※この作品はR-18です。

モモンガさん!それをㅤ殺すなんてㅤもったいない!   作:朝潮

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第14話

 

 

 

「眷属化」

敵MOBを攻撃した場合、確率で発動する吸血鬼(ヴァンパイア)種限定スキル。

魅了状態の状態異常にかけ、一定時間味方を攻撃するようになってしまう。

そしてこのスキルは、自分が敵よりレベルが高く、そしてレベル差が大きいほど成功確率は高くなる。

 

恐らくは、このスキルが原因と思われるが…

ユグドラシルの時とは、効果が多少違っているようにも思える。

確かに、噛んだことによりダメージを負わせたのは間違いはないのだが。

 

「エンリ。よく聞け。お前は吸血鬼(ヴァンパイア)になっている。」

「ちゅっちゅっ…ちゅぷぷっ…ちゅるっ…んふ?」

 

あれからずっと、エンリは出るはずのない血を求めて俺の肩をハムハムしている。

おかげで、俺の肩から鎖骨までの部分がもうよだれでベトベトだ。

ああ、これは確かに魅(・)了(・)状(・)態(・)にかかっていますね…

 

吸血欲求というのは性欲と深い関わりを持っている。

例えば、性的に興奮すると吸血をしたくなってしまう。

興奮が加速すると、自分の意思を抑えられないようなことになってしまうこともある。

アルベドを吸血した時の俺や、今のエンリのような状態だな。

…つまり、エンリは今、とても性的に興奮している状態のようだ。

 

「吸血したいんだろう。飲ませてやるから少し待ってろ。」

 

そしてこれは、ある程度の血を摂取することで収まる。ソースはオレ。

正直、これはこれで甘噛みされるだけならオレは一向に構わないのだが…

いつまでも肩をちゅうちゅうさせるわけにもいかない。

 

オレは、自らの親指を口の中に入れ、噛み切る。口の中に、鉄の味が広がった。

…うーん、自分の血は美味しく感じないんだな。厄介な事だ。

 

「ほら。飲め。」

 

オレはエンリの口の中に、親指を無理矢理押し込んだ。

すると、エンリは俺の指を大人しく吸い始めた。

それはまるで赤子がミルクを飲むかのような光景だった。

 

「ちゅう…ちゅ…んちゅ…ちゅるる…」

 

大人しくなったのは良かったが…

エンリの事は、これからどう扱っていけばいいんだろうか。

 

「とりあえず、その目と吸血欲求はどうにかしないとな…」

 

村娘の瞳の色が変われば、村人たちは気になるだろう。

というか、この世界にもヴァンパイアがいて、そしてそれがオレと同じ特性を持っていたら、エンリやオレが人間ではない事に勘付かれてしまうかもしれない。

それは最悪ではないが、少々面倒だ。

 

「上位道具創造(クリエイト・グレーター・アイテム)」

 

創造系の魔法で作り出したのは、カラーコンタクト。

色は勿論、元のエンリの瞳の色だ。

正直諦め半分だったのだが、これもアイテムの一種という事だろうか…

 

「毎日これを目に取りつけろ。付け方は教えてやるから、しっかり覚えるんだぞ。」

「ちゅ…ちゅっ…ふぁい…」

 

そんなに飲んで飽きないのか、エンリは蕩けた表情でオレの血を飲み続ける。

まあ、確かに吸血鬼にとっては新鮮な血が一番のご馳走だからな。

わからなくもないが、できれば話半分はやめて欲しいんだが…

 

「我慢できなくなれば、また吸わせてやる。それまで他の血は吸うなよ。」

「はむむ…ふぁい…」

 

エンリには定期的な介護が必要になってしまった。

また近いうちに、様子を見に戻らなければならない負だろう。

…という事に喜んでいるオレもいた。

オレはエンリのことを想像以上にかなり気に入っているようだ。

 

 

 

エンリの家で昼食をご馳走になってからその後。

別れを惜しまれながらもオレはエモット家から脱出した。

ここは魔界だ。一度入ったらなかなか出ていけない…

特にネムのイヤイヤ攻撃はずるい…オレにどうしろと言うんだ…

 

「きるゆー様!」

 

遠くから、オレを見つけたルプスレギナがパタパタと走って来た。

その姿は、さながら飼い慣らされた忠犬だ。超可愛い。

 

「ご用事は終わりましたか?」

「ああ。待たせて悪かったな。」

「そんな!待てと言われれば、喜んで待ち続けます!」

 

この可憐な少女の名はルプスレギナ・ベータ。

プレアデスの1人で、今はカルネ村への挨拶回りのようなことをさせていた。

そして、今日からオレのお供として冒険へ付いて来ている。

 

初めはマリーをお供と考えていたのだが…

他のプレアデス達がゲームでお供の座をかけてマリーへ勝負を仕掛けるという事件が起こったのだ。

そしてマリーは何故かそれを快諾。

 

色々なゲームで遊び、競い、そして叱られ。

ゲームにて運良く王座を勝ち取ったのが彼女、ルプスレギナ・ベータだったという訳だ。

オレは正直、最悪マリーでなくても吸血衝動が起きないシズかエントマあたりが良かったのだが。

まあ、そんな事を勝利の美酒に酔っている彼女に言えるはずもなかったが。

…そんな理由もあり、エンリに吸血を頼みにカルネ村へと寄ったという経緯があった。

 

「…ルプスレギナ。別に、普段の喋り方で良いぞ。」

「? どう言う事でしょうか?」

「いつもなら、語尾にすって付けてるだろ。」

「そ、そんな!至高の御方の前でそんな言葉遣いは…」

「このオレが許す。普段の砕けた態度で接しろ。ルプスレギナ・ベータ。」

「へっ…?わ、わかり…わかったっす…」

 

ルプスレギナは必要以上におどおどとしている。

姉妹と話している時と比べて、かなりキャラが違うな。

オレの前でも、あの元気な姿を見せて欲しいのだが。

 

「冒険者のチームを組むくらいだ。このくらいの距離感が丁度いいはずだ。そうは思わないか?ルプスレギナ。」

「は、はい。その通りだと思い…いや、思うっす!」

「ならば、オレも砕けた話し方を行った方が良いな。ルプスレギナ。…いや、ルプーと呼んだ方が良いか。」

「る、るぷー…」

 

ルプスレギナは噛みしめるように呟き、ゆっくりと顔を染めていく。

うーん。オレの抱いていた、ルプスレギナのイメージと少し違うな…

こんな恋する乙女だったか?

 

「ルプー。早速、エ・ランテルへ向かおう。もう、モモンガさんに怒られるのは御免だ。」

「そうですね…あ、いえ!そうっすね。」

「慣れないか?」

「はい…至高の御方に、このような…こんな言葉遣いで接するなんて…」

「…まあ、そうだよな。」

 

NPC達の、ギルメンに対する忠義は素晴らしいものだ。

それは、初対面の相手にもフレンドリーなルプスレギナも同じだ。

…アイツを除いては。

 

「少しずつでいいからな。」

「はい!…っす!」

 

はー、可愛い。褐色元気獣っ娘可愛い。

撫でたい。触りたい。もふりたい。言ったら触らせてくれないだろうか。

そんなくだらないことを考えながらオレ達は、村人達に見送られながらカルネ村を後にした。

 

 

 

(きるゆー様から、知らない女の匂い…?)

 

 

 

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