(uωu*)
しばらくして私は上体を起こすと偏頭痛のする頭を押さえながら隣で布団にくるまりながら眠る美鈴さんを見詰める。
布団には美鈴さんが初めてだった証が残されている。
「美鈴さん。起きてますか?」
「……」
私は美鈴さんに尋ねるが返事はない。
「何故、こんな事を?」
「……言わないと解りませんか?」
美鈴さんはそう言うと布団で胸元を押さえて上体を起こす。
その仕草は魅力的だが、私は気恥ずかしくなって頬を掻きながら視線をずらす。
先程まで、あれだけ美鈴さんの裸を見ていたと言うのに……。
そんな私に美鈴さんはうっすらと頬を上気させて私の頬にキスをする。
「貴方を好きになってしまったからです」
「……美鈴さん」
「貴方のいるこの一時(ひととき)で構いません。その間だけでも私の事を愛して下さい」
「……こんなに女性に迫られたのは初めてなので、なんと返答して良いか解りませんが、私なんかで良ければ」
「ーーっ!?ありがとうございます!!」
そう言うと美鈴さんはポロポロと涙を流す。
「あれ?なんでだろう?嬉しい筈なのに涙が……」
「美鈴さん」
私は優しく美鈴さんの頭を抱き、涙を流す美鈴さんの髪を撫でる。
正直、まだ美鈴さんを其処まで好きかなんて解らない。
でも、身体を交わらせたのは事実だし、此処はキチンと男として責任を取ろう。
私はそう心に誓って、美鈴さんの唇にキスをして押し倒す。
私程度の力なら美鈴さんが押し返すのは容易いだろう。
つまり、抵抗しなかったと言う事は美鈴さん本人も望んでいると言う事だ。
さっきの続きをーー。
「お楽しみの所、申し訳ありませんが、宜しいですか?」
「ーーっ!?さ、咲夜さん!?」
ーーと咲夜さんが現れ、私は慌てて美鈴さんから離れると美鈴さんも慌てた様に布団に潜り込む。
「美鈴が戻って来ないから妖夢が暑さでバテてしまいました。
至急、美鈴を返して欲しいのですが」
「……あ、はい」
「それと食事をとられてませんね?
陰猫さんは食事をとってから紅魔館の仕事に戻って下さい」
「解りました」
私は咲夜さんに頷くと服を着直す。
咲夜さんはその間、ベッドに潜り込んだまま、恥ずかしそうにしている美鈴さんに視線を移し、彼女に声を掛ける。
「貴女も恥ずかしがってないで早く着替えなさい」
「えっと……はい……解りました」
美鈴さんはそう言うと布団の中で下着を身に付けてからベッドから起き上がり、いつもの服に着替え始める。
着替えるのは美鈴さんの方が早かった。
「それでは行ってきますね、咲夜さん!それに陰猫さん!」
「はい。美鈴さんも気を付けて」
「陰猫さんも」
そう言うと美鈴さんは私に近付き、唇にキスをする。
「元気になるおまじないです!それじゃあ!」
美鈴さんはそう言って明るく笑うと私の部屋から出て行く。
私はそれを惚けた顔で見送った。
「随分と見せ付けてくれますね?」
「……え?あ?……なんか、すみません」
「まあ、別に良いのですけど、陰猫さんと距離を取る様にお嬢様からお伝えしたら、まさか、美鈴がこんな強引な手で来るとは思いもしませんでした」
「私も少々驚いています。まさか、あの美鈴さんに此処まで迫られるとは思わなくて……」
「本当に……美鈴の片想いで終わると思ってましたのに……」
咲夜さんはそう言うと美鈴さんが嬉しそうに去って行った方を見詰める。
なんかんの言いつつ、咲夜さんの顔からは憑き物でも落ちたかの様に柔らかい物だった。
まるで、こうなる事を喜んでいるかの様に……。
そんな私の視線に気付いたのか、咲夜さんはいつもの表情に戻ると此方に向き直る。
「それでは陰猫さんの食事が終わった頃にまた」
「はい。解りました」
私は部屋を後にする咲夜さんにそう言うと冷めてしまった昼御飯ーー肉まんとあんまんだったーーを頬張る。
これ、美鈴さんが作ったんだろうか?
冷めてしまったのにもちっとしてジューシーだ。
私は先程まで美鈴さんと一緒にいたベッドに視線を移す。
あんな経験は生まれて初めてだった。
きっと元の世界に戻っても味わう事はまず、ないだろう。
気を操る能力って、あんな風にも使えたのか……まあ、多くは語るまい。
これは美鈴と私だけの秘密にして置こう。
私はそんな事を思いながら昼御飯を済ませ、空になった食器を食堂で洗う。
ーーと、食べ終えたので咲夜さんを探していると外から何やら口論している声が聞こえる。
窓の一角から外を眺めると口論していたのは咲夜さんの様な銀髪の美青年だった。
咲夜さんの親族だろうか?
いや、咲夜さんにあんな家族はいない筈だ。
詳しくは聞き取れないが、どうやら、口論だと思っていたのは、その青年の一方的な罵倒らしい。
因みにそれを聞いていたのは美鈴さんだ。
美鈴さんはやんわりと青年を宥めるが、紅魔館の中へは入れようとはしなかった。
やがて、青年は一方的に罵倒し終えると踵を返し、その場から去って行く。
「あ、陰猫さん。此方でしたか……」
「咲夜さん。今の人は?」
「バイトの募集の方です。ですが、先程、お嬢様から募集終了の命を受けましたので、お帰り頂いた次第です」
「え?じゃあ、バイトの面子決まったんですか?」
「はい。私と陰猫さん、霊夢と妖夢です」
「……え?それだけですか?」
「はい。それだけです」
「いやいや、流石にもうちょっと人手を増やさないと負担が……」
「縮小して今の人数で事足りているだろうと言う判断らしいですよ」
「つまり、私は戦力に数えられているのか……正直、不安だな」
「安心して下さい。陰猫さんは私とペアで働く事になりますから」
「なら良いのですが……」
私は其処で言葉を切ると窓から、さっきの青年が去って行った方を見詰めた。
「先程の方、咲夜さんに髪の色が似てましたが親族か何かで?」
私のその問いに咲夜さんは首を左右に振る。
「いいえ。あの様な方は私の家族にいませんよ。時折、時系列の影響でアリスや霊夢の親族を名乗る方もいましたが、あの方自身も私とは関係無いと言ってますし……」
「そうですか」
「それよりも仕事に戻りますよ?」
「あ、はい。解りました」
私は咲夜さんに向き直ると頷き、踵を返して歩き出す咲夜さんの後を追う。
その際にもう一度だけ、チラリと青年の去って行った方を一瞥する。
私の思い違いなら良いが、あの青年、何かやらかしそうな気がしてならない。
何より特徴が私の考案中の十六夜境夜にそっくりだ。
「……まさかね?」
私は独り呟くと頭を振って咲夜さんを追う。
本当に何事もないと良いのだが……。
ーーー
ーー
ー
「くそっ!」
俺は小石を蹴り、人里を歩く。
この俺がバイトの面接を断られる等、夢にも思わなかったからだ。
何が"募集は終了しました"だ!
これでは幻想郷にまで来た意味がない!
俺は鈴奈庵と言う貸本屋に来ると車のタイムマシーンが活躍する本を手にするとそれを借りて店を出る。
そして、本を地べたに置くと車のタイムマシーンを具現化する。
俺の能力は本の内容を具現化する程度の能力だ。
この能力を使って、幻想郷と外の世界を手中に収めようと言うのにとんだ邪魔が入った。
俺はこの紅魔館にバイトとして雇われたと言う人物を消す為に過去へ遡ろうとする。
「見付けたわよ、十六夜境夜。いえ、そう呼ばれる筈の男と言う所かしら?」
そう呼ばれて振り返ると無数の目が存在する空間から女が二人現れる。
「こいつが危険人物なの、紫?」
「ええ。そうよ、霊夢。幻想郷と外の世界を両方、支配しようとする悪い奴よ」
俺は眉を潜め、お払い棒を振るう紅白の巫女を睨む。
何故か解らんが、俺の計画がバレてるらしい。
それにしても十六夜境夜か……悪くない名前だ。
今度からそう名乗る事にしよう。
もっとも、次があればだが……。
「まあ、こんな奴、ちゃっちゃと片付けちゃいましょう」
「笑わせないで下さいよ。俺の能力も知らないくせに」
俺がそう言うと紅白の巫女が鼻で笑う。
「あんたの能力は本の内容を具現化する程度の能力でしょう?紫から聞いたわよ?」
「なっ!?」
困惑している間にお払い棒でタイムマシーンが破壊される。
こいつはまずい!
俺は懐からクトゥルフ神話を手にすると本の内容に記された旧世界の支配者達を具現化する。
「申し訳ありませんが、その者達の相手をして下さい」
俺はそう言うと踵を返して旧世界の支配者達の登場でパニックを起こす人々の中へと姿を眩ました。
それにしても、何故、計画がバレたのか……。
此処は一旦、外の世界から様子を窺った方が良いかも知れないな。
過去へ遡る手段も何処で情報を入手されたか解らない以上、迂闊にしない方が良いかも知れん。
「マルファス」
俺は烏に扮した悪魔を呼び出すとこの周辺を探らせ、外の世界へと戻る。
この幻想郷とやらを知ったのは随分と前だが、此処との境界を如何に突破するかが悩みの種だった。
強引に突破する方法も考えたが、此処まで念入りだと逆に罠が仕掛けられている可能性も捨てがたい。
そう言う理由で俺は感付かれる事なく、この世界にやって来た。
ーーだと言うのに、こうもあっさりと見付かるとは。
だが、外の世界に出た俺を追って来ないと言う事は居場所までは感付かれている訳でほないのだろう。
いずれにしろ、幻想郷の情報をもっと集めるべきか……。
それとバイトに選ばれた奴を殺さなければな。
このままでは腹が立つと言うのもあるが、姿を変えれば、例の館に入る方法もあるだろう。
俺はそう思案しつつ、自分のアジトへと向かう。
紅魔館、短期バイトでR部分をハーメルンだけでも強調するかどうするか悩んでます。私と美鈴さんのエチエチ見たい人っています?
-
見たい
-
見たくない