俺は使い魔からの連絡を受け、再び幻想郷に舞い戻ると二人の女と共に歩く執事服を着た男を見据える。
奴さえ居なければ、俺が紅魔館とやらの執事になっていたのに……。
それにしても、他の二人と違って素人丸出しだ。
何故、あんな奴が選ばれたのか解らんが、暗殺は容易そうだな。
俺は外の世界から持ち出したサイレンサー付きの拳銃を手にし、物陰から奴に照準を合わせようとする。
「そこだ!」
俺が男に銃を向けるより先に女の一人がそう言って、ドッチボール大の光る球体を投げ付けた。
「ーーっ!?」
俺はそれを咄嗟に転がる事で回避するとその女に銃を向ける。
ーーと、その銃が何かに弾かれる。
「ようやく、現れたわね?」
手を押さえて振り返ると以前、俺に敵対した紅白の巫女が札を手にして空中からフワリと降り立つ。
「終わりよ。無駄な抵抗は止めときなさい」
「舐めないで下さいよ、紅白の巫女。俺の野望は全てを支配する事……そう簡単に此処で諦める訳には行きません」
そう言って俺は無事な手で本を取り出そうとする。
銃弾がその手にめり込んだのは次の瞬間だった。
「うぐあっ!」
苦痛に身をよじると俺は二丁の銃剣を持つ怪しげな黒いロングコートを羽織ったサングラスの男を睨む。
まだ伏兵がいたか……。
これ以上は流石に不利だ。
俺は再び外の世界へ逃げようとする。
「もう逃がしはしないわよ、十六夜境夜」
そう言って俺が振り向き直った先から現れたのはあの紫色のドレスを着た女だった。
万事休す、か……。
だが、まだ終わった訳ではない。
手札はまだある。
「マルファス!」
俺が叫ぶと人間の里のカラスが一斉に俺を囲んでいた奴等を襲う。
「うわっ!何よ、このカラス達!?」
「これはマルファスと言う烏の悪魔の能力です!このカラスを産み出す悪魔が何処かにいる筈です!
美鈴さん、気を探って下さい!」
マルファスの産み出したカラスの事を知ってるとは……。
素人丸出しだとは思っていたが、迅速な対応が出来るだけ、紅魔館とやらが雇った奴なだけの事はある。
だが、それだけだ。
俺は銃弾を喰らっていない手で悪魔辞典を懐から取り出そうとする。
「我は魔を払う風なり」
そんな声が聞こえ、あの一際怪しいサングラスの男が眼前に立ち、その右足が俺の脇腹を捉えたのは次の瞬間だった。
肋骨がベキベキと粉砕され、俺は二転三転しながら地面を転がる。
「ごふっ!かはっ!」
激痛に身をよじりながら俺は吐血すると俺をぶっ飛ばしてくれた男を再度、睨む。
こんな男の情報はない。
マルファスの役立たずめ。
本は吹き飛んだショックで手元から落としてしまい、そのマルファスも葬られたらしい。
「終わりだ、十六夜境夜」
サングラスの男は銃剣を向けると静かに呟く。
「……まだですよ」
そう返すと俺は地面にピンを抜いたスタングレネードを落とす。
男が咄嗟に顔を庇うのに合わせて、俺は外の世界へのゲートを開くと転がり込む様に中に入る。
閃光と悲鳴を聞きながら、俺は起き上がって身体を引きずりながら、外の世界へと通じるゲートを潜る。
完全に油断した。
だが、もう油断はしない。
俺は医療道具を具現化し、治療を開始しようとする。
次の瞬間、銃弾を喰らった腕が破裂した。
「ぎゃああああああぁぁぁーーっっ!!」
俺は血を噴出しながら手先から腕の無くなった右手を押さえて転がる。
くそ!くそ!くそ!くそ!くそ!くそ!くそ!くそ!くそ!くそ!くそ!くそ!くそ!くそ!くそ!くそ!くそ!くそ!くそ!くそ!くそ!くそ!くそ!くそ!くそ!くそ!くそ!くそ!くそ!くそ!くそ!くそ!くそ!くそ!くそ!くそ!くそ!くそ!くそ!くそ!くそ!くそ!くそ!くそ!くそ!くそ!くそ!くそ!くそ!くそ!くそ!くそっ!
あのサングラスの男め!絶対許さん!
俺は歯を食い縛りながら起き上がると満身創痍な身体を引きずり、アジトへと向かう。
あの女達もだ!
今度あったら死より辛い屈辱を味合わせてやる!
俺は復讐を誓いながら簡単な治療を済ませ、本に埋もれたアジトに戻ると某死神代行が活躍する漫画のヒロインの一人を具現化して、腕と肋骨の再生を試みる。
腕と肋骨が再生をすると俺は幻想郷へと侵略する為の本を選ぶ。
もう、なりふり構ってはいられない。
俺の物にならない幻想郷など、この世から消してやる!
俺は本を選び終えると再び幻想郷へと侵入する。
そして、怪盗の出てくる本の能力を使って髪の色を黒く染め、姿形を変えて変装し、里の住人になりすまして稗田阿求とか言う小娘の情報を得る。
この娘、幻想郷の事柄を全て書き記していると聞く。
なら、その本を奪えば、この世界で起きた事件やクーデターを再現出来る。
そうなれば、此処はとんでもないパニックになるだろう。
俺はギリシャ神話のモンスターを呼び出し、里が再び混乱するのを見計らって稗田家に侵入した。
「誰!?」
「これは……丁度良い。人質になって貰いましょうか……」
俺は小柄な小娘を捕まえるとその喉元にナイフを押し当てる。
「貴方、外来人ですか?こんな事をして、タダで済むとーー」
「もうタダで済んでいないのでね。後先、考えてられないのですよ」
俺は小娘にそう言うと幻想郷縁起と呼ばれる様々な事件の載った歴史書を手にする。
「これは……クックッ。面白い」
「貴方、何者?」
「俺の名は十六夜境夜。幻想郷の新しい支配者です」
「ーーっ!?」
俺は小娘を突き飛ばすとその艶かしい足を見る。
おかっぱに身なりの良い格好。
此処まで散々な目に合ったんだし、憂さ晴らしでもするか……。
「少し楽しませて貰いましょうか?」
「何をする気ですか?」
気丈に振る舞う小娘に俺はゆっくりと近付く。
言葉とは裏腹に何をされるか理解しているのだろう。
その冷静さの中に怯える子犬の様に可愛いものが、またそそられる。
こう言う展開は俺の趣味に合っているな。
だが、そこで邪魔が入った。
「阿求!」
「霊夢さん!」
「ちっ!もう感付きましたか!」
「博麗の巫女を甘くみない事ね!姿形を変えても仕草まではなかなか変わらないものよ!」
紅白の巫女はそう言って、また札を投げて来ようとする。
この巫女、勘がやたらと鋭い。
俺は阿求と呼ばれた小娘を盾にして突き飛ばすと紅白の巫女が小娘を抱き止めた隙を突いて、脇腹にナイフを突き立てる。
「ーー痛っ!?」
「霊夢さん!」
俺はナイフをグリグリとかき回して阿求と言う小娘と一緒に蹴り飛ばす。
「散々手こずらせてくれましたね?ーーでも、此処までですよ」
「霊夢!阿求!」
邪魔者の紅白の巫女にトドメを刺そうとすると今度はあの紫のドレスを着た女が入って来た。
この流れだと他の連中が来るのも時間の問題だろう。
そう判断した俺は紅白の巫女の異変に気を取られているドレスの女と入れ違いに家を飛び出し、異変と呼ばれた事件を片っ端から具現化して行く。
具現化すると周囲が赤い霧に覆われ、真夏だと言うのに雪が降り、途端に夜になる。
そうして、様々な異変と呼ばれる大きな事件が起こり、人里が神話の化け物達と相まって更に混乱する。
そうだ!もっと壊れろ!
俺はうっすらと笑うと混乱する人里を歩いて行く。
此処から壊れる様を存分に堪能させて貰おう。
どうせ、奴等は俺と争っている場合ではない。
俺は舌舐めずりしながら、更に道を歩く。
かつての自分たちと戦い、消耗した女どもをなぶりものにする。
奴等の屈辱と泣き叫ぶ顔が目に浮かぶ。
これは最高のショーになりそうだ。
ーーー
ーー
ー
「ついに起こってしまったわね、以前まで起きた全ての異変が……」
赤い霧が出て、夏だと言うのに急に寒くなり、赤く丸い大きな月が夜空に浮かんだかと思うと後からやって来たレミリアお嬢様がそう呟く。
霊夢は境夜を止められなかったのか……大丈夫だろうか?。
そんな事を考えていると唐突にレミリアお嬢様が私に振り返る。
「陰猫。貴方は元の世界に帰りなさい。此処から先は貴方の手には終えないわ」
「そんな!こんな形で皆と別れるなんてーー」
「境夜が異変が起した以上、私達は過去の私達を止める必要があるの。
その前に境夜をどうにかしたかったけれど、どうやら、タイムアップらしいわ」
「だからって……」
私が言葉を詰まらせていると美鈴さんが私の肩に手を置く。
「お嬢様の言う通りにして下さい、陰猫さん」
「美鈴さんまで……」
「大丈夫ですよ!今の私達は昔の私達とは違うんですから!」
そう言って美鈴さんは無理に元気に振る舞い、私の唇にキスをする。
「元気になるおまじないです!あっちに戻っても私達の事を忘れないで下さい!」
美鈴さんがそう言って離れるのと同時に紫さんが出血した脇腹を押さえる霊夢を抱き抱えながらスキマから現れる。
「霊夢!?」
「大丈夫よ。永琳の作った薬を塗ったから、すぐに良くなるわ」
私の叫びに紫さんはそう答えると此方を見詰めた。
「陰猫さん。今から異変解決の為に忙しくなるの。もう紅魔館の職場改善云々なんて言ってられないわ」
「ですが……」
「言った筈よ。貴方に異変の解決は期待しないと……」
紫さんはそう言うと元の世界の私の部屋へと通じるスキマを生み出す。
「さあ、戻りなさい。貴方の本来、あるべき世界に」
その言葉に私が頷けずに立ち尽くしていると誰かが私の背中をドンと押す。
振り返るとそれは美鈴さんだった。
「さようならです、陰猫さん。この数週間、貴方の恋人になれて良かったです」
「美鈴さん!」
「彼方でもお元気で」
そう言って私はスキマの中へと無理矢理押し込まれ、元の世界へと戻る。
紅魔館、短期バイトでR部分をハーメルンだけでも強調するかどうするか悩んでます。私と美鈴さんのエチエチ見たい人っています?
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見たい
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見たくない