紫さんが永遠亭に行っている間、私と咲夜さんは洗ったシーツを干しに紅魔館の屋上へと上がる。
水を吸収して重くなったシーツは私には少々荷が重いらしい。
私は息も絶え絶えにシーツの入った籠を抱えて階段を昇る。
「……はあ……はあ。シーツの籠を持って屋上へ行くのって、こんなに大変だったかな?」
「紅魔館中の汚れたシーツが入った籠ですからね。
それでも、空間拡張を解除して階段や通路も以前より短くなったんです。これ位で弱音を吐かないで下さい」
「あ、はい。すみません」
私は咲夜さんに謝ると今の言葉である事に気付く。
「咲夜さん、空間拡張を解除したんですか?」
「一般人で紅魔館に来たばかりの陰猫さんにはまだ変化が感じられないでしょう。
ですが、これから縮小もしますから、貴方でも今より距離がもっと短く感じる筈です」
咲夜さんはそう言うと私の歩調に合わせて階段を上がって行く。
「そうそう。人選ですけど、決まりましたから早速、明日から人員が補充されますよ?」
「え?明日?また、えらく急ですね?」
「ええ。そうですね」
咲夜さんは何か思うところがあるのか、目を伏せて足元を見る。
恐らく、咲夜さんもレミリアお嬢様が咲夜さんの事で気を張っているのを解っているからだろう。
「咲夜さん?」
「あ、申し訳ありません。ボーッとして……」
私の呼び掛けに咲夜さんはそう答えると再び私に顔を向ける。
「最初に補充される人員は殆ど顔見知りなので、とりあえず、大丈夫だと思います。皆、殆ど、顔パスで通りましたから」
「顔見知り?」
「ええ。霊夢に妖夢、うどんげです」
「霊夢はともかく、妖夢やうどんげとか言う人にはまだ会ってませんね?」
「あら?それでも、霊夢に会えただけ凄いじゃないですか?」
「いや、紫さんが紹介してくれて……」
「……紫が?」
私がそう言うと咲夜さんが見るからに嫌そうな顔をする。
「あの、いつも他人を記憶喪失にさせて幻想郷に迷い込ませたり、道案内もつけずに放置プレイをする八雲紫が?」
なにやら、凄い敵意剥き出しの咲夜さんに怯みながら、私は頷く。
「はい。自分は非力な一般人ですが、幻想郷に導かれる運命だからとか……」
「それだけであの八雲紫が此処までするとは思えません。
きっと、また何かを企んでいるに違いありません」
「そんな事はないかと……紫さん、いい人でしたよ?」
「前にも言いましたよね?あの八雲紫を信用し過ぎるなと?」
咲夜さんはそう言うと真剣な表情で私に告げる。
「貴方の知る八雲紫がどんなのものだかは知りません。
ですが、その八雲紫への甘さを捨てないといつか利用され、裏切られますよ?」
「そう言うものでしょうか?」
「そう言うものです」
「でも、もしも、そうなら最初から非力で凡人かつ能力の才能もないーー利用価値すら無さそうな私を幻想郷から迎えに来る理由がありませんよ?」
「それは……確かにそうですが……」
「それに紫さんはこうも言いました。私と紫さんが出会うのは運命だと……」
「運命?」
「はい。お嬢様が操られた運命だと言ってました」
その言葉で咲夜さんが溜め息を洩らす。
「お嬢様の操られた運命なら文句はありません。
一応、八雲紫については忠告しました。
……あとはお好きにどうぞ」
咲夜さんはそう言うと屋上の扉を開ける。
扉が開かれると向こうと同じく夏のムワッとした暑さが頬を撫でた。
「此処が屋上です」
「これはまた、えらい場所ですね?」
「夏ですからね。さ、夕立が来る前に済ませてしまいましょう」
私は咲夜さんに頷くとかんかん照りの中、シーツを竿にぶら下げて洗濯挟みで挟んで行く。
この動作だけでも汗だくになる。
なのに、咲夜さんは汗一つ掻かずにシーツを干して行く。
この暑さに慣れているのかな?
ーーとは言え、逆に脱水症状の表れかも知れないし、汗が出にくいのはまずいのも事実だ。
「咲夜さん、水分補給しましょう」
「水分補給ですか?それでしたら、洗濯籠の下にペットボトルが入ってますよ?」
そう言われて、洗濯籠を漁ると確かにペットボトルはあった。
一本だけ。
「……咲夜さん、一本しか入ってないですよ?」
「私は終わってから飲むので、お構い無く」
「いや、お構い無くじゃありませんよ。身体によくありません」
そう言うと私は咲夜さんの腕を掴み、日陰に避難しようとする。
その瞬間、私の喉元に咲夜さんのナイフが突き付けられた。
私はそこで動きを止め、咲夜さんが我に返る。
「申し訳ありません。つい、いつもの癖で……」
咲夜さんはナイフを仕舞うと私が掴んでいる腕を見詰める。
「……離しては貰えませんか?」
「じゃあ、ちょっと日陰まで行きましょう。そうしたら離します」
「ですが、仕事が……」
「休憩するのも仕事の内と言うでしょう?
咲夜さん、まだ頑張り過ぎてますよね?」
「そんな事はーー」
「まあ、色々と思うところはあると思いますが、此処はアドバイザーである私の顔を立てて」
私の言葉に渋々頷くと咲夜さんは私と一緒に日陰のある紅魔館の時計台の裏側へと腰掛ける。
「はい。これ」
私は日陰まで来るとペットボトルを咲夜さんに渡す。
「え?ですが、これは陰猫さんのーー」
「私はあとで貰います。まずは咲夜さんが一口どうぞ」
「い、いえ!日陰で休んでいるだけで十分ですから!」
「まあ、そう言わず、まずは一口」
私がそう勧めると咲夜さんはペットボトルの飲み口を開けて一口飲む。
本当は喉が渇いていたのか、それとも身体が求めていたのか、咲夜さんはそのままの勢いでゴクゴクとペットボトルの中身を飲み、額や頬から汗を滲ませる。
やっぱり、知らず知らず我慢していたのかな?
そんな事を思いながら咲夜さんはペットボトルの中身を半分位飲んでから口を放す。
「は~」
「咲夜さん」
「え?あ」
「やっぱり、無理していたんですね?」
「ち、違うんです!これはーー」
「そのまま、少し休んでいて下さい。あとは私がやって置きますから」
「そんな!私だけ休む訳にはーー」
「これはアドバイザーからの忠告です。前にも言いましたが、頑張るのと無茶するのは違いますよ?」
私はそう言って立ち上がると俯く咲夜さんをそのままに再びシーツを干す作業に戻る。
本当、さっさと終わらさないとミイラ取りがミイラになりそうだ。
私は汗まみれになりながら、シーツを干して行く。
紅魔館、短期バイトでR部分をハーメルンだけでも強調するかどうするか悩んでます。私と美鈴さんのエチエチ見たい人っています?
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見たい
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見たくない