咲夜さんと鈴仙さんの攻防は十数分続いた。
「なかなか、やりますね?」
「……」
鈴仙さんの言葉に咲夜さんは返事をしない。
喋っている余裕が恐らくないのだろう。
当てずっぽうな所へなり振り構わず、ナイフを投げる始末だ。
これも鈴仙さんの波長を操る程度の能力なんだろうか?
恐らく、鈴仙さんの能力で咲夜さんは幻覚を見ている筈だ。
「今の貴女じゃ私には勝てませんよ?」
鈴仙さんが囁くと咲夜さんは「そうね」と返すと更にナイフを増やし、全方位へと向かって投げる。
「解らないのであれば、全方向へ投げるだけよ」
「ーーっ!?」
流石の鈴仙さんも後方へと跳び、身を縮めてナイフの束をやり過ごす。
その頬などに咲夜さんのナイフが掠めて行く。
あのナイフの弾幕が刺さらなかったのは凄いが、今の攻撃で咲夜さんが活路を見出だしたのか、笑みを浮かべる。
咲夜さんを止めなきゃ……。
でも、私に咲夜さんに対抗出来る持ち札はあるだろうか?
……いや、あるにはあるが、あれは危険だ。
「あうっ!」
そうこうしている間に鈴仙さんの太股にナイフが刺さる。
咲夜さんが鈴仙さんを見据えているのを見る限り、鈴仙さんがダメージを受けて、波長を操る能力が解除されたのだろう。
このままでは鈴仙さんが本当に危ない。
「ああ!くそ!」
私は頭をガシガシと掻く。
やはり、あいつを呼ぶしかない。
私は立ち上がり、執事服の懐から白いスペルカードを手にする。
「チートカウンター!」
私は叫びながらフード付きのマントを羽織った男ーーチートカウンターの死神を召喚する。
「よう」
死神は私と鈴仙さんに軽く手を上げて挨拶すると咲夜さんに振り返って歩み寄って行く。
「陰猫さんの呼び出した新たな傀儡ですか……。
どんな能力かまでは知りませんが、私の敵ではありません」
その瞬間、時が止まったらしい。
らしいと思ったのはチートカウンターである死神の距離が縮まっていた事と身体に何本ものナイフが刺さっていたからだ。
「時を止めているのに動ける!?
まさか、私と同じ能力を持っているの!?」
「あ~。ちょい違う。俺はチートカウンターって言ってな。
まあ、単純に言えば、あんたらみたいなチートっぽい能力を持ってる奴のカウンターさ。
まあ、その分、活動時間が短いらしいがな」
そう言って死神は咲夜さんの前まで来るとその首を掴む。
動揺してる咲夜さんが自然体で振る舞う死神に反応が遅れたのが、掴まれた大きな理由だろう。
それだけでなく、鈴仙さんとの弾幕勝負で集中力が切れた事も理由の一つかも知れない。
「……くっ……かはっ」
咲夜さんはその首を掴む腕から逃れようともがく。
死神は更に首を絞めると、やがて咲夜さんがぐったりとして動かなくなる。
そして、死神は鎌を取り出しーー
「ーーっ!?待て!!」
「悪いが聞けないねえ、作者さん」
その魂を狩り取る鎌を振るおうとした。
ーー次の瞬間、けたたましい音がして死神の鎌が突然、現れた赤毛のツインテールの女性の持つ鎌に弾かれる。
「妙な気配を感じて来て見たら、傀儡が死神の真似事とは頂けないねえ」
その半袖の着物にスカートを履いた赤い髪のツインテールの女性はそう言うと手にした鎌を構える。
「同業者か……いや、本家って言えば、良いのか?」
「あたいの名前は小野塚小町(おのづか こまち)。三途の水先案内人さ」
「小町か。俺も名乗りたい所だが生憎と名前がなくてな。
まあ、チートカウンターとでも覚えて置いてくれ」
「チートカウンターの死神ね。その死神がなんだって、その娘の魂を狩ろうとするんだい?
その娘は見ての通り、まだ死期が近い訳でもないんだ。傀儡とは言え、死神であるあんたの仕事じゃないだろう?」
「俺は呼ばれたから狩るだけさ。まあ、もう時間みたいで消えちまうがな?
どの道、本家の死神様が出たとあっちゃあ、俺に勝ち目はないだろう」
そう言うと死神は小町さんに気を失った咲夜さんを渡し、私に振り返る。
「まあ、そんな訳だから後は宜しくな、作者さんよ!
俺みたいに言う事を聞かない奴もいるから、そのカードの扱いには気を付けるんだな!」
死神はそう叫ぶと大気に溶けて消えていく。
小町さんは鈴仙さんに咲夜さんを預けると私の前まで来る。
「……あんた、自分が何をしたか解っているのかい?」
「え?」
「あたいが来なきゃ、あの娘は死んでたんだよ!」
「ーーっ!?」
「それだけじゃない!死神の法則さえ、ねじ曲げる所だったんだ!この意味解ってんのかい!」
後半の小町さんの言葉の意味は解らなかったが、私が如何に自分が大それた事をしようとしていたかは解った。
咲夜さんも危うく魂を持ってかれそうになったし……。
「二度と傀儡の死神なんざ呼ぶんじゃないよ!
今度、あんなの呼んだら地獄行きだからね!」
「は、はい!」
私は小町さんの剣幕に押されて頷く。
「あら?小町じゃない?」
そんな私と小町さんの前に霊夢が通り掛かる。
「おお!博麗の巫女か!聞いとくれよ!
この人間が紛い物の死神を呼び出して大変だったんだよ!」
「紛い物の死神?あんた、そんなのまで創っていたの?」
霊夢は小町さんを制すると私に顔を近付けて訊ねる。
「うん。小説家になろうはチート能力ばかり使う人が多いから、そのカウンターって言うか、予防で作ったキャラクターだよ」
「ふうん。あ、そう」
「……怒らないの?」
「小町が散々怒った様だしね。それにーー」
霊夢はそこで言葉を切ると鈴仙さんが介抱する咲夜さんを一瞥する。
「咲夜を傷付けてショックを受けてるみたいだから、私からは特に言う事はないわ」
「……そう」
私はやや放心気味に霊夢の言葉に答える。
そんな私の背中を霊夢はバシンと叩く。
「いった~!」
「あんたまで自分を責めて、どうすんのよ?
あんたは此処の奴等を何とかする為に来たんでしょ?」
「……そう、だね。ごめん」
「謝るなら咲夜に謝りなさい。そもそも、なんで、そんなもの呼び出したのよ?」
「それについては私が説明します」
そう言って助け船を出してくれたのは鈴仙さんだった。
鈴仙さんは咲夜さんの薬の事ーーそれを知られて見境なく襲って来た事ーーそして、私が死神を呼んだ理由を説明する。
「そんな事があったのかい?」
「ええ。だから、陰猫さんが全面的に悪い訳じゃないんです」
鈴仙さんの言葉に小町さんは頷くと私の肩に手を置く。
「厳しい事を言って悪かったね?」
「いえ。寧ろ、小町さんには咲夜さんを助けて貰って感謝している位ですから」
「そうかい。なら、良いけど、もう一度だけ言うよ?
二度と死神の傀儡なんてものを呼ぶんじゃないよ?
そう言うのは本当の死神の仕事だからね?」
「はい。色々とすみませんでした」
小町さんは微笑むと私達に背を向けて歩き出す。
「それじゃあ、あたいはこれで失礼するよ。
精々、あたいの厄介にならない様に長生きしなよ?」
小町さんはそう言うと姿を消す。
それを見送ると霊夢が私達の方を向く。
「それじゃあ、私達も行きましょう?鈴仙、立てる?」
「はい。大丈夫です」
鈴仙さんはそう言って刺さったナイフを抜くとテキパキと軟膏を塗ったガーゼを傷口に当て、クルクルと包帯を巻く。
流石は永遠亭で八意永琳の助手をするだけある。医療処置が素早い。
「咲夜さんは私がおぶります」
「そう?なら、頼んだわよ?」
そう言うと鈴仙さんと霊夢で私の背中に気を失った咲夜さんを乗せる。
人をおぶる事なんて何年ぶりだろう?
私は久々に感じる人の重みを感じながらヨタヨタと歩いて行く。
「何をヨタついているのよ。情けないわね?」
「ご、ごめん。人を背負うなんて本当に久々だからーーっとと!」
そんな私を見て霊夢は溜め息を洩らすと私の背後に回り込み、おぶっている咲夜さんを支えてくれる。
「あ、ありがとう、霊夢」
「良いから行くわよ。鈴仙も適当について来なさい」
「はい」
鈴仙さんは怪我をした足を庇う様にひょこひょこと歩きながら私達の後について来る。
それにしても咲夜さんの件、レミリアお嬢様になんて言おう?
私はそんな事を考えながら、咲夜さんを背負いながら廊下を歩いて行く。
【チートカウンター】
陰猫(改)がなろうで書いた短編のキャラクター。
例えるなら運営側の刺客である。
あらゆる攻撃をチート攻撃を無効化し、その対象の魂を狩る。
本人は至ってマイペースだが、仕事は真面目にこなしている。
本来は転生、転移をして堕落した輩の魂を狩り、改めて、裁判に引きずり込むのがメインである。
紅魔館、短期バイトでR部分をハーメルンだけでも強調するかどうするか悩んでます。私と美鈴さんのエチエチ見たい人っています?
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見たい
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見たくない