仲間を殺されたとは言え、男連中はヴァンパイアにはなってしまったものの蘇った。
ニニャも酷い姿だったが死んではいなかった。
そもそも、結果的にニニャを手中に収めることができたため悪いことばかりではなかった。
オレの思っていたシナリオとは大分と違ってしまうが。
「いや、すまなかったな。少し腹が立っていた。」
オレはクレマンティーヌの頭から足を退け、不遜な態度で謝った。
少し弱みにつけ込まれてしまうかと危惧もした…が、反応がない。
「顔を上げろ。」
命令を下してみるも、顔を地面へと落としたまま動かない。
何か企んでいるのかと警戒は怠らないまま顔を上げさせてみると、完全に気絶していた。
先程の謝罪の連呼はとても嗜虐心をくすぐられたが、そのあまりの重圧に耐えられなかったようだ。
しまったな。少し虐めすぎてしまった。現地人ながらあまりにも頑張るので限界を見誤ったか。
それよりも、クレマンティーヌに触った事で吐瀉物が手に付着してしまった。
「
詠唱一発で、床とクレマンティーヌの顔、そしてオレの指から汚物が消え去った。
本来吐瀉物を片付けるのは一仕事なんだが。魔法って便利だなー、と呆れてしまう。
「…ったく。本当にこれで大丈夫なんだろうか…」
まず裸にひん剥いて自尊心を折り、力でねじ伏せて上下関係を体に叩き込む。
オレの足りない頭で絞り出した方法だ。ま、後でシャルティアやニューロニストにでも師を仰げば良いだろう。
一番手っ取り早いのは痛みで恐怖心を誘う事らしいが、もうそんな気分ではなくなってしまった。
それに、痛みでの調教はクレマンティーヌの前にオレの心が折れかねない。
アンデットの精神作用効果が効いているはずなのだが、オレの心はどうも人間寄りのようなのだ。
「こいつは前途多難だな。」
オレは気絶してしまったクレマンティーヌの調教を一時諦め、別室で待機させていた漆黒の剣のメンバーの様子を見に行くことにした。
勝手に連れてきてしまったのだ。当然オレが世話を見るべきだ。
「
クレマンティーヌには夢の中で勝手に調教されてもらうことにしよう。
調教という面ではオレよりもこの女の方が詳しいだろう。この方が効率が良い。
クレマンティーヌは束縛した後に指輪でオレの部屋へと転移し、その辺に転がせておいた。
自室なら誰かが勝手に入ってくることはないだろう。
その後再び指輪で待たせてしまっている部屋へと転移した。
「きるゆー様。お待ちしておりました。」
オレの入室を認めたルプーは、流れるように綺麗な所作で片膝を付いた。
毎回止めるのは面倒だが、これはNPCにとってしなければならないこと。
彼女らの気持ちを考えると、やめてくれとは口が裂けても言えない。
「お前の手を煩わせてすまなかったな。立て。」
「とんでもございません。」
ナザリック内で冒険者の演技は一旦取り止めだという事を言わずもがな理解しているルプー。
出迎えの礼を終わらせ、立たせる。ニニャ達にはこう言う礼も教えておかなければいけないな。
主に、他NPCから守るために。ただでさえ外から拾ってきた人間だ、やっかみも多いだろう。
「あの…ブラッドさん…ですよね?」
「その通りだ。ニニャ。」
奥に立っていたニニャが恐る恐ると聞いてくる。
ルプーやオレの態度がこれまでとの印象が全く違うことに戸惑っている様子。
「ブラッドさん。これは一体…」
ペテルがメンバーを代表として疑問を投げてきた。
種族進化によって一時的に気を失っていたニニャ以外のメンバー達も起きているようだ。
よく見ると、ルクルットは床に転がって目を回している。
吸血衝動でも起きてルプーにやられでもしたか?
「結論だけ言うと、第一に漆黒の剣はオレの組織へと所属してもらう。
これは絶対である拒否権はない物と思ってくれて良い。
第二に、お前達は今や人間の体ではない。無理やり蘇生させたために
ニニャは未だ人間だが、そのうちお前達と同じく
次から次へと聞かされた衝撃の言葉に、漆黒の剣はついてこられていない様子。
まあそこはニニャにでも説明してもらおう。
自分がオレの所有物になったことも含めてな。
「次からオレを見かけた時には礼をするんだ。ルプー…ルプスレギナ・ベータの真似をするように。」
「は、はい。」
「かしこまりました、っすよ。」
ルプーがニニャへと鋭い視線を飛ばした。
「ま、ここでの儀礼はそのうちな。」
オレはルプーがニニャとしたように視線で止めさせる。
ニニャがこの状況に順応できないのは仕方がない。
…のだが、ルプーの目はなにやら厳しいままだ。
「あの…ブラッドさん。これから、私たちはどうなるのでしょうか…」
「どうなる、とは難しい質問だな。折角助けたわけだから別に取って食ったりはしない。安全はオレが保障しよう。だが、そのまま返すつもりもない。
ゾンビになってさえいなければ、蘇生させるだけで済んだのだが。
それもこれもあのハゲのせいだ。クッソ…
「これからの事は仲間と話し合って決めるつもりだ。それまでここで大人しくしていて欲しい。」
「…わかりました。今は、あなたとルプスさんを信じます。」
ペテルはオレたち二人を警戒しながらもそう言ってくれた。
生き返らせた事と吸血鬼にされた事。
プラスマイナスでプラスな印象になってくれれば良いのだが。
「ニニャ。お前は確か魔法技術を覚えるのが早い、とかなんとかいったタレントを持っていたな。」
「はい…正確には、魔法習得技術ですが…」
モモンガさんは、ユグドラシルには無かった「タレント」や「武技」といったスキルに興味がある。
こちらの世界にきた事で、ユグドラシルには無かった別種の力が手に入ることに期待しているようなのだ。
ニニャを手に入れたのは、そういう意味でも良かったと言える。
このことも踏まえて、これから起こる死の螺旋の儀式とやらをモモンガさんに報告しないとな。
「ルプスレギナ。オレはこれまでの事をギルド長に報告に行ってくる。もう少しここで待っていてくれるか。」
「お任せください。」
『きるゆー様。アインズ様から重大な報告があるため、帰還次第お連れしろとのことです。』
『…わかった。』
突然の
今話を投稿するにあたってこの作品を読み返して思いました。
誰だこんな良いところで更新止めたのは
更新復活するかは未だ確定しておりません。
他作品で書く書く詐欺をしてしまったので…
読者の皆様におかれましては多大なるご迷惑を…