「それで…その、ゴブリンさん。私はブラッド様に町の案内をするようお母さんから頼まれているので…」
「はい、わかりました。伝えてきますね。」
「すみません。」
「いえいえ、そういう事なら納得ですよ。」
エンリが何事かを謝り、ゴコウがオレから逃げるように走り去って行った。
すぐに逃げたそうにしていたし、必要以上に怯えさせてしまったか…
またゴブリン達と壁ができてしまった気がするが、ここは譲れない。
それよりも、オレが理解できない会話をしているのが引っかかる。
「今のはなんの話だ?」
「炊き出しの事です。もう少し先でしているので、見に行きませんか?」
「…そうだな。」
オレ達は炊き出しを行っているという村の広場まで散歩がてら歩を進める事にした。
散歩がてらというか、デートがてらというか。
つい先程までこの女の子がオレの上で善がっていたなんて信じられるか。
時間を忘れて盛っていたエンリが慌てて朝だから帰らないとと言い出した時は正直最近の子の元気にはついていけないとすら思った。
転移門でカルネ村に飛んだ時、急いで服を着たが、実は寸前までセックスしていた。
よくもまあこんな純真無垢な笑顔ができるものだ。
「ブラッド様。おはようございます。」
「おはようございます。」
「おはようございます、ブラッド様。」
「ああ、おはよう。」
屋外に出ている村の女の子たちが一様にこちらへとお辞儀をする。
オレは手を振ってそれに答えてやると、きゃあきゃあとはしゃぎながら身内話に盛り上がっている。
女が3人集えば姦しい、とはよく言ったものだ。
これでもう何人目かの挨拶。まるで出迎えられているかのような応対だ。
こんな早い時間に、それも女の子ばかりが外に出ているのは少しおかしい。
何かの情報網があるのかと勘ぐってしまうな。
オレの勝手なイメージだが、貧しい村は高齢化が進んでいると思っていた。
が、むしろカルネ村に関してはむしろ若い子達よりも老人の方が珍しい。
一番多いのが3、40代くらいの中年で、次に多いのが10代そこらの若い世代だ。
お金のないただの貧村では老人は早く死ぬし、若い子は結婚適齢期が早いためすぐに子供を作るから多いのだとか。
行き場のない焼き討ちにあった村の生き残りが、このカルネ村へと集ってきている事もそれに発破をかけているようだ。
広場には屋外に木製の長机と椅子が並べられていて、青空教室のようになっている。
椅子には両手では数え切れない数のゴブリンが礼儀正しく座って会話をしていた。
少数だがゴブリン達に混ざって人間もちらほら見える。
誰も料理を食べている者はいないため、まだ食事はできていないようだ。
「ブラッド様!村に来られていたんですね。」
「つい今しがたな。」
遠くから歩いてきたオレ達を見つけて、村娘の1人がパタパタ走り寄って丁寧に話しかけてきた。
ゴブリン達もオレを視界に捉えると、会話を一度取りやめて一礼をくれた。
「こうやってゴブリンさん達や家族を亡くされてご飯を作るのが難しい人達でも美味しい料理を食べられるようにしているんです。」
「なるほどな。」
「私も、毎朝ゴブリンさん達の料理を作っているんですよ。」
エンリは恥ずかしそうにはにかみながら呟いた。
オレが口達者に凄い、偉いと褒めそやすと、エンリはそんな事ないと満更でもない様子で謙遜した。
「ゴコウさんはいつも手伝いをしている私がなかなか来ないから心配して見にきてくれたんだと思います。」
なるほど、朝には帰りたいと言っていたのはこの理由もあってのことだったのか。
オレはそんなゴブリンを脅してしまった事に申し訳なさを感じ、目線でだけでも謝ろうとゴコウを探す。
周りを見渡したがゴブリンが多すぎて、どれがゴコウかもうわからなくなってしまった。
「もしかして、ブラッド様も食べて行かれるんですか?」
「いや、悪いな。ここには少し様子を見にきただけだ。今日は先約がある。」
名も知らぬ無邪気な村娘ちゃんが期待した様子で話しかけてきた。
しかし、残念な事にオレはネムやオーマと食事を摂ると約束してしまっている。
この村娘ちゃんの期待を裏切るのも心苦しいが、ネムの期待を裏切ってしまうのは無理な話だ。
オレはエンリの頭をポンポンと叩く。
「皆さ〜ん、お鍋ができましたよ〜。」
暫く会話を交わしていると、足の生えた大きな鍋が現れた。
いや、鍋を持っている奴が後ろにいるようだ。鍋は勝手に歩かない。
というかよく見るとその鍋を両手で一生懸命に運んでいるのは、世界一可愛いオレの娘だった。
どうやらマリーもこの炊き出しには一枚噛んでいるらしい。
それを見たゴブリン達は席を立ち、口々に料理やマリーを褒めそやした。
そしてどこからか器を取り出し、マリーが何かの汁物を器に注いでいく。
ゴブリン達の動作には迷いがなく、この炊出しが日常的なものなのだと実感させられた。
オレはそんなマリーの様子をじっと見つめていた。
ふとマリーの完全に閉じている目がこちらへと向いた瞬間、彼女の方が大きく揺れた。
そしてわかりやすくアワアワと慌てた後、マリーはオレの元へと駆け寄った。
マリーはオレ達から1メートルほど間を置いて立ち止まり、土の上だというのに躊躇いもなく跪いた。
「きっ…ぶ、ブラッド様…お越しになられていたのですか。」
「構わない。探知阻害の指輪をつけていたのはオレだ。」
オレはマリーの礼を受け取り、その後手で制して辞めさせる。
というか、気付かれていたら色々と気まずいからお前は気付かないままでよろしい。
そしてマリーが慌てて投げ捨ていたおたまはゴブリン達が地面に落ちる前にしっかりと受け止めていたので不問とする。
にらさま。岸辺正雀さま。
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1番期待しているのは誰?(別に出すとは言ってない)
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エンリ(正妻)
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ルプスレギナ
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マリー
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その他プレイアデス
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ヒルマ(麻薬部門長)
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踊るシミターちゃん(六腕)
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ツアレ・ニニャ
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青薔薇
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クレマンティーヌ再登場