「申し訳ありません、パチュリー様。
また白黒の泥棒に本を盗られてしまいました」
「気にしなくて良いわ。貴女はよくやっているもの。
それに今回は文字通り、本を貸すだけなのだから」
パチュリー様はそう告げると大図書館の惨状を眺めた。
あー。折角、小悪魔さんと整理した本がぐちゃぐちゃだ。
いや、散乱している分、さっきよりも大変かも知れない。
「悪いのだけれど、本の整理をお願いするわ。
私は魔理沙に注意して来るから」
「素直に聞き分けてくれますかね?
いつも、あんなに大胆に現れて本を散らかしたり、盗んで行くのに・・・」
「彼がいる間は問題ないでしょう。ただの人間に攻撃する程、彼女も野蛮ではないわ。多分だけれどね?」
パチュリー様は小悪魔さんにそう言う踵を返して元の位置に戻って行く。
・・・そう。"多分"なんだよなぁ。
私の記憶に魔理沙に出会い頭にマスタースパークを放たれた事が過る。
今回はスペルカード擬きがないので彼女が十八番のスペルカードを使っていたら、どうなっていたのやら。
先程も言ったが、パチュリー様の防護結界を信用してない訳じゃないのだが、それだけ魔理沙が力を蓄えて来たのだと理解してしまったので不安になってしまうのだ。
これも日頃から血の滲むだけの努力をしている霧雨魔理沙の結果なのだろうか?
私はそんな事を思いながら、小悪魔さんと一緒にせっせと本の整理に努める。
本当にパチュリー様の防護結界に護られている筈の本棚から本が落ちるだけの衝撃って、どんなのなんだろう?
異変解決の主役の一人なだけあって、やはりと言うか、その力は侮れるものではない。
そうこうしている内になんとか整理を終えた。
「遅いぞ、小悪魔!早く客に紅茶を持って来いよな!」
ボロボロにして散乱した本の整理までさせて、このふてぶてしさは怒りを通り越して、ある意味、清々しさを覚える。
小悪魔さんの方は怒り心頭中で顔を真っ赤にしていたので、そうでもなさそうだったのだが、パチュリー様が「私のもお願いね?」と告げられたので意気消沈したようにガックリと肩を落として項垂れてしまう。
本当に彼女は苦労性で不憫になる。
小悪魔さんは「わかりました」と言って項垂れながら、トボトボと開いて、その場を後にする。
「魔理沙。あんまり、小悪魔さんに迷惑を掛けたら駄目だよ。
少しは小悪魔さんの頑張りも見習わないと」
「甘いぜ、陰猫!紅魔館はある意味、ダンジョン探索なんだぜ!そんなんじゃ、お宝が逃げちまうぞ!」
私は出来るだけ穏便にそう魔理沙に言うが、彼女が聞き入れる事はなかった。
彼女の中では紅魔館へ侵入する事自体が冒険の一部になっているのだろう。
パチュリー様も呆れているのか、それともそれが当たり前になっているのかまでは解らないが、最早、ツッコミを入れる事すらしない。
「それでも私がいる間は大人しくしてくれると嬉しいな。今回は前回と違うからさ」
「ああ。そうなんだってな?ーーってか、本当に久し振りだな、陰猫!」
今更ながら魔理沙は私が戻って来た事を歓迎してくれる。
彼女も根は良い子なので解って貰えれば良いのだが・・・。
「元気そうで本当に何よりだぜ!」
「魔理沙も相変わらずだね?」
「おう!魔理沙さんは元気なのが取り柄だからな!」
彼女は明るく笑うと「それでだけど」と真剣な表情でパチュリー様に顔を向ける。
「あのスペルカードを渡してないって、どう言う事なんだ?
身を守る為にも、あれは必要だろ?
その為に私やアリスが協力したんじゃないか?」
「ええ。そうね?」
パチュリー様は魔理沙が持って来た本を観察しながら彼女の言葉に素っ気なく答える。
「レミィ曰く、彼にあのスペルカード擬きを渡すのは危険だそうよ」
「対抗手段がない方が危険だろ!?」
「一理あるけれども、文句はレミィに言いなさい。
私も詳しい事まではレミィから聞いてないのだから」
そう告げるとパチュリー様は本の一番最後のページにあるカードにスタンプを押す。
「ふぅ。これで良いわ」
「そのスタンプはなんなんですか?」
私が問うとパチュリー様は「ああ。これ?」と応えた。
「ここは一応、図書館よ。なら、貸し出しの手続きは必要でしょ?」
「あー。言われて見れば、そうだな」
「加えて、どこぞの誰かさんが返しに来ないのを見越して転移の魔法を施してあるの。
一定の期間が過ぎると自動的に本がこの図書館に戻って来る仕組みになっているわ」
その言葉に魔理沙は「マジか!?」と叫ぶ。
「そんな便利な事してんだったら最初から言えよ!ーーあれ?でも、私が今まで借りた本はそのままだよな?」
「それは貴女がいつも正規の手続きしないからでしょう?
だから、今までの分はしっかりと貴女の手で返しなさいよね?」
パチュリー様が魔理沙を睨むと魔理沙は何処吹く風か、「へいへい」とだけ返す。本当に解っているのか怪しい。
小悪魔さんが紅茶の準備を整えて戻って来たのはその直後であった。
ボロボロだった服もまた元に戻っているし、恐らく、着替えも済ませて来たようだ。
「パチュリー様。お茶の準備が出来ました」
「ええ。ご苦労様ね、こあ」
パチュリー様は小悪魔さんを労うとカップに入った紅茶を口に含む。
魔理沙も本をバッグに入れながらカップに手をつけるとゴクゴクと飲み干す。
私は小悪魔さんが気を利かせてくれたのか、昨夜に飲んだ代用コーヒーを持って来てくれる。
「陰猫さんはこれで良かったんですよね?」
「ええ。ありがとうございます」
私は小悪魔さんにお礼を言うとカップに入った代用コーヒーを飲む。
麦のほのかな味を楽しみながら、私は身体の芯が温まるのを感じた。
そんな代用コーヒーと云う飲み物が珍しかったのか、魔理沙が此方をジッと見詰めて来る。
「なあ、それって美味いのか?」
「本家には劣るけれど、これはこれで味わいがあるよ」
「へえ。なら、私も一口良いか?」
私は「良いよ」と言おうとしたところで、ふと、ある事を思い、彼女に尋ねた。
「それって間接キスになると思うんだけれど、魔理沙は平気なの?」
「へ?なっ!?ばっーーな、何を言ってるんだよ!?」
乙女回路が発動したのか、魔理沙は頬を赤らめて後退り、帽子を深々と被って顔を隠す。
「あっと!私はやらなきゃならない事を思い出したから、そろそろ行くわ!」
魔理沙はそう叫ぶや否や「じゃあな!」と逃げるように退散する。
「相変わらず、男性への免疫が低い子ね?・・・そこが憎みきれない所の一つなのだけれど」
パチュリー様は苦笑すると小悪魔さんをチラリと見る。
「魔理沙のカップに何か細工をしたのかしら、こあ?」
「流石はパチュリー様です。やられっぱなしは癪だったので魔理沙さんのカップに少し細工をしました。
まあ、ちょっと仕返しですね?」
小悪魔さんは「ふっふっふ」と笑い、パチュリー様も笑みを強める。
「細工って何ですか?」
「惚れ薬ですよ。今頃、魔理沙さんは異性である陰猫さんの事が気になって堪らないでしょう」
「へ?」
なんか、知らぬ間に巻き込まれている!?
いやいや、私には美鈴さんがいるから、そんな事されても困るぞ!?
そんな私の思考を読んだのか、小悪魔さんが意地の悪い顔をする。
「妻子持ちにドキドキするけれど、乙女な心を持った魔理沙なら背徳感とかそう云った思いに踏み切れない。
誤った道に足を踏み入れられないジレンマが小悪魔の言う良い薬であり、罰って訳よ」
「それって完全に私、とばっちりですよね!?」
丁寧に説明してくれるパチュリー様に私が叫ぶと小悪魔さんが「大丈夫ですよ」と応えた。
「効き目は小一時間ですから、変な事にはならない筈です」
「流石になったら恨みますからね、小悪魔さん?」
私は状況を楽しんでいる小悪魔さんにそう告げるとカップの中身を飲み干し、パチュリー様と外の世界の小説について語りはじめる。
・・・本当に変な事になりませんようにと祈りながら。
紅魔館、短期バイトでR部分をハーメルンだけでも強調するかどうするか悩んでます。私と美鈴さんのエチエチ見たい人っています?
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見たい
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見たくない