第18話
…そうか、こうなっちゃうのかあ。
「ンフィーレア・バレアレです。皆さん、今日はよろしくお願いします。」
オレたち漆黒の剣合同パーティーの前には、昨日の薬師がいた。
中途半端な記憶操作が仇になったか…
赤いポーションの事はそのままで、オレの姿を別人と思い込ませた。
…が、どこから嗅ぎつけたのかンフィーレアは漆黒の剣を探し当てた。
実のところ、装備している魔剣が同じものだったからなのだが…
「依頼の内容は、カルネ村近くの森での薬草採取、及びカルネ村へ往復するまでの警護です。」
「それなら、依頼料に加えて組合の報奨金まで受け取れますね。」
「それは素晴らしいな。」
こりゃ決定ムードだ。止める理由も思い浮かばない。
偶然ということもあり得ないこともないが、ンフィーレアがオレに接触してきたのがポーション絡みだという事は予想がつく。
怪しまれたら、また記憶操作でなんとかするしかないか…
今度は、誤った情報を植え付けて徹底的に。
…カルネ村は、オレの知らない間にいつから国になったんだ?
そんな事を考えてしまうほどに見事な木造の壁が出来上がっていた。
「あんたら何者だ!?」
「…コイツら、ゴブリンか?」
「なんでゴブリンがこんな所に…」
ゴブリン達は、皆武装していて、皆弓を、剣を、槍を。
こちらに向けて臨戦態勢を取っていた。
その様子に漆黒の剣のメンバーも武器を手に取った。
まあ、ただの村だと思ってこんなのが出てきたら驚くわな。
「武装を解除してもらいたい!」
「俺たちも、出来るだけ戦闘をしたくはないんですよ。」
ゴブリンが皆口々に言う。
冒険者が村にきたことで、かなり警戒しているようだ。
オレは前に出て、ゴブリンたちへと顔を見せる。
「あー。大丈夫だ、お前たち。」
「ブラッドの旦那!」
「どうも。」
エンリに「ゴブリン将軍の角笛」を使わせた時、召喚されたゴブリンとは顔合わせを済ませている。
ゴブリンたちには、主人であるエンリを助けた恩人である、というざっくりした感じで説明をしおいた。
というわけもあって、このゴブリンたちはオレのことをぞんざいに扱う事はない。
「私もいるっすよ!」
「!」
その様子から、ルプーもゴブリンたちとの面識はあるらしい。
しかし、ルプーの姿を見た瞬間ゴブリンたちに緊張が走った。
モンスターだから、ある程度の危険察知能力を備えているのかもな。
ルプーのカルマ値の低さを本能的に察しているのかもしれない。
「ゴブリンさん。どうしたの?」
「…エンリ!」
「ンフィーレア!」
その立派な壁の中から、エンリ・エモットが現れた。
うーん…これは、三角関係か…
「き…ブラッド様。ようこそ、カルネ村へ。」
漆黒の剣のメンバーは村を観光。ンフィーレアはエンリにカルネ村の状況を説明してもらっている。
そしてオレとルプーはマリーに出迎えられ、どこかしらに案内されていた。
「マリーちゃん。それにブラッド様、ルプス様。」
「こんにちは!」
出会う先々で、マリーは村人たちと親しげに挨拶を交わしている。
カルマ値300とまでなると、こうも違うのか。
ルプーはゴブリンたちに警戒されまくっていたというのに。
「随分と慕われているようだな。」
「いえ…畑仕事や力仕事を手伝っているので。」
マリーは少し照れて答える。
さすがオレの娘。よくできた子だ。
「というか、この村に住んでまでやる事あるか?」
話を聞いてみると、マリーはカルネ村に住み込みで生活しているらしい。
住んでいるのは、先の件で亡くなった村人の使っていた空き家の一つだという。
「はい。まずは、前のように攻め込まれても安全なように防壁を作りました。」
「まあ、これならモンスターにしろ人間にしろ、攻め入るのは諦めるしかないっすね。」
にしてもやりすぎなんだよ。巨人でも攻めてくんのか?
「そして、これから開催する英雄祭の準備を…」
「英雄祭?」
「って、なんすか?」
「英雄祭は、村を救った英雄のブラッドさんを祀って行うお祭りです。」
「は!?え!?オレそんな事聞いてないんだけど?」
「はい。モモンg…失礼。アインズ様がブラッド様には内密で進める事、と…」
「あのヤロ…」
あの冗談が、まさか本気だったとは…
別にフラグ回収とかいらないんだよ。
「あ、そろそろです。」
「って、ここエンリの家だろ。言ってくれればオレにもわかったぞ。」
「ふっふっふ。秘密にしてサプライふぎゃっ!」
俺たちの方を向いて微笑んでいたマリーは地面の凹凸に足を取られ、つんのめってそのまま地面へダイブした。
あー、パンツが…
そういえば、設定にたまに不運なドジっ子を発動させる、みたいな属性を付けていたような…
「ブラッド様〜!」
「おー、ネム。いい子にしてたか?」
「してたよ!えっとね!ちゃんと毎日、お手伝いしてたよ!」
「それはすごいな!」
元の世界に、子供は、というか恋人すらいなかったが…子供がいたらこんな感じなんだろうか。
オレはネムを抱え上げてクルクル回す。ネムはロリ可愛い。
「ブラッド様。何度も何度もネムがすみません…」
「いや。ネムが嬉しいならそれでいい。だよなー?」
「なー!」
はー。クソ可愛い。
「ね、ね!ブラッド様!私がすり潰したエンカイシがあるの!見たい?」
「おー、見てみたいなあ。エンカイシは村の特産品なんだっけ?」
「そうなの!」
エンカイシとは、とある一定期間にしか採取できない薬草のことだ。
短期間しか採取でいないため、とても貴重なもの。鼻につくような独特な臭いがする。
…もちろんこれはいつも通りエンリの記憶からの知識だ。
「あっちにあるのは、ぜーんぶネムが潰したんだよ!」
「そりゃ凄いな!大人でもこの量は難しいかもな。」
「でしょ?へへーん!」
「ネムはすごいなあ!」
あー、ネムの幼女エネルギーが強すぎてオジサンになってしまう…
ネムの父親になりたい。結婚しよう、オーマ・エモットさん。
…いや、兄も捨てがたいな。エンリ、結婚しよう。
「ネム。…私はブラッド様にお話があるから、そのくらいに…」
「えー!お姉ちゃんだけずるいよう…」
「大切な話なの。ごめんね…」
「…はぁ〜い。」
ああ、しょんぼりしちゃった。
おのれエンリ、許さんぞ!
気が狂うまで
今回奉仕するのは…(オーマとは名前がわからなかったために勝手に名付けたエンリの母親の名前です)
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エンリ
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エンリ+オーマ
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エンリ+ネム
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エンリ+オーマ+ネム