第37話
転移門が開いた先はカルネ村。オレが向かったのはエンリの家だ。
ニニャという手もあったのだが、オレはモモンガさんとアルベドに窘められ、漆黒の剣の面々をナザリックからエ・ランテルへと返していた。
配下にしてナザリック内で行動するよりは、情報収集役として冒険者を続けてもらった方が都合が良いという事だ。
ナザリックを漆黒の剣のホームにしてしまうと転移魔法が超高度なこの世界では移動の都合が悪いということもある。
それに加えて、チームを組む事もデメリットがあるらしく、パーティー云々の話は白紙へと戻された。
彼らは元いた宿屋へと泊まっているため、ニニャだけを呼び戻すのは抵抗がある。
と言うか、そんな事をしたら変な勘違いをされてしまいそうだ。
カルネ村は静かだった。
それも当たり前。カルネ村は遠郊の貧しい小さな集落だ。
ランプで光を灯して夜中を過ごすような非生産的な生活はできない。
見張り以外は早く寝て太陽と一緒に起きる健康的な暮らしをしている。
その見張りもオレが召喚させたゴブリンや、眠ることの出来ない種族であるマリーがしているため人間は誰も起きていない。
本来なら転移した瞬間に迎えに来ていたであろうそのマリーも、オレが探知阻害の指輪をつけているためオレの存在にすら気付くことはないだろう。
「
気が付く事はないだろうが、念には念を入れて家への侵入にも適している第9位魔法の隠蔽を行なった。
スキルを使った瞬間、オレの体は霧のように空気に溶けていく。
これはスキルの効果ではなく、オレ自身の特性によるものだ。
ユグドラシルでは何の意味も無かったキャラクターに紐付けされたフレーバーテキスト。
しかしそれはこちらの世界において大きな意味を持っていた。
例えば、オレは自らの設定欄に「吸血鬼なので不可視化系のスキルや魔法を使用した時には霧に変化する」と言う設定を書き込んでいた。
本来ならこれはオレが勝手に妄想を書いただけで、ユグドラシル内においてオレが霧に変わる事などゲームシステム的に出来なかった。
が、こちらの世界に来てから本当に霧になることが出来てしまっている。
フレーバーテキストに関しては設定厨だったタブラさんに感化されて色々と書いてはいたのだが、それをオレはこちらの世界に来てから未だ確認できずにいる。
何故なら、オレの書いたフレーバーテキストはパンドラの箱。
記憶と共にゴミ箱へと投げ捨てたい真っ黒な黒歴史なのだから。
…思い出しただけで鳥肌が立ってきた。この事を考えるのはもうやめよう。
そんな事より、今はエンリの血を吸うことが先決だ。
オレは空気に乗りながら扉の隙間をすり抜けて、家の中へと侵入を果たした。
2つのベッドを繋げた大きな寝床で、エンリ、オーマ、ネムの順に仲良く川の字で寝入っていた。
もしまだ起きているようなら驚かせてしまっては悪いと思い家の外に転移したのだが、杞憂だったようだ。
オレは霧化を解除してエンリの枕元へと立った。
つい先程まで相手をしていたクレマンティーヌと比べて、あまりにも素朴な少女。
クリクリとした大きな目は愛嬌があるが、全体的に垢抜けない田舎娘といった印象を受ける。
しかし、何故だろう。オレには顔の整ったゆるふわ系美人のクレマンティーヌよりも、これまで共だって行動してきた完璧に近い容姿をしたルプーよりも魅力的に映る。
「エンリ。起きているか。エンリ。」
ネム達を起こさないよう、小声で囁き尋ねる。が、やはり起きている様子はない。
オレはエンリの口に自らの唇を重ね、優しいキスを落とす。
オレがもしあの女とキスをしていたなら、こんな事はしなかっただろう。
綺麗なエンリに、
寝ているエンリの柔らかな唇に吸い付く。唇で咥えて優しく食む。
しばらくはむはむと唇の感触を楽しんでいたが、時期に我慢できなくなり舌を差し入れた。
唇を強引に押し退け、幼い口内へと侵入する。
しっとりと濡れた唇の裏側を味わい、舌で歯茎をなぞる。
しかし閉じた顎がそれ以上の侵入を許さなかった。
煩わしい。親指で顎を引かせて、強引に口を開かせる。
舌を吸い、絡み合わせ、内頬を無遠慮にベロベロ舐め回す。
つき立ての餅のように柔らかな頬肉を堪能して、口内へ吸い付く。
構内に分泌されている唾液を啜り、エンリの口をカラカラに乾かせた。
代わりに、舌から滲み出るオレの唾液をエンリの口内へと塗りたくる。
ここまでしてもエンリは目を覚まさない。
口内を蹂躙されるがまま、気持ちよさそうにスヤスヤ寝息を立てている。
ここまでされて気が付かないのか。オレは少し子供染みた苛立ちを覚えていた。
オレはエンリの舌を吸って自分の口内へと招き入れ、出来るだけ優しい力で噛み付いた。
「んっ…?んぅ…」
流石に痛みに気がついたのか、エンリは小さく身じろぎ、ゆっくりと目を開けた。
寝ぼけ眼で目をぱちくりしていたが、今の状況を察して大きく目を見開いた。
そして体を大きく動かし暴れ出そうとするエンリを止めて口を離す。
「きるゆー…さま…?」
「こんな深夜に悪いな。少し血を分けてもらいに来た。」
言うが早いか、オレは再びエンリの口へと吸い付く。
噛み切った舌から滲み出る血を啜る。エンリは
それどころか、オレに追いつこうと必死にオレの舌と動きを合わせ、擦り付け合う。
互いにキスの経験は乏しく、拙い。それでも飽くことなく口内で交尾を続けた。
口と口の間から小さな水音が漏れ出て、ひやりとする。
隣ではオーマガ、ネムが寝ているのだ。特にネムは絶対に起こすわけにはいかない。
だが、今更止められない。こんな美味い唾液や血液を目の前に辞めるなんて選択肢はない。
だから、出来るだけ口と口とを密着させて、音の出る隙間を無くす。
ちゅう、ちゅう…ちゅっ、ちゅっ…
それでも小さな音が静かな部屋に響いてしまう。
しかし、そんな些細な事は思考の何処へやら、2人は夢中で互いの口内を舐め合う。
Tentacle_nurseryさん。ISUKAさん。岸辺正雀さん。壁ワロタ(笑)さん。
高評価ありがとうございます!
エンリ可愛いが過ぎる…