オレは。いや、オレたちは、モンスター討伐にエ・ランテル近郊の森近くへとピクニックに来ていた。
相対するのは、オーガやゴブリンといった、雑魚モンスターの集団だ。
とはいえ、オーガに関してはカッパーの新人からすると雑魚とは言えないかもしれないが。
「来ます!前衛はお願いします!ブラッドさん!ルプスさん!」
「任せろ。」
「ちゃっちゃと殺っちゃうっすよ。」
「2人はオーガをお願いします!抜けて来たゴブリンはこちらで対処します!」
「はいよ。」
彼らは漆黒の剣。先程冒険者組合で話しかけて来た人物の所属しているパーティーだ。
強いモンスターと戦いたいならとオレたちに話しかけて来たらしい。
彼らがして来た提案は、自分たちのモンスター討伐の手伝いをしないかというもの。
どうやら、あの騒ぎの一件で多少なりとも腕に自信があると見たらしい。
オレとルプーは、渡りに船とその提案を承諾した。
「オーガがこちらへ来た場合、「要塞」を使用して私が抑える!ダインは足止めを。ルクルットはゴブリンを奥から狩っていってくれ。ニニャは防御魔法を私にかけて、その後、攻撃魔法で支援を。」
「承知したである。」
「まかせとけ!」
「うん、了解。」
ほう。流石はチームリーダー。戦況分析が良くできている。
とりあえず透明化してから突っ込むオレにはできない所業だ。
「ルプー。半分ずつ分けようか。左三匹がお前。右三匹がオレだ。」
「わかったっす!」
やる気になってる姿が可愛いぜルプー。
思わず後ろから抱きしめたくなってしまうほどだ。
…しかし、オレはその前にオーガを仕留めなければならない。
なんとも遣る瀬無い。
「んじゃ、悪いが死んでもらおう、オーガ共。」
オレは、剣を構えてオーガを迎え撃つ。
オレの職業は盗賊系を多く取っている。
特に
…が、
剣を使っているのは、名声を高めるという今回の目的を遂行させるには剣を使ったド派手な戦闘をする方が手っ取り早く有名になりやすいと考えての判断だ。
それに、使っているのが魔剣ともなれば話題性は抜群のはずだ。
「ガァァアアアッ!」
「ちょっと黙ってろ。」
ぱすっ!
咆哮を上げ、向かってきたオーガを一刀の下に斬り伏せる。
やべー。切れ味ぱねー。
血飛沫もとんでもねー。
オレが元の桐生快人で、アンデットになっていなければ気分が悪くなっていたかもしれない。
オレ、昔からスプラッタって苦手だったし。
「ハハ。ちょっと楽しいかも。」
でも、今はなんだか、モンスターを殺すことが楽しい。
まさに、ゲームをやっているような感覚だ。
「す、すごい…オーガを一撃で…」
「ミスリルどころか…オリハルコン…?いや、アダマンタイト…?」
漆黒の剣のメンバーが一様に驚く。
いや、これでアダマンタイトレベルなのか…?
「ま、剣の性能がありますからね。これくらいできないと。」
オレは、すぱっ!と同じようにオーガを絶命させながら返答する。
オレが持つのは、魔剣、ブラック・スターズ。
全てを切り裂く、宵闇の剣。
…という箔を付けた、完全に見た目だけで選んだかっこ良い片手剣。
闇をも飲み込むかのような黒い刀身は、何故か光に反射してギラギラ光る。
この武器は、元はプレイヤーメイドのものだ。
その厨二心をくすぐる見た目に、ユグドラシル内で一目で気に入って購入した。
名前の由来は多くの黒星。つまりは、連敗を意味する。
どうしてこんな名前なのかというと、エンチャントするスキルを間違えてしまい、この剣が戦闘向きなものではなくなってしまったという悲しい過去を持つためだ。
…なのだが、この世界にとってはエンチャントがされているだけでとても強い武器へと早変わり。
この不名誉な名前を付けられたブラック・スターズも大喜びだ。
ごめんな。ずっとアイテムボックスで寝かせてて…
「
「
あちらでも戦闘が始まったみたいだな。
…どれ。助太刀に行ってみるとしますか。
「ブラッド!こっちも終わったっす!」
ルプーの方も、オーガを問題なく殲滅できたようだ。
いや、しかし。ルプーの武器は金属製の大きな聖杖だ。
そんな女の子が持てないような重そうなものを、ブンブン振り回して叩きつけて攻撃する。
向こう側は、死体から察するにこっちよりも酷い惨劇が起きていたようだ。
…確かに派手なのはいいことだが、こういう方向で有名になるのはちょっとな。
鮮血姫、みたいな二つ名がついたらどうするつもりだ。
「マジックアロー!」
「すまない、ニニャ!」
あー、でもこれオレが行かなくとも勝てそうだな。
流石に、ゴブリン程度になら遅れを取らないか。
「ブラッドさん!ゴブリンが逃げます!支援お願いできますか!?」
「勿論!」
オーガがやられたことにより統率を失い、オレたちに背を向け逃げ出すゴブリンに追いつき、全て斬り捨てた。
ゴブリンは死の絶叫を叫びながら絶命した。耳障りだなあ。