「今日も来たでーグラン! 開けてーなー」
時刻は夕飯時。学校から帰宅してすぐの夕寝を、その底抜けに元気な声と激しいノックの音で起こされる。
寝ぼけ眼を擦りながら玄関へと向かい、鍵を開けて扉を開ける。
するとこちらが開け切るより先に押しのけるようにして入ってきた訪問客は、まるで自分の家かのように堂々とした足取りで中に踏み込んできた。
そしてこれまた自分の家のもののように勝手に冷蔵庫を開けて中を検める。そして更に勝手にその手に持っていた袋から取り出した缶ビールを並べていく。
既に冷蔵庫の扉の棚には彼女が置いていく缶ビールで埋め尽くされている。
「お、お邪魔します。ごめんなグラン君。ユエルちゃんいつも強引で」
そして背後にもう1人いた訪問客が相方の非礼を詫びる。
それに僕は曖昧な愛想笑いしか返せない。だって、もういつもの事過ぎて言葉が無いから。
「ホンマにゴメンな」
彼女たちの名前はユエルとソシエ。
二人は近くの大学に通っている、このアパートの隣の部屋の住人だ。
そんなに広くないこのアパートで二人暮しと言うと疑問にも思うが。彼女たちは同郷の親友らしく、偶然同じ大学に通うことになった為に同じ部屋を借りることにしたのだと言う。
それでもそんなに親友とベッタリ一緒だと自立出来ないんじゃないかなんて話はよく言われるらしいのだが。
「それ言われる度に、学部違うねんし文句言うなやっていっつも思うわ」
とはユエルさん談。
さてそんな二人が何故僕の部屋に当たり前のように来るのかと言うと。
僕がここに引っ越してきた初日の事。
挨拶回りで彼女達と初対面したら。色々分からんことあるやろから教えたるわと自信満々にユエルさんが言ってきて、そのまま僕の部屋に着いてきて長々と喋り倒してきた。
そしてその会話の流れで夕飯作ったるわと言ってきて、それからかなりの高頻度で夕飯時に僕の部屋を訪ねてくるようになった。
まぁ実際ユエルさんの料理は美味しい。ガサツなその性格に反してとても料理は上手い。有難いのは間違い無いのだが、勝手に冷蔵庫を占拠するのだけは勘弁して欲しいものだ。
そして相方のユエルさんがこっちに来ると当然ソシエさんもこっちに来るわけで、最近の夕飯時は狭い部屋に三人が鮨詰めになる事が殆どとなってしまった。
騒がしいとは思う。心が休まらない気もする。けど、二人がこうして来てくれるおかげで寂しさとは無縁の生活を送れている。
それに二人とも綺麗だ。雑誌なんかで見る隙のない美しさではなく、素朴だけど確かに男心をくすぐってくる魅力を持っている。
我ながら幸運な事だと思う。この二人とお近づきになれるなんて。
ただ、その分の苦労もしっかりあるわけで。
「で、グランには彼女とかおらんのー?」
既に何本か開けて、出来上がっているユエルさんがもたれ掛かりながら聞いてくる。
漂ってくる酒臭さと共に、ユエルさんの化粧か香水かよく分からない香しい匂いが彼女が紛れもない女性なのだと意識させてくる。
それに着ているのが緩いシャツ一枚だから、その胸元がぽっかりと空いてしまっていてブラの肩紐やら膨らみやらが見えてしまっていて視線に困る。
僕は咄嗟に助太刀を求めてソシエさんに視線を向けた。
「グランならきっと可愛らしい子と付き合ってるんやろなぁ」
が、ソシエさんもコップに注いだビールを飲みながらその話に乗ってくる。既に顔が赤い。彼女も出来上がっているようだ。
孤立無援とはまさにこの事。
つまり大体こうなる。内容はその時その時だが、気づいたら酔っている二人がタッグを組んで僕に絡んでくる。
こちらが未成年なのをいい事に酒の力で一方的に弄んでくるのだ。
辛いことこの上ない。青少年の劣情をその色香で掻き立ててきながらも、二人がかりなので手を出す事は許されずひたすら生殺しにされる。
あまりに辛い拷問だ。突然叫んで外に飛び出したくなるレベル。
これが或いはわざとらしかったらもう少し抵抗のしようもあるのだけど、彼女たちは明らかに天然でこんな事をしてきてる。
だからこちらも身を任せるしかない。だって誰も悪くないから。全部酒のせいだから。
喉を通るジュースの味もよく分からなくなりつつある中、僕はその質問にいないと答えた。
「えぇーホンマに?」
「いそうなモンやけどなぁ」
いない……いやヴィーラ先輩との関係を彼氏彼女と言っていいのか分からないと言うのが正直な所。
仮に言うとしても、馴れ初めなんかは口が裂けても言えない事なので結局はいないと答えるしか無いのだが。
「勿体ないわァ……せやグラン、私と付き合わへんかー?」
と、悩んでいた時にほっぺを指で突きながらユエルさんはそう言ってきた。
本気か? こっちは健全……かどうかはともかく、立派な男子高校生だぞ。勘違いするのも吝かじゃないんだぞ。
と酔っ払いの言葉を全力で真に受けてしまい精神が大いに乱される。
「もぉ……流石にそれはグランが困ってまうでユエルちゃん」
とソシエさんが今度は助け舟を出してくれた。
するとユエルさんがリスかハムスターみたいに頬を膨らませる。
「なんやソシエ。それは彼氏持ちの余裕か。ウチへの嫌味か」
ずいっとユエルさんはソシエさんに近づく。
「そないな訳ないやん。飲み過ぎやでユエルちゃん」
それに対しソシエさんは落ち着くよう宥めながら水の入ったコップを飲むよう促す。
そう、意外なことにこんなに距離感がバグってるユエルさんは彼氏がいない。逆にソシエさんには彼氏がいるらしい。
なんというか逆なイメージだ。ユエルさんは男慣れしている、というか男女分け隔てなく接しそうだからモテそうだ。逆にソシエさんは大人しすぎて男性に苦手意識がありそうな気がしてた。
いや、ソシエさんに関しては普通に僕と話してくれてるし完全に思い込みの類ではあるのだが。
……この大人しそうな印象のソシエさんも彼氏さんといっぱいセックスしてるのかな。
二人の男性関係について考えてるとついつい思春期特有の発想をしてしまう。
ユエルさんはあんなに遊び慣れてそうなのに処女なのかなとか考えると急に愛らしく感じてくる。
ソシエさんは逆にとてもふしだらでスケ……。
「うぅ……ソシエぇ……ウチのソシエが……」
「あぁ……もう。ユエルちゃんここで寝たらあかんよ……」
とそこまで考えていたところで現実に戻ってくる。
見ると、ユエルさんが完全に酔いつぶれてしまっていた。
いつものお開きのパターンだ。ユエルさんが酔いつぶれて、僕とソシエさんの二人で隣の部屋まで持っていくという。
「いつもいつもゴメンなグラン」
玄関まで辿り着いた後、ユエルさんに肩を貸しながらソシエさんがそう謝罪してきた。
それに僕は、もう慣れましたから平気ですよと答える。
「ありがとうな。グランはホンマに優しいな」
ふっとソシエさんが笑みを零した。とても自然に出てきたそれはとても魅力的で、本心から褒めてくれたのだと分かるものだった。
けど、何だか違和感もあった。何だろう、上手く言葉では言い表せない違和感だ。
その違和感について考えている間にソシエさんはおやすみと言って扉を閉めた。
暫くの間、胸の内にわだかまる違和感と格闘したが結局何も解決せず。モヤモヤしたまま自分も部屋へと戻っていった。
その事は結局、日々の忙しさの中で流されてしまい殆ど忘れてしまっていたのだが。
ある時唐突に分かることになる。
その時僕はいつも通りの道で駅から自宅アパートまでの帰路についていた。
その道には途中寂れた公園がある。
遊具はブランコと滑り台。他にはベンチが一つとトイレがあるくらいのちっぽけなものだ。
そしてその時には遊具の二つ共が修理中で、子供達が寄ることすらなくなり更に寂れた場所となっていた。
しかしそんな公園に僕は人影を見つけた。
ベンチにポツリと一人、寂しげに俯いて座っている女性がいた。
よく見るまでもなく知っている人だと分かる。ソシエさんだった。
明らかに只事ではないと分かった僕はソシエさんに声をかけた。
「ぁ……グラン」
こちらを振り向いたソシエさんの顔には明らかに泣き腫らした跡があった。
どうしたら良いか僕は一瞬分からなくなったが、ソシエさんが拒絶する訳でもなくただ黙ったので取り敢えずベンチの隣に座ることにした。
今日は少し風が強い。目の前の進入禁止の意味が込められたテープに囲まれたブランコが悲しげに音を鳴らしていた。
「グランに言うても仕方の無い事なんやけどな……話聞いてくれへん?」
暫くしてからようやくソシエさんは口を開いてくれた。勿論そのつもりで座ったので僕は黙って続きを促す事にした。
「ウチな……実は彼氏に振られててん」
振られたのではなく振られていた?
一体どういう事なのか。
「前……ユエルちゃんが酔いつぶれた日の数日前くらいにな、別れようって彼氏に言われてん。突然やったから悲しかったけど……それ自体はまだ何とか受け入れられてん」
酔いつぶれたという事は……あの日。あの変に違和感を感じたあの日の事だ。つまりあの違和感もそういう事だったか。
「前から少し距離置かれてるって感じてたから……だからまだ仕方無いのかなって思えてんな。けど今日……ホンマに偶然……見てしもうてんよ」
見てしまった……何だろうとても嫌な予感がする。
「その彼氏がユエルちゃんに告白してんたんの。そしてユエルちゃんがそれを受け入れたのを」
えっ、と頭が混乱する。どうしてユエルさんがここで出てくるのか。何でそんな事をするのか本当に分からなくなったから。
そして思わずユエルさんがそんな事する筈が無いと叫んでしまう。
「あぁ……ゴメン流石にイジワルやったかな。実はユエルちゃん、その彼氏の顔知らへんねん。恥ずかしゅうてウチが写真見せへんかったから」
ああ、そういう事か。だから受け入れたのか。
いや、待て。
という事はつまり、ソシエさんが振られたのはそういう事なんじゃ。
ユエルさんの事が好きになったから、その彼氏はソシエさんを振ったという事になるんじゃないのか。
「でも、だからってウチどないしたらええんやろ。どないな顔でユエルちゃんと会えばええの?」
ソシエさんは顔をくしゃくしゃにして泣き始めた。
その姿はあまりに悲痛で、年上の頼れる女性とはとてもじゃないが思えなかった。
その時。ふと、その姿を見て考えが過ぎった。
これはチャンスなんじゃないかと。ソシエさんとやるチャンスなんじゃないかと。
その囁きが聴こえると、背を丸め泣きじゃくる彼女がとても愛おしく見えてきた。
そしてある種の万能感のようなものを感じた。
身に覚えのある感覚。
あの電車の時や、あの水泳部の部室の時のような。
こうなると最早止まらない。止められない。止まる気もない。
僕は本能に突き動かされるままに動き始めた。
「ハァ……ハァ……グラン♥」
服の上から乱暴に胸を揉みながら、手をホックが外れて緩くなったパンツの中に入れて下着をまさぐった。
ソシエもまた僕とキスしながらも、手は求めるように股間の部分をさすってきた。
僕たちは自宅に帰るなりお互いを求め始めた。
簡単だった。結局、ソシエのその心の空いた部分に僕をあてがうように言えば良かっただけだった。
それだけで、弱っていた彼女は受け入れてくれた。
ソシエの熱っぽい瞳が僕を見つめてる。僕もきっと同じような目をしている。
視線と視線を絡ませながらも、互い手や口はまるで別の生き物になったように快楽を求めて暴れ狂っている。
暑い。自分のものか彼女のものか、この場所そのものなのかとても暑い。
僕は絶え間なくその柔らかい胸を揉みながらソシエの上を脱がしていく。ソシエもまた僕のズボンから中身を取り出していた。
「ハァ…ハァ……凄い熱くて、硬い。……そんなにウチに興奮してんのグラン……?」
当たり前だ。こんなの興奮するに決まってる。
僕はブラもずらして外気に晒させたそのツンと立っている乳首に吸い付いた。
ソシエの口からから切ない声が漏れる。
乳首ではあまり女性は感じないと聞いた事があったけど、ソシエは違うのだろうか。それとも二人とも頭が性欲でいっぱいでおかしくなっているから全身が敏感になっているだけだろうか。
何にせよソシエが感じてくれているのが嬉しい。それに意外と乳首に吸い付くのが落ち着く。僕は執拗に乳首を吸った。
「アハハ……♥ そんなに乳首吸うの好きなんやグラン♥ まるで……アッ……赤ちゃんみたいや♥」
ソシエはそう言いながら頭を撫でてくる。その甘やかすような声といい余計に赤ちゃんになった気分になる。
けど、そろそろ限界だ。ソシエのも愛液が溢れ出している。
「ハァ……ハァ……ええよ、そのまま入れて♥ ウチももう限界や……♥」
僕はソシエのパンツを下着ごとずり下ろす。白い毛にそこは覆われていた。勝手に生えていないんじゃないかと思っていたら、意外と濃く生えていて驚く。
そしてそれが余計にそこを淫らなモノにしているように見えて、僕は息が荒くなる程興奮し、そこに怒張したものの先端をあてがった。
入れたらどうなる。熱い。溶ける。気持ちいい。壊れる。
とにかく快楽が待っている。そう思うと躊躇いなんて湧かなかった。
僕は一気に中に挿入した。肉ヒダをかき分けながら奥へ奥へ、深く繋がっていくのを実感する。
限界まで挿入したらソシエさんの方を見る。
痛いのか気持ちいいのか分からないけど。何かに耐えるように俯いて、か細い呻き声を出していた。
返事も出来そうになさそうだったので、僕は勝手に腰を動かし始めた。
壁に押し付けるようにしてソシエの中を突き上げる。
その度に膣が締まり、僕の体に捕まっている手にくい込むほどに力が込められる。
恐ろしい程に気持ちよかった。二人の身体が一つに溶け合うような錯覚を覚えて、自我も消えて無くなりそうになるほどに。
ソシエはあられもなく嬌声をあげる。アパートの薄い壁では閉じ込め切れないだろう程の大声で喘いでいた。
けど関係なかった。もう聞かれる云々なんかどうでもいい。今はただひたすらに溢れてくる快楽に溺れていたい。
「アッ♥ アッ♥ アンッ♥♥ アンッアンッ♥♥♥ げ、限界……アンッ♥♥ ウチ……アッ♥ アッ♥♥ もう限界や♥♥♥」
快楽の波の最高潮が迫ってくる。互いの意識にはもう下半身の繋がりしか残っていない。
ただ成すがまま、思うがままに動き続ける。
そして……。
「アッ~~~♥♥♥ 出てるッ♥♥ グランのが中にいっぱい出てるゥ~~~~ッ♥♥♥」
一気に先端が爆発した。散弾銃のようにバッと中で広がったのが分かった。
そしてその後で残りの精子が登ってきて、ソシエの中に我先にと飛び出していった。
暫く深く繋がった状態で静止していた。その間二人は全身を覆う熱と快楽に浸る。
ソシエから離れて中から抜いたら、栓が外れるように僕の出した精液がドバッと溢れてきた。恐ろしい量だ。
「フゥ~~~♥ フゥ~~~♥ だ、出しすぎやグラン……♥」
目元に涙を貯めながらそう言ってきたソシエに、僕は素直にゴメンとしか言えなかった。
けど気持ちよかった。途方もなく気持ちよかった。
まだ頭の奥がピリピリする。もう一度同じことしたら死ぬんじゃないかと思うほどに出し切ったという感覚もあった。
と、そこでソシエの股から垂れた精液が、足下の脱げて落ちているパンツと下着を汚していることに気づいた。
思わず謝る。ソシエは謝られてから下を向き、あっと気づいた様子だった。
「流石に興奮しすぎやなウチら……何だか恥ずかしゅうなってきたわ」
先程まで獣のように盛りあってあたのに、それを見ただけで途端に恥ずかしさが込み上げてきた。
「……けど、とっても気持ちよかったわ。ありがとうなグラン」
そう言うとソシエさんはまた舌を絡めたキスをしてきた。
そして一通り涎を交換すると、また身体が火照ってくる。
どうやらどうしようもないらしい。
「その……流石にゴム欲しいわウチ」
あははと思わず笑う。買いに行くか……。
その後、ゴムを買ってきてから再びまぐわった。
今度はちゃんと布団を敷いて、先程のと比べるとゆっくりと互いを思いやって。
けど次第にまた昂ってきて、結局激しくセックスした。
僕が後ろから突いたり、ソシエが上で腰を振ったり。
布団が乱れ、色んな汁が飛び散るのもお構い無しに喘ぎまくった。
それぞれがそれぞれを限界まで貪る。もう他のことなんて考えたくないと言わんばかりに。
そして目が覚めたら朝だった。隣ではソシエが可愛らしい寝顔で寝ていた。
その後ユエルさんに色々と説明するのに苦心した。
夜中の騒音やら。ソシエさんが僕の家で寝ていることやら。そもそも僕の部屋を訪ねても返事が無かった事やらを。
結果、彼氏に振られた腹いせに僕の家でソシエさんがビールを飲みまくって酔っ払い、そして激しく暴れ散らかしたという言い訳が通る事になった。
ソシエさんが普段はあまり酒を飲んでいなかったのもあって、そんな事になったのだとギリギリで納得してくれた。
「もうそないな事やったらウチにも相談してーな」
そうユエルさんが言ってくれた時、ソシエさんは少し複雑そうな表情をしていた。
けどだからといって二人の関係が壊れるようなことは無かった。
殆ど僕のエゴでやった事だったけど、上手く丸く収まって本当に良かったと思う。
しかし暫くの間は二人が僕の家に来ることは無かった。ちょっと悲しく感じ、なんやかんやあの煩わしさを楽しんでいたのだと自覚した。
けどある日またいつも通りユエルさんは僕の部屋に突撃してきて、いつも通りの酒宴が始まった。
「やっぱグランの部屋で飲むの我慢出来へんわ!」
「ホンマに……ゴメンな」
元気よくユエルさんがそう言い、ソシエさんが申し訳なさそうに謝ってくるのがその時は少し嬉しかった。
「グラン……♥ グラン……♥」
そしてユエルさんが酔いつぶれた後、ソシエが獣のように求めてきてこの関係もまだ続くのだと思うとやっぱり嬉しくなった。
若干タイトル詐欺な気がする。
あと次でコレはラストです。