第9話を投稿します。
UAが40000を突破しました。皆さんのご愛読ありがとうございます。
今回から原作4巻のエピソードに入りますが、今回は原作とは違う展開になりますのでご了承下さい。
それでは第9話をご覧下さい。
あの聖剣事件から半月程が過ぎた。
日中は蒸し暑い日々が続く中、早朝の今位の時間はまだ涼しく感じられる。ウォーミングアップがてらランニングで駒王学園の旧校舎側のグラウンドへ行くと、そこには先客がいた。
「おはようッス、一輝先輩!」
「おはようございます、一輝さん」
「一輝先輩、おはようございます」
「おはよう、イッセー、アーシア、祐美」
眷属の皆と朝の挨拶を交わす。そこには最近始めた朝の自主トレに参加するいつものメンバーが集まっていた。
あの聖剣事件の後からもっと強くなりたいとイッセーから請われて、早朝の自主トレに参加する事にした。元々イッセーはライザーとのゲームの後から自主トレをしていたようだが、一人では捗らないらしく、聖剣事件の後から俺と祐美も参加するようになった。
因みに眷属全員に声をかけたが、基本ここにいる四人が毎日参加し、他のメンバーは出たり出なかったりしている。自主トレだから仕方がない。
「それじゃあ始めるか。アーシア、頼む」
「はい!」
アーシアが結界を発動させる。アーシアは眷属でもリアスや朱乃に次ぐ魔力の持ち主だ。性格的に攻撃には向かないが防御や支援系の魔法を使えるように訓練していて、今では結界を張る位はお手の物だ。
「よし、イッセー、祐美、【
「「はい!!」」
二人は神器を具現化する。イッセーは左手に【
「よし、いつでもいいぞ」
俺がそう言うと、祐美が騎士特有のスピードで一気に距離を詰める。だが迫る祐美をかわして、俺は逆にイッセーとの距離を詰めた。
「くうっ!!」
俺の正拳突きを【赤龍帝の籠手】で受けるイッセー。だが魔力による身体強化をした正拳は軽々とイッセーを吹っ飛ばす。
「うわあっ!?」
ゴロゴロと地面を転がり、倒れるイッセー。
「くそっ!!」
慌てて体勢を立て直し、周囲を伺うが、
「はい、アウト」
「あいた!?」
既に背後に回っていた俺が脳天にチョップを食らわせた。それを見たアーシアがホイッスルを吹く。
「一本目、終了です」
一本目を終えて改善する所を指摘する。
「イッセー。吹っ飛ばされてもすぐに体勢を立て直したのはいい。だけど敵から目を離したらどうしようもないぞ。俺の今のスピードはフリードと同じ位だ。このスピードに対処出来なきゃ奴には勝てないぞ」
「うう、はい・・・・」
「祐美。お前は聖魔剣に頼りすぎだ。確かに聖魔剣は強力だ。だけど敵に易々とかわされてしまっては宝の持ち腐れだ」
「はい・・・・」
「思えば聖魔剣を手に入れてからそれ以外をあまり使わなくなったよな。元々多種多様な魔剣を状況によって創り出す器用さがお前の持ち味だった筈だ。今だって一度かわされても風の魔剣で加速したり、大地の魔剣で壁を作り動きを止める事も出来たんじゃないか?」
「あっ!・・・・確かにそうですね」
「聖魔剣を使いこなそうとしているのは分かるが、お前自身の持ち味を消してしまっては元も子もないぞ。状況を見極めて常に最善の手を打てるようにしないとな」
「はいっ!」
今やってるのは多対一の戦闘を想定した訓練だ。
俺が敵なら真っ先にイッセーを狙う。イッセーの【赤龍帝の籠手】は十秒毎に力を倍加するという厄介な代物だ。力を倍加すれば自分で使うも味方に譲渡してパワーアップさせるも思いのままだ。
今後戦う敵がその事を知らないなんてあり得ないだろう。だからこそイッセーには倍加するまでの時間を耐え抜く事を、祐美には敵をイッセーに近付けないようにする事が要求される。
「よし、それじゃあ二本目行くぞ」
「「はいっ!!」」
イッセーと祐美は軽く打ち合わせをしながら所定の位置に歩いていく。祐美はともかく、イッセーは実戦経験が圧倒的に足りない。今は色々な攻撃パターンを繰り出し、経験を積ませて脳を鍛える位しか出来ない。
この日、時間の許す限り模擬戦を行ったが、中々上手くいかなかった。まだ始めたばかりだ。長い目で見るとしよう。
自主トレを終えて、俺と祐美は魔方陣から自分達の部屋へ、イッセーとアーシアはチャリの二人乗りで帰宅した。
部屋へ帰るとまだリアスは寝ているようだったので先にシャワーを浴びさせて貰う。
熱いお湯が身体の汗を洗い流していく心地良さに身を浸していると、カラカラと軽い音を立てて浴室の扉が開き、背中に大きくて柔らかいモノが押し当てられた。俺はこの感触を良く知っている。
「リアス!?」
「うふ、当たり。正解のご褒美よ♪」
リアスはそう言って押し当てた胸にボディソープをかけると、そのまま俺の背中を洗い始めた。
「うんしょ、うんしょ・・・どう一輝、気持ちいい?」
「ああ。スゲー気持ちいい」
柔らかくも張りのあるリアスの胸が背中を上下する感触に俺は得も言われぬ心地良さを感じていた。
「んん、あん・・・んしょ、ふぅ・・・・んん、あん!」
更には何度も上下する内にリアスの先端が固く尖って来た。柔らかさの内にあるコリコリした感触と、擦れて感じ始めたリアスの熱い吐息が否応にも俺の官能を高めていく。
「リ、リアス・・・・」
「はあ、はあ・・・ん、一輝・・・もっと気持ち良くしてあげるわね」
そう言うと背後から俺の胸を撫でていたリアスの手が、段々と下へ移動していく。胸から腹へ、腹から股間へと伸びていく。そして遂にいきり勃った怒張を両手で掴まれてしまった。
「くおっ!?」
「ああ、凄く硬いわ、一輝・・・・」
さっきからのリアスの行為で俺のモノは完全に戦闘態勢に突入していた。擦られる度に先走りが溢れ、クチュクチュと湿った音を発ててリアスの手を汚していく。
「くっ、あああ、」
「ふう、ふう、・・・いっぱい、気持ち良くなって、一輝」
リアスは後ろから首筋に舌を這わせる。くすぐるような舌の感触に俺は思わず身体を捩らせた。
「リアス・・・・キスしたい」
「一輝?・・・・うん、私もしたい」
「リアスの顔を見ながらしたい。いいか?」
「もう・・・いいわよ。じゃあ、こっち向いて?」
リアスはキスが大好きだ。舌を絡ませ合うディープキスも、啄むようなバードキスも、触れるだけのソフトキスも全部好きだ。リアスはキスをすると本当に幸せそうな顔をしてくれる。そんな彼女の表情が見たくて、初めてのキスから何度唇を交わしあっただろうか。
「リアス・・・」
「一輝・・・・ちゅ、ちゅ、んむ・・・ん、ちゅ、」
お互いに向き合いながら啄むようにキスを交わす。その間もリアスの右手はそそり勃つ俺の肉棒を擦り続ける。俺もお返しとばかりに彼女の秘裂に指を這わせた。リアスの秘裂からは既に蜜が溢れ、触れるとクチュクチュと湿った音を響かせた。
「ふぅっ!?・・・ううん、ちゅ、──んああ!」
いきなりの刺激に驚いたリアスだったが、生来の負けず嫌いを発生させ、右手の動きを速くした。
「んん!?──ちゅ、ズズズ、」
だが、俺も負けるものかとリアスの肉芽を摘まむ。
「ふうううんんんんっっ!!」
キスで口が塞がってる中、リアスがくぐもった叫声を上げた。右手に熱い雫が広がる。どうやら軽くイったようだ。
これに気を良くした俺は肉芽の皮を剥き、更なる刺激を与える。
「ふ、ふん、んむう!・・・・ちゅ、んあ、むう・・・」
浴室内には上の口と下の口からなる異なる水音の二重奏が響いていた。
リアスの快楽に蕩けた表情と彼女から与えられる刺激に俺は限界を迎えようとしていた。
一緒にイこうとリアスの秘裂の中に指を差し込み、来たる日の為に入口を拡げていく。更なる刺激に彼女も達しようと頂点へと駆け上がる。
「!!」
「!?、んんん~~~~~~~~~!!」
プシッ!プシッ!
熱い飛沫が俺の手にかかり、
ブビュルルル!!ブビュッ!ブビュッ!
白濁した液がリアスの豊満な胸から引き締まった腹を満遍なく汚していく。
お互い肩で息をしながら、押し付けたままの唇をゆっくりと離していく。銀色の橋がお互いの唇を繋ぎ、やがてプツンと切れた。
「一輝・・・・❤」
「リアス・・・・」
彼女は幸せそうな笑顔で俺に抱き着き、俺も彼女をそっと抱きしめた。
「ごめんなさい一輝。その、本当はこの先もしたいでしょう?」
俺の背中を流しながらリアスが言った。
「それはまあ、したくないと言えば嘘になるが、リアスには立場があるから仕方がないさ」
彼女と同棲(?)を始めて間もない頃、グレイフィアさんがやって来て二人で住む条件をいくつか突き付けられた。その内のひとつにセックス禁止があった。
リアスは冥界の貴族、グレモリー家の次期当主。加えてあの美貌であるから当然の如く結婚の申し込みは多かった。だがライザーを倒して婚約を破棄した事が知れ渡ると、「あのライザーが勝てないなら」と諦める者が続出した。
リアスはライザーとの婚約を破棄して自分の結婚相手を自分で決める権利を得て、自分の眷属である俺を婚約者に指名した。だが、これにはグレモリー家当主、つまりリアスのお父さんも難色を示した。
リアスは約束が違うと怒っていたが、これは当然だ。いくらライザーを倒したと言っても所詮俺は転生したばかりの下級悪魔。次期当主の夫に相応しいとは思わないだろう。そして話が難航している時、「聖剣事件」が起きた。
「聖剣事件」に於いてリアスは堕天使幹部コカビエルの襲撃から領地である駒王町を守ったとして高い評価を得た。更にイッセーが新たな能力『譲渡』に目覚めた事や祐美が『
それらを加味してリアスのお父さんは暫定的に俺との婚約を認めた。ただ、あくまで暫定であり、未だセックス禁止は解かれていない。だが、多少のお目こぼしはあったようで、所謂ペッティングまでならOKとなった。
先日再びこの部屋にやって来たグレイフィアさんからその事を真面目な顔で説明され、リアスは顔を真っ赤にし、俺も居たたまれない気分になったものだ。
ともあれ、一応のお墨付きは貰ったので、その夜はリアスが率先して手コキでイかせてくれた。存外にやる気なリアスに戸惑い訊ねてみると、彼女も我慢していたそうで、リアス曰く「好きな人と一緒に寝ているのにその気にならない方がおかしい」と拗ねられてしまった。そんなリアスが可愛くて、持てる技術を駆使してイかせまくった。
リアスからすれば俺に最後までさせないのを申し訳なく思っているようだが、俺からすればリアスと出来ない事は朱乃や祐美としているから問題ないのだ。
先日遂に二人と、特に祐美とは最後までした事をリアスに告白した。我ながら最低だと思いつつリアスの判決を待っていると、彼女は深くため息を吐いて「多分そうだと思った」と苦笑していた。朱乃が俺に気がありそうなのは何となく分かっていたし、祐美に至っては「聖剣事件」の後からあからさまに俺との距離が近くなったと感じていたそうだ。
貴族出身の彼女はハーレムには寛容で、自分が正妻になり、きちんと愛してくれるなら他に女を作っても構わないそうだ。特に自分の眷属の娘達は心に傷を持つ者が多く、いずれ信頼出来る男に嫁入りさせたいと思っていたそうで、逆に「あの娘達をお願い」とまで言われてしまった。とは言え、自分を放っとかれるのも嫌なようで、「私の事も忘れちゃイヤよ?」と不安そうにする彼女が可愛くて、その夜は気を失うまで何度もイかせてしまった。
正式に婚約者と認められるにはこれまで以上の手柄が必要だと云われているが、「聖剣事件」のような大事件が何度も続いて欲しくはないものだ。
「俺なら大丈夫だから、無理しなくていいんだぞ?」
「いいの! これは私がやりたくてやってるんだから」
シャワーで泡を流しながらリアスが言う。流し終えると彼女は再び後ろからそっと抱き着いた。
「早く貴方に抱かれたいわ、一輝・・・・」
「・・・・頑張るよ」
リアスの甘い囁きに、彼女の手を握ってそう答えた。
その日の夜、新たなる騒動が湧き上がった。
いつものように眷属の皆と悪魔稼業に勤しんでいると、チャリで出掛けていたイッセーが顔を真っ青にして帰って来たのだ。
恐怖に青ざめたイッセーから話を訊いてみると、今夜のイッセーの客はとんでもない奴であった。
堕天使総督アザゼル。
『
「こ、怖かった・・・・」
今も白眼でガクブルするイッセーをアーシアが膝枕で慰めている。
「全く、冗談じゃないわ」
当然の如くリアスはご立腹だ。
先日の「聖剣事件」の後、件のアザゼルが天界、冥界の代表者を集めて会談を申し出たが、その三大勢力のトップ会談がここ駒王町で行われる事が決まったそうだ。アザゼルはその下見に来たのかもしれないが、こちらへ何の連絡もなしに勝手に侵入し、連日イッセーを呼び出していたとは正直ゾッとする。
イッセーの話では悪意はなく、何処か面白がっているように感じたそうだが、分かったものじゃない。堕天使というのは己が欲望を追求し、天の使命を捨てて堕ちた連中なんだから。
「アザゼルは【
祐美、それに一輝。貴方達二人も気をつけて。祐美の【
俺達は揃って頷いた。
「でも部長、当面はどうします? あちらの思惑が分からない以上、下手に動く訳にはいきませんし・・・・」
「そうね・・・」
朱乃の言にリアスが思案を巡らす。そこに、
「アザゼルは昔からそういう男だよ、リアス」
突然聞こえた男の声にそちらを見ると、メイドを従えたスーツ姿の紅髪の美男子がにこやかに微笑んでいた。
「お、お、お、お兄様!?」
リアスの悲鳴にも似た声に俺、イッセー、アーシア、ゼノヴィアの新参組もこの人が何者なのか理解した。
リアスの兄にして現四大魔王の一人、『
「アザゼルはコカビエルのような真似はしないよ。まあ、今回のような悪戯はするかもしれないがね。・・・それにしても随分と早い到着だったね、総督殿は。それだけこの地に興味を惹かれるものがあると言う訳か」
何やら思案顔の魔王様だったが、当のリアスはそれ所ではなかった。
「お、お兄様? いつこちらへ・・・・?」
「ついさっきね」
「もう・・・・お兄様には立場があるのですから、勝手に動かれては困ります!」
「いやあ、すまない」
突然の来訪に戸惑っているものの、久し振りにお兄さんに会えてリアスも何だか嬉しそうだ。
「所で今回はどのようなご用事で?」
「うん。実は近々三大勢力のトップ会談がこの駒王町で行われるのは聞いてると思うが、その会場をここ駒王学園にしようかと思ってね。リアスの授業参観を機に下見に来た、という訳なんだ」
この発言には皆も驚いていた。でも何で学園なんかで? 正直何処かのホテルや料亭でやってくれれば警備もし易いだろうに。
「それに功績を上げたお前の眷属達に直接声をかけたくてね」
そう言って魔王様は俺達を眺めつつ、自己紹介を始めた。
「さて、朱乃君、祐美君、小猫君の三人以外は始めましてだね。私は四大魔王の一人、サーゼクス・ルシファー。知っての通りリアスの実の兄でもある。今日はプライベートなので、そんなに固くならずに普段通り接してくれ」
そう言われても困るが、俺達が戸惑っていると魔王様は自ら近づき、一人一人に声をかけていった。
「あの赤龍帝がリアスの眷属になるとは驚いたよ。君も色々大変だと思うが頑張ってくれ。よろしく頼むよ、イッセー君」
「は、はい!」
「君の境遇は聞いたよ。大変だったね。だが安心して欲しい。リアスの眷属となったからには私の庇護下に入ったも同然だ。何も心配せず、楽しく暮らしておくれ、アーシア君」
「は、はい! よろしくお願いします、魔王様」
「まさか伝説の聖剣であるデュランダルの使い手がリアスの眷属になるとは・・・・聞いた時は耳を疑ったよ。だが頼もしいよ。とにかくよろしく、ゼノヴィア君」
「魔王ルシファーにそこまで言われるとは・・・私も出来る限り頑張らせて貰おう」
「・・・・ようやく会えたね、不破一輝君。君とは是非ゆっくり話をしたいと思っていたんだよ」
「・・・・はあ」
「(ボソッ) 取り敢えず今夜、時間を貰えるかな? 君自身について色々と訊かせて欲しいんだが?」
そう、俺にだけ聞こえるような小声で囁かれた。
「・・・・はい」
俺にはそう答える事しか出来なかった。
魔王様達は駅前のホテルに明後日まで宿泊して、明日は町の視察(という名目の観光)に出掛けるそうだ。
その夜は解散して俺とリアスは部屋に帰った。そしてリアスが眠ったのを確認して、俺はそっと部屋を出た。
夜の町を
「・・・・来たか」
先程の友好的な雰囲気など微塵も感じない冷徹な雰囲気を纏い、そこに在るだけで息が苦しくなる程の圧倒的魔力が溢れていた。どう見ても話を訊くだけですむとは思えない。
そう思ったら突然グラウンド全域に結界が張られた。魔力の発生源にチラリと視線を向けると、銀髪のメイドの姿があった。
「・・・・何の真似ですか?」
「言っただろう? 君には色々訊きたい事があると」
「話をするのに結界は必要ないのでは?」
「何、話をする前にちょっとしたレクリエーションをしようじゃないか・・・・私と手合わせしよう」
顔を合わせた時から感じていたが、どうやらこの人は俺がお気に召さないようだ。とは言え、仮にも魔王が自らやるような事か?
「・・・・拒否は出来ませんよね?」
「当然だよ。ここで退くような男に大事な妹は任せられないからね」
ああ、そう言えばこの人重度のシスコンだっけ。
「それじゃあ」
俺は身体に魔力を走らせ、身体強化すると、一気に魔王の懐に入り、
ズドォォンッッ!!
「!?」
挨拶代わりに【虎砲】を叩き込んだ。だが、
「・・・・ふむ。この技は【虎砲】と言ったか? 中々の威力だ」
魔王は僅かに後退しただけで、スーツの埃をパンパンと払った。なる程。コカビエルと同じ防御フィールドが膨大な魔力によって自然に発生しているのか。
「そのままでは話にならない。【ガイバー】になりたまえ。君の本当の力を見せて貰おう」
確かに魔王の言う通りか。ならば、
「ガイバーーーーーッ!!」
俺の喚び声に応え、眩い光の中、次元の彼方から紅の躯が現れ、俺の身体に装着される。
「ほう・・・・それが」
魔王の声には感嘆と、何故か興奮が窺える。
「行くぞ、魔王ルシファー!」
俺は先程と同じく、一気に距離を詰め、再び【虎砲】を放つ。
「ぬううっ!!」
先程以上のパワーとスピードで放たれた【虎砲】は、魔王ルシファーを吹き飛ばした。だが、数十mも吹き飛ばされながら、魔王は倒れる事なく立っていた。
「驚いた・・・私が吹き飛ばされるなんていつ以来か」
今のでは防御フィールドを破れないか。ならばと俺は両手を突き出し、【
「砲撃戦がお望みかい? では私のターンだ!」
魔王は掌に魔力を集中させる。リアスと同じ紅い魔力光を放ち、魔王が魔力弾を放った。
「!!」
俺は腰の
リアスが宿す滅びの魔力。それは彼女の母親が大王バアル家の出身の為だと言う。元々バアル家特有の力である滅びの魔力をリアスが使えるのはそのせいであり、その兄であるサーゼクスが滅びの魔力を宿しているのも必然だろう。
とは言え、リアスの魔力弾とは威力が桁違いだ。先日イッセーの譲渡によりパワーアップしたリアスの魔力弾よりも、今魔王が放った魔力弾の方が遥かに強大だった。恐らくあれでもまだ全力じゃないだろう。
「・・・・何て威力だ」
「良くかわしたね。では、これはどうかな!?」
魔王はそう言うと、今度は魔力を散弾状に撒き散らした。
「くっ!」
俺は重力制御で空を飛び、散弾を辛うじて回避し続ける。その間にも魔王の魔力が触れた箇所は綺麗に消滅していく。
回避しながら俺は嫌な予感がした。散弾は一定の間隔で放たれ、俺の行方を遮る。これは、誘導されてる!?
気付いた時には既に遅く、散弾でコースを変えられた俺に向かって、特大の消滅魔力砲撃──【消魔砲】が放たれた。
「くそっ!!」
俺は急ぎ両手にブラックホールを生成して消魔砲を防ごうとした。だが、
「ぐわああぁぁぁっっ!!」
【消魔砲】を辛うじて防いだ俺の両腕は、肘から先が消滅し、そこから鮮血が飛び散った。
一輝がいない。
夜中にふと目が覚めて、いつもの温もりがない事に気付き、
嫌な予感がする。『
私は急ぎ制服に着替え、夜の空に飛び出した。
空を飛んでいると、駒王学園に結界が張られているのに気付き、急ぎ学園へ向かう。
学園にはグラウンド全体を覆うように結界が張られていて、結界の外にはその結界を張ったであろう人物が魔力のスクリーンを展開して中の様子を窺っていた。
「グレイフィア!!」
私の接近なぞとっくに気付いていただろう彼女は、メイドらしく完璧に一礼する。
「一体これは何事なの? 中では何が───って一輝!?」
結界内部ではガイバーに変身した一輝がお兄様と戦っていた。何これ? どうして二人が戦ってるの!?
「何?何なのこれは!?説明しなさい、グレイフィア!!」
激昂する私にグレイフィアは、嫌になる位冷静に私を諫める。
「お嬢様、落ち着いて下さい」
「これが落ち着いてられる訳ないでしょう!? いいから早く「落ち着きなさい、
一瞬、メイドから義姉の顔になったグレイフィアの声に私は気圧されてしまった。
「───失礼しました。ですがこれは我が主、魔王ルシファー様の命令なのです」
「・・・・お兄様は何故?」
「恐らくは一輝さんを見極めようとしているのでしょう」
その言葉に私の表情はまた険しくなる。
「見極めるですって!? 一輝は私の眷属で、暫定ではあるものの婚約者なのよ? 何を見極める必要があるというの!?」
「ではお嬢様は彼の何をご存知なのですか?」
「!!」
そう言われて、思わず口を噤んでしまった。
一輝とはこの二ヶ月、仮にも恋人として時間を過ごして来た。彼の事は沢山知ってる。食べ物の好物も、好きなテレビ番組も、彼の感じる所もだ。でもグレイフィアが訊いてるのはそういう事じゃないと分かっている。それは一輝の本質。そして私は何も答えられなかった。そんな時、
「ぐわああぁぁぁっっ!!」
一輝の叫び声が聞こえた。
スクリーンを見ると、一輝の両手が無い。その傷跡から大量の鮮血が溢れていた。
「一輝!?」
両腕を失った
「ぐううっっ・・・・!」
痛い、というより熱い。強殖細胞が咄嗟に傷口を塞ぎ血が止まる。段々痛みが治まって来たが、この傷では再生には時間がかかるだろう。
片膝を付いて身体を起こすと、頭上には魔王サーゼクス・ルシファーが悠然と佇んでいた。その姿はまさしく魔王。圧倒的強者として君臨する姿は恐ろしくも美しかった。
「ここまでだな。良く戦った、と言いたい所だが、思った程ではなかったな」
一輝は悔しさに歯噛みする。
「残念だが不合格だ。君にはリアスを任せる事は出来ない。リアスの兄として命じる。リアスとは別れたまえ」
「・・・・・・」
「コカビエルを倒したと言うが、奴も随分と衰えたものだな。君程度の男に敗れるとは」
「・・・・・・黙れ」
「? 何か言ったかな?」
「黙れ。その無駄にいい声でほざく口を今すぐ閉じろ!」
「・・・・ほう。まだそんな台詞を吐けるのか」
サーゼクスは面白そうに口元を歪める。
「当たり前だ。俺はまだ死んでない。俺を倒したと勝ち誇りたいなら、俺が死んでからにしろ!!」
一輝はそう吼えて、【ヘッドビーム】を連射する。当然防御フィールドに阻まれるがこれは牽制だ。だが顔面に撃たれたビームの眩しさにサーゼクスは一瞬、一輝を見失う。
一輝は魔力を爆発させ、一気にサーゼクスの頭上まで飛び上がる。
「喰らええええーーーーっ!!」
そのまま右脚に重力を纏わせ【グラビティキック】を放った。重力を纏ったガイバーのキックは、流星のように一直線にサーゼクスへと突き刺さる。
「ぐうう!」
「うおおおおーーーーっ!!」
ガイバーのキックがついにサーゼクスの防御フィールドを破り、二人はそのまま地上に落下した。
「ここだあああーーーーっ!!」
ガイバーはここぞとばかりに攻撃に転じる。廻し蹴りの二連撃【
「───信じられない」
いつも冷静なグレイフィアが目を丸くして驚いている。グレイフィアをして、サーゼクスのあんな姿を見た事があっただろうか? 少なくとも彼の妻となってからは初めての事だ。
今回の企みは一輝の真意を探り、彼自身を見極める事にあった。確かに一輝は強い。不破圓明流という武術に加え、あのガイバーの力。戦闘力だけなら既に上級悪魔に匹敵する。それはあのコカビエルを単身撃破した事で証明している。
だが、そのガイバーは正体不明だ。一輝も何故あんな力を持っているのか知らないと言うし、正体不明の強大な力など危険極まりない。だからこそガイバーの戦闘力と、使い手である一輝の真意を知る必要があった。
サーゼクスが一輝を適当に痛めつける。そこで降伏勧告をしても尚立ち向かってくれば良し、折れたらそこまでと見極めるつもりだった。
だが蓋を開ければガイバーの力はこちらの予想以上だった。サーゼクスを追いつめる姿など誰が想像しただろうか。
「一輝・・・・・すごいわ」
さっきまで散々喚いていたリアスだったが、今は戦う一輝の姿に見惚れている。
(───でも、あの人はまだ全力じゃない)
それでも最後に勝つのはサーゼクスだとグレイフィアは信じていた。それ故にやり過ぎない事を祈っていた。
「フ、フフフフフ・・・・」
不意に倒れたサーゼクスが笑い出す。
「参ったな・・・・前言撤回しよう。合格だ、私は君とリアスの婚約を認めよう」
「んな事はどーでもいい」
ゆっくりと立ち上がったサーゼクスは一輝の言に訝しげに訊ねる。
「? リアスの事はどうでもいいと?」
「違う。肩書きなんてどうでもいいと言ってるんだ。例え婚約者だと認められなくても、俺はリアスを離さないし、誰にも渡さない。あいつはもう俺の女だ」
しばらくポカーンとしていたサーゼクスだったが、
「フ、ククク、アハハハハーーーー!!」
突然、爆笑し出した。
「・・・・・・一輝❤」
グレイフィアは目をハートにしたリアスを見て、ため息を吐いた。好きな男から「自分の女」呼ばわりされたのだから無理もない。ないのだが、ちょっとチョロ過ぎないだろうか? これではグレモリー家次期当主として不安になる。
(育て方を間違えたかしら・・・・?)
グレイフィアはもう一度ため息を吐いた。
サーゼクスの笑いがようやく収まった。
「仮にも兄である私の前で、堂々と自分の女だと宣言するなんて。君は凄いな、色々と」
「馬鹿にしてるのか?」
「いやいや。紛れもなく称賛してるんだよ一輝君。・・・・いいだろう、リアスは君に任せよう。だが、男として決着は着けなくてはな」
「ああ、同感だ」
サーゼクスは翼を広げ、宙に舞う。
「一輝君。今から私は全力の【消魔砲】を撃つ。これをどうにか出来れば君の勝ちだ」
「・・・いいだろう」
一輝の承諾を得て、サーゼクスは魔力を高める。突き出した両手に魔力が集まり巨大の球を作り出す。その球は徐々に圧縮されて小さくなっていく。小さくなっても魔力の密度は先の【消魔砲】の数十倍。その威力は推して知るべし、である。
魔力を高めるサーゼクスに一輝は呟く。
「魔王サーゼクス・ルシファー。ガイバーの更なる力を見せてやる。───来い!!」
ガイバーの額のコントロールメタルが輝き、背後に巨大な物体が現れる。ガイバーの強殖装甲と似た材質の、まるで“蛹”のようにサーゼクスには見えた。
「ガイバーーーー、
白かった蛹はガイバーの装甲と同じ紅に染まると、展開してガイバーの身体を覆っていく。
「なっ!?」
サーゼクスは今日何度目かになる驚愕の声を上げた。
ガイバーが蛹に覆われ、変化していく。大きく、力強い姿に。『ガイバー・ギガンティック』に変わっていく。
「・・・・一輝君、その姿は一体、」
「この姿はまあ、俺の『
「君の『禁手』・・・・フフ、面白い。勝負だ、一輝君。いや、ガイバー!!」
「おお!!」
ガイバー・ギガンティックは胸部装甲を引き剥がし、胸部粒子砲を顕にする。
サーゼクスの【消魔砲】が迫る中、ガイバー・ギガンティックは胸に宿る太陽を解放する。
「ギガ・スマッシャーーーーー!!」
二つの強大な力がぶつかり合う。一瞬の均衡の後、勝ったのは【ギガ・スマッシャー】だった。
「!!?」
地上に現れた太陽はサーゼクスの【消魔砲】を飲み込み、真っ直ぐ天に昇って行く。それは結界に衝突すると、そのまま結界を突き破り、彼方へと消えていった。
「・・・・・・素晴らしい」
サーゼクスの呟きが、結界の消えた夜空へと溶けていった。
読んで頂きありがとうございます。
アンケートの結果、ゼノヴィアが一輝のハーレム入りする事が決定しました。
ご協力ありがとうございます。
次回早速ゼノヴィアが一輝に迫ります。
次回はエロメインのプール回になります。ご期待下さい。