「はぁ……はぁ……♥」
自らに用意された書斎。そこで私は秩序の騎空団の業務をしていた。
書類に必要なことを淡々と書き込む単純作業なのだが……私はいやに自らの呼吸が気になった。
平常心を保とうとすればするほど、喉の奥が勝手に跳ねて媚びた声が出てしまう。ペンに変に力が入り、文字が乱れてしまう。
普通の状態ではない。明らかに異常だ。
けれども私は耐えるという選択肢を取ってしまう。
これの原因が明らかであるにも関わらず私はそうしてしまう。
頭の奥がチリチリしてきた。理性と本能の歯車が衝突してしまっているのだろう。
「やっぱりモニカさんの胸大きいね……」
後ろからそう言ってくる男がいた。
その者はわたしと椅子の間にいる。やや分かりづらいので、もう少し分かりやすく言うと。私がその後ろの男の上に座っている状態なのだ。
そしてその男は背後から思うままに私の胸を揉んでいた。
服の前のボタンが開け放たれ、あられもなく晒された胸を男は遠慮なく揉みしだいているのだ。
淑女の胸をこうも遠慮なく揉むなど許されることでは無い。しかしそれに抵抗し、粛清すべき立場にある筈の私が無抵抗なので男は好き放題しているのだ。
いつの間にか立ってしまっていた乳首を男が摘んだ。すると甘い痺れが体を通り過ぎていき。私はそれに耐えようとして、しかし失敗して変に甘えた声を出してしまった。
その拍子に手元がブレてしまい、書類に書き込んでいた文字が盛大に崩れてしまった。
そのまま男は乳首をこね続けた。それはとても効果的で、私はペンから手を離して机の縁を掴み、口からか細い嬌声を漏らし続けた。
情けない。こんな簡単に屈するなぞ、秩序の騎空団の一員に有るまじき振る舞いだ。
しかしどうしようもない。どうしようもなく私の女としての部分が満たされてしまうのだ。
私は後ろの男、いや少年のグランに顔を向けると。懇願するように口をだらしなく開けて、舌を垂れさせた。
グランはその意味を理解してくれて、顔を近づけると私の口を貪った。
耳に届くキスの淫らな音が、私の意志をより不埒な行為へと煽り立てる。
胸を揉んでいた片方の手が離れた。そしてそれはするすると私の体を伝って下へと降りていき、そしてスカートを捲った。
意識が下へと向いたことで、今、自分が恥ずかしいくらい大きく開脚しているのに気づいた。
こんなにも私はふしだらな女だっただろうか。こんなにも足を広げて男を誘い込むような女だったのだろうか。
違う。少なくとも前は違った。
こんな風になってしまったのは間違いなく目の前の少年のせいだ。
久しぶりの休暇の日に、私は丁度暇にしていた団長と食べ歩きをした。
それ自体は大したことじゃない。とても有意義な時間だったと思う。
しかし如何せん年甲斐もなくはしゃぎすぎた。
気づけば日が落ちていた。しかも美味しい甘味処があると聞いて隣町まで足を伸ばしていたの、で船に戻る事も難しかった。
結果その町の宿に二人で泊まらざるをえなくなったのだが、その時食べすぎてしまったので所持金が心許なかった。だから仕方なく二人で同室に泊まる事にしたのだが、それがいけなかった。
グランはいくら一つの騎空団の団長と言えど、まだまだ年若い少年だ。
そんな少年が、女性と二人っきりという状況になって我慢など出来るはずが無いのだ。
私は……それを理由にしてつい受けいれてしまった。
当時の私には少し焦りがあった。なぜなら私はそれなりの歳になったというのに、未だ男というものを知らなかったからだ。
しかも同期の者が婚姻するという話を聞いたばかりでもあった。
熱っぽく私を女として求めてくる若い男に、私は抗えなかった。
その夜。私たちはベッドを軋ませ、言葉も交わさず、息を荒くしてひたすらに腰を打ち付けあった。
初めてという事もありとても不安な気持ちでいっぱいだったが、そんな不安を感じる暇もなく私は喘がされた。
股が信じられないくらいに濡れている。グランのその熱い肉棒はその愛液でテカテカに濡れている。それが入れられて動かれる度に私は、自分のものとは思えない嬌声と共にさらに愛液を分泌する。
衣服の一つも身に纏っていない生まれたままの姿で男と交わるという事。それによって得られる暴力的なまでの快感を、私はその一夜で嫌という程に分からされた。
気がついたら眠っていた。窓から差し込む朝日で目が覚めると、隣には当然裸のグランがおり。そして自らも裸の状態で。更に周りにはグランの精液がたっぷり詰まったコンドームが散乱していた。
最初は自分のしでかした事に強烈に後悔した。一回り近くも歳が下の少年と体を重ねるなぞ、秩序の騎空団の一員としてはあってはならない事だ。
けれども心の奥底では甘い優越感を感じてもいた。これ程信頼のおける、騎空団としても恩人でもある、この少年の表では見られない一面を見れたことに。
普段から己を律する事に慣れてしまっているからだろうか、その感情はとても背徳的で蠱惑的なものだった。
だから後日、グランから再び求められた時。
私は拒絶しなければという義務感と共に、これ迄の人生で味わったことの無いどうしようもない劣情が湧き上がってしまった。
「アッ♥ アッ ♥アッ♥ ま、待て♥ もう少しゆっくり♥ ひゃぁ……!?♥ だ、ダメだそこは♥ アッアッアッ♥」
私は上半身を机に突っ伏しながら、椅子代わりとなったグランに下から激しく突き上げられていた。
もう書類作業をやる余裕すらない。くっぱりと押し広げた恥部の中を好き勝手に暴れる肉の槍に抵抗すら許しては貰えない。
口から漏れる己のものとは思えない媚びた声。耳に届くいやらしい水音。無理やり突き上げられ、激しく体を揺すられることで荒れる呼吸。
私と言うものが段々と曖昧になっていく気がした。
事務的な性処理の道具か、品性の欠けらも無い獣のそれか。少なくとも今のこれは人の営みからはかけ離れたものだ。
それを実感する度に秩序の騎空団としてのプライドが溶けていく。
そしてそれがとても心地よく感じてしまう。
(あっ……これはイケナ……)
快楽の波が体の奥底のスイッチを押すのを言葉にする事は出来なかった。
「ッッッ~~~♥♥♥」
私の体は跳ねるように激しく痙攣し、挿入しながら漏らしてしまった。
「あっ……ズルいなぁモニカさん。勝手に気持ちよくなって」
椅子から床のカーペットに漏らした尿が滴り落ちる。後ろからグランは不満そうにそう言った。
それに私は答える事が出来ない。全身を包み込む痺れのような、開放感のようなもので意識が気絶一歩手前だったからだ。
答えない私に後ろのグランは何を思ったのだろうか。何故か何となく笑った気がした。
グランは急に私の動かない体を持ち上げた。そして机の上に横たえたのだ。
乗せられた拍子に被っていた帽子が床へと落ちてしまった。
帽子とはこれ程意味のあるものだったのだろうか。それ一つ無くなっただけで、急に不安に、恥ずかしく感じるようになってしまった。
既に上には何も纏わず。下もスカート一枚で、それも既に捲られてしまっていてあられもなく恥部を晒してしまっているというのに。
グランは私の両足を大きく開脚させると、未だ発散されていないその剛直を尿と愛液で濡れた割れ目へとあてがった。
その時普段とは違う熱を下から感じた。近づいたものの質感が妙に生々しい。
「勝手にイッて漏らしちゃうモニカさんには、お仕置きしないといけないよね」
快楽の熱でボーとする頭で私は必死に、その言葉の意味を咀嚼した。今からこの少年は何をしようとしているのか。それは一体どういう意味なのか。それに気づかなければいけない。そう思ったから。
しかし間に合わなかった。
いや、仮に気づいたとしてもどうしようも無かっただろう。
グランがその熱く滾ったモノを私の中に入れてくる。しかしその感覚はいつもとは違った。
本来あるべき滑りが、ゴムの平たさが無い。
代わりに妙にゴツゴツした凹凸がいやによく分かった。
まさか……生で……?
そう思ったのと、グランが奥の私の弱い所を突いたのはほぼ同時だった。
口から声ではなく、空気が漏れた。体の奥底から上がった悲鳴のようなものだった。
熱、感触、肉、恐怖、距離。
ゴムを嵌めるのと、嵌めずにする事のその差は、私の想像以上のものがあった。
「や、やめ♥生は♥ やめて♥ アッ♥ ソコ♥ イヤ♥ ソコ♥ 突かないで♥ ソコ♥ ヤダ♥ ダメ♥ ダメ♥ アッ♥ アッ♥ アッ♥」
単純な刺激の量は多分ゴムをしていた時と大差は無いのだろう。しかし、己の意志とは関係なく今孕まされようとしているという事実が心を容易く折ってしまった。
薄皮一枚あった自尊心を投げ捨てて、幼い少女のような甲高い声で私はグランに懇願した。しかしそれは逆効果のようで、グランはその動きを更に激しくしてくる。
胸を痛い程強く掴まれる。ただの柔らかいものとして乱雑に扱われる。突きも先程までとは打って変わって、執務室の机が壊れそうほど激しく動いてきた。
奥の奥までグランのモノが入ってくる。普段以上に深くグランと繋がっている。けどそれは一方的なもの。グランは私と楽しもうとしていない。グランは私の体で楽しんでいる。
酷い隔たりが二人の間にはあった。けど行為は否応なく頂点へと邁進していく。
「だ、出すよ。 いっぱい出るよ」
「アッ♥ アッ♥ アッ♥ せ、せめて外に♥ 中は♥ 中だけはダメだ、ダ……~~~ッッッ!?!?♥♥♥」
膨張し、迸る、飛び散る、熱いもの。
限界まで奥で放たれた精液は容赦なく私の子宮へと注ぎ込まれた。
一度出さないまま中断してしまったからだろうか、グランが出し続けた時間はとても長かった。
そして漸く出し終えてグランが離れた時に溢れだしてきた精液は、孕まされたと確信してしまう程に大量で粘性の強いものだった。
あれからグランとは一度もセックスをしていない。
けれど以前は切なくなるほど感じていた劣情が全く湧かなくなっていた。
グランと顔を合わせても、多少気まずくなるだけで熱を持つまでには至らなかった。
あそこまでされて逆に踏ん切りがついてしまったのだろうか?
そうであれば、グランとの肉体関係は終わらせて以前と同じに戻れる。
けれど、何故かそう言うことでは無いと思う自分がいた。
これはつまりそういう事なのだと訴えかける自分がいた。
「オボェ……。 はぁ……はぁ……うぐっ! ゲェェェェ!」
手洗い場で何度も何度も先程腹に入れた食べ物を吐き出す。
ココ最近ずっとこうだ。体が食べ物を受け付けなくなってしまった。
何か不味い病気なのだろうか。そう何度も思った。けれども私は医者に見せるのがどうしても怖くて出来なかった。
数日後……いや数ヶ月後に私はどうなっているのだろう。
お腹が膨れてしまってはいないだろうか。
分からない。いや、分かりたくない。
私はそんな未来への不安を忘れるように、また口から胃液を吐き出した。