プロローグ.陰猫(改)再び
繁忙期になると私は無性に働きたくなる性質があるらしい。
それと紅魔館でまた働きたい欲求が出た事も相まって、私は再び幻想入りした。
幻想郷ーー忘れ去られた妖怪や神と人間が住まう楽園のような場所。
私が感じた幻想郷のイメージはそんなところだ。
「どう?久し振りに来た幻想郷の感想は?」
「そうですね。『変わらないなあ』とかですかね?」
私は紫さんにそう告げると霧の湖の先にある紅魔館を眺める。
本当に此処は何も変わらない。
そう云う概念の元にあるのだから、そうなのだろが、それでも色々と物思いに耽ってしまう。
そう。私ーー陰猫(改)はかつて、この幻想郷に来た事がある。
ここは無数にある人々の思い描く幻想郷の一つである。
そして、この世界を思い描き、話を綴ったのは私ーー陰猫(改)である。
これは私による私だけの物語の続き・・・もう、二度と交わる事がないと思っていた運命の話。
「今度はどれ位の期間いられるんですか?」
「それは貴方次第よ、陰猫さん。前回と違って、今回は貴方の強い願望が幻想郷と繋がった。
だから、貴方がいつまで此処に留まれるかは神のみぞ知る事よ」
紫さんはそう言うとクスリと
微笑む。
紫さんこと、八雲紫と呼ばれる幻想郷の賢者に幻想郷に連れて来られたのが、かつてのきっかけである。
その理由については簡単に説明してしまうと咲夜さんの補佐兼アドバイザーとして短期間のアルバイトとして幻想入りしたからと云うものだ。
それについては紅魔館で待つレミリアお嬢様に挨拶してから話をするとしよう。
まずは紅魔館へと向かうのが先決だろうから。
私自身、彼女に会わなければならないと思っているのだから。
彼女と云っても、レミリアお嬢様の事ではなく、その門番である紅美鈴さんの事だ。
彼女とはもう一度、話がしたい。
仕事をした仲であると同時にそれ以上の関係となったが故に・・・。
それについても語らなければ、ならないだろうから後程にしよう。
思考が脱線してしまった。
いかんいかん。まずは紅魔館へと向かう事に集中しなくては。
私は雑念だらけの思考をする頭を振ると紫さんに顔を向けた。
「それではお願いします、紫さん」
「ええ。それじゃあ、行きましょうか」
そう言って紫さんがスキマと呼ばれる空間を作ると私達はその中へと入る。
説明は不要だと思うが、初めての方もいるだろうから説明しておくと紫さんは境界を操る程度の能力を持つ大妖怪である。
可憐な金髪美少女の姿をしているが、彼女のように一見、か弱そうな女性が半端なく強かったりするのが、この幻想郷と云う場所だ。
そんな紫さんの作り出した境界のスキマの中へと入ろうとした直前、紫さんが「ああ。そうだったわ」と呟いて此方に振り返る。
「改めて、お帰りなさい、陰猫さん」
その言葉に私は「はい」と笑って返し、頭を下げる。
「また宜しくお願いします、紫さん」
私達は互いに微笑むと紅魔館の前へと出る。
そんな紅魔館の門の前に来ると彼女が佇んでいた。
相変わらず、赤い髪が似合う美女だ。
自分には勿体無い位の・・・。
彼女は此方に気付くと色々な感情の混じった顔で私を見てくる。
嬉しそうな怒っているような・・・それでいて泣きそうな・・・。
こんな時、どんな顔をして良いか解らず、私は視線を逸らして首を撫でる。
相変わらず、私は女性の涙に弱いらしい。
そんな私がもう一度、チラリと視線を戻すと彼女の顔が間近まで迫っていた。
そして、そのまま、抱き締められる。
ああ。この独特の甘い香り・・・本当に懐かしい。
「お帰りなさい、陰猫さん」
「あっと、ただいまです、美鈴さん」
私達はしばらく、時が止まったかのように抱き締め合う。
それは紫さんが「お熱いわね?」と茶々を入れるまで続いた。
そこでようやく、私と美鈴さんは我に返り、慌てて離れる。
そんな私達に紫さんは「気を遣わなくて良いのよ?」と言ってクスクスと微笑む。
そう。私と美鈴さんこと紅美鈴は特別な関係である。
友人以上恋人未満だった仲だったのが、ひょんな事から、それ以上の関係になった。
私自身、それに対して、まだモヤモヤしているが、責任は取るつもりだ。
美鈴さんは照れたように微笑みながら視線を私から逸らすと頬を指で掻きながら「すみません」と笑う。
「つい、感極まってしまって・・・まずはお嬢様に挨拶からですよね」
そう言うと美鈴さんはもう一度、此方に顔を向け、満面の笑みを浮かべた。
「ようこそ、紅魔館へ」
紅魔館、短期バイトでR部分をハーメルンだけでも強調するかどうするか悩んでます。私と美鈴さんのエチエチ見たい人っています?
-
見たい
-
見たくない