明けましておめでとうございます。
年末仕事が忙しくて遅れてしまいました。
こんな遅筆な筆者ですが、今年もよろしくお願いします。
今回は今まで参戦しなかった主人公が何をしていたかが明らかになります。
ご覧下さい。
真紅のマントを翻し、鈍色の鎧を身に纏った偉丈夫が結界の外にその身を晒し、まるで皆を護るかのように立ちはだかる。
「トールだ・・・・・」
「トール様・・・・・」
「・・・・・トール様!」
「雷神トール!!」
その勇姿を目にした途端、北欧の戦士達の歓声が爆発した。待ち望んだ軍神の復活に北欧の戦士達は「トール!」「トール!」とその名を連呼し、称える。
それにすっかり気を良くしたトールはニンマリと男臭い笑みを浮かべ、両手を
「フハハハハーーーーーッ!! ロキよ! 俺の寝てる間に随分好き勝手してくれたな! 待ってろ、今からぶん殴りに行ってやるわ!! フハハハ──「じゃねえよ」──ハハ?」
愉快げな哄笑を上げて、今にも飛び出そうとしたトールのマントがグイッと後ろへ引っ張られ、哄笑が途絶える。そこにいたのは顰め面をした一輝だった。
「何をする一輝! 今からロキの奴を──「その前にアンタにはやる事があるだろ!」──おおう、そうであった! では行って来る。 フハハハハーーーーーッ!!」
思い出したように手を打つと、トールは再び哄笑を上げながら、猛スピードで空へと消えて行った。
呆れ顔で見送る一輝。だが、眼の前の空間が突然歪み、玉座に座したロキの姿が浮かび上がると再び顔を顰めた。
「ガイバー不破一輝・・・・・・ククク、今まで姿を見せないから、てっきり逃げ出したのかと思ったぞ」
ロキが挑発するように笑う。だが、
「フッ、余裕そうだなロキ。もう勝った気でいるなら随分と気の早い。勝負はこれからだぞ」
そう言って一輝はロキを鋭く睨みつける。
「ククク、強がりを・・・・・・確かに個の力はそちらに分があるかもしれないが、戦いは所詮数だよ。圧倒的な数の暴力の前にはどんなに優れた個も呑み込まれるだけ。如何にトールや貴様がいたとしても我が方にはミドガルズオルムがいる。あれに勝てるとでも?」
「勝負はやってみなくちゃ分からないさ。それにほら、そろそろだぞ」
と、言われたロキが訝しげに眉を顰めたその時、
バリバリバリーーーーーッッ!!!
と、耳をつんざく凄まじい爆音が轟き、次の瞬間、
パリイィィィィンンッッ!!!
と、ガラスの割れたような音が暗い空に響き渡った。
その音に驚愕し、ワナワナと震えるロキに、
「聞こえたなロキ! これが俺達の反撃の狼煙だ!!」
一輝は獰猛な笑みを浮かべ、言い放った。
───話は少し前に遡る
ロキの宣戦布告を受けたブリュンヒルデ達は悪神軍を迎え撃つ為、緊急会議を開いていた。
会議に参加するのは九姉妹の長姉ブリュンヒルデ、次女ゲルヒルデ、四女ヴァルトラウテの三名。軍司令官トールの代理として参謀のホーガン。宰相・光の神バルドル、そしてブリュンヒルデの副官でもある戦乙女ランドグリーズが書記として参加している。
この六名に加え、
「敵の数は推定10万以上。一方こちらはせいぜい2千といった所だ。この圧倒的な戦力差を埋める方法だが・・・・セラフォルー殿、
議長席に座ったブリュンヒルデに訊ねられ、セラ姉さんが口を開く。
「冥界に連絡が取れれば要請出来るわ。でも・・・・」
「あの結界が邪魔して連絡出来ないか・・・・」
北欧全域を覆うロキの結界。これのせいで外部との連絡が一切通じない。以前ロスヴァイセがブリュンヒルデと通信してたのは特殊な魔術、しかも九姉妹間でしか通じないものらしく、今の状況では役に立たず、皆頭を悩ませていた。
「ロキの結界は強固だぜ。破れるとすればオーディン様かトール位なんだが・・・・」
「二人共動けんか・・・・ああ、すまない。決して君を゙責めた訳じゃないんだ」
ホーガンが呟き、ゲルヒルデが気遣いを見せる。
オーディン様はともかく、トールが動けないのは俺とのバトルが原因だ。あのバトルでトールは
あの時はまさかこんな事態に陥るとは思ってもなかったからなぁ。とは言えやってしまったものは仕方がない。俺は出来る限りトールの代わりに前線で戦うつもりでいた。
「バルドル様でも無理なのですか?」
「破れない事も無いが
ヴァルトラウテに尋ねられ、バルドルが嘆息しつつ答える。
「そうなると残る手はひとつね。カズくん、ガイバーの次元移動で援軍を呼んで来てくれる?」
「それはいいけど、問題の結界をどうにかしないと」
今のままでは援軍を呼んでも、結界の前で立ち往生するだけだ。
「うん、それなんだけどね・・・・・・」
セラ姉さんが耳元で内緒話をする。成程、そういう事か。
「・・・・・・って案なんだけど、どうかな?」
「成程・・・・多分行けると思う」
セラ姉さんの案を吟味して、俺は頷いた。
「なんだ? 分かるように説明してくれ」
「勿論よ。あのね・・・・・・・」
ブリュンヒルデを請われ、セラ姉さんが説明を始めた。
「・・・・・・という案なんだけど、どうかな?」
「成程、これなら上手くいけば問題は全て解決するね」
「いいんじゃねーか? 俺は賛成だ」
「ふむ、確かに。正直また君に負担をかける事になるが・・・・・頼めるか、不破一輝」
セラ姉さんの説明にバルドルが、ホーガンが、ブリュンヒルデが賛成の意を示す。だが、
「それは構わないが、ひとつ問題が」
「それは?」
「ガイバーの次元移動は連続で使用出来ないんだ。一度移動すると次に移動可能なエネルギーが貯まるまで最低でも一時間はかかる。それに援軍を組織するにもそれなりに時間がかかると思うし、悪神軍が到達するまであと一時間程。今から次元移動しても開戦にはとても間に合わないだろう」
俺はそう説明する。
「うぅむ・・・・・・ホーガン、今の戦力でどの位耐えられると思う?」
「真正面からぶつかれば、せいぜい一時間って所だな」
「策を講じる時間も無いし、妥当な所か・・・・・・」
「いや、私が結界を張ろう。それを用いて遅滞防御に専念すれば、少なくとも二、三時間は耐えられる筈だ。セラフォルー殿、援軍を組織するのにどれ位かかるだろうか?」
「そうね・・・・・・どんなに速くても一時間はかかると思うわ」
「・・・・・聞いたな。要は開戦から二時間耐えればなんとかなる、そう思って戦えばいい」
ブリュンヒルデが皆の顔を見渡す。皆が頷くのを確認すると、彼女はパンと手を叩いた。
「ではこの方針で行こう。もう時間が無い、早速行動に移ってくれ」
「「「「了解!!」」」」
ブリュンヒルデの号令で皆が行動に移る。
俺も後の事をセラ姉さんとアルトリアに任せ、ガイバーに殖装すると北欧を発った。
すぐ近く、旧校舎の裏庭から強力な魔力反応がして、
馴染みのあるこの魔力は───
「一輝!!」
裏庭に着くと、そこには殖装を解く一輝がいた。私は彼に抱き着くと、そのまま唇を重ねた。
「熱烈歓迎だな。ただいま、リアス」
「馬鹿。・・・・・心配したんだから」
照れくさそうに笑う一輝を私はきつく抱きしめる。良かった、怪我は無いみたい。
たった一日、時間にして30時間位しか離れていないのに、どんなに不安で、どんなに寂しかったか。不足していた一輝分を補給しなくちゃ、と思っていたら、
「「「「「ウォッホンッッ!!!」」」」」
大きな咳払いがした。
見るとイッセー、アーシア、夕麻以外の皆がジト目で語っていた。曰く──「ズルイ!!」と。
「あ、あはは・・・・・・」
「ぶ・ちょ・う? いちゃつく前にまず報告が先では?」
朱乃に言われ、渋々と一輝から離れ──ようとした私の両肩を一輝が掴んだ。
「そうだ、こんな事してる場合じゃない。リアス、至急冥界に、サーゼクス様との
真剣な表情の一輝に、私はコクコクと頷いた。
「そうか・・・・・・ご苦労だった、一輝君。至急援軍の準備をしよう」
「ありがとうございます」
モニターを切って、
「まさかラグナロクを起こすとは・・・・・くそ、ロキめ! やってくれる!!」
私は怒りのあまり、強く机を叩いた。
「落ち着いて下さい、サーゼクス様」
「グレイフィアの言う通りだぜ・・・・・まぁ、気持ちは分かるがな」
「・・・・・すまない、取り乱した」
グレイフィアとアザゼルに窘められ、私は冷静になろうと深呼吸する。
一輝君の報告によれば、オーディン様の治療は無事終わり、後は回復を待って正式に和平を結ぶだけだったという。それなのにロキの奴・・・・・まさかラグナロクを起こすとは何たる短慮!
こうなれば私自らが冥界軍全軍を率いて、引導を渡してくれるわ!!
「言っておきますが、貴方は留守番ですよ」
「なっ!? 何故だ!!」
グレイフィアに反対され、私は猛烈に抗議する。だが、
「当前です。正式に国交を結んで無い国に筆頭魔王である貴方を行かせられる訳ないでしょう。同じ理由で冥界軍も動かせませんよ。他の神話勢力に私達が北欧に侵攻したと責められる隙を与える事になりますから。
正論で諭され、私は反論出来なかった。くそう、政治というものはつくづく面倒なものだな。
「だがそうなると、援軍は有力な家から募るしかないか・・・・・」
正規軍を動かせないなら仕方がない。ゲームの上位陣や有力な貴族の眷属や私兵を出して貰えるように交渉しなければ。
この間大掃除をしたばかりだし、要請すれば受けてくれるまともな家もあるだろう。
「貴方の名代として私が行きます。そうですね・・・・・・総司さんと
グレイフィアは
そう言えば随分と皆の顔の見てないな・・・・
「サーゼクス様?」
物思いに耽って返事をしない私を、グレイフィアが訝しげに見つめる。
「! あ、ああ、それで構わない。よろしく頼む」
「承知しました」
完璧な一礼をして、グレイフィアは出て行った。
「んじゃ、俺も行って来るわ」
グレイフィアに続き、アザゼルも行こうとするが、
「おいおい、お前だって総督なんだ。行っちゃまずいだろう」
私は当然の如く止めようとする。だが、
「ハッ、生憎
苦笑を浮かべてアザゼルは出て行った。
「あいつめ・・・・・」
全く、あいつにあんな顔をされたら止められる訳ないじゃないか。しかしアザゼルの奴、思いの外教師という役目が気に入ってるみたいだな。
いいだろう、今はやれる事をやろう。私は急ぎ有力貴族に連絡を取った。
「じゃあ行って来る」
エネルギーチャージが終わり、再び次元移動が可能となった
「一輝、必ず私達も行くから待っててね」
「ああ、よろしく頼む」
裏庭にはグレモリー眷属+αが見送りに来ている。皆もこれから冥界に赴き、北欧派遣軍に参加するという。危険だが皆が来てくれるのは正直心強い。
「それじゃあ行こうか」
俺は今回の同行者──イッセー、朱乃、そしてバラキエルさんに声をかけた。
この三人はセラ姉さんからの指名によって選ばれた。姉さんの作戦の概要はこうである。
援軍を呼ぶには結界を破らなきゃいけない
→結界を破るにはトールの力が必要
→トールはエネルギー切れで動けない
→トールは雷神。なら雷を供給すればいい
→雷と言えば朱乃とバラキエル。イッセーは
サポート要員として同行
→トールが復活。結界を破り、援軍が突入
というものだ。
確かに朱乃とバラキエルさんの雷は凄まじい。それをイッセーの『譲渡』でパワーアップすれば、トールを目覚めさせるに充分なエネルギーとなるだろう。
俺は『サナギ』を呼ぶと、三人を乗せて再び北欧へと向かった。
北欧に着くと戦闘はもう始まっていた。
随分と荒れた闘技場にはガタイのいいヒゲ顔の大男が上半身裸で地べたに寝かされている。こいつがかの有名な雷神トールか。成程、見るからに強そうだ。
「それじゃあ三人共、手筈通りに」
一輝先輩に言われ、俺達三人は顔を見合わせ頷き合うと、準備を始める。俺も【
『Boost!』
106秒毎に力が倍化されて行き、やがて【
「準備出来ました。いつでも行けます!」
俺の声に朱乃さんとバラキエルさんは無言で頷く。魔力を高めようと集中する二人からは、良く似た黄金のオーラが天を衝くように激しく燃え上がり、身体の周りでバチバチと
スゲえ! こんなの喰らったら、いくらトールが雷神でも黒焦げになるんじゃねーか? と思っていたら、
「大丈夫、トールは基本雷でダメージは受けません。エネルギーとして吸収されるだけですから、遠慮せず全力で撃っちゃって下さい」
北欧に着いた時迎えてくれた金髪美人の
「行くぞ朱乃」
「はい。 イッセー君、お願い!」
「了解!」
朱乃さんの合図に俺は意識を切り替えた。
「行きます、ブーステッド・ギア・ギフト!!」
『Transfer』
二人の肩に置いた手から、凄まじい龍の力が流れ込ていく。
「むおお!? これ程とは!!」
「行ける! これなら!!」
『ブーステッド・ギア・ギフト』で爆発的にオーラが増幅した二人は、得意の雷撃を撃ち放った。
凄まじい轟音と雷光が、俺の感覚を麻痺させる。これなら行ける! と確信したその時、
「駄目! これじゃあ足りないわ!」
エイルさんの叫びに驚く。嘘だろ!? どんだけ大食いなんだよこいつは! くそ、雷撃の威力が弱まっていく。ならば───!!
「もう一丁、ブーステッド・ギア・ギフト!!」
再びの『譲渡』により雷撃の威力が増幅する。これならどうだ───!!
全てが白く染まるそんな中で、
「オオオオオオーーーーーーッッッ!!!」
俺は凄まじい雄叫びと共に、巨大な雷が天へと昇って行くのを見た。そして、
「フハハハハーーーーーッッ!! 我、復かーーーつッッ!!」
高笑いを上げながら、凄まじいオーラを漲らせた偉丈夫が立ち上がる。やったぜ! 雷神トールの復活だ!!
どうやら暫く寝ていたらしい。
というのもあのガイバーと闘ってからの記憶が無い。あれは久し振りに満足出来る、実にいい闘いだった。敗れたのは悔しいが、な~に、再び奴に挑むという楽しみが出来た。それこそが
「ってゆーか、ここは・・・・・・?」
見た所ガイバーと闘っていた闘技場らしいが・・・・・然程時間は経ってないのか? いや、あんなに居た観客の姿がどこにもない。という事は・・・・・
「ようやくお目覚めか、トール?」
その声に振り向くと、我が好敵手がそこにいた。
「おう、ガイバーか。俺はどのくらい寝てた?」
「ほぼ一日だな。その間に状況が大きく変わった。良く聞いてくれ・・・・ロキがラグナロクを起こした。既に戦闘が始まってる」
その言葉に俺は眉を顰めた。
「・・・・・・
「
「それで俺を強制的に目覚めさせたのか」
成程、納得した。
俺は神力を高めると、鈍色の鎧を纏い、戦闘態勢を整える。
「アンタにまずやって欲しいのは、結界の破壊。あの結界さえ無ければ、
援軍ねえ・・・・・恐らく正式な゙和平を結んでない今の状況で正規軍は出せまい。となると貴族の私兵を使うしかないから、せいぜい2、3千が妥当な所か。
「よし分かったぁ! 一丁、邪魔な結界を蹴散らしてやるわ!!」
俺は左手を真横に伸ばし、我が
「忘れたか? ミョルニルなら俺との闘いで壊れたろ」
「・・・・・・・・・・・・・あっ」
しまった。すっかり忘れていた!
「やっぱりミョルニルが無いと結界を破壊出来ないか?」
俺の顔色を見て、ガイバーが心配そうに尋ねる。その瞬間、俺の怒りが爆発する。
「やっぱりだと!? 見縊るなガイバー! 俺を誰だと思ってる、北欧最強の軍神、雷神トールだぞ!! 見てるがいい、ミョルニルが無くとも戦える事をその目に焼き付けてやるわ!!」
怒りと共に強大なオーラが雷を纏って燃え上がった。
我が神威にその場に居たガイバー以外の者は立っていられず膝を着く。だがガイバーは神威に気圧されながらも真っ直ぐ俺を見つめ、不敵な笑みを浮かべた。
「そいつは悪かった。非礼を詫びよう、雷神トール殿」
「・・・・・フン、挑発に乗るとは俺もまだまだだな。トールでいい。敬語もいらん」
「分かった。なら俺もガイバーじゃなくて、一輝と呼んでくれ」
俺達の視線が交錯する。次の瞬間、俺とガイバー、いや一輝は右拳を打ち合わせた。そして、
「頼んだぞ」
「任せろ」
短く言葉を交わし、俺は空中へと身を躍らせた。
その後少々寄り道したが、俺は今ロキの張った結界の前に来ている。
「フン、あの魔術オタクめ・・・・よくもまあここまで頑丈な結界を張ってくれたものだ。だが───!!」
俺は結界から距離を取って神力を高める。ミョルニルが無くともこの程度の結界、破壊出来なければ雷神の名が廃る。
「忘れたとは言わさんぞ、ロキ! このトール最大最強の一撃を! 【
俺の両掌から凄まじい雷撃が轟音を上げて放たれ、結界にぶつかる。暫し均衡するも最後にはガラスが割れるような音を発てて、結界が砕け散った。
よし、これでロキをぶっ飛ばしに行ける! と思いきや、身体中の力が抜け、落下し始めた。
「いかん、消耗し過ぎたか!?」
起き抜けの【
────と思ったその時、巨大な影が猛スピードで迫り、俺をキャッチした。
『やれやれ、相変わらず無茶をするなお主は。いい加減落ち着いたらどうだ?』
聞き覚えのある懐かしき声に思わず笑みが浮かぶ。俺をキャッチしたのは我が友、元龍王の一角にして現最上級悪魔である【
「フハハハッ!! 久しいなタンニーン! かれこれ3百、いや4百年振りか!?」
『その位になるか。壮健そうで何よりだ、トール』
俺とタンニーンの付き合いは古く、タンニーンが悪魔に転生する以前、六大龍王の一角であった頃まで遡る。奴とは何度も闘い、互いに力を認め合い友となった。奴が悪魔に転生した事で大っぴらに会えなくなったが、今でも大切な友だと俺は思っている。
「そうか、一輝の言ってた援軍で来たのか」
『うむ。他にも有力貴族の眷属や私兵が
「有難い。指揮官はお前か?」
「いいえ、私です」
その声に視線を向けると、そこには翡翠の様に美しい鱗のドラゴンに乗った、中々露出度の高い、白い戦闘服を着た銀髪の美女がいた。
「驚いたな。あんたを寄越すとは『
「恐縮です、雷神トール」
これでも北欧の軍司令だから魔王サーゼクス・ルシファーの妻にして女王のグレイフィア・ルキフグスの事は知ってる。彼女を寄越したという事は、この戦いの重要性をサーゼクスが理解してるという事だ。
この戦いで俺達が負ければひとつの神話大系が滅びる。その影響は人間界にも及び、下手すれば世界の破滅へと繋がりかねない。だから俺達は絶対に負けられないのだ。
「取り敢えず我々は戦線の維持に徹します。よろしいですね、雷神トール」
「構わん。俺も力が回復したら参戦するんで、よろしく頼む」
「承知しました。では」
そう言うとグレイフィアは援軍の所へ戻り、部隊長らしき数名に指示を出している。
やって来た援軍は大半が悪魔のようだが、少数ながら天使や堕天使、それにタンニーンの一族だろう
『では陣地まで送ろう。我の背に乗るがいい』
俺を背に乗せるとタンニーンは飛翔する。
懐かしい風を感じて思わず笑ってしまった俺に、タンニーンは不思議そうに尋ねる。
『どうした?』
「いや、お前と再会出来たのも
『ハハハッ! その時のロキの顔が見ものだな。・・・・・なあトールよ。実はお主に報告せねばならぬ事があるのだ』
「ほう、何だ改まって?」
『2百年程前に娘が生まれてな。その娘のあまりの素質に、ついお主の名前を付けてしまったのだ』
「ほう ・・・・・そんなに強いのか?」
『強い。数多いる儂の子の中でも間違いなく最強。将来的には龍王にもなれる器だろう』
龍王とはまた・・・・・タンニーンの奴余程買ってるようだな。
「別に名を付ける位構わんよ。それより会ってみたいものだな。来てないのか?」
『実はもう会っておる。グレイフィア殿を乗せていたドラゴンが居ただろう? あれがそうだ』
そう言えば翡翠の様に美しい鱗のドラゴンに乗っていたっけ・・・・・あれがそうか。
「成程、あれがそうか」
『戦いが終わったら改めて紹介しよう』
「そうだな。楽しみにしている・・・・・っと、着いたか」
話している内に大神軍の陣地上空に到着していた。
「感謝する。また後で会おう、友よ」
『うむ。また後でな』
そう言うとタンニーンは戦場へと飛んで行った。
さて、俺も急ぎ回復しなければ。取り敢えずさっきの連中、まだいるよな?
読んでいただきありがとうございます。
ご覧の通り一輝の眷属となるドラゴンはトールにしました。
アンケートではティオが一番だったのですが、後から考えるとティオって黒い和服が黒歌と被るからゲストならともかくレギュラー入りはちょっと…と思い直し、次点のトールとなりました。
アンケートでティオの出演を期待してくださった皆様、申し訳ありません。
ただ、アンケートはあくまで執筆の参考にするものであって、必ずしも結果通りにいかない事もあるとご了承下さい。
次回は反撃開始となる予定です。