地下の大図書館は相変わらず、古い本の独特の香りがしていた。
ここは魔導書から外の外来本まで幅広く扱っている。
書籍化して来た偉人達の本で溢れ返っているので内心、ワクワクしている。
中央の大広間でパチュリー様は相変わらず、眼鏡を掛け、分厚い本を読んでいた。
此方にはほとんど目すら合わせないようとしない程、本に夢中になっている。
そして、その後ろには山積みにされた本がそびえ立っていた。
「来たわね?」
パチュリー様は相変わらず、本から目を逸らずに此方に告げる。
「私は読書に忙しいから詳しい事は小悪魔に聞いて頂戴」
「はい。わかりました」
私はパチュリー様に頷くと慌ただしく本を運ぶ赤いロングヘアーの小悪魔さんに振り返る。
「小悪魔さん」
「あ、陰猫さん!手伝ってくれるんですね!」
「ええ。微力ながら、お手伝い致します」
小悪魔さんは嬉しそうに「助かります!」と告げると私の前にパチュリー様の読み終えた本の山の一部を持って来る。
「では、この本を1680番棚に締まっておいて下さい。
それから、此方の本は2013番の棚にーー」
「ちょっーー待って下さい。
流石にこんなに膨大な本の配置を覚えきれませんよ。
せめて、メモをさせて下さい」
私は小悪魔さんにそう言うとパチュリー様から万年筆とメモを借りて自分なりに本の整理する棚を記して行く。
以前、来た時、大図書館の空間はパチュリー様の魔術で拡張されていると聞いた筈だが、まだ本が増える度に増えているのであろうか?
とりあえず、整理すべき本の棚についてはメモをしたし、早速、行動するとしよう。
まずは手近な棚から整理して遠くにある本は後回しにするか・・・。
私は本の山を小悪魔さんと共に運ぶのを開始する。
本を整理して気付いたが、大図書館の本棚は著者の名前順に整理され、発刊した日付を元に棚に入っているらしい。
日本語で書かれた物は良いが、外国の本の整理は私の管轄外なので、そこは小悪魔さんに声を掛けて任せる。
こうやって作業していると小悪魔さんの記憶力の凄さがよく解る。
彼女は様々な文字に対応して本を整理しているのだな。
どうやら、鈴奈庵の本居小鈴と違い、文字の形で覚えているらしい。
凡人の私には出来ないやり方である。
私は五十音に並べる位しか出来ない。
しかも、難しい漢字の読みはお手上げだ。
手伝いに来たのは良いが、小悪魔さんの足を引っ張ってないか不安である。
「小悪魔さん、この漢字がなんて書いてあるか解りますか?」
「どれどれ?・・・はい!私も読みまでは解らないので、それっぽい漢字のところにお願いします!」
読めんのかい!ーーと思わず、ツッコミ掛けたその言葉を飲み込み、私はそれっぽい漢字の棚に本を入れて行く。
ーーって、この本はライトノベルじゃないか?
本当に色々とあって整理が大変である。
最近のライトノベルまであって整理する本の棚の高さも異なるので作業するのも一苦労だ。
とりあえず、三回目の本の整理を終えたところで私は小悪魔さんから「少し休憩しましょう」と言う言葉に甘え、一息吐く。
その頃にはパチュリー様の後ろにある本の山は半分以下になっていた。
その大半は小悪魔さんが作業した結果だが、私も役に立っているのだろうか?
「それにしても、パチュリー様は凄いですね。あの積み上げられた本の山もそうですが、文字とか種類が違うのにあんなに沢山読み耽っているんですから」
私がそう告げると小悪魔さんは笑って「まさか」と何故か否定した。
「いくら、パチュリー様でも本の文字や意味まで解る訳ありませんよ。
この前もアレとかコレとかこんなイラストの本とか大雑把過ぎて本の捜索が大変だったんでしたから」
悪意はないんだろうが、小悪魔さんの苦労話を聞いていると大変なんだなと思えてくる。
しかし、パチュリー様でも読めない本があるのか・・・。
知識は豊富でも、やっぱり、そう言うのは難儀にしているところなのだろう。
一度見た物を忘れない程度の能力を持つ稗田阿求や普通には読めない文字を手をかざしただけで読める本居小鈴とは違うらしい。
その辺りは親近感が湧いて来る。
ん?そうなるとちょっと待てよ?
「読めないのにどうやって、あんなに沢山の本を読んでいるんですか?」
「ああ。やっぱり、気になっちゃいますよね?」
小悪魔さんは苦笑するとパチュリー様の読み方の種明かしをしてくれる。
どうやら、誰かにこの話の種明かししたくてなかったようだ。
「外来本の場合は鈴奈庵で解読して貰ってから読んでいるんですよ。
魔導書の場合ですとアリスさんや魔理沙さんに助力を求めて何とか解読するって事をしているようですね。
最近は命蓮寺にも魔法使いがいるらしくて解読に一役買っているんだとか・・・」
「へえ。そうなんですか」
「パチュリー様もあんな感じじゃないですか?ーーそろそろ、日陰少女から脱却して欲しいです」
「聞こえているわよ、こあ?」
パチュリー様の言葉が聞こえたのか、小悪魔さんも慌てて口を押さえるが、時既に遅い。
ああ。因果応報ーーと言いたいが、彼女は彼女なりにパチュリー様を心配して言っているのだ。
先程も言ったが、悪気があって陰口を叩いている訳ではないのだろうーーとは言え、何とフォローすべきだろうか?
そんな事を考えていると爆風が生じる。
何事かと思えば、当然の如く、普通の魔法使いを名乗る霧雨魔理沙がやって来たのだった。
「あああああぁぁぁっっ!?
苦労して整理した本が!?」
小悪魔さんが思わず、悲鳴に近い叫びを上げ、豪快に現れた魔理沙を睨む。
「白黒の泥棒!今日こそ許さないんだから!」
「オッス、小悪魔!今日も本を借りに来たぜ!」
「借りに来たんじゃなくて盗みに来たんでしょ!?
いい加減、返しなさいよね!?」
「人聞きが悪いな!盗んでいるんじゃない!
死ぬまで借りているだけだ!」
そんなやり取りをすると小悪魔さんと魔理沙の弾幕勝負が始まる。
ーーって、ヤバい!
見とれている場合じゃなかった!
私は急いで近くの本棚に避難する。
弾幕勝負は幻想郷での所謂、ごっこ遊びだーーとは言え、それは命懸けの行為で何の能力もない私には出来ない危険な遊びである。
見ている分には花火のように綺麗だが、当たれば、死ぬほど痛いらしい。
そんな物には当然、当たりたくはない。
私は全力で避難した。
幸い、弾が当たる事はなかったが、かなり冷や冷やした。
そんな騒ぎを聞きつけ、パチュリー様も動く。
パチュリー様は私が間近まで迫ると防護結界を張ってくれた。
「そこでジッとしてなさい。結界内にいれば、多少の無茶にも耐えられるでしょうからね」
パチュリー様はそう言うとゆったりとした足取りで小悪魔さんと魔理沙さんの弾幕勝負を間近で観察する。
私も余裕が出てきて観察するが、明らかに魔理沙は前以上に強くなっている。
いや、前回は出会い頭にマスタースパークなんぞ放たれたから、その技量までは解らないが・・・小悪魔さんがいとも容易く翻弄されているのが理解出来る。
そして、そんな魔理沙からは明らかに余裕を感じた。
それだけ、彼女は強くなっていると言う事なのだろう。
小悪魔さんも手も足も出ず、魔理沙の放つレーザーで被弾してボロボロになって行く。
それでも小悪魔さんは頑張る。
しかし、力量の差は無情にも埋まらない。
「よく解らないけれど、今日はしつこ過ぎだぜ、小悪魔!」
「そこまでよ、魔理沙」
健気に頑張る小悪魔さんを見かねたのか、それとも焦れた魔理沙が代名詞であるマスタースパークを使おうとしたのを察したのか、パチュリー様が止めに入る。
「一般人がいるのにマスタースパークなんて放たないで頂戴。
彼は大事な使用人であり、客人なのだから」
「ん?彼?」
そこでようやく、魔理沙は私の存在に気付いてくれた。
パチュリー様の結界を信じてない訳ではないが、マスタースパークなんて放たれた時にはエラい目に遭遇しそうなので、パチュリー様が制してくれたのは本当に助かる。
「彼に免じて今日は特別よ。本なら好きなのを持って行きなさい」
「なんだよ。張り合いがないな」
魔理沙はブツブツと言いながら本を探しに地下図書館を見て回り出す。
紅魔館、短期バイトでR部分をハーメルンだけでも強調するかどうするか悩んでます。私と美鈴さんのエチエチ見たい人っています?
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見たい
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見たくない