※この作品はR-18です。

Fate/Tomoe night   作:形のない者

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序章・除夜

 其処は外典の亜種世界。

 時代は二○XX年。雪の衣が星を包む、除夜の鐘鳴る宵の時。

 

 とある中欧の片田舎にて、ひとつの亜種聖杯戦争が始まろうとしていた。

 

 此度の亜種聖杯戦争の主催者であり、聖杯の鋳造者でもある、錬金術の大家。グラロッソ・ヒートンは、その類まれなる才腕により、五つの英霊の枠を用意することに成功した。

 それは弓兵(アーチャー)・槍兵(ランサー)・騎兵(ライダー)・暗殺者(アサシン)・狂戦士(バーサーカー)の五騎。

 

 また、グラロッソは剣騎(セイバー)の枠だけは再現すること難しく、やむなく聖杯鋳造時に断念した。しかし魔術師(キャスター)の枠だけは、意図的に用意しなかった。

 その理由は「神秘の濃い神代の魔術師を、神秘の薄い現代の魔術師が操れるわけがない」という、当然の実力差を推し量る価値観から来るものだった。

 

 ただし、あくまで彼はこの舞台の管理者(セカンドオーナー)であり、この物語の光となる存在ではない。

 演劇の主役は、グラロッソが時計塔から招集した四名の魔術師の中に含まれている。

 

 一人目は、伝承科(ブリシサン)の申し子にして、植物科(ユミナ)の降臨者。ルミナス・ハイペリオン。

 二人目は、呪詛科(ジグマリエ)の縁切り魔術師で、焔(ほむら)の眼を持つ。岩兎(いわうさぎ) 四茂野助(よものすけ)。

 三人目は、降霊科(ユリフィス)の最優秀学徒でありシウネスの妻。サリア・ベルヴォーン。

 四人目は、考古学科(アステリア)の秀才でありサリアを妻に持つ。シウネス・モルドール。

 

 これに、アインツベルン家に追いつこうと、ライバルであるムジーク家と切磋琢磨しあう、アトラス的思想を取り入れた西洋錬金術師の使い手。グラロッソ・ヒートンが加わり。

 ――――以上、五名の魔術師が、亜種聖杯戦争にて火蓋を切り落とす。

 

 

 

 これを知って、壮大な物語が始まると思うだろうか。

 たかが五名の魔術師と五騎の英霊の激突で、まさか世界の命運を左右する大事件が起きると思うだろうか。

 

 それは否だ。

 残念ながら、これより始まるは外典(Apocrypha)の中の外典(Apocrypha)。

 まさに異聞演劇とも云えよう死闘の中で、そのような壮大さを求めてはいけない。

 

 この物語は、とある男やもめと、とある未亡人の、悲しくも健気な、悲恋の詩(うた)なのだから。

 

 

 

 ――――さぁ、この夜の奇跡を讃えたいのならば、汝、最強を以て、自らの愛を証明せよ。

 

 

 

   /了

 

 

 

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