※この作品はR-18です。

モモンガさん!それをㅤ殺すなんてㅤもったいない!   作:朝潮

23 / 50
    -第7話 ㅤ森の賢王
第23話


 

 

 

「森の賢王?」

「はい。」

 

森へと薬草採取を行いに出るンフィーを、オレたち+漆黒の剣のメンバーで護衛していた。

その間に、世間話がてらなかなか面白そうな話を聞いた。

 

「この森をテリトリーとしていて、数百年も前から生きていると言われている強大な魔獣です。」

「なんでも、蛇の尻尾を持つ白銀の四足獣で、叡智に溢れ魔法も使えるとか。」

「ふぅん…」

 

森の主ってところか。

にしても、叡智ねえ…

倒す必要もないだろう。現れれば、適度に追い払ってやればいい。

強そうならば、従属させてナザリックへと連れ帰るのも良いな。

 

「どんなに強い相手でも、ブラッドならチョチョイのチョイっすよ!」

「ははは…」

 

ルプーが快活に、腕をブンブン振り回す。

オレじゃ無くとも、お前のその1振りでワンパンだろうな。

 

「あの…ブラッドさん。」

「何だ?」

「森の賢王が現れたら、殺さずに追い払ってくださいませんか?」

「ああ、まあ…どうしてだ?」

 

元々そのつもりではあったが…

 

「これまでカルネ村がモンスターに襲われなかったのは、森の賢王がこの辺りを縄張りとしていたからです。」

「なるほど。それを殺してしまうと…」

「カルネ村に、モンスターが…」

 

確かに、それは由々しき事態だ。

正直、他の人間が死ぬのは心苦しいが仕方のない事だ。

…が、エモット家の人間が死ぬのは困る。大変に困る。

 

「いくらなんでもそれは…」

「わかった。出来る限りやってみよう。」

「えぇっ!?」

 

ルプーは、心の底では人間が苦しむことを望んでいる。

本心は、モンスターが攻めてくることを望んでいるはずだ。

オレはしっかりとルプーにも釘を刺す。

 

「ルプー。殺すなよ?」

「わかってるっすよー。」

 

信用されていないと思ったのか、ルプーはそっぽを向いて頬を膨らませた。

可愛い。

 

「相手は何百年も生きてる魔獣だぞ!?」

「強者にのみに許された態度であるな…」

 

 

「あー。すみません、少し尿意が…」

「…ブラッド。それはレディの前で言う事じゃないっすよ。」

「お前以外の前じゃ言わねえよ。」

「早めに戻ってきてくださいね。」

「わかってる。」

 

オレはンフィーレアに後ろ向きでひらひら手を振って不自然にならない程度に出来る限り離れる。

と、なると…魔獣使いのアウラが適任だな。

そして、魔法へ気を張って万が一にも音が漏れないように処置をする。

 

「伝言(メッセージ)。」

「きるゆー様!どうされましたか?」

 

アウラへメッセージを飛ばした瞬間、1コールで出た。

いや、コールなんていう機能はないが…

 

「森の賢王という魔獣を知っているか?どうやらこの辺りにいるようなのだが…」

「森の賢王、ですか…申し訳ありません。そのようなモンスターの情報は持っていません…」

「そうか…お前は今こちらに来られる状況にあるか?」

「はい!」

「ではアウラ。すぐに上位転移でこの森まで来い。お前には、森の賢王を誘導してもらいたい。」

 

ついでだ。

その森の賢王とやらがどの程度の強さなのか調べてみるとしよう。

 

 

 

 

 

「ダインさん。次は、この薬草をお願いします。」

「承知したのである。」

 

ダインは植物成長(グロウ・プラント)の魔法を使ってンフィーレアの薬草採取を手伝っていた。

森祭司(ドルイド)は妙な魔法を使うな。畑仕事で重宝しそうだ。

 

「!静かに!」

 

鳥たちが一斉に、何かから逃げるかのように飛び立った。

ルクルットが鋭い声をあげ、地面に耳を付ける。

 

「…何か、来る…?」

「まずいな、こりゃ。デカいのが何かこっちへ向かってきてる。」

「森の賢王…でしょうか…」

「多分な。何しろ相当デカい。俺たちじゃ無理だ。」

「ブラッドさん…」

 

そうそう。

こういう展開を期待していたんだ、オレは。

アウラはうまくやったようだ。

 

「そうだな。ここはオレが引き受けよう。」

「私もお供するっす。」

「それでは、私たちはンフィーレアさんを森の外まで護衛します。」

「あー。頼んだ。」

 

あー…ですよね。依頼者を一番に守るのが冒険者ですよね。

これじゃ、森の賢王と戦う事すら証明できねえ…

 

「っ!?」

 

何かが飛来し、それをオレは片手で受け止める。

パワーはまだまだだったがスピードが出ていた事と不意を突かれたこともあって、オレは3センチほど後ろへ押された。

が、そこから踏ん張って力に任せて押し戻す。

蛇…なるほど。こいつは確かに森の賢王らしい。

 

「某の初撃を完全に防ぐとは見事である。」

「…それがし?」

 

叡智とかなんとか言っていたから喋るかもとは思っていたが。

また妙にキャラの立った奴な気がするな…

 

「某の縄張りへの侵入者よ。今逃走するのであれば、先の見事な防御に免じて某は追わないでおくが…どうするでござるか?」

「ござる?」

 

いや…なんか、寒い。

忍者に憧れ持った入国したての外国人みたいだ。

それで、オレはどう反応すればいい?

 

「いや、それは無理な相談だ。」

「それは残念でござるな。では某の威容に瞠目し、畏怖するが良い!」

 

どすん!どすん!

大きな音を響かせ、木々の隙間から森の賢王が姿を現わす。

銀の毛並み。四足獣。蛇の尻尾。会話ができるだけの知能。

確かに、情報に間違いはない、が…

 

「こいつは…」

 

完全に、尻尾が蛇で滅茶苦茶にデカいだけのハムスターだった。

何だコイツ…

 

 

 




八木 洋さん。
評価コメありがとうございます!
ー彼女の登場ももうそろそろですね。考えておきます。

Bibaruさん。くららんさん。神天宮さん。
紅月 雪さん。アルビレオイマさん。†-りっちぃ-†さん。
評価ありがとうございました!
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。