番外・松実京太郎の葛藤①
『お姉ちゃんと結婚する』
おそらくは優しい美人姉妹がいれば一度は口にするであろうその言葉がまさか現実になりえることがあるなんて、まさか予想だにすることはなかった。
「実はお前と宥や玄は血が繋がっていなくて姉弟じゃなく婚約者だったんだ」
父親だと思ってたその人に告げられた言葉に頭が真っ白になり、現実を認められなかった京太郎は一晩寝こむことになる。
「京くん大丈夫? ぎゅーってしようか?」
「京太郎くん、お姉ちゃんが何でもしてあげるのです」
いつもと様子の変わらない姉妹を見る目もなんだか変わってしまいそうで、じくじくとした胸の疼痛を覚えながら何でもないと固辞して一人自室にこもりきる。
血が繋がっていると疑っていなかった頃は仲良しだとしか思っていなかったスキンシップの多さが急に意味深なものに思えてしまい、そんな自分を責めた。
好きなことは変わらない。だがその好きの種類がたったの一瞬で違うものに挿げ替えられてしまいそうで怖かった。
「京くん」「京太郎くん」
優しかった声に甘い響きを感じる自分が許せなくて、悩みを抱えたまま中学校に登校する。
だが登校した後も頭の中はグルグルとモヤモヤが蔓延しついため息が出てしまう。
「どったの? あんたから元気を取ったら何も残らないじゃない」
さらっと失礼な言葉を投げかけてくるのは幼馴染の新子憧。
姉も残りの幼馴染も女子校に中学から進んだため、学校で顔を合わすのはもっぱら彼女だ。
かつてはちんちくりんだったがおしゃれに目覚め女らしさを獲得しているうえ、頭もよければ運動も結構できると割りと隙がない。
それでもかつてからの縁で京太郎とは気安く接してくれる。
「実は……」
本来なら心のうちにとどめておくべき事柄も抱えきれなかった京太郎は吐露してしまう。
家族が家族じゃなかったなんて中学生の身空でそう受け止めきれるものではない。
「はあ!? あのブラコン姉妹と血が繋がってない!? しかも婚約!?」
「し、声が大きい。あとブラコンてなんだよ」
「ごめ……ブラコンはブラコンでしょ。宥ねえは気軽にくっつくし玄は手をつないで登校したがるし」
「うぐぅ」
抵抗してみたものの一瞬で論破される京太郎。
「え、どうすんのよ。玄か宥ねえのどっちかとくっついて旅館継ぐってわけ?」
「それを考えないようにしてるんだからせっつかないでくれってば」
頭を抱えて机に突っ伏してしまった京太郎の後頭部を見つめる憧。
「そもそも昨日の今日でいきなり姉から見る目を変えろなんて言われても無理だって」
「ちっちゃいころは『お姉ちゃんと結婚する』って……」
「うるさいうるさいうるさい」
弄ってくる憧に対して相談したのが無駄だったかと煩悶する京太郎。
「すぐに二人とどうこうなるって考えたくないってことでいいのよね?」
「ん」
正直なところ整理する時間が欲しい。将来的にどうなるにせよ今のままは受け止めきれない。
だがいつものように接してこられるだけでどこか違いを感じてしまうだろうことは想像に難くない。
「それなら……あたしと付き合う?」
「は?」
さらに予想外の方向からガツンと殴られて思わず跳ね起きる。
「いやだから彼女もち相手なら姉として接するしかなくなるでしょ。それで時間稼いで……」
「お前顔赤くね?」
「うっさい! こっちだってこのタイミングで告白することになるなんて思わなかったんだってば!」
片手で顔の下半分を隠しながら真っ赤な顔で言い募る憧。
「え、まじ?」
「あたしは本気。あんたにもメリットはあると思うけど」
確かにメリットはあるどころかメリットだらけだ。だがメリットだけで恋愛をするのは何かが違う。
「憧、俺――」
「好き、なの。できれば高校も同じとこ行きたい」
憧が中学進学で親友と離れてでも共学を選んだのは麻雀をやりたいという理由以外にも少しは京太郎のことがあったのかもしれない。
だとするならそれは素直に嬉しいと思った。
「……勉強教えてくれよ」
ぶっちゃけ偏差値が離れすぎててかなりの努力が迫られるだろうが、目の前で嬉しそうに微笑みながら頷く彼女の顔を見れたのならやる甲斐はあると感じた。
さっそく放課後、憧の家によって勉強を教えてもらう。
家に直帰して姉たちと顔を合わせるのも、伝えなきゃいけない諸々のことからも少しばかり時間を置きたかった。
それが紙切れのような猶予であっても縋れるのなら縋りたい。
そんな余計なことを考えていて勉強に身が入るはずもない。
その上付き合いたてのカップル、ふわふわした気持ちのままちょこんと手が触れ合うたびに顔を赤らめて照れくさそうにする。
少しずつ手が重なり、お互いの距離が近づき体温を感じる距離へ。
瞳がぶつかり合ってそっと吐息が交わされ、そのまま唇の距離がゼロに。
「ちゅ、ちゅっ、ふ、ん♡ん、ん、んん♡れろ、キスすご、んっ♡は、はっ、いい、よ♡」
甘く蕩けた問いかけるような声が脳髄の理性を削っていく。
京太郎の手を取って自らの胸へと服の上から触らせる。
「和や二人ほどはないけど、京太郎の好きにしていいおっぱいだよ?」
脳が痺れる感覚のままに服の裾から手を差し入れ、ふにふにと膨らみかけの乳房に指をうずめていく。
「ふ、ん♡あんたに触られるの、んふ♡ぴりぴりってきて全然違、あっ♡」
「何と違うんだ?」
「んあ、あ♡分かってるくせに♡んく、ひとりでするのより、あぅ♡あんたのが、あふ♡いいのぉ♡」
どんどんと憧の吐息に混じる甘いものの割合が増していく。そっと足の間を開いて物欲しそうに見あげる。
「憧」
「最後まで、いいから♡痛くてもあんたの感じさせて♡ふ、ふ♡んんぅ♡」
中学生が性の衝動に勝てるわけがない。そのまま二人は流されるように体を重ね合って。
「んぅぅぅ”♡ごりごりくりゅ♡おちんちん♡京太郎の♡初めてなのに感じて♡んぁぁ”♡」
じゅぶじゅぶじゅぶじゅぶと粘性のある液体を掻き混ぜる音が部屋の中に響く。
「京太郎♡京太郎ぉ♡あぅぅ♡好き♡大好き♡ああぁ”♡」
ちかちかと視界に火花が散ってショートするようにブレイカーが断続的に落ちる。
甘いびりびりした感触が全身を駆け巡ってお腹の奥から湧き上がってくる。
どくどくどくどくと胎内で跳ねる熱い感触に甘やかに蕩かされていく。
「んあ♡あああ”♡ん”ぅぅ♡はぁん♡」
全身から一気に力が抜けぐでっと相手側に体重を預けて荒い息を整える。
「はー♡はー♡あたしけっこうエッチ好きかも♡気持ちよかったんだけど初めてってこんなもんなのかな?」
「いや俺に聞かれても……経験なかったし」
どろりと逆流してくる感触に股を擦り合わせながらも、くっつきながら照れたように笑うのをやめない。
「あんたの初めてがあたしで嬉しい。大好きだからね」
「おう」
チュッと軽く口づけをしてから京太郎は後片づけのためにティッシュを取りに行く。
だから憧が最後に口にした言葉を聞くことはなかった。
「そう。あんたの心の中にホントは誰がいても……あたしの気持ちは変わんないんだから」
一度は彼女という立場を手にしながらもそのまま平穏に終わるなんてことは憧は全く信じていなかった。
あの姉妹の京太郎への溺愛っぷりを舐めるほど楽観視していない。
それでもなお、恋心に一片の陰りもなかった。
「京太郎くん、帰り遅かったね」
「玄ねえ、ただいま。勉強みてもらってたんだ」
「お勉強嫌いの京太郎くんが?」
「うっせ、俺だってやるときはやるんだ」
今回は勉強はろくに進まずに別のことをやっていたのだが。
自然に玄は京太郎の手を取って並んで家の中に入る。
「夕ご飯楽しみにしててね」
「ありがとう」
いつものやり取りの中だからこそ京太郎は気づかなかった。
玄がポツリと小さな声で呟いたことに。
「憧ちゃんのにおい」
自室に戻る京太郎の背中を見送る玄の目には光はなかった。
母親を失った姉妹にとって残された家族の価値がどれほどに重いものなのか、京太郎は理解していなかったのである。
悩んだ末に投下するのが番外編という。
このルートの勝者は誰なのか、書いてる当人もまだ分かっていません。
なおまだ中学生なので、のどっち転校前です。
玄が病んじゃったので次回はクロチャー編。
弟くんとして救えるのか、それとも男と女でしかないのか、アコチャーとの関係はどうなるのかすべては未定です。
次回更新は?
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咏たんが幼馴染だったら
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白糸台生活の続き
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男女比世界の続き