其処は外典の亜種世界。
時代は二○XX年。雪の衣が星を包む、除夜の鐘鳴る宵の時。
とある中欧の片田舎にて、ひとつの亜種聖杯戦争が始まろうとしていた。
此度の亜種聖杯戦争の主催者であり、聖杯の鋳造者でもある、錬金術の大家。グラロッソ・ヒートンは、その類まれなる才腕により、五つの英霊の枠を用意することに成功した。
それは
また、グラロッソは
その理由は「神秘の濃い神代の魔術師を、神秘の薄い現代の魔術師が操れるわけがない」という、当然の実力差を推し量る価値観から来るものだった。
ただし、あくまで彼は
演劇の主役は、グラロッソが時計塔から招集した四名の魔術師の中に含まれている。
一人目は、
二人目は、
三人目は、
四人目は、
これに、アインツベルン家に追いつこうと、ライバルであるムジーク家と切磋琢磨しあう、アトラス的思想を取り入れた西洋錬金術師の使い手。グラロッソ・ヒートンが加わり。
――――以上、五名の魔術師が、亜種聖杯戦争にて火蓋を切り落とす。
これを知って、壮大な物語が始まると思うだろうか。
たかが五名の魔術師と五騎の英霊の激突で、まさか世界の命運を左右する大事件が起きると思うだろうか。
それは否だ。
残念ながら、これより始まるは
まさに異聞演劇とも云えよう死闘の中で、そのような壮大さを求めてはいけない。
この物語は、とある男やもめと、とある未亡人の、悲しくも健気な、悲恋の
――――さぁ、この夜の奇跡を讃えたいのならば、汝、最強を以て、自らの愛を証明せよ。
/了