※この作品はR-18です。

モモンガさん!それをㅤ殺すなんてㅤもったいない!   作:朝潮

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第43話

 

 

 

「平和な村だな。ついこの間、あんな凄惨な事件があったというのに。」

「それもブラッド様のおかげです。私たちがこの村に住めているのは、ブラッド様の遣わしてくださったマリーさんとゴブリンさん達のおかげですから。」

 

炊き出しの様子を一通り伺った後、食事を食べられないマリーを伴って今度はエモット家までの道を引き返していた。

 

「って事は、頑張ったのはお前って事か。ほら、ご褒美だぞ。」

「あっ、あの…っ」

 

オレは意地悪そうな笑みを浮かべながらマリーの喉元へと手を差し出した。

そして、ひんやりとした感触の木製の顎をこしょこしょとこしょばせる。

まるで、猫や犬を可愛がるかのように。

マリーはその褒美を一身に受け、行き場のない両手をあわあわ彷徨わせた。

こうして、オレはよくマリーで遊ぶ。主の行動を諌める事は配下にはできない。

 

「…そうか、なるほど。こういう手もあるのか。ククク…良いことを思いついたぞ。」

 

それをヒントに、オレはとある()案を思いついた。

これは配下たちが大喜びするに違いない。今からその時が楽しみだ。

思わず邪悪な笑みが零れだすオレに危機感を抱いたのか、はたまたオレの手から逃れたかっただけなのか。

拘束の緩んだ隙にマリーはオレの手の中から抜け出した。

 

「こら、待て。主人の褒美を無下にするとは何事だ。もっとこっちへ来い。」

 

まあそんなお粗末な脱出でオレがマリーを逃がす事はなく、主人から逃げた罰という名目で高級木材で出来ている真っ白な頬を撫で回していた。

逃げ出す前よりも接触が多くなってしまったマリーはというと、あうあうと言いながら木製のはずの頬がなぜか赤くなっていく。

 

不意に、心臓がどきりと跳ねた。…悪い意味で、だ。

心臓を直接掴まれた(グラスプハート)ような錯覚を覚える。それに、なんだか無性に背中が痒くなってきた。

…過去のオレよ。「あうあう」は無い。その設定文を書くのはよせ…ヤメロぉ!

こうしてマリーは意図せずオレから解放されることに成功したのだった。

策士め。

 

 

 

マリーが隣に来てからというもの、村の女の子達はオレに声を掛けてくる事はなくなった。

女の子がいないというわけでは無い。むしろ集まってきている。

しかし何故か先程までとは違い、遠巻きから眺めているだけで近付いて来ようとはしないのだ。

マリーの美貌に恐れをなしたか。はっはっは。どうだうちの娘は可愛いだろう。最高だろう。

 

女の子から話しかけられる事はなくなった。

なくなったのだが、話しかけてくる人数はむしろ増えていた。

というのも、オレというよりはマリーを見て話しかけてくるのだ。

マリーはこの村に良く馴染んでいるようで、おっちゃんおばちゃん連中がお世話を焼いて来る。

例えるなら…そう、近所の子供を可愛がっている感じか。

 

「こうして見てみると、お前達はよく似ているな。」

 

そんなさなか、2人の姿を後ろから眺めつつそんな言葉がポロリと出た。

普段はエンリが髪を纏めて編んでいるためかそんな印象は受けなかったが、今は下ろした状態だ。

マリーは薄い金色の腰上までの長髪で、エンリは栗毛色の背中までの長髪。

それほど似ているわけでもないが、2人並んで歩く横顔が、どこか重なって見えた。

 

「いっ、いえ!私はこんなに綺麗じゃないですよ!髪の色だって、マリーさんは光に輝くような金色で、私の方はくすんだ栗毛ですし…」

「そうかな?エンリの髪も綺麗だよ。」

 

確かに、マリーの髪と比べてしまうと流石に劣ってしまう。

木製ドールの自動人形(オートマトン)である彼女の髪は比喩ではなく本当の作り物なのだから。

触れれば絹のような手触り艶やかな髪は光に透かすと小川のせせらぎのようにキラキラと輝く。

風に吹かれて髪がたなびくその様子は絵画から出てきた妖精のようだ。

 

マリーはオレの好みをこれでもかと追求した至高の人形である。

オプションはオレが作ったものの、ベースはヘロヘロさん…いや、ヘロヘロお師匠様が作成してくれている。

数多なるメイドを量産した現役プログラマーであるヘロヘロさんの技術はそれはそれは素晴らしいもので、特にマリーの造形美たるや女神そのもの。そこらの一般人が敵うものではない。

オレが見たこっちの世界の住民の中で一番の美人であるクレマンティーヌでも、身内びいきの入ったエンリでも無理だ。

言葉遊びみたいになってしまうが、絵に描いた美人と絵に描いたかのような美人は違うのだ。

 

だが、だからといってエンリの髪が汚いのかと言われればそんなことがあろうはずもない。

明るさの強い栗毛色は、それはそれで落ち着きのある色合いだと言える。

 

「マリーもそう思うだろ?」

「はっ、はい…っ」

 

いきなりの振りに、汗腺などないはずのマリーが汗を飛ばす。

球関節の指をモジモジとさせながらそれでもしっかりと頷いた。

エンリもエンリでオレの配下であるところのマリーに未だ恐縮してしまっている。

2人も何やら態度が余所余所しい。前に、オレがエンリの胸を揉んでいるところを見られたことがあったが…あの時から2人の仲は進展していないのだろうか。

父親に胸を揉まれていた女と話すのは確かに気まずいだろう。

あれは悲しい事件だった…

 

「ほ、ほら、見えて来たぞ。ネムたちはもう待ってるかもな。」

「そ、そうですね…」

 

オレはそこまで考えてオレにできる事は何も無いと判断して話題を強引に捻じ曲げた。

エモット家からはかなり遠くから離れた場所でそんな話題を振ってしまったため不自然にはなってしまったが。

オレまで気まずい空気に飲まれてしまいそうだ。

家に着いたら、まずは一番にネムに癒してもらうとしよう。

 

 

 

1番期待しているのは誰?(別に出すとは言ってない)

  • エンリ(正妻)
  • ルプスレギナ
  • マリー
  • その他プレイアデス
  • ヒルマ(麻薬部門長)
  • 踊るシミターちゃん(六腕)
  • ツアレ・ニニャ
  • ラナー
  • 青薔薇
  • クレマンティーヌ再登場
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