお付きのロスヴァイセさんすらウンザリしていて、俺達のモチベーションは下降どころか墜落していた。
ちくしょう、今頃爺さんや先生は綺麗なお姉さんとあんな事やこんな事してるんだろうなあ・・・・おっぱいパブってどんな事してくれるんだろう? ああ、一回でいいから俺も連れてってくれたら・・・・・俺は拳を握り締め、込み上げる怒りを堪えていた。
八本足の巨大な軍馬──スレイプニルが牽く馬車が夜空を駆ける。
「ホッホッホ。日本のヤマトナデシコはいいのぉ、ゲイシャガール最高じゃあ~!」
と、京都で本場の芸者遊びを楽しんだオーディン様は終始ご機嫌だ。
「オーディン様! 【日本神話】との会談まで日がないんですよ!? いい加減夜遊びはやめて下さい!!」
ロスヴァイセも流石に限界なのか、額に青筋を立てつつ諫言する。けど、
「ハア・・・・お主は相変わらず固いのお。そんな事じゃからお主は
「んな!? そ、そんなの関係ないじゃないですか!?」
あっさり言い負かされていた。
ロスヴァイセは
ヴァルハラに導かれた勇者は
だがロスヴァイセは戦乙女でありながら、今まで一人も恋人が出来た事がなく、色々と不名誉な呼び名で呼ばれているらしい。
「だって、だって仕方がないじゃないですか!? 昔とは違って人間の戦場には効率を重視して重火器を使う“兵士”しかいないし、極稀に勇者と呼べる人がいてもヴァルハラへ送る間に何故か敬遠されちゃうんですもの! 私は彼の為に一生懸命世話を焼いて、精一杯尽くしてるのに、なんで? どうして私には恋人が出来ないのよ~~~~!!?」
ああ、とうとう泣き出しちゃったわ。見かねた朱乃や祐美が慰めてるし・・・・全く、面倒臭い娘ね。
「のう赤龍帝にガイバーよ。お主らのどっちか
「ちょっ───! 何でオーディン様が私が処女だって知ってるんですか!?」
「たわけ。彼氏いない歴=年齢のお主が経験済みな訳なかろうが」
オーディン様は呆れたように嘆息した。事実らしくロスヴァイセは「ぐぬう・・・・」と顔を真っ赤にして、悔しそうに唸っている。
「で? どうじゃ?」
オーディン様に訊ねられ、イッセーと一輝は顔を見合せる。あ、ロスヴァイセがちょっと期待したような目をしてるわ。でも、
「俺は・・・・正直アーシアと恋人同士になったばかりなんで、もう暫く二人でイチャイチャしたいかなって・・・・あ、でもロスヴァイセさんが待ってくれるっていうんなら大歓迎っスよ」
「イッセーさん・・・・!」
あらあら、アーシアったら感激してイッセーと見つめ合ってるわ。全く、初々しいったらないわね。
「俺はリアスが許可を出して、彼女も望むなら構いませんよ。ただ俺には既に恋人が七人いますから、それでも良ければ、ですが」
それを聞いたロスヴァイセが「七人!?」と絶句している。今現在の候補だけでももう三、四人は増えそうだし、眷属が揃ったら益々・・・・最終的には二十人以上になりそうなのよねえ。二十人か・・・・参ったな、私管理しきれるかしら?
「・・・・だそうじゃが、どうするロスヴァイセ?」
「私は・・・・・・」
ロスヴァイセは真剣な顔で悩んでるけど、強引に二択を迫られている事に気付いてないのかしら? 別に二人から選ぶ必要はないというのに、やっぱり残念な娘ねえ・・・・・
とその時、馬車が急停車して、突然の衝撃が私達を襲った。
急停車した馬車の窓を開け状況を確認すると、馬車の進路上に黒い戦闘服を着て、マントを纏った男が浮かんでいた。
二十代後半位の昏い瞳をした、
「ンフフフフ・・・・・・初めまして諸君、我が名はロキ。【北欧神話】の悪神ロキだ!」
マントをバッと広げ、高らかに名乗りを上げた男──ロキの登場にリアス達の表情に緊張が走る。変わらないのは良く分かってないイッセーだけだ。
「久し振りだな、神ロキ。何故アンタがこんな所にいる?」
ろくな理由じゃねえと思うが、代表して俺が訊ねる。
「いやなに、ウチの主神殿が我らの意向を無視して、他の神話勢力に接触してるのが気に入らなくってね
・・・・潰しに来たのだよ」
ふざけやがって! やっとの思いで切り開いた和平への道をこいつなんぞに潰されてたまるか!!
「堂々と言ってくれるじゃねえか、ロキ」
俺は怒りを込めてロキを睨む。だがロキはそんな俺を見て楽しそうに笑う。
「クフフフフ、堕天使の総督よ、私が用があるのは主神殿だけだ。貴殿やそこの悪魔達が大人しく退くなら
「
「それは仕方あるまい。君ら【聖書勢力】は他の神話勢力から恨まれているからねえ」
「俺達が恨まれてる? どういう事だよ!?」
イッセーがロキに噛み付く。ロキはイッセーを一瞥して嘲笑った。
「仕方あるまい。そもそも世界各地の神話領域に踏み入り、聖書を広げ、勢力を拡大して来たのは君らだ。自らの領域を土足で踏み荒らされ、勢力を削がれた神話勢力が恨んでないとでも?」
神の力は信者の数に比例する。だから神は信者に布教活動をさせ、勢力を広げようとするのだ。
そして世界中の人口の三割以上の信者を持ち、最も勢力を拡大したのは俺達『聖書勢力』なのだ。・・・・確かに恨まれてないとは口が裂けても言えねえわな。
「それを俺に言われてもな・・・・その辺はミカエルか死んだ神に言ってくれ」
その辺の問題はミカエルに丸投げしようとしたが、
「そんな言い逃れは通じんよ。今まで『聖書の神』の死を隠し、世界中を欺き、好き勝手やって来た君らが和平を結び【聖書勢力】という一つの勢力になった途端、他の神話勢力と手を結ぼうとは・・・・些か虫が良すぎると思わんかね?」
ちっ、痛い所を突いて来やがる。
「私に言わせれば、貴殿らは親の死を隠し、財産を食い潰した挙げ句、生活出来なくなった途端、今まで無視していた親戚に「仲良くしましょう」と頼って来るアホな子供にしか思えん。そんな連中まともに相手にするのもアホらしい!」
「・・・・・・(ギリッ)」
俺は悔しさに歯を食い縛る。こいつの言う事は正論だ。俺達三大勢力は其々の勢力を維持する為に『聖書の神』の死を隠蔽した。そうでもしなければ俺達は他の神話勢力に吸収されるか、問答無用で滅ぼされるかのどちらかだっただろう。
だがそれはこちらの都合であって、他の神話勢力からすれば、ロキのように考える者の方が断然の多い。寧ろオーディンの爺さんのように好意的な方が珍しい。
「・・・・確かにお主の言う事にも一理あるわい。『聖書の神』の死を隠し、世界中を欺いていたこ奴らの罪は重い」
いつの間にかオーディンの爺さんが魔方陣に乗って、馬車の外に出ていた。
「爺さん・・・・」
「じゃがの、子の罪を赦すのもまた親の務めじゃ。儂は一人の
意外にも爺さんはそう言ってロキと対峙する。
「・・・・過去は水に流し、【聖書勢力】を受け入れると?」
「左様。お主とて和平を結んでからこ奴らが技術や知識を交換し、急速に発展している事に気付いとる筈じゃ。その動きこそ儂が望んでいたもの。『聖書の神』の死から千年もの間、儂らは停滞していた。本当なら我が【北欧神話】から現れて欲しかったんじゃが、時代は既にここにいる若者達を中心に動き始めた。この流れを止めてはいかん。じゃからこそ儂は反対を押し切って、未来の為、他の神話勢力と和議を結ぼうとしているのじゃ」
一万年以上の寿命を持つ俺達にとって、千年というのは決して長い時間じゃない。だがその間、他の神話勢力を欺いて来たのは事実だ。糾弾されても当然だというのに、オーディンの爺さんは未来の為に敢えて俺達と手を結ぼうとしている。──自分の勢力の反対に合いながら。
爺さんの思いを知って、三大勢力の長の一人として頭が下がる思いだ。リアス達も神妙な顔をしている。特にロスヴァイセなんかは感涙に咽び泣いていた。
「それにのう、こ奴らといるのはお主といるよりずっと楽しいし、仲良うすると、おっぱいの大きい姉ちゃんがいる店でサービスして貰えるのじゃ!!」
・・・・・・・・台無しだった。
「成る程、それが主神殿の本心か・・・・何と愚かな・・・・最早聞くに耐えん。よかろう、全員仲良く葬ってやるわ!!」
ロキの身体からドス黒いオーラが立ち上る。デカい! 今まで戦ったシャルバやクルゼレイが霞む位、とんでもないデカさだ! 流石は神っていう訳か・・・・
「ひとつ訊くぞ! ロキ、お前は『
先生が指を突き付けて訊ねると、ロキは不愉快そうに顔を歪める。
「愚かなテロリスト風情と一緒にするな! 不敬だぞ、堕天使の総督!!」
ロキが先生に向かって右手を翳すと、魔方陣が浮かび上がる。その時、
ズガァァァンッ!!
聖なる波動がロキを襲った。何事かと目を向けると、そこにはデュランダルを振り切った態勢のゼノヴィアがいて、
「先手必勝と思ったんだが・・・・」
平然とそう言った。いや、ロケットスタート所かフライングじゃねーか!
「・・・・どうやら効いてないようだな。流石は北欧の神か」
ゼノヴィアの言葉に視線を戻せば、そこにはロキが何事もなかったかのように宙に浮いていた。
「愚かな・・・・仮にも我は神だぞ。聖剣など通じる訳なかろう」
どういう事だ?
「神ってのは要するに聖なる存在の究極だ。その神に聖なる波動を撃っても効く訳ねえ」
俺の疑問に先生が答えてくれた。ってちょっと待て! それってゼノヴィアは勿論、祐美やイリナの攻撃も通じないって事か!?
思わず二人の方を見ると、二人も先生の説明を理解したのか、悔しそうに唇を噛んでいる。
「無駄だ! 我は神だぞ? たかが天使や悪魔の攻撃ではな!!」
ロキが左手を突き出すと、そこに得体の知れない凄まじいプレッシャーが集まり出す。あれはヤベえ! 俺の本能が危険だと訴える。あれを放たれたら───マズい!!
「ガイバーーーーー!!」
その時、ガイバーに殖装した一輝先輩が俺達の前に飛び出し、ブラックホールを展開した。
「イッセー!!」
「! はい!!」
一輝先輩の声に俺は『
「小賢しい───!!」
ロキが左手に集まった力を解放する。凄まじいプレッシャーが波動となって俺達に迫る。これが神の力! 何て威力だ。今までの敵とは比べ物にならねえ!!
「ぐうぅ────っ!!」
一輝先輩のブラックホールがロキの放つ波動を吸い込む。だがあまりの強大さに先輩の両腕がギシギシと軋んでいる。
(早く、早くしてくれ───!!)
今の俺が禁手になるまで三十秒。俺はカウントが減るの逸る気持ちを押さえて待ち続ける。
『Welsh Dragon Balance Braker!!』
俺の祈りが届いたのか、宝玉が光を放ち、全身が鎧に包まれる。
「部長! プロモーションします!!」
「ええ!!」
部長の承認を得て、俺は素早く『
『JET!』
俺は背中のブーストを全開にして、一直線にロキへと向かって行った。
『Boost!Boost!Boost!Boost!Boost!Boost!
Boost!Boost!Boost!Boost!Boost!Boost!!』
「そうか、そう言えば赤龍帝がいたのだったな。──中々いい感じに力が増大してるではないか!」
「喰らえええーーーー!!!」
俺は超特大のドラゴンショットを放った。強大な力の波動がぶつかり合う。
「だが神を相手にするにはまだ早い!!」
更にロキの力が増す。ちくしょう───!
「負けるかあーーーー!!!」
『Boost!Boost!Boost!Boost!Boost!Boost!
Boost!Boost!Boost!Boost!Boost!Boost!!』
俺も負けじと力を増大させ、渾身のドラゴンショットを撃ち込んだ。
「うわあーーーーっ!!」
凄まじい二つの力が激突し、弾け飛んだ。爆風に吹き飛ばされた俺を先生が受け止めてくれた。
「先生!?」
「良くやった、イッセー。しかし一輝とお前、二人の力を合わせてようやくとは・・・・とんでもねえな」
そうだ、先輩がブラックホールで力を吸収し続けててくれたから俺のドラゴンショットが通じたんだ。先輩は!?
「一輝先輩!?」
俺は一輝先輩を見て愕然とした。先輩の両腕は変な方向に折れ曲がり、ズタボロになっていた。
「ぐうぅ・・・・すまんアーシア、頼む」
「はい!!」
アーシアが『神器』を発動させ、先輩の傷を癒す。あれだけの傷だ。治すのにどれ程の時間がかかるか・・・・
「なっ───!?」
ゼノヴィアの声に視線を向けると、爆風の晴れた先には平然とした様子のロキが宙に浮いていた。そんな・・・・俺の全力の一撃が全く通じてないのか!?
「いや、良く見ろイッセー。ロキの身体から赤い煙りが立ち上ってる。少しはダメージが通ってる証拠だ」
少しは、か・・・・あの傷を付けるだけで一輝先輩は重傷だし、俺も疲労が激しい。このままじゃダメだ。俺達は確実に負ける───!
「クフフフ、我に傷を付けるとは大したものだ。特別手を抜いたつもりはないのだがな」
そう言ってロキは俺達を見渡した。
「ふむ、今の攻撃で一人も死んでないとは・・・・成る程、これが噂のガイバーか。ククク、面白い。ではこいつとどう戦うか、観せて貰おうか!!」
「! お主まさか───やめい、ロキ!!」
オーディンの爺さんが血相を変えて叫ぶ。何だ?何が起こるっていうんだ!?
「来たれ! 愛する我が息子よ!!」
マントを広げ、ロキが高らかに叫ぶ。その叫びに応じて空間が歪み、巨大なナニかが姿を現す。
最初に現れたのは足、次いで頭、そして全身とそれは姿を現した。
全高は十m位、全長ならその倍以上はありそうな巨大な狼。白い体毛が月明かりに照らされキラキラと輝いている。
(!っ何だこいつは!? 何だか分からないが、凄まじくヤベえって事だけは分かる!)
全高十mの巨大な白狼は俺達を見据えたまま、微動だにしない。だが俺達もまた、この畏ろしくも美しい獣から目が離せず、一歩も動く事が出来なかった。
「マズい・・・! ロキの野郎、よりによって何てモンを喚びやがったんだ。全員下がれーーーっ!! あの白狼には絶対攻撃を仕掛けるなよ!!」
先生の指示に金縛りが解けたのか、皆はゆっくりと後退する。
「先生、あれは一体・・・・?」
「
「フェンリル?」
「「「「!!?」」」」
先生の答えを聞いた皆が騒然とする。何だ?
「【北欧神話】に出て来る最凶最悪の魔物だ。奴の牙には神さえも確実に殺す力がある。お前の鎧だって砕けるだろう。気を付けろよ」
神さえも
「その通り! だが気を付けても無駄だ。こいつの牙は勿論、爪にも神を殺せる力がある。今まで喰わせた事はないが・・・・まあ、北欧の者以外の味を覚えさせるのもいい経験であろう。さて・・・・」
ロキはフェンリルを撫でながら俺達を見渡す。そして、
「まずは敵の継戦能力を奪うのが常道かな?」
その視線をアーシアで止めた。こいつまさか───!?
「殺れ、フェンリル」
ウオオオオォォォォォーーーーーンンッッ!!
フェンリルが遠吠えする。月夜に吠えるその姿は畏ろしくも美しく、俺達の全身を震え上がらせた。
次の瞬間、白い巨体が視界から消える。俺は半ば無意識に背中のブーストを吹かせた。
『JET!』
気が付けば奴の頭が目の前にあった。
「俺の女に、触るんじゃねえーーーーーっっ!!」
ドゴンッ!!
爆発するような音を立てて、フェンリルの首が吹っ飛んだ。
「無事か、アーシア!?」
「は、はい!!」
アーシアを守れてホッとする俺に、皆の驚く顔が集中する。
「イッセー、貴方・・・・」
「凄い・・・・」
だが、部長やイリナの声がする中───
「ゲフッ!!・・・・・・あれ?」
突然血を吐いて、俺はその場に沈み込んだ。
「「「「イッセー(さん)(くん)!!?」」」」
俺の身体を一輝先輩が肩を入れて支える。痛え・・・・いつの間にやられたんだ?
「一輝様、アーシア、こっちへ!」
夕麻の声に導かれ、俺は馬車の屋根に寝かせられる。鎧はいつの間にか解除されていた。
「!? 酷い・・・・!」
俺の腹部には大きな穴が空き、そこからドクドクと血が溢れていた。ちくしょう・・・・あの時、フェンリルの爪が当たったのか・・・・ヤベえ、血を流し過ぎて意識が・・・・・・
そう思った途端、俺の意識は闇に沈んでいった。
「イッセーさん!?」
意識を失ったイッセーに、アーシアがすがり付く。
「大丈夫、意識を失っているだけだ。アーシア、治療を急げ!」
アーシアは
「俺の事はいい。今はイッセーが優先だ。急げ!」
「はい!!」
俺の怒声にアーシアは俺の治療を中断し、イッセーの治療に取りかかった。よし、イッセーはこれでいい。
「夕麻、二人の護衛を頼む」
「お任せ下さい」
俺は二人を夕麻に任せると、戦況を確認する。
フェンリル相手なら聖なる波動も効くからだろう、祐美とゼノヴィア、戦闘形態になったイリナの三人が接近戦を繰り広げている。
遠間からリアス、朱乃、黒歌の三人が其々滅びの魔力、雷光、呪殺弾を放っている。白音はリアス達の護衛だろう、三人の側に控えている。連携も取れているし、今の所は大丈夫か。
ロキにはアザゼルとバラキエルさんが戦いを挑んでいるが、あの二人の攻撃すらロキの防御障壁を突破出来ずにいる。北欧の魔法、魔術は
ならばと同じ術式のロスヴァイセが、全属性の攻撃魔法を一斉発射したが、ロキの防御障壁を破る事は出来なかった。
お返しとばかりに放つ魔法に三人が苦悶の表情を浮かべる。加勢するならこっちか!
だが俺の両腕はまだ再生が終わってない。接近戦は難しい。ならば───!
(───開け、スマッシャー!)
俺が念じると、ガイバーの胸部装甲がひとりでに開いていく。そこには既に太陽のような光が充満して───
「喰らえ、ロキ!
ガイバー必殺の
「ヌオオッ!? こ、この力はーーー!?」
ロキは咄嗟に防御障壁を張る。だが、
パリイィィィンッ!!
ガラスが割れるような音がして、ロキの姿が光の奔流に消えて行く。
「やったか!?」
アザゼルがそう叫ぶが、先生、それはフラグだぞ。案の定、光の奔流が止んだ後には、さっきより多くの赤い煙りを立ち上らせてはいるが、まだまだ戦えそうなロキの姿があった。
「抜かった・・・・赤龍帝だけではなく、ガイバーの力がこれ程とは・・・・かなり消耗させられてしまったな」
チャンスだ! 一気に畳み掛けようと、巨人殖装を喚ぼうとしたその時、
『Half Dimension!!』
突然強大な魔力がフェンリルを襲った。周辺の空間が歪み、白い巨体が圧し潰されていく。流石のフェンリルもこれなら、そう思った次の瞬間、
パキィィィンッッ!!
フェンリルの牙が空間を噛み砕いた。フェンリルは巨体を震わせると、己を攻撃した者を睨み付け、「グルルル・・・」と威嚇するように喉を鳴らした。
「流石はフェンリル。あれ位の攻撃じゃ倒せないか・・・・」
そこには金色の雲の上にあぐらをかいた美猴を従えた、純白の鎧に八枚の光の翼を拡げた銀髪の麗人──ヴァーリ・ルシファーの姿があった。
フェンリルに苦戦する
「ほう、ここで白龍皇まで現れるとは」
「初めまして、悪神ロキ殿。私は白龍皇ヴァーリ、貴方を葬りに来たわ」
ヴァーリの宣戦布告に、ロキがフェンリルを宥めながら口角を吊り上げる。
「二天龍にガイバーか・・・・ふむ、面白いものが観れた事だし、今日の所は一旦引くとしよう」
ロキがマントを翻すと、ロキとフェンリルの周囲の空間が歪んでいく。
「だが【日本神話】との会合の日、私は再び現れる! オーディンよ、その時こそ貴方の最後だ!!」
そう言い残して、ロキとフェンリルは姿を消した。
正直退いてくれて助かったわ。あのまま戦っていても決め手に欠けた私達では、悔しいけどフェンリルを倒せなかったでしょうしね。
「アザゼル、そしてリアス・グレモリー。私から提案がある───」
お互いの無事を喜ぶ間もなく、白龍皇ヴァーリがそう切り出した。
うっすらと目を開くと、
「良かった・・・・お加減はいかがですか、イッセーさん」
「アーシア、俺・・・・」
そうだ、俺はフェンリルにやられて気を失っちまったんだ!
「戦闘は? 皆は無事なのか!?」
「大丈夫、戦闘は終わりました。皆も無事です。今は白龍皇さんとお話をしていて・・・・」
「白龍皇!? ヴァーリが来てるのか!?」
こうしちゃいられないと俺は身体を起こす。うん、痛みはない。どうやら馬車の中に寝かされてたみたいだ。外に出ると馬車は地上に降りていて、皆が集まって話をしていた。そこには白銀の髪の美女──ヴァーリの姿も見える。
「貴方達にも分かったでしょう? 貴方達だけではロキとフェンリルには敵わないと」
ヴァーリの言葉に皆は悔しそうに顔を歪める。ヴァーリはそんな皆を見渡し、言葉を続ける。
「でもそれは私も同じ。
そう言ってヴァーリは一輝先輩と、続けて俺に視線を向けた。
「イッセー、もういいの?」
「はい、もう大丈夫です。でも───」
心配そうに訊ねる部長に俺は頭を下げた。そして俺はヴァーリと目を合わせる。
「どういうつもりだ、ヴァーリ?」
「今回に限って、私は貴方達と一緒に戦ってもいいと言ってるの。──つまり共同戦線って訳よ、イッセー君」
そう言ってヴァーリは悪戯っぽくウインクをした。
読んでいただきありがとうございました。
なんか、時間がかかった割には原作とあまり変わらない展開になってしまいました。
次話はもう少し変えて、エロも入れられれば、と思っています。
本作のロキのモデルはトム・ヒドルストン演じる「アベンジャーズ」のロキです。
原作ではフェンリルは灰色となっていましたが、地味だと思って白狼に変えてしまいました。
この場を借りて、一輝の眷属についてアンケートを設けたいと思います。
一輝の眷属は半数以上決まっていますが、どのコンビが眷属にいたらいいか、参考までに皆さんの意見を聞かせて下さい。
一輝の眷属にいて欲しいのは?
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なのは&フェイト(リリカルなのは)
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香織&雫(ありふれた職業で世界最強)
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アスナ&シノン&アリス(SAO)
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ほのか&雫(魔法科高校の劣等生)