「お呼びですか、お嬢様?」
部屋を訪れた私がレミリアお嬢様に訊ねると、お嬢様は明らかに不機嫌そうな顔をしていた。
「……なんで、貴方が美鈴の代わりに門番しているのよ?」
「私の提案で美鈴さんに料理して貰った為ですが、駄目でしたか?」
「駄目に決まっているでしょ!貴方はただの人間なのよ!
独断で門番を代わって!もし妖怪にでも襲われてたら、どうするの!」
レミリアお嬢様はそう言うとデスクをバンと叩いて立ち上がり、真紅の瞳で此方を睨む。
「確かに今の幻想郷は平和だけど、人間を糧にする妖怪だって、まだごまんといるのよ!吸血鬼である私もその一人だし!
貴方、幻想郷に来て早々、自分から餌になるつもりだったの!?」
そう言われて私は自分の迂闊さに気付く。
確かに早朝だからと油断していたかも知れない。
幻想郷には人食い妖怪だっているのだ。
もっと慎重に行動すべきだったろう。
「すみません。軽率過ぎました」
私が謝るとレミリアお嬢様は咲夜さんに視線を移す。
「咲夜も咲夜だわ!知識があるとは言え、幻想郷に来て、間もない陰猫を一人にするなんて何を考えているの!」
「……申し訳ありません、お嬢様」
私と咲夜さんが俯いて謝るとレミリアお嬢様は溜め息を洩らして椅子に座り直す。
「まあ、コンビニのお弁当以外も食べられたし、久々に食べた美鈴の手料理も美味しかったから良いのだけど……」
レミリアお嬢様はゴニョゴニョとそう呟いてから、改めて、キッと此方を睨む。
「でも、それとこれとは別よ!
これからは私の許可なく独断で行動しないで頂戴!」
「「はい。申し訳ありません」」
私と咲夜さんがもう一度、頭を下げて謝るとレミリアお嬢様はもう一度溜め息を吐いて目を伏せる。
「……本当に気を付けなさいよ。貴方達にもしもの事があったら、それこそ職場改善どころの騒ぎじゃなくなっていたもの」
そう言うとレミリアお嬢様は疲れた様子で再び此方を見る。
「話は以上よ。下がりなさい」
レミリアお嬢様の言葉に私と咲夜さんは一礼するとお嬢様の部屋から出て行く。
「申し訳ありません、陰猫さん。私があの時、止めていれば……」
部屋を出て、すぐに咲夜さんが謝って来たので、私は首を左右に振る。
「咲夜さんのせいじゃないですよ。私の判断が浅はかだったせいですから」
「いえ、私はメイド長です。貴方の事を管理する責任があります。
それを蔑ろにしたのですから、お嬢様のお怒りはもっともです」
「そんな事を言ったら、私だってアドバイザーとして呼ばれた身です。
それを無視して独断専行したんですから心配されて当然です」
「ですが……」
「失敗は誰にでもあるんです。次から気を付けましょう」
私は落ち込む咲夜さんにそう言うとその肩に触れる。
「それはそれとして昨日の話ですが、図書館に案内して頂けますか?」
「……はい。此方です」
咲夜さんは顔を上げると私を図書館へと案内してくれる。
図書館は地下にあり、扉を開けた際には本独特の臭いがした。
図書館に辿り着くと私はその膨大な数の本に圧倒される。
「此方が大図書館です。外から流れてくる本は大抵、此処に集まって来ます」
「イメージしてたより、かなり広いですね?
これも咲夜さんの空間拡張って奴ですか?」
その問いには何故か答えず、咲夜さんは図書館の奥へと歩いて行く。
図書館の奥へと進むと広い空間に出て、大きな椅子に座り、机の上の大きな本を捲るパチュリー・ノーレッジの姿があった。
パチュリー・ノーレッジはその紫の長い髪を靡かせながら眼鏡を外すと本から視線を外し、ゆっくりと此方を見る。
「何か用かしら、咲夜?」
「はい。パチュリー様」
咲夜さんがそう言うとパチュリー・ノーレッジに私を紹介する。
「此方は昨日から短期バイトで仕事をする事になった陰猫(改)さんです」
「陰猫(改)です。気軽に陰猫とお呼び下さい」
「陰猫……聞いた事ある名前ね?
貴方、本とか出してないかしら?」
「いえ。確かに小説は書いてますが、書籍化は今の所されてません」
「……そう。そんな本を見た記憶があるのだけど、私の勘違いだったかしら?」
パチュリー・ノーレッジーーいや、パチュリー様はそう言うと再び眼鏡を掛け、開いていた本に視線を移してページを捲る。
「それで?用は何かしら?」
「はい。空間拡張についてなのですが……」
「ああ。空間拡張ね。それがどうしたの?」
「咲夜さんの負担になっているので、縮小の許可を頂けないでしょうか?」
そう言うとパチュリー様は本から再び視線を外し、不思議そうに私を見る。
「そんなのレミィに相談しなさいな。何故、私の許可がいるの?」
「え?でも、この大図書館も咲夜さんが空間拡張していると……」
そう言って私は咲夜さんに顔を向けると咲夜さんは私から顔を背ける。
「この図書館は確かに空間拡張しているわ。
でも、それは咲夜の力じゃない。私の魔法よ。
咲夜が紅魔館の空間を縮小しても、この大図書館が小さくなる事はないわ」
「……咲夜さん」
「……」
パチュリー様の言葉を聞き、私は此方に顔を背ける咲夜さんをマジマジと見詰める。
「まあ、そう言う事だから、咲夜の負担になっているのだったら私は紅魔館の空間縮小に賛成よ。また倒れられるのも私も困るもの」
そう言うとパチュリー様は視線を戻し、再び本のページを捲る。
「用はそれだけかしら?」
「あ、はい」
「だったら、この話は終わりよ。私は本を読む事で忙しいから出て行って頂戴」
「はい。それでは失礼します」
私は踵を返して項垂れる咲夜さんと共にその場を後にしようとした。
「そう言えば、貴方、陰猫とか言ったわね?」
「え?あ、はい」
「貴方は残りなさい」
そう言われて私と咲夜さんは足を止めて、パチュリー様に振り返る。
「咲夜は先に戻ってて良いわ」
「え?ですが……」
「大丈夫。折角、来たバイトを取って食ったりなんてしないわよ。
彼については後で小悪魔にでも任せるから心配しなくて良いわ」
パチュリー様の言葉に咲夜さんはしばし考え込むと頷く。
「パチュリー様が言うのだから大丈夫でしょう。先に上で待ってますね、陰猫さん」
咲夜さんはそう言うと時をまた止めたのか、忽然と消える。
残されたのは私とパチュリー様だけだ。
「さて、貴方は小説書いているんでしょう?
何処で出版して書いているの?」
「出版はしてませんが、小説家になろうと言うサイトで書いてます」
「サイト?貴方、もしかして、ネットとか言うので書いているの?」
「そうですが、それが何か?」
「大した事ではないわ。ただ、貴方の話に興味があるの」
私が訊ねるとパチュリー様はそう言って椅子から立ち上がり、その紫と薄紫の縞模様のゆったりめの服を揺らめかせながら私の着ているスーツに手を伸ばす。
そして、私のスーツの懐から紫さんから貰った真っ白なスペルカードを取り出すと私とそれを交互に見詰める。
「これはどこで手に入れたの?」
「紫さんから貰いました」
「紫って八雲紫?」
「そうですが……」
「紫は何か言ってなかった?」
「え?えっと、ただの一般人の私にも役立つだろうと言ってましたね。
あ、それとヒントとして"私の作品" "キャラクター" "三枚のお札と言う物語"とか言ってました」
「そう」
パチュリー様はそう呟くと白いスペルカードを私の懐に戻す。
「正解を言ってしまうと貴方の書いていると言う作品のキャラクターを召喚出来ると言う事だわ。
"三枚のお札と言う物語"と言うのは必要な時に応じて、願いを込めてスペルカードを使えと言う意味よ」
「ああ。そう言う意味ですか……成る程」
「貴方の作品については知らないけど、紫が言うんだから役に立つんでしょう。そのカードは大切に持ってなさいな。
まあ、里の者でもろくに使えないカードよ。
本当に役に立つかどうかは使って見ないと解らないわ」
「はい」
「それから効果時間だけど、カードに封じられた魔力が切れるまでよ。効果は大体、10分から15分位ね」
「成る程。解りました」
私はパチュリー様の言葉に頷く。
「まだ色々と話したいけど、今はこんなものかしらね?」
「はい。それでは、私はこれで」
「ええ。また来なさい。それとネットとか言うのに書いている貴方の小説についても教えなさいな」
「構いませんが、私の作品は趣味でやっているので、読んでいる人は少ないですよ?」
「構わないわ。ついでに貴方の知るネットの小説とか言うのについても聞きたいしね?」
「解りました。なら、後日、お話しましょう」
「お願いね」
そう言うとパチュリー様は椅子に座り直してから、周囲を見渡す。
「小悪魔。いるんでしょう?」
「はい!パチュリー様!」
そう言って本棚の間から赤いロングヘアーに黒いベストとロングスカートを身に付けた女性が現れる。
「彼を上まで連れて行って上げて」
「かしこまりました!」
小悪魔さんはパチュリー様に元気よく返事をすると私に近付く。
「それでは参りましょう!」
「はい。宜しくお願いします」
私は小悪魔さんに連れられ、地下の大図書館を後にする。
紅魔館、短期バイトでR部分をハーメルンだけでも強調するかどうするか悩んでます。私と美鈴さんのエチエチ見たい人っています?
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見たい
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見たくない