ーー次の日の朝。
私はベッドから起き上がると替えの衣服に着替える。
ん~。ちょっと髭と寝癖が気になるかな?
そう思っていると部屋がノックされる。
「失礼します。私です」
「あ、咲夜さんですか。今、開けます」
私は慌てて着替えを済ませて扉を開けると昨日とは違って、落ち着いた物腰の咲夜さんが立っていた。
「薬をちゃんと飲んだみたいですね?」
「はい。昨日はみっともない所を見せてしまい、申し訳ありません」
「みっともない事なんてありませんよ。あれが普通です」
「そう言って頂ければ、何よりです。それよりもーー」
咲夜さんはそこで言葉を切ると私の事を上から下までジロジロと見る。
「……えっと、何か変ですか?」
「いえ、おかしな所はありません。ただ、陰猫さんはお嬢様にお仕えすると言う事を解ってませんね?」
そう言われた次の瞬間、私の服装は普段の赤いTシャツとジーパンからキッチリとした黒いスーツへと服を変えられていた。
寝癖もきっちりと直されている。
「あとはその無精髭をなんとかすれば、少しは見れる格好になりますね」
咲夜さんはそう言うと私に近付き、ネクタイを締めようと試みる。
ところが咲夜さんは何度やっても上手く私にネクタイが締められない。
よく見れば、少し震えている。
「……咲夜さん。私はネクタイが窮屈なんでしない派です」
「ですが、それではお嬢様に示しが……」
「お嬢様には私から言いますので、大丈夫ですよ」
その言葉に咲夜さんは目を伏せるとネクタイを手に私から離れる。
「申し訳ありません、陰猫さん。お気を付かわせてしまって……」
「お気になさらず。それでこんな朝早くにどうしたんですか?」
「はい。お嬢様のお食事の用意をしたいので一緒に幻想入りしたコンビニに着いて来て欲しいのです」
「コンビニ?」
「ええ。本来なら私が料理するのですが、包丁はまだ危ないから持つなと永琳に注意されてまして……」
「あ、荷物持ちって事ですか。それ位なら私でも出来そうですね」
「はい。では、行きましょう」
そう言うと私と咲夜さんは紅魔館を後にしてコンビニを目指す。
ーーと門の前で美鈴さんが軽く手を上げた。
「お早う御座います、咲夜さんと……えっと、昨日の方」
「お早う、美鈴。貴女が起きてるなんて珍しいわね?」
「おはようございます、美鈴さん。自己紹介がまだでしたね?
陰猫(改)と申します。以後、お見知り置きを。
気軽に陰猫と呼んで下さい」
「これはどうも御丁寧に。
紅美鈴です。昨日は言えませんでしたが、ようこそ紅魔館へ」
美鈴さんは屈託のない笑顔で笑うと私と咲夜さんを交互に見詰める。
「それで今日はどちらへ?」
「コンビニに行って来るわ」
「え?またですか?流石にこうもコンビニのお弁当ばかりじゃ身体に悪いですよ?」
「……そう。そう、よね?」
咲夜さんが目を伏せると美鈴さんが慌てて取り繕う。
「あ、いえ、違いますよ。咲夜さんを責めてる訳じゃなくてですね?」
「……いえ、良いのよ。要領が悪い私が悪いのだから」
咲夜さんが俯きながら返すと美鈴さんは困った様に後頭部を掻く。
此処は私がフォローして置くかな?
「そう言えば、美鈴さんも料理が出来るんですよね?」
「え?あ、はい。中華料理風になりますが……」
「でしたら、私が代わりに門番してますんで、美鈴さんがちゃちゃっと何か作って下さい」
「え?でもーー」
「こんな朝早いなら来客とかはないでしょうし、私もこう言った警備はやった事がありますから」
「陰猫さん。幾ら、なんでもそれはーー」
「う~ん。そうですね。それではたまには私が腕を奮いましょう」
「美鈴まで!?」
「まあまあ、咲夜さん。私の代わりに門番やっても良いって言ってくれる方がいるんですし、たまには門番以外の仕事もさせて下さいよ」
美鈴さんの言葉に咲夜さんは溜め息を洩らす。
「……仕方ないわね。その代わり、朝からこってりした物をお嬢様にお出しするのは止めなさいよ?」
「解ってますって」
そう言うと美鈴さんは私に顔を向ける。
「それでは料理が出来るまで門番をお願いしますね?」
「ええ。解りました」
私はそう言うと紅魔館へ戻って行く咲夜さん達を見送り、門の前で佇む。
本当、こんな仕事は何年振りだろう。
こう言う時は色々と考えていると時間が立つのが早いんだよなあ。
折角だし、小説の続きでも考えるか……。
……いや、小説と言えば、昨日、紫さんが置いていったスペルカードについてが気になるな。
あれは一体、どんな意味があるんだろう?
そんな事を考えていると紅魔館の方から良い匂いが漂って来る。
なんだろう?
肉を焼く匂いがするけど、朝からあっさりとした中華料理って何があるかな?
私は匂いを嗅ぎながら想像を膨らませる。
朝の食事が楽しみだ。
ー
ーー
ーーー
しばらく門の前で佇んでいたが、本当に暇だ。
私もこう言う警備はした事があると言ったが、二人体制で着いていたからなあ。
暇な時は雑談したり、巡回したりと時間を潰す方法があったんだが、紅魔館の門番は一人体制で、ただ立っているだけなので本当に暇だ。
私は軽くストレッチをしたり、鼻歌を歌ったりするのも取り入れ、門の前で暇を潰す。
ーーと内側から門が開き、美鈴さんが現れた。
「お待たせしました。遅くなってしまって、すみません」
「いえいえ、お構い無く。それにそんなに時間が経ってませんから」
「そう言って貰えると助かります。これ、まかないですが、どうぞ」
そう言って美鈴さんが差し出したのは炒飯風のおにぎりだった。
まあ、朝からラーメン食べるよりは妥当か……。
「ありがとうございます」
私は美鈴さんからそれを受け取ると炒飯風のおにぎりをパクパクと食べる。
少し冷めてしまっているが、パラパラとして脂っぽくなく、何個でも行けそうな位美味しい。
一つしかなかったのが残念だ。
「ごちそうさまです。美味しかったです」
「……そう、ですか?」
「? 何か?」
「いや、なんと言うか凄く食べ辛そうに見えたので」
「ああ。いや、私、奥歯が折れてて上手く噛めないんですよ」
「そうなんですか?なら、歯医者に行った方が良いですよ?」
「そうなんですが、近所に歯医者がなくて……。
そう言えば、最近はカロリーバーとゼリー食がメインで誰かの手作りなんて久々だなあ。
あとは最近、うどんやパスタ、生野菜が苦手ですね」
そう言うと美鈴さんが心配そうな顔で此方を見る。
「貴方も食生活を見直した方が良いですよ?」
「……ええ。そうですね」
私は美鈴さんの言葉に同意する。
「さてと、また門番に戻りますか……」
「やってみて解ったんですが、一人だと本当に暇を持て余しますね?」
「そうなんですよね。それが解って下さるだけ、陰猫さんはなかなか見る目がありますね?」
「まあ、本当、退屈し過ぎて寝ちゃうのも解ります」
「本当、良い人ですね?そんな事を言われたの初めてですよ?」
「私はそこまで良い人じゃないですよ。美鈴さんが優しすぎなだけです」
「私もそんなに優しくないですよ」
私と美鈴はどちらからともなく笑う。
「陰猫さん。お嬢様がお呼びです。紅魔館へお戻り下さい」
私と美鈴さんが話をしていると咲夜さんが館の中から声を掛ける。
「解りました!今、行きます!」
私は咲夜さんに大きな声でそう言うと美鈴さんに頭を下げた。
「それじゃあ、美鈴さん。あとはお願いします」
「はい。代わりに門番して下さって、有難う御座いますね、陰猫さん」
「またお話しましょうね?」
「ええ。その時を楽しみにしてます」
私は美鈴さんと別れ、紅魔館へと戻る。
「……随分と美鈴と楽しげに喋られてましたね?」
「そうですね。少し喋り過ぎましたか」
「別に構わないのですが、貴方は紅魔館で働く身なのです。
ですから、お嬢様をお待たせしない様にお願いしますね?」
「ええ。解りました」
そう言うと私は咲夜さんと一緒にレミリアお嬢様がいる部屋を目指す。
紅魔館、短期バイトでR部分をハーメルンだけでも強調するかどうするか悩んでます。私と美鈴さんのエチエチ見たい人っています?
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見たい
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見たくない