※この作品はR-18です。

モモンガさん!それをㅤ殺すなんてㅤもったいない!   作:朝潮

4 / 50
    -第2話 ㅤ階層守護者
第4話


 

 

 

噛み切った肌の奥から、ゆっくりとどろりとした鉄分がじんわりと出てきた。

その傷口に、オレは夢中になって吸い付いた。

喉の奥へ血が流れ落ちていく。

 

瞬間、何かが頭の中を駆け巡った。

 

 

 

3Dグラを作っているタブラ・スマラグディナさん。

アルベドを守護者統括として設定したギルメン達。

こちらをいやらしい目線で見つめるペロロンチーノさん。

 

この走馬灯のような記憶の濁流は、楽しかった思い出から寂しいものへと段々変わっていった。

 

最後に、一言別れを言ってからは戻ってくることのなかったタブラさん。

ギルドメンバーが去り、暗い玉座の間で待機させられる守護者達NPC。

1人、玉座の間に座るモモンガさん。

 

最後に見たのは、モモンガさんがアルベドコンソールを操作している場面だった。

モモンガさんは、設定文の最後に書かれていた、ビッチであるという文を削除した。

そして、ギルメンがログインしたことを知らせる効果音が鳴り、オレが現れた。

 

────まさか、これはアルベドの記憶…?

 

 

走馬灯が終わり、オレの意識はアルベドに噛み付いているところまで戻っていた。

ちゅうちゅう。ちゅうちゅう。と、いやらしく啜る。

吸い上げる度、舌先に甘美な味わいを覚える。ああ、美味しい…

これを続けていると、段々と吸血衝動がおさまってきた。

 

「はぁっ…う、ふぅん…はぁっ…♡と、とても…気持ちが良いですぅ…♡きるゆー様ァ…!」

 

オレは、このままずっと味わっていたい衝動に駆られる。

が、すぐ隣で発せられたアルベドらしきものの声で我に帰った。

 

「って、オレは何を…!」

 

ちゅぽん!と音を響かせて、オレはアルベドから離れた。

舌先に残る甘い味を残念に思ってしまう。

…いやいや!オレはなんて事を…

っていうか、その前にハラスメントに厳しいユグドラシルが、R18行為を容認している。

これは…一体どういう事だ…

 

「はぁ…はぁ…き、きるゆー様ぁ…もっと、吸血してください…」

 

それはもう、アルベドの顔はかなりの愉悦に歪んでいた。

その顔は、多くの男が引いてしまっても仕方がないようなものだった。

だが、オレはそんなアルベドにも興奮を覚えた。

 

「あぁ!きるゆー様ぁ…♡これからベッドにでもどうですかぁ…?」

「…いや。多少落ち着いた。」

 

フラフラと鳴りながらも、オレはアルベドをやんわりと拒絶する。

というか、何なんだ、この状況は…

 

「あの…きるゆーさん…?」

「あぁ…悪い…多分吸(・)血(・)衝(・)動(・)が発動した。」

 

「吸血衝動」吸血鬼(ヴァンパイア)系種族が取ることの出来る、パッシブスキルの1つだ。

スキル、吸血。吸血時のダメージ力の幾らかのHPを回復する。

吸血衝動は、吸血の際にMPも回復するようになり、更にその回復量の割合を上昇させる。

…設定テキストには、吸血力の上昇と引き換えに、自分の気に入った者の血を吸う衝動に駆られる。と書かれている。

だが…

 

「吸血衝動って、スキルのですか?」

「多分…というか、絶対そうだ。じゃないと、こんなの説明がつかない。」

 

肩に噛み付くなんて、吸血衝動じゃなければゾンビだ。オレはゾンビになったのか?

 

「あの…何か問題がございましたか?」

「…GMコールが効かないようだ。」

「!…お許しを。無知な私には、GMコールというものに心当たりがございません…」

 

アルベドは心底申し訳なさそうに答える。

アルベドが動いている。アルベドがしゃべっている。

NPCが、勝手に動いて、勝手に喋って…

 

「?」

「?」

 

オレとモモンガさんは再び顔を見合わせる。

なんじゃこりゃ?

 

「セバス!」

「は。」

 

オレが混乱しているうちに、モモンガさんが行動し始める。

え、セバスが答えた!え、アルベド以外のNPCも喋っとる…

 

「大墳墓を出て、ナザリックの周辺地理を確認せよ。」

「…かしこまりました。」

「プレアデス達は9階層に上がり、侵入者の警戒にあたれ。」

「かしこまりました。」

 

え、え、え、え???

何でモモンガさんはこの状況に順応してるん???

オレが混乱しているうちに、セバスとプレアデスは出ていってしまう。

え、ナニコレ…

 

「では、私はどういたしましょうか。」

「アルベド。そうだな…第四、第八を除く各階層の守護者に6階層の闘技場まで来るように伝えよ。時間は、今から一時間後だ。」

「かしこまりました、モモンガ様。」

 

腰から生えた羽をぴょこぴょこと動かしながら、アルベドも出て行く。

後ろ姿エロいな。特に、女性的なラインを出しているお尻…

 

「っく!…また…」

 

オレは、再び湧き出した吸血衝動に、口を押さえて抵抗する。

 

「…大丈夫ですか?きるゆーさん。」

「はい、まあ…ちょっと危なかったですが…」

 

最後の最後まで、時間までナザリックにいたい。

そんな、ほんの軽い気持ちだった。

オレ達は、そしてナザリックは、ユグドラシルは。

どうなってしまったんだろうか。

 

 

 




スキルとその設定は適当に考えました
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。