「あっ! 団長とママだ! 二人共何してるのー?」
「……ッ!? こらクラリス、そんな大声を出すんじゃありません。はしたないですよ」
事を終え、丁度彼と二人で部屋を出たタイミングだった。
不意に届いた娘の声に私は背筋が凍る思いがした。そして反射的に後ろめたさを誤魔化すように彼女を戒める。
「えー家でくらいいいじゃん! 誰にも迷惑かからないし。それよりも団長とママは二人で何してたの? しかもここ、ママの部屋だけど?」
「そ、それは……」
「お母さんに団でのクラリスの事を教えて欲しいと頼まれたんだよ」
「うぇぇー!? ちょっと団長変な事言ってないよね!?」
自然に私の肩に手を置きながら、彼は慣れたようにそれらしい言い訳をした。
それでクラリスは納得、と言うよりも、私に余計な事が伝わってないかの心配の方が勝ったようだった。
一先ず誤魔化すことには成功した。しかし、私はそれよりも肩に置かれた手が気になって仕方なかった。
こんな過剰なスキンシップをしては、娘にバレてしまうでは無いかと気が気では無かったのだ。
「そんな変なことは言ってないよ、せいぜい船に穴開けた事くらいだよ」
「言ってるジャーン!? ま、ママ違うのアレはそのししょーが……」
「ンッ……!?♥」
「ママ?」
何でもないと娘に言いつつ、私は隣の彼を横目に睨みつける。
彼は一瞬こちらに流し目で見た後、直ぐに素知らぬ顔に戻った。肩にはもう手が置かれていなかった。
体が強ばる。音は聞こえていないか、顔には出ていないか。様々な不安が頭の中を駆け巡る。
とにかく己を制御仕切らなければいけない。声の一つも理性で抑えなければならない。
でなければ、終わってしまう。娘にバレれば何もかもがお終いなのだから。
そうして娘にバレないように、娘の目の前で私は快楽に打ち震え続けた。
「……もうクラリスは行きましたよ、プロメティアさん」
「……あっ♥」
そしてボヤけた視界が戻ってくると、目の前にはもうクラリスはいなかった。
代わりに、目の前に先程肩に置かれていた手があった。
その手には糸を引くほど粘ついた液体がまとわりついていた。
「娘の前でイクのは気持ちよかったですか?」
そうからかってくる彼に私はただ歯噛みする事しか出来なかった。
彼、グランと初めて会った時から妙な感じがあった。
外見は爽やかな好青年そのもので、一つの騎空団を束ねるだけの器量を備えているのもわかった。
しかし、殆ど表には出さないが。時折寒気すら感じる程の嫌らしい視線をする事があった。
アレは何というか、そう、値踏みをしているかのようだった。
皿の上に乗っている料理の味を、食べる前に見極めようとしている目だった。
そしてそれに気づいたとき、私は彼がクラリスに近づいた本当の理由が分かった気がした。
あの子は一族の当主となったにも関わらず、相変わらず無防備な所がある。そして彼は、そこにつけ込んで我が家に取り入ろうという腹づもりなのだ。
だから私は、当人である娘は勿論、夫にも黙って彼との関係を絶とうとした。
こんな些細な問題に夫のを手を煩わせる必要は無いと。
だから私は一人で彼を排除しようとした。開祖に連なる一族の一人として、その元当主として、その責務を全うしようした。
そして、私は返り討ちにあった。
ベットの上で気が狂うほど何度もイカされ、女としての尊厳を破壊されると共に女としての悦びをたくさん教えてもらった。
そして最後には。
私は全裸で床に頭をつけて、性器からは大量の精液を溢れさせながら。
「フーッ♥ フーッ♥ ……私、プロメティアはグラン様の肉便器です。何時いかなる時も、ンッ♥♥ グラン様が絶対であり。他の全てよりもグラン様を悦ばせることを最大の使命とします♥♥♥」
完全な屈服宣言をしていた。
それ以降彼はなにかと理由をつけて屋敷に来るようになり、その度に私の身体を弄んだ。
先程も、娘と出会う直前は部屋の中で彼のペニスに奉仕させられていた。
今も口の中に吐き出された彼のザーメンの味と匂いがこびりついていて違和感が酷い。
「それにしても、ソレに気づかれなくて良かったですね?」
「何がですか」
「口の横に縮れ毛が付いてますよ?」
「……ッッ!?」
確かに手で口の周りを拭うと縮れ毛が付いていた。
血の気が引く思いがすると同時に、改めて彼への怒りが込み上げてきた。
「クッ……本当にもう終わりにして下さい。このままでは娘や夫にバレてしまいます」
「おや、あんな情けない宣言をしておいて。まだそんな事が言えるんですね」
「アレは……貴方が無理やり言わせた事です……それに、ただの口約束です。何の効力も無いでしょう」
「まぁそうなんですけどね……でもあの言葉の全部が全部ウソだとは思えないなぁ……」
「あっ……♥」
無遠慮に乳房を掴まれただけで、思わず嬌声が漏れてしまう。
瞬間脳裏に過ぎったのは、これ迄の彼との行為の記憶であった。
揉まれ、嬲られ、汚された記憶。
それらが一瞬の内に浮かび上がってきて、その時の熱も同時に体に思い出させていた。
そしてこの後また屈服させられると思うと、熱は際限なく高まっていった。
こんな簡単に身体が出来上がってしまうことに、プロメティアは悔しく感じたが、同時にそれに期待してしまっている自分にも気づいていた。
いや、だからこそ彼との関係を終わらせなければならない。
と、プロメティアは強く心の中で言いつけた
「でも、いいですよ。そろそろ終わりにしてあげても」
「えっ」
が、そんな覚悟をバカにするように彼はあっさりとそう言い放った。
「何を驚いているんですか。プロメティアさんが言った事でしょう?」
「え、ええ、そうですね。ですが。まさか貴方がそんなあっさりと承諾するとは思わなかったもので」
「そんな事言って、実はもう僕とセックス出来ないことがショックなんじゃないですか?」
「……ッ!? バカにするのも大概にして下さい!」
「まぁまぁ、そんな大声出さないで。またクラリスが来ちゃいますよ。……あっ、そうだ。ただ終わりにするのも味気ないですし……そうだ! こうしませんか?」
「……?」
そうして彼が提案した事に、プロメティアは改めて目の前の男がケダモノなのだと再確認すると共に、その提案を受け入れることにした。
時刻は深夜。
家人は皆寝静まった中、ギシギシと音を立てている部屋が一つあった。
「フクッ♥ フーッ♥♥ フーゥクッ♥♥ ンムゥ♥♥♥」
ベットの上、男の身体の上でプロメティアは激しく動いていた。
口に手をやり、声を抑えているように見えるプロメティアの顔には、苦悶と悦楽が入り交じった複雑な表情が浮かんでいた。
と言うのも、行為に及んでいる二人の隣には。プロメティアの夫であるハロルドが静かに寝入っているからだ。
これが、グランからの提案であった。
寝ている夫の隣でセックスをしてくれればこの関係を終わりにするという、信じられない要求。
それをプロメティアは受け入れるしか無かった。
全ては夫と娘の未来のために。
「ンン~~ッ♥♥♥」
が、そんな建前を考える余裕もないほどにプロメティアは乱れていた。
既に丹念に調教されてしまっている身体は、少しでも動こうものなら強烈な快楽を感じてしまうようになっていた。
その上で隣に寝ている夫がいるという緊張感は、その快楽を何十倍にも引き上げるスパイスとして作用してしまっていた。
(た、耐えられない!?♥♥ こんな筈じゃないのに!?♥♥ 気持ち良過ぎる♥♥♥)
まだ始まって間もないのにプロメティアの心は情けないほどあっという間に陥落しかかっていた。
「クッ、激しすぎますよプロメティア。もう出そうだ……ッ」
「ぁふぅ!♥♥ フゥ、フゥ、んくっ♥♥ ま、待って♥♥ 今出されたらマズ……ンンン~~~ッッッ!?♥♥♥♥♥」
ドバッと堰を切るように接合部から流し込まれる感覚と共に、心底から湧き上がっていた雌の獣欲が充足される心地よい感覚に、プロメティアは両手で口を抑えながら激しく絶頂した。
弓なりに身体を仰け反らせ、暗闇の天井を見上げながら、プロメティアはただただ必死に両手で嬌声を抑え込むことしか出来なかった。
「本当に隠す気ありますか? そんな喘いだら旦那さんにバレますよ」
「フーッ♥ フーッ♥」
「答える気力もないと……もう、仕方ないな」
グランはそう言うと、布団を手繰り寄せて一緒にプロメティアへと覆いかぶさった。
そしてそのままなんの躊躇いもなくプロメティアにキスをした。
快楽に思考が麻痺しているプロメティアは、なされるがまま突き出された舌を絡め取り始める。
これ迄も何度も彼とキスはしてきた。しかしそれには、無意識の範疇ではあるが忌避感は存在した。
しかし快楽に飲まれている今の状態だと、忌避感を感じる理性すら残っておらず。ただただ雌の心を満たす行為としか思えなかった。
更にそのまま彼は再び抽挿を開始し始めた。
先程は歯止めが効かなくなっていたが、今度は疲労した彼女を気遣うように緩慢とした動きで行われた。
しかしそれが逆に、プロメティアにハッキリと性行為の感触を味あわせることとなる。
「んんッ……♥♥ ムチュ、チュル♥♥♥ チュッ、……ンッ、ンォ゛!?♥♥♥ オ゛ォ!?♥♥♥ ッ……ンクッ♥♥ ンフー♥♥♥ ンフー♥♥♥」
声を抑えようと思えば思うほど、相手の動きを意識することとなり。余計に敏感に反応してしまった。
それに気を良くしたグランは更にねっとりとした動きで、深く深く腰を突き始めた。
深奥を突かれる度にプロメティアは目が覚めるような刺激を味わった。
潮を吹き全身を細かく震わせた。
最早自分で何かをすることも出来なくなりつつあったプロメティアは、本能的に目の前の寄辺へとしがみついた。
「ふふ、そんなしがみついてきて。可愛いですねプロメティアさん」
そう言ってグランは抽挿を激しくする。
薄暗い部屋の中。モゾモゾと蠢いていた布団の影の動きが一層激しくなる。
そして、ある瞬間でピタリとそれが止まった。
「~~~~~~ッッッ♥♥♥♥♥♥」
何処からかくぐもった悲鳴が響き渡った……ような気がした。
それから暫くして夜の静けさが戻った後、再び布団の影がモゾモゾと蠢き始めた。
次の朝。
「あ、パパおはよぉー……あれ? 団長ーとママは?」
「ん? プロメティアはお前達を起こしてから来ると言っていたが会わなかったか?」
朝食の場で朝の挨拶をした二人は、残りの二人がいないことに気づいた。
が、ただ行き違いなったのだろうと特に疑問を覚えることは無かった。
しかし、実際には二人は……。
「ジュルル、グポッグポッ、ジュポジュポジュポポ」
「ああープロメティアさんのフェラは本当に気持ちいいですね」
「んぁっ、一晩中やったのにどうしてこんなに元気なのよ貴方」
「プロメティアさんがそれだけ魅力的なんですよ、ほらサボってないで奉仕してください。二人に怪しまれますよ」
「……分かってるわ。 チュポ……チュポチュポジュポ♥♥♥」
昨晩の話をもうプロメティアは忘れていた。
いや、覚えていたかもしれないが。もうどうでも良かった。
一晩中浴びせられ続けた快楽から、女の悦びに目覚めてしまったプロメティアには、もう彼との関係を終わらせる選択肢なぞ存在しなかったから。
これからも不貞を働き続ける事になるのだろう。しかしそれは自分の意思であり、後悔はない。
そう思いつつプロメティアは奉仕を続けて、口いっぱいのザーメンを味わった。