聖白蓮がやって来たのはそれから数分後になる。
私はレミリアお嬢様に呼ばれ、聖白蓮の待つ玉座の間へと向かう。
直接、対面した聖白蓮は菩薩かと思う程、柔らかな笑みを浮かべていた。
「待たせたわね、聖白蓮?」
「いえいえ。問題はありませんよ、レミリアさん」
「そう言って貰えると助かるわ」
レミリアお嬢様は聖白蓮にそう告げると後ろで待機していた私を見る。
「紹介するわ。こいつが噂の陰猫よ」
「陰猫(改)です。宜しくお願いします」
一歩踏み出して一礼すると聖白蓮は「あらあら」と困った様に顔に手を当てる。
「陰猫さんでしたね?
そう畏まらなくても構いませんよ?」
「いえ、将来、息子の魂猫がお世話になる訳ですから粗相があるのも良くありませんので」
その言葉に聖白蓮は真剣な眼差しで私を射抜く様に見据えて来る。
「・・・あのお話ですか」
聖白蓮は静かに呟くと私からレミリアお嬢様へと視線を移す。
「レミリアさん。あのお話は解決した筈ではないのですか?」
「ええ。そうね?」
お嬢様はうっすらと笑みを浮かべ、玉座へと座る。
その仕草に悪びれた素振りは一切ない。
「貴女の解答は以前、聞いているわ。
人間と妖怪のハーフであるうちの可愛い魂猫が人里を統べるのについては反対、だったわね?」
「そうです。今更、それに対して話す事など無いと思うのですが・・・」
「それは陰猫の話を聞いてからでも遅くはないと思うのだけれど?」
レミリアお嬢様の言葉に聖白蓮は溜め息を吐くと改めて、私に視線を戻す。
ここからが私の戦いだ。
「陰猫さん、でしたね?
貴方はどんな思いで息子を支配者にしようと言うのですか?」
「幻想郷の平穏の為です。魂猫の性格と能力なら幻想郷は今の形を維持出来ます」
聖白蓮はその言葉にしばし、黙り込むと少し強い口調で私の案にこう返す。
「幻想郷は決して不変と云う訳ではありません。
貴方が思っているよりも大きく、そして、緩急自在な流水の如く変化しているのです」
「それでも人間の里のルールや弾幕勝負などは変わらない筈です。
更に言えば、人間の里を妖怪が襲わないと云うルールなども不変の筈ーーいや、不変でなくてはならない」
私はここぞとばかりに聖白蓮へ説得を試みる。
「私はこの幻想郷と云う世界を壊したくはない。
だから、どうか、お願いです。
魂猫の事をお願い出来はしませんか?」
「・・・」
聖白蓮は困った様な顔をして考え込む。
しばしの静寂の後、彼女はゆっくりと頷く。
「貴方の気持ちは解りました」
「ーーっ!?では!?」
「その前に此方からも宜しいですか?」
聖白蓮はそう告げ、再び射抜く様に私を見据える。
その表情は厳かながら優しくーー子どもを叱る母親をイメージさせる。
「貴方は世界の安定を求めている。
ならば、何故、またやって来たのですか?
少し考えれば解ると思いますが、安定を願うのならば、なおのこと、貴方と云う不純物をまた幻想郷が受け入れる時のリスクをどうして考えなかったのですか?」
「それは・・・」
その言葉に何も言い返せない。
聖白蓮の言葉はそれだけ的を射ているからだ。
そんな私に聖白蓮は責める様な口調で続ける。
「確かに今の貴方は平穏を望んでいるかも知れませんが、此処へ来たと云う事は変化を求めているのでしょう。
その変化には異変も含まれているのではないでしょうか?
貴方が来た為に不変だった運命が変わるだけでなく、そのような危惧はなかったのですか?」
「そこまでよ、聖白蓮。これ以上、陰猫を困らせないで上げて頂戴」
怯んでいる私にレミリアお嬢様が助け船を出すと聖白蓮は先程の柔らかい表情に戻る。
「失礼致しました、レミリアさん。この方の思いがあまりに強かったので私も正直な意見をと思いましたので」
聖白蓮はそう言ってから「それに」と付け足す。
「貴方は心の中で罰せられたかったのでは?」
「・・・」
図星である。美鈴さんからは赦されたが、私の間違いを咎められる事もされたかった。
自身の行いが全て善行とは限らない。
私は作家として間違いを指摘されたいと思っていた。
間違えだと気付かされる事、赦される事。全てが私の願望だ。
そうしなければ、人として次の成長が出来なくなってしまうからだ。
達観するにはまだ早く、突き抜けるには成長し過ぎてしまった少年の夢を未だ持つ大人になりきれない私が次のステップへ踏む為に。
聖白蓮ーーいや、聖さんはそう言うのもお見通しなのだろう。
何故なら彼女もまた私の幻想郷の一部なのだから。
誰かに励まされ、赦され、時に叱って貰う有り難みが解るからこそ、私の描く全てを受け入れてくれる幻想郷があるのだ。
この在り方は恐らく、私だけのものだろう。
咎められる事で私はまた赦されてしまった。
「どうやら、図星のようですね?」
「聖さんの言う通りです。私はまた自分の願望の為に来てしまった。
故に私は本来、赦されるべきではありません。
ですが、私は赦されてしまった。
誰かに咎められても仕方ない事を私はしている。
貴方に咎められる事で私はまた赦されてしまった」
私はそう言うと聖さんに頭を下げる。
「本当にありがとうございます、聖さん」
「迷える者を救うのも私の務めです。貴方が迷うようなら私はーーいえ、私達は手を差し伸べるだけですよ」
「はい」
私が顔を上げて彼女に頷くと聖さんも満足そうに頷き返す。
私は魂猫の事を聖さんにお願いすると同時に彼女になら魂猫の将来を任せられるだろうと改めて認識する。
こうして、私と魂猫ーー親子二代で聖さんに助けて貰うと云う事になったのであった。
この事は魂猫が私の手を離れた時にでも続きで記して置こう。
それが今の私が送れる息子へ贈り物だと信じて・・・。
紅魔館、短期バイトでR部分をハーメルンだけでも強調するかどうするか悩んでます。私と美鈴さんのエチエチ見たい人っています?
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見たい
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見たくない