「そうか、お前は知っていたか。他に私達の演技に気が付いている者はいるか?」
「いいえ。私だけでしょう。」
オレよりも早く復活したモモンガさん。
アルベドにバレているならデミウルゴスにも、とういう訳ではないようだ。
玉座の間に座しているアルベドだからこそ気がついたのかもしれないな。
「あの…これは御2人がスタッフ・オブ・アインズ・ウール・ゴウンで設定なされた事では?」
オレはモモンガさんの方を振り返った。
スタッフ・オブ・アインズ・ウール・ゴウンと言えば、言わずもがなあの一件だろう。
だが、何か特別な事をした覚えはないが…
「…そうですか。それも偶然、だったのですね。」
「ああ、実を言うとな。」
「であるならば、私はその偶然に感謝をしなくてはなりません。そのおかげで、こうしてアインズ様やきるゆー様のお側で寄り添えるのですから。」
口を三日月の形に変え、腰から伸びる黒い羽をパタパタとはためかせる。
興奮状態になってしまったアルベド。うん?どういう事だ?
「お前にはあの時の記憶もあるのだな。」
「勿論です。御方々との思い出は一瞬たりとも忘れる事などありません。」
モモンガさんが言いたかったのはそういう事ではないと思うが。
設定とか言い出したためにもしかしてと思ったが、ゲーム外などのメタ的な融通が効いているわけではないようだ。
「すまないな。お前の前であんな…タブラさんの気持ちを無視してしまうような行動をしてしまって。」
「私は気にしておりません。それに、タブラ・スマラグディナ様も、きっとお許しになります。」
アルベドがにっこりと笑みを零した。
滅茶苦茶に優しい…気を抜くとコロっといってしまいそうだ。
「それに、このような事態になってしまったのですから。結果的には良い決断だったのではないでしょうか。」
「そう言ってくれると助かるよ。」
いつも通り、NPCの前では分からない事も誤魔化そうとも思ったが。
それはオレ達の演技を見抜いたのを打ち明けたアルベドに申し訳が立たない。
「…悪い。話に付いて行けないんだが…どういう事だ?」
「きるゆーさん。書き換えた設定の全文を覚えていますか?」
「いや、さっぱりだ。」
モモンガさんは敬語になった。
オレたち2人の時の口調に戻したようだ。
「まさに外見だけであれば完璧なきるゆーとモモンガを愛している、だ。」
「それ自分で言ってて恥ずかしくないのか?」
「…」
オレは聞いただけでぞわりと鳥肌が立った。
数日前の事なのに、既に黒歴史になってしまっていた。
原文はこうだ。
ーまさに外見だけであれば完璧な美女だ。ちなみにビッチである。ー
それが、文字数制限のせいで
ーまさに外見だけであれば完璧なきるゆーとモモンガを愛しているー
と変更した。
「これは、私たちの外見だけは完璧だと…つまり、中身までは完璧ではないという事を知っているという意味にも捉えられます。」
「無理矢理な気もするが、確かにそれが一番近い解釈な気もするけど…」
モモンガさんはオレの言葉を軽く無視し、説明を続けた。
まあオレもいじり続けるつもりはなかったが。
そもそも、この話題はオレにもダメージ入る。
「アルベド。これからは私たちのフォローをしてもらえると助かる。何せ私たちは…」
「はい。私の全てを以って、御二方の力になりましょう。」
「頼んだ。」
これは心強い味方を得たな。
上位者ロールをするにあたって、知らない、わからないだと格好がつかない。
そういうポンコツな部分をアルベドがフォローしてくれるのなら安心だ。
「…アルベド。」
「はい、何で御座いましょうか。きるゆー様。」
アルベドがこちらを見つめてくるだけで、ぞくりと鳥肌が立つ。
…しかし、いつまでも怖がっているわけにもいかない。
オレは真っ直ぐにアルベドの目を見つめる。
「アルベド。お前の気持ちを知って、オレがどんなにお前達を悲しませていたか思い知ったよ。」
「…はい。」
ギルドメンバーが去ったことによる深い絶望。
モモンガさんまでいなくなってしまうのでは、という恐怖。
この地の主人を少しでも疑ってしまった自分への苛立ち。
───そして、自分たちを見捨てた者。オレたちへの
アルベドの記憶を覗き見なければ、オレもあの時土下座まではしなかっただろう。
オレよりも余程ギルメン達の事を尊敬していた。憧れていた。愛していた。
そんな気持ちを知っていながら、NPC達を見捨てる事はしたくない。
「オレはもう、隠れたりすることはない。約束する。」
「はい…はいっ!…これ以上のことは、ありません…っ」
しまった、守護者統括サマを泣かせてしまった。
タブラさんにぶっ転がされるな、こりゃ。
オレは慰めるようにアルベドの肩をポンポンと叩いた。
昂まった気持ちを表すかのように、黒い翼がぴょこぴょこと跳ねるのが可愛らしくも美しい。
是非撫でてみたい。撫でて触覚があるのか調べてみたい。
羽の一本一本を手入れしたい。マッサージしたい。
書き換える前のアルベドに聞くと別の回答が帰ってきそうだが、言っても仕方のない事か。
どうやら失望しているような様子はないし良かったというべきか。
アルベドとの会話も1段落した頃、眷属から知らせが入った。
知覚共有をしてみると、ハゲの頭越しにとあるモンスターが見えた。
「…モモンガさん。どうやら、例の男がスケリトルドラゴンを召喚したみたいだ。」
「スケリトルドラゴンですか。その程度なら全然問題はありませんね。」
スケリトルドラゴン。
第六位階以下の魔法を無効化する、ユグドラシルにも存在していたアンデットモンスターだ。
「じゃ、オレはあのモンスターを倒してくる。モモンガさんの話はその後でも大丈夫か?」
「はい、今はそっちに集中してください。できるだけ派手にやっちゃってくださいね。」
「任せろ。」
オレは親指を立ててから指輪を使い転移を行う。
向かうはルプーのいる部屋だ。あいつも連れて行かなきゃな。
「いってらっしゃいませ。」
オレが転移で消えた場所へと、アルベドが深く深くお辞儀をしていた。
九尾さま。サリエリキキさま。志島かなとさま。ryo505さま。岸辺正雀さま。
評価のほど、本当にありがとうございます。
特に他作品にもご支援いただいているエリキキ様には多大なる感謝を…
エンリちゃんとスローライフする話とか読みたい。
何でないんですか?私が書けってことですか???
エンリメインのお話があればおススメください。
きるゆーさんのエゴで助けた漆黒の剣ですが、今後どうなるでしょうか。
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(きるゆー達とは別々に)冒険者を続ける
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死んだことにしてナザリックに関する雑用