シーツを二人掛かりで折り畳んで仕舞い、一段落するとレミリアお嬢様が少し早めの夕食を取ると言うので咲夜さんと一緒に向かう。
「今日の夕食は魚のムニエルです」
先に来ていた小悪魔さんが椅子に座るお嬢様とパチュリー様、フラン様に美鈴さんの前に魚のムニエルの乗った皿を置く。
私と咲夜さんはお嬢様の後ろに立ち、レミリアお嬢様が食べ終わるのを待つ。
「ご苦労だったわね。ご苦労様、こあ」
レミリアお嬢様は小悪魔さんに労いの言葉を掛けると咲夜さんとその隣に佇む私に顔を向ける。
「食事中だけど、改めて、彼を紹介するわ。
短期バイトで雇った陰猫よ。みんな、仲良くなさい。
特にフラン。陰猫は玩具でも餌でもないから壊そうとしたりしちゃ駄目よ?」
「……ぶぅ」
「返事は?」
「は~い」
フラン様が不満げに返事をするとレミリアお嬢様は溜め息を吐き、私に向き直る。
「陰猫。改めて、挨拶なさい」
「はい」
私はレミリアお嬢様に頷くと一歩踏み出して頭を下げる。
「改めて、陰猫(改)と申します。短い間ですが、お世話になります」
「一般人としても身体能力が低い方だから、みんな、陰猫の前で能力や弾幕を使うのは避けなさい。それから妖怪なんかに襲われていたら助ける様に……」
「解りました」
「解ったわ」
「は~い」
咲夜さん以外のパチュリー様や美鈴さん、フラン様が答える。
私は一歩下がり、咲夜さんと共に椅子に座る皆が食べ終わるのを改めて待つ。
そう言えば、魚のムニエルなんて口にした事なかったな。
どんな味なんだろ?
「咲夜。ワインを持って来て頂戴」
「かしこまりました」
咲夜さんはそう言うと指を鳴らし、気付いた時にはワインの入った瓶を手にしていた。
咲夜さんは慣れた手付きでワイングラスに注ぐ。
レミリアお嬢様は注がれたワインの入ったグラスの匂いを嗅ぐと一口口に含む。
幼女がワイン……一見、シュールだが、流石は500歳を生きるレミリアお嬢様。
その仕草にも気品がある。
「……なかなかのチョイスね。流石は咲夜だわ」
「お褒め頂き有難う御座います」
咲夜さんはレミリアお嬢様に一礼すると私の前まで戻って来る。
「咲夜。みんなが食べ終わったら、食器を片しなさい。私は陰猫に用があるから」
「かしこまりました」
「みんなも自室で休みなさい。良いわね?」
レミリアお嬢様の言葉に咲夜さんは再び一礼すると皆が食べ終えた食器を片して行く。
他の人達も背を伸ばしたり、お腹を擦りながら部屋を後にする。
残されたのは私とレミリアお嬢様だけ。
「早速だけど、咲夜の様子はどう?」
「どう?ーーとは?」
「勿論、咲夜が無理をし過ぎてないかが心配なの。
貴方の目から見て、咲夜は無理をしているの?」
「大丈夫ですよ。咲夜さんはまだ少し無理をしている所もありますが、私のアドバイスはキチンと聞いてますし、改善に向けての努力はしています」
「本当?」
「はい。本当です」
私が心配そうなレミリアお嬢様にそう言うとお嬢様はホッと胸を撫で下ろす。
咲夜さんが時を止めて無茶してるかも知れないのは黙っていよう。
紫さんのアドバイスもあるし、余計な心配はさせない方が良いかも知れない。
「そう。なら、良いのだけど……」
「それと心配なのは解りますが、まずは自分の事も心配をして下さい」
そう言うとレミリアお嬢様は真剣な表情をして首を横に振る。
「私の事なんて、どうだって良いわ。咲夜が倒れてしまったのは私のせいよ。私が咲夜に頼り過ぎたから……」
「お嬢様。あまり、自分の事を責めないで下さい。
それがまた咲夜さんの負担になっていますから」
「……どう言う事?」
訝しい顔をするレミリアお嬢様に私は言葉を続ける。
「咲夜さんもお嬢様が無理をしているのは解っていると言う事です。それが咲夜さんの無理をさせている一つの要因にもなっています」
「……咲夜の?」
「はい」
「でも、私は吸血鬼レミリア・スカーレットーー紅魔館の当主よ。これ以上の甘えは赦されないわ」
「では、たまにはみんなに甘えて下さい。これはアドバイザーからの忠告です」
私の言葉にレミリアお嬢様は椅子に身を預け、天井を仰ぎ見て苦笑する。
「また、咲夜やみんなに甘えても良いのかしら?」
「程々になされば……」
「程々に、ね。難しい注文だわ」
レミリアお嬢様はそう呟くと私に向き直る。
「……今日はもう下がって良いわ。ご苦労様」
「はい。失礼します」
私はレミリアお嬢様に一礼すると部屋を後にして、自室へと向かう。
その距離は明らかに短くなっていた。
咲夜さんが空間を縮小したのだろう。
私が自室へと戻るとまた紫さんが待っていた。
「お疲れ様。どうかしら、今の環境は?」
「適度に休憩も挟めてますし、仕事も軽い物を当てられてますから、今のところは大丈夫ですよ」
「そう。でも、明日からは霊夢達も来るから、忙しくなるわよ?」
「そうですね。でも、私は私です。マイペースに頑張らせて貰いますよ」
「そう。まあ、頑張りなさいな」
「ああ。そうだ。明日から来る妖夢やうどんげについて教えて下さい。
私、にわかだから好きな人の事しか調べてなくて……」
「仕方ないわね。それじゃあ、今回の内容はあれにしてね?」
「……え?あれ?」
「うふふっ♪貴方が此方の事を書く時のタイトルの話よ♪まあ、その時が来たらで良いから忘れないで頂戴♪」
よく意味は解らないが、帰ったら、あのタイトルにすれば良いのかな?
「それじゃあ、"教えて、風魔さん"口調でお願いね?」
「え?此処であれをやるんですか?」
「もちのろんよ♪」
「じゃ、じゃあ……」
……
…………
………………
「皆さん、こんにちは。それともこんばんはかな?
陰猫(改)です。今日は八雲紫さんに妖夢とうどんげについて聞いてみようと思います。紫さん、宜しくお願いします」
「ええ。宜しくね、陰猫さん」
「早速ですが、妖夢について教えて下さい」
「魂魄妖夢(こんぱく ようむ)ね。彼女は半人半霊で冥界にある白玉楼(はくぎょくろう)と言う所で庭師をやっているわ。
能力は剣術を扱う程度の能力よ。
根は真面目でまっすぐだから、問題ないでしょう。
まあ、会えば、解るでしょうからね?」
「それじゃあ、次はうどんげさんについてお願いします」
「うどんげね。本名は鈴仙(れいせん)・優曇華院(うどんげいん)・イナバだったかしら」
「また随分と長い名前ですね?」
「まあ、鈴仙やうどんげと呼ぶと良いわ。鈴仙は迷いの竹林の奥深くにある永遠亭で助手や薬売りをやっているわ。
鈴仙の能力は狂気を操る程度の能力ーーいえ、波長を乱す能力かしら?」
「波長を乱す?」
「音や電磁波などあらゆる波長や位相、方向なんかを操る能力よ。
光を収縮してレーザーを放ったり、分身したり、幻影を見せたり、あらゆる事が出来るの。
その瞳を見るだけで影響下を受けるわ」
「そんな人が……性格とかは大丈夫なんですか?」
「そうね。戦闘時や通常時だと性格が異なるわ。噂だと暢気と狂気の持ち主で性格を合わせてるんだとか。
意外と好戦的だから刺激しない様に注意してね?」
「成る程」
「とりあえず、今回はこんな所かしらね?」
「紫さん、ありがとうございます。それでは皆さん、また」
「この話を宜しくね?」
……
…………
………………
本当に"教えて、風魔さん"のくだりがやりたかったのか……。
「あ~。楽しかったわ」
「そうですか。それは何よりで……」
「なら、もう少し楽しみなさいな。折角、あのコーナーを再現したんだし」
「でも、二人で三文芝居していただけじゃないですか?
あんなの誰が見るんですか?」
「ふっふっふ。貴方は気付かなかった様ね?
天狗が撮影していた事に……」
「え?へ?」
そう言って辺りを見渡すと開いた扉の端からカメラを持った烏の翼を持つ山伏風の帽子を被る黒いフリルのスカートとフォーマルな白い半袖シャツの少女ーー烏天狗の射命丸文(しゃめいまる あや)がいた。
「それじゃあ、記事を宜しくね、文」
「ええ。任せて下さい。今回のスクープは"大妖怪・紫、ついに結婚!?"にでもして置きますか。
いや、それよりも"おもろい夫婦爆誕"にするか」
「ちょっーー待て!」
「それでは私はこの辺で。人間さん、良い日々を」
「まあぁていいぃぃーーっっ!!」
私の言葉も空しく、文は凄まじい勢いでその場から去って行った。
"教えて、風魔さん"
"トレジャる?"の風魔が主にコーヒーのうんちくをするコーナー。
それ以外にも"トレジャる?"のソラの様々な質問に答える。
基本的に教育番組の様なノリだが、閲覧数は少なく、完全な自分得なコーナーである。
現在"トレジャる?"は中途半端に完結扱い、"教えて、風魔さん"は未完で小説家になろうで掲載されている。
紅魔館、短期バイトでR部分をハーメルンだけでも強調するかどうするか悩んでます。私と美鈴さんのエチエチ見たい人っています?
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見たい
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見たくない