「きるゆーさま。泊まって行って!」
前略。今オレはネムにせがまれている。
ネムが、寝る間になって帰ろうと思っていたオレを引き留めたのだ。
「こら、ネム。あまりきるゆー様にご迷惑をかけないの。」
「そうよ。きるゆー様にだって予定があるんだから。」
「やだ!」
ネムは嫌々と首を振って、オレの腰に抱きついてくる。
そしてオーマ。フォローは有難いのだが、オレに予定はない。
何故か悲しくなるからあまり言わないでほしい。
「ま、今日くらいはいいだろう。勿論、2人が良ければだけが。」
「本当!いいでしょ、お母さん!?」
「きるゆー様がご迷惑でないのなら…」
「ネムの頼みなら迷惑なんて思わないよ。」
「本当?きるゆー様大好き!」
オレは腰から離れないネムを抱き上げた。
キャッキャと喜ぶネムをベッドへと運ぶ。
ネムを寝かしつけようとしていたオーマやエンリも、オレが一緒に寝るならとベッドへと入ってきた。
結局、ベッドを2つ合わせてエンリ、オレ、ネム、オーマの順で川+1の字になった。
ネムがぎゅっと小さな手で手を握ってきたので、そのままそっと握り返す。
そんな中、ネムが突然爆弾を投下する。
「私、きるゆー様と結婚したいなあ。」
突然のネムの告白に、エンリとオーマが驚く。勿論、オレも驚いていた。
まさかネムまでもがオレの妻の座を虎視眈々と狙っていたとは。
…いや。これはアレだな。アニメでよくある、娘がお父さんと結婚する!ってやつだな。
「きるゆー様。私と結婚してくれますか?」
「そうだな。もう少し、ネムが15、6になった頃もまだそう思ってたら考えるよ。」
「えー!」
「ネムには少し早いんじゃない?」
「そんな事ないもん。私だって結婚したい!」
いくらこの世界が日本と比べて結婚適齢期が半分でも、1桁の子供が結婚するにはまだ早い。
というかしたらオレの方が人格を疑われる。
「ネム。どうしてきるゆー様がいいの?」
「だって一番かっこよくて、一番強いんだもん。」
「きるゆー様はかっこよくて強いだけじゃないのよ。」
「そんな事わかってるよう。優しくて偉くて。あと、力持ち!」
エンリも妙な方向に流れを作らないで欲しい。
なんか嫉妬から来ている気もするし。
「私、おねーちゃんの次でもいいよ。」
「えっ!?」
心臓がどきりと跳ね、一瞬オレの声が漏れたのかと思ったが、声を出したのはエンリだった。
「私、おねーちゃんとだったら一緒にお嫁さんになりたいな。」
「ネム、何を言って…」
「エ・ランテルの偉い人には、お嫁さんが何人もいるんだって。他の人なら嫌だけど、おねーちゃんとならいいよ。」
一夫多妻は容認、というか黙認されている。
日本のような戸籍がしっかりとしていないため、愛人を作って囲い込むなんて事も簡単なのだ。
別にオレにはそんな気はないが。
「そうね、ネム。あなたがお姉ちゃんくらいの歳になったら、また考えてあげるわ。」
「はぁーい。早く大人にならないかなあ。」
ネムは小さくぼやいて、それでも納得したのかそれ以上意を唱えることはなかった。
すぅ、すぅ…
それからしばらくして、規則正しい寝息を立てていた。
ちゃっかりと握った手はそのままで。
「ネム、寝ちゃいましたね。」
ネムが寝たかと思ったやいなや、エンリがすすす、と身を寄せる。
全く抜け目がない。可愛い。
エンリはオレにしなだれかかると、耳元に口を寄せてきた。
そして、こしょこしょと囁き始める。
「きるゆーさま。もう眠られましたか?」
「いいや。」
吸血鬼は夜の貴族とも呼ばれる。
オレに、それとエンリとオーマは夜には強いのだ。
「ネム、やっぱりきるゆー様がいる時は我儘になるみたいです。」
「昼の続きか?」
「はい。でもまさか、あんな事を言い出すなんて…」
「小さくても、やっぱり女の子だな。なかなかしっかりしてるよ。」
「私、わかるんです。本気だって。多分、初恋なんだと思います。私もそうですから。」
耳元で囁かれるだけでもドキドキしているのに、そんな事を言われたのでは溜まったもんじゃない。
オレは今すぐにエンリを抱きしめてしまいたい衝動に駆られた。
そして、あわよくば滅茶苦茶にしたい。昨日みたいに、お腹の中で悦ばせたい。
「あんなネム、初めて見ました。本当に楽しそうで、普段は本当にいい子で…でも、いい子なんですけど、無理をしてるって言うか、ネムがネムじゃないみたいで…きるゆー様がいると、昔の、あんなことが起こる前のネムに戻ったみたいで…っ…ぅっ…ご、ごめんなっ…さい…」
「わかってるよ。」
必死に涙を止めようとしているエンリの肩を抱き寄せた。
その体はとても華奢。繊細に扱わなければすぐに壊れてしまいそうだった。
「迷惑だって、分かってます。こんなこと、お願いするべきじゃないって。でも…ネムとも、一緒にいてあげてください…」
「オレが何処かに行くとでも思ってるのか?」
「でも、きるゆー様の居場所は…」
「ここも立派なオレの家だ。いなくなったりしないよ。」
エンリが、オレの体の上にのしかかってきた。
そして、体を預けて口を付ける。唇と唇をくっつけるだけの、優しいキス。
ちゅっ、ちゅっ…と小さな音が鳴る。
「ネムがかわいそうだぞ。」
「でも、今日はネムがべったりだったじゃないですか。ネムばかりずるいです。」
「寂しかったか?」
「寂しかったですよ。」
オレがネムばかり構っていたから、少し拗ねてしまっているようだ。もうなんなの。可愛い。
「ネムはいっぱい遊んでもらったんだから、このくらいは大目に見てくれないと嫌です。」
「悪かったな。ほら、これで許してくれ。」
「あっ…」
オレはエンリの頭をぐぐっと寄せ、唇へ吸い付いた。
初めは隣に家族がいる状況に遠慮していたエンリも舌を差し出してくちゅくちゅと奉仕に徹した。
後頭部へ手を回し、舌を使って狂おしい程口内を蹂躙する。
「ひるゆ…ひゃま…」
エンリが控え目に肩を押したので、一旦結合を解除する。
オレとエンリとの口に、銀の橋が架かった。
エンリの口元が月の光を受け、てらてらと輝いていた。
「これ以上されると…吸いたくなっちゃうので…」
「どっちが?」
「もう…意地悪。」
冗談めかして、つんつんと頬をつつかれた。
その後小さく、
しばらくぐりぐりとしていたエンリの、頭を撫でて宥める。
そして。
「あの…やっぱり、我慢できません…」
何度も何度もちゅっ、ちゅっ、とキスをくり消していると、エンリが腰を擦り付けてきた。
匂いを擦り付けるかのように、ゴシゴシと強めに擦る。
あまりにもいやらしいおねだりに心臓が跳ねるが、今日は無理だ。
健気に寝てまで離さなかったネムの手を離すわけにはいけない。
「だめだ、我慢しろ。」
「そんな…」
「また今度な。」
浅ましく腰をフリフリさせるエンリ。正直めちゃくちゃに可愛い。
だが、ネムの手を離してしまうのは無理だ。
それに、今盛ってしまうと止まれない気がする。
「エンリの髪は本当に綺麗だ。夜だけしかこの姿を見れないなんて勿体無いくらいだ。」
片手で髪を掬い上げる。
掬ったそばから、さらさらと掌から滑り落ちて行った。
「あの、普段から下ろしておいたほうが良いでしょうか…?」
「いや。編み込みのエンリも可愛いよ。それに…」
オレは近かったエンリとの距離をさらに詰め、唇と唇をくっつけた。
「可愛いエンリはオレだけが知っていればいい。この時のエンリはオレだけのものだ。他の男には見せるなよ。」
「はっ、はい…」
それから、オレたちは寝るまでずっと軽いキスを何度も交わした。
これにてカルネ村の閑話回は一旦終わりです。
とりあえず連続更新もストップです。
1番期待しているのは誰?(別に出すとは言ってない)
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エンリ(正妻)
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ルプスレギナ
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マリー
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その他プレイアデス
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ヒルマ(麻薬部門長)
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踊るシミターちゃん(六腕)
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ツアレ・ニニャ
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ラナー
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青薔薇
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クレマンティーヌ再登場